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特別リポート:米国で広がる隠れた死因、「薬剤耐性菌」の脅威
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9月7日、ロイターの調査では、米国で薬剤耐性菌への感染に関連した死亡例がカウントされていないことが分かった。写真は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)バクテリアの走査電子顕微鏡写真。提供写真(2016年 ロイター/National Institute of Allergy and Infectious
[リッチモンド(米バージニア州) 7日 ロイター] - ジョサイア・クーパーポープちゃんは、予定日より15週早く生まれた。出生から最初の10日間、新生児集中治療室での経過は良好だった。
ところが突然、ジョサイアちゃんの小さな体が腫れ始めた。一夜のうちに体があまりにも膨れ上がり、皮膚に裂傷が生じるほどだった。
母親のシャラ・バウザーさんによれば、チッペンハム病院(バージニア州リッチモンド)の看護師からは、ジョサイアちゃんが感染症にかかっており、最悪の事態を覚悟してほしいと言われたという。2010年9月2日、バウザーさんはわが子を抱くことを許されたが、それが最初で最後となった。ジョサイアちゃんは息を引き取った。17日間の命だった。
病院関係者の誰一人としてバウザーさんに話さなかったことがある。その新生児集中治療室で同じ感染症、つまりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSAという略称がよく知られている)に感染したのは、これが4例目だったということだ。記録によれば、感染が沈静化するまでに、その後さらに8人、すなわちその集中治療室に入ったほぼすべての新生児が発症したとされている。
今年に入り、この感染症の集団発生についてロイターから連絡を受け、ジョサイアちゃんの死亡証明書のコピーをもらうために州の出生死亡記録部を訪れたバウザーさんは、息子の死から受けたショックを思い出した。死亡原因は「早産に伴う(またはそれを原因とする)敗血症」と書かれていた。敗血症は感染による合併症だが、MRSAとは一言も書かれていなかった。
「悲しくてたまらない」と、バウザーさんはすすり泣きながら語った。「そのせいであの子がどうなってしまったか、私はこの目で見た。それなのに、死亡証明書ではただご託を並べているだけ」
死亡証明書によれば、エンマ・グレイス・ブローちゃん(3)は、インフルエンザの合併症のために亡くなっている。ジョシュア・ネイハムさん(27)はスカイダイビングの事故に伴う合併症で亡くなった。ダン・グリューリッチさん(64)は、腎臓・肝臓の同時移植を受けた後、心不整脈で亡くなった。
いずれの場合も(ロイターはこれ以外の例も発見している)、カルテによれば、患者が病院での治療を受けているあいだに薬剤耐性バクテリアに感染したことを原因とする死亡である。だが、死亡証明書には感染については何の言及も見られない。
連邦政府が、薬剤耐性菌への感染が公衆衛生に対する重大な脅威であると宣言したのは15年前である。だがロイターの調査では、薬剤耐性菌への感染に関連した死亡例がカウントされていないことが分かった。そのせいで、人命という点でも経済的損失という点でも大きな犠牲を生んでいる原因に、この国はうまく対処できていない。
<生かされない教訓>
たとえカルテに残っていても、薬剤耐性菌感染による何万人もの死者(また、発症するが死亡には至らない感染例はさらに多い)は集計されていない。連邦・州の機関が、そうしたデータをきちんと追跡していないからだ。全米規模で公衆衛生を監視する主役的立場の疾病対策センター(CDC)にせよ、各州の保健当局にせよ、厳しい調査を義務づけるための政治的・法的・財政的な手段を持っていない。
