http://www.asyura2.com/16/health18/msg/159.html
Tweet |
たばこの将来 加熱式に託す
米フィリップ・モリスが攻勢 自ら変革、1250億円投資
たばこの世界大手、米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)が煙や灰が出ない加熱式たばこでアクセルを踏んでいる。規制強化や健康志向の高まりで、これまでの紙巻きたばこには依存できないためだ。業界の勢力図を塗り替える可能性を持つ「ゲームチェンジャー」に着目。10年以上前からの研究開発の積み重ねは昨年、日本で花開いた。今後は欧米でも販売拡大を狙う。
「紙巻きたばこの新商品ではあり得ない成功だ」。PMIのミロスラウ・ジリンスキー低リスク製品部門社長は昨年に日本で本格販売を始めた電気などで加熱する「アイコス」=写真=の売れ行きに満足げだ。加熱器は今年9月までに200万個以上が売れた。
「日本の愛煙家は周囲に配慮する気持ちが強い」。アンドレ・カランザポラス最高経営責任者(CEO)は、180以上の国・地域で事業展開する同社が最初に日本を選んだ理由をこう説明する。広告などの自由度も高く、対照的に規制が厳しいイタリアと同時期に試験販売を始めた。
イタリアで加熱式たばこを年300億本生産できる工場を竣工。これは同社の欧州での販売量の6%に匹敵する。アイコスなどへの投資額は2016年に12億ドル(約1250億円)を見込み、17年には15億ドルに増やす。
煙を吸わない「低リスク製品」の開発を始めたのは02年ごろ。「こういう(喫煙が敬遠される)時代が来るのは分かっていた」(カランザポラス氏)。これまでのたばこでも新興国を開拓すれば先進国での需要減は補えるが、先手必勝で自ら変革する道を選んだ。
もっとも、その後は試行錯誤の連続だ。03年に売り出した「ヒートバー」は鳴かず飛ばず。味がいまひとつで、「儀式」として重要な喫煙の動作も再現できなかった。研究に必要なノウハウも違い、製薬業界から約300人を採用した。
アイコスのヒットに満足はせず、ほかの製品開発も進める。短いたばこを加熱器に差し込むアイコスに対し、「プラットフォーム2」はたばこの先端につけた発熱素材で加熱する。紙巻きたばこに近い吸い方ができる。たばこ葉を使わずニコチンと有機酸を化学反応させる「3」や、ニコチン入り溶液を使う「4」もある。2と3は17年前半に試験販売を始める。
「1つの商品ですべての回答になるとは思っていない」(カランザポラス氏)。欧州では溶液タイプが広まったが日本ではニコチンを含む液体は承認なしでは販売できない。こうした規制の違いに対応する狙いもある。
手応えを得たアイコスではブランド化にも着手した。PMIが本社機能を置くスイス西部ローザンヌの事業所には高級ブランド店を思わせるアイコスの模擬店舗がある。新分野だけに喫煙者への説明が重要とみており、紙巻きたばことは違うマーケティングに挑む。
お膝元の日本でアイコスの先行を許した日本たばこ産業(JT)も買収や加熱式への投資拡大で巻き返しを図る。英ブリティッシュ・アメリカン・タバコも同分野は強化中だ。「製薬会社も参入すれば市場はもっと活性化する」。カランザポラス氏は規制当局との攻防もにらみ、競合商品の台頭を歓迎している。
ジュネーブ=原克彦
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「新分野」の評価定まらず 「ニコチンは摂取」「健康被害95%減」
英ユーロモニター・インターナショナルによると、電気たばこといった「蒸気型商品」の市場は2015年に80億ドル(約8300億円)だった。葉巻の3分の1で、たばこ全体に占める割合は1%。まだ評価が定まっていない新分野といえる。各国の規制もまちまちで、今後の規制論議が市場を左右する。
世界保健機関(WHO)は14年に報告書をまとめ、各国の政府に広告規制の導入や屋内での使用禁止を提案した。ニコチンを摂取していることには変わりがなく、使用によって目や呼吸器に痛みが発生した事例もあったと指摘している。現在も基本的にはこの姿勢を変えていない。
一方で英保健省は15年、紙巻きたばこに比べると健康被害は最大で約95%少ないとの報告書を発表。禁煙に役立つ可能性もあるとし、受動喫煙の被害が小さいことも認めた。もっとも、こうした検証はまだ少ない。
普及に反対する人々の意見には「若者や非喫煙者を喫煙習慣に誘導する」といったものがある。米フィリップ・モリス・インターナショナルや日本たばこ産業(JT)はあくまで喫煙者のための代替品として販売する姿勢だが、現段階では影響は見極めにくい。
今後は加熱に使う電子機器の安全基準も議論の対象になる可能性がある。紙巻きたばこに比べれば火事を起こす危険性は低いとみられるが、やけどのリスクには配慮する必要がありそうだ。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
加熱式たばことは
▼加熱式たばこ 加工したたばこ葉を電子器具や発熱物質で蒸した状態にし、発生する蒸気を吸うことでニコチンを摂取する。「蒸気たばこ」とも呼ばれる。煙を吸う従来の紙巻きたばこに比べ、タールなど有害物質の摂取量は大幅に減るとされる。「電子たばこ」は一般的に香りや味がついた溶液を加熱して吸うタイプを指す。
[日経新聞10月18日朝刊P.6]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 不安と不健康18掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。