HIV/エイズとの闘いで米国が学んだように、危険な感染症を撃退するためには、感染および感染による死亡がいつどこで発生し、どのような人が最も高リスクなのかを示す正確なデータが必要である。データを集めることによって、公衆衛生当局は、必要なところに資金と人材を迅速に配分することができる。だが米国は、薬剤耐性菌感染を追跡するために必要な、基本的な措置をとっていない。
「ある病気でどれだけ多くの人が亡くなっているのか、まず知る必要がある」と語るのは、ワシントンに本拠を置く疾病動態経済政策センター(CDDEP)のセンター長、ラマナン・ラクスミナラヤン氏。「よかれ悪しかれ、その数字がどれだけ深刻かという指標となる」
薬剤耐性菌感染については、CDCでさえ問題の程度を把握していない。CDCの試算では、17種類の薬剤耐性菌感染により毎年約2万3000人が死亡している。これに加えて、抗生物質の長期利用に関連する病原菌クロストリジウム・ディフィシルにより、1万5000人が死亡している。
これらの数字はニュース報道や学術論文のなかでよく言及されているが、あくまでも推計にすぎない。ロイターがCDCの試算手法を分析したところ、この試算値は、薬剤耐性菌感染による死亡に関する実際の報告にはほとんど基づいていないことが分かった。
抗生物質耐性に関する調整・戦略を担当するCDCの上級顧問であるマイケル・クレイグ氏によれば、CDCは連邦議会とメディアから「大きな数字」を出すようプレッシャーを受け、「専門的な方法を採らず、印象派の絵のようなやり方」でお茶を濁したという。
ロイターへの電子メールのなかで、CDCの担当者は2013年の試算報告について、「限界はあったものの、脅威の深刻さについて深く憂慮していたため」発表したと書いている。CDCは試算値をより正確なものに改善する取り組みを続けているという。
<大幅な過少報告>
データを追跡しているという州も、大抵はいくつかのタイプの薬剤耐性菌感染について把握しているだけで、一貫性は見られない。今回の調査では、2003年から2014年にかけて、合計で約3300件の死亡例が報告されていた。
これは実際の犠牲者数のごく一部にすぎない。ロイターが死亡証明書を分析したところ、同じ時期、直接・間接の死因として薬剤耐性菌感染が挙げられている例は、全米で18万件を超える。ロイターはこの分析を行うにあたって、CDCの下部組織である国立衛生統計センター(NCHS)の協力を得て、死亡証明書のテキスト記述部分を検索し、薬剤耐性菌関連の死亡例を特定した。
薬剤耐性菌感染による死亡報告を義務づけていない州の1つが、全米で最も人口の多いカリフォルニア州である。ロイターの分析では、カリフォルニア州における薬剤耐性菌感染に関連する死亡例は、上記の12年間で2万件以上特定され、全ての州のなかで最多となった。同州保健当局の広報担当者は、州法では感染については報告しなければならないが、死亡の報告は義務づけられていないという。
ロイターの分析によって得られた合計の数値からは、問題が全国的に悪化していることが示されている。薬剤耐性菌感染による死亡数は、2003年の約8600人から、2014年には約1万6700人へと2倍以上に増加した。
昨年開催されたあるカンファレンスでは、院内感染防止の専門家たちがCDCの担当者に対し、州法やメディケア・ メディケイド・サービス・センター(CMS)が義務づけている感染報告を、医療スタッフや内部検証委員会が妨害することがあると訴えた。予防可能な感染の発生や感染率の高さを理由に、病院への報酬が引き下げられるからだ。
専門家たちによれば、医療スタッフは、感染の明らかな兆候を示している患者を検査しない場合もある。これは、報告ルールを回避するための戦術の1つとして使われているという。
<カウントされない死>
ロイターの取材に対し、報告される抗生物質耐性菌の感染による死亡数を集計していると答えた州は16州にとどまった。この他8州は集団発生の一部である場合のみ死亡数を追跡していた(ペンシルベニア州とジョージア州はアンケートには回答できないとしている)。
死亡数を追跡していない州の1つがテキサス州である。ナタリー・シルバさんは2012年11月、病院運営最大手ホスピタル・コーポレーション・オブ・アメリカ(HCA)が経営する同州エルパソのデルソル医療センターでMRSAに感染した。姉妹のクリスタル・シルバさんによれば、帝王切開により健康な男の子を産んでから2日後、切開の傷跡から大量の出血が始まった。ナタリーさんは、MRSA陽性と診断された。
クリスタルさんと、もう1人の姉妹であるステファニー・ホールさんによれば、病院のスタッフはナタリーさんに「生後1週間の息子を抱いて授乳しても大丈夫だ」と言ったという。だが1カ月後、その息子も新生児集中治療室に入り、自身のMRSA感染と闘っていた。
息子は一命を取りとめた。ナタリーさんについては、その後数カ月、次々に合併症に襲われたというカルテが残っている。複数の感染症により複数の手術を受けることになり、ナタリーさんは動けなくなった。
2013年9月のある金曜日の夜、ステファニーさんはナタリーさんのベッドのそばに付き添い、ナタリーさんがいずれ家に帰れるものと楽観しつつ、手の爪にメタリックブルーのマニキュアを、足の爪にはメタリックパープルのペディキュアを塗ってあげたという。
だがその3日後、ナタリーさんは亡くなった。
クリスタルさんとステファニーさんによれば、ナタリーさんの担当医は、死亡証明書の死因欄に「心不全」と書きたがったという。
この件に関し、デルソル医療センターはコメントを拒否した。
シルバ家は3000ドル(約30万6000円)を払って検視解剖を求めた。これによって、MRSA感染が死因であることが確認された。死亡証明書上では直接の死因は心肺停止だが、MRSA感染の合併症がその原因とされている。
「ナタリーは23歳で健康だった。私たちにはMRSAが非常に大きな原因だったことが分かった」とクリスタルさん。「死亡証明書にMRSA感染を入れてもらうのには苦労した」
ステファニーさんは昨年9月、ナタリーさんのMRSA感染とその後の合併症による死亡は、病院側に責任があるとして、デルソル医療センターを医療過誤と不法死亡でエルパソ郡地方裁判所に告訴した。2人の子どもが母親を失ったことへの賠償と、療養中の給料、医療費、葬儀費用の弁済を要求するものだ。
テキサス州保健当局の広報担当クリスティン・マン氏は、薬剤耐性菌による死亡データを集めるには、正式な法律か、州内のルール変更が必要になると述べた。「公衆衛生上、最も必要性が高い部分で対策を講じるため、リソースと関心に優先順位をつけている」という。
ロイターの分析によれば、ナタリー・シルバさんの死は、テキサス州で2003─2014年に確認された抗生物質耐性菌感染に関連する死亡例約1万件の1つである。ナタリーさんの姉妹は、死亡証明書に本当の死因を記載させることに成功したが、それでも統計上は薬剤耐性菌感染による死亡にはカウントされないのである。
(Ryan McNeill記者、Deborah J. Nelson記者、Yasmeen Abutaleb記者 翻訳:エァクレーレン)
http://jp.reuters.com/article/special-report-superbug-idJPKCN11M0QZ?sp=true
コラム:長生きするペットたち、幸せ与える5つのヒント
9月13日、ペットの健康に関するリポートによると、犬の寿命は平均11.8歳。2013年の11歳、2002年の10.5歳から延びている。米カリフォルニア州で1月撮影(2016年 ロイター/Mike Blake)
Chris Taylor
[ニューヨーク 13日 ロイター] - 人間だけが長生きだと思うなら、米ジョージア州アトランタに住むシーズー犬「ウィロウビー」を見てほしい。現在18歳、人間で言えば、軽く100歳を超えている。
これは珍しいことではない。
全米で動物病院を展開するバンフィールド・ペット・ホスピタルが今年発表したペットの健康に関するリポートによると、犬の寿命は平均11.8歳。2013年の11歳、2002年の10.5歳から延びている。
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猫の寿命はさらに長く、平均12.9歳で、人間の70歳程度に相当する。こちらも、2013年の12.1歳、2002年の11歳から平均寿命が延びている。
「犬の寿命はかつて6、7歳と考えられていたが、最近では大型犬で15、16歳、小型犬なら20歳まで生きる場合もある」と、「My Old Dog: Rescued Pets With Remarkable Second Acts(原題)」の著者であるローラ・コフィ氏は話す。
寿命のより長い小型犬が好まれる傾向にあると、獣医師で前述のリポートの作成責任者であるカーク・ブロイニンガー博士は指摘する。
博士によると、「ペットの健康に関する知識」が増えていることがペットの寿命が延びている主な要因で、ペットに健康診断や投薬を行う機会が増えているという。以前なら、病気を患う年老いたペットは、ただ安楽死させられることもあった。
栄養状態が向上したことも一役買っている。調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、よりヘルシーだと一部で思われているプレミアム・ペットフードは現在、米市場の半分以上を占めている。
米ペット製品協会によると、2015年に米国人がペットの世話に投じた総額は、史上最高の600億ドル(約6兆1320億円)に上った。
このような話は、冒頭に登場した18歳のシーズー犬、ウィロウビーの飼い主で、ファイナンシャルプランナーのニブ・ペルサウドさんに改めてする必要はないだろう。彼女は、ウィロウビーのドライアイ、腰の関節炎、心雑音の薬代として毎月約100ドル支払っている。
飼い主はペットの世話で破産する必要はないが、高齢化による追加費用を認識し、手遅れになる前に起こり得る健康問題に備える必要がある。そして、将来必ず生じるであろう出費を最小限に抑える方法を考えなくてはならない。
以下にそのヒントをいくつか挙げる。
●予防ケアに積極的に取り組む
まさに人間と同じように、健康維持プログラムは将来、深刻な(そして費用のかかる)健康問題を予防する一助となり得る。例えば、犬の心臓に寄生するフィラリア予防薬を幼年期から投与することは、寿命が延びるかもしれない方法の1つだと、ブロイニンガー博士は言う。
猫の腎臓病など、病気をすばやく特定できれば、寿命を延ばして生活の質向上につながる療法食を与えることができる。
●保険に加入する
ブロイニンガー博士によれば、高齢犬がかかる病気には、関節炎やがん、糖尿病や甲状腺疾患など数多い。
保険に入っていれば、そうした治療費の負担を軽くすることが可能だ。北米ペット健康保険協会によると、米市場では2015年、保険料の合計は6億8880万ドルで、140万匹のペットが加入していた。
●歯の手入れを甘く見るな
飼い主はペットの歯磨きについてあまり考えていないようだが、高齢犬の多くは歯に問題を抱えていると、コフィ氏は語る。歯痛のひどさを思い出して、自分のペットもどれだけつらいか考えてほしい。専門医による歯のクリーニング、必要なら抜歯をすることも検討すべきだ。苦しんでいるペットの「世界が一変」するかもしれない。
●住環境を改良する
高齢になった親のためにするように、高齢犬にとって快適で安全な家にしてあげるよう、コフィ氏はアドバイスする。滑ったり転倒したりしやすく、関節に悪いフローリングやタイルの床に、ゴムマットや敷物を敷いてあげるのも1つの手だろう。
●高齢犬の里親になる
ますます多くのペット保護施設が、高齢犬を温かい家庭に受け入れてもらえるよう力を尽くしている。譲渡の一貫として、健康診断や処方薬の費用を支援してくれる施設もある。
「高齢のペットを引き取るのを恐れないで」と、10歳のラブラドールレトリバー「マニー」と、12歳のローデシアンリッジバック「フリーダ」と暮らすコフィ氏は言う。「追い詰められた小さな生き物の生活に、とても大きな変化をもたらすことができるのだから」
http://jp.reuters.com/article/column-pet-idJPKCN11M0QO?sp=true
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