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ぼったくり「JKビジネス」の正体〜触れず、喋らず、セックスを売る オンナの収支報告書【7】
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50533
2017.01.18 鈴木 涼美 文筆業 現代ビジネス
鈴木涼美さんが「オンナのオカネの稼ぎ方・使い方」を考察する本連載。前回に引き続き、鈴木さん自身の女子高生時代の「生脱ぎブルセラ」アルバイト体験を基に「JKビジネス」の実態を明らかにしていきます。
(バックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/author/suzumisuzuki)
■指先ひとつ差し出さずにセックスを売る
生脱ぎブルセラの決定的な特徴は、客と女の子たちがコミュニケーションを意図的に断絶された状態にあることだ。女子高生たちは客に指一本触れず、言葉も一切交わさず、厚い鏡(マジックミラー)を隔てたこちら側とあちら側でパンツを売る/買うという関係だけが保たれる仕掛けがつくられていた。
それは援助交際や風俗や水商売と違って、ある程度「お互い様」な関係ではない。客がマジックミラーのあちら側から私たちを、無害で無邪気な存在だと認識していたように、女の子は女の子で最小限のリスクで得をしていると感じ、傷つかない、守られている、損をしていないと感じられる。
なんと言ったって指先ひとつ客に差し出さずにセックスを売れるのだ。資本主義と時代とブランドを逆手にとって、うまくやっていると感じないわけがない。
店で商品を身につけ、値段表を安全ピンで胸にとめた後は、女の子たちは思い思いに時間をつぶし、客が来るのを待つ。約20畳ある鏡の部屋にはテレビが6台あった。うち3台はセガ・サターンのゲーム用、2台はそれぞれ、プレイステーション、地上波テレビ鑑賞のために置かれている。
最後の1台に映し出されるのは、店の入口に設置された防犯カメラの映像だ。ぼんやりと映るその映像をこっそり覗けるおかげで、女の子たちは自分の親・恋人や学校の教師が万が一来店した際に姿を隠すことができる。
その実、客のプライバシーに配慮してほとんど頭上しか映らないほど高い位置に設置されていた防犯カメラの映像は、顔が判別できるほど鮮明ではなく、もっぱら女の子が出勤してくる際にわざとカメラに顔を近づけ、鏡の部屋にいる友人に合図の遊びをするためにしか使われていなかった。
それでもそれは、顔の見えない、誰だかわからない男に一方的に見られているのではない、と感じるに値する仕掛けだった。私たちにはマジックミラーのあちら側で無防備な私たちを見ているはずの男が、実は頭上から私たちに見下されているということのおかしみにいい気になっていた。
客が店に入るとピコピコとそれを知らせるブザーが鳴り、それを聞いた女子高生たちは鏡の前に2列にならぶ。尿が出なそう、パンツを売ったばかりでまだ体臭がついていない、などの事情があれば、値段表のその商品の部分だけ内側に織り込んで客に見えないよう準備した。
前の列の女の子は座り、後ろの列の女の子は立って、全員の顔が鏡に映る。客が入場料を支払い、マジックミラーのあちら側の部屋にはいる段階になると、男性店員が「お客様が鑑賞室に入られます、女の子はマジックミラーの前に並んで自分の目をまっすぐ見てください」と放送する。
女の子たちは鏡に映る自分の目を見て、にっこり笑顔をつくる。女子高生はただでさえ1日何度もラブ・ボートやマリー・クワントの鏡で自分の顔を見つめる。鏡に映る自分の顔を見てじっとしている時間は、何の苦にもならなかった。
■パンツに化粧品でシミをつける
この段階で、お気に入りの女の子や価値に見合う値段の商品を見つけられなかった客は店を後にする。ただ、試験前などでよほど女の子が少なくない限り、何も買わずに店を後にする客はあまりいなかった。数分かけて好みの女の子を見つけた客は、男性店員に女の子の番号とほしい商品をつげ、その店員が番号を叫んで女の子を呼びに来る。
女の子たちに与えられる番号は店に登録してから卒業するまで変わらないので、自分の番号はすぐに覚えたし、店内で他の女の子の悪口などを言い合う際には隠語のようにその番号を使うこともあった。
番号が発表されると、指名された番号の女の子のみが鏡の部屋から廊下にでて、何の商品に買いがはいったのかを確認する。鑑賞のみ、あるいはブラジャー・靴下・唾液など準備のいらない商品の場合はそのまま個室に入るが、パンツや尿、ポラロイド写真などの場合は準備が必要となる。
写真はサンプルの中から客が選んだポーズで、廊下で男性店員が撮影した。パンツの場合はトイレに入り、2枚履いているうちの、直前まで肌に触れていた方にトイレットペーパーを使って少し尿をつけた後、今度は外側に履く。
パンツはかなりの使用感がなければいけなかった。抜き打ちで男性店員のチェックが入るため、いかにそれとわからないように化粧品でパンツのシミをつくり、巧妙に「汚れたパンツ」を作り出すかで女の子たちは知恵を絞った。
準備が整うと個室に入る。入り口にカーテンのある電話ボックスくらいの小さな部屋にマジックミラーが設置されていて、その向こうにある同じ大きさの部屋に客がいるので、当然女の子と客は話したり触れたりはできないし、女の子から客は見えないことになっていた。
実際は微妙に影が見える鏡の向こうがわにむかって自分の番号とお礼を手短に述べた後、指定の商品を脱いでカゴに入れ、マジックミラーが貼られた仕切りの下にある小窓から客に渡す。唾液はその場でフィルムケースをつばを出して満たしていくのだが、これが結構難しくて、梅干しやレモンを想像する、と言っていた女の子が多かった。
尿を売る時は、空の容器をもって一度個室に入り、カーテンを開けたまま、その個室の後ろにあるもう一つの部屋にはいってスモークを貼ったガラス張りの扉を閉め、そこにある洗面器にまたがって、ロートを使って直接容器に尿をいれた。シルエットを見せることで尿がその女の子のものであることが一目瞭然になる仕組みだ。
■JKの唾液を顔に塗りたくりオナニー
5分間の鑑賞タイムをつければ、客はティッシュ箱をもって個室に入ることができ、1分ごとに決められたポーズをとりながら趣味や身長・体重など自己紹介をする女の子を鑑賞しながらオナニーができた。マジックミラーの向こう側で、制服を着た私たちのなんていうことない四つん這いのポーズや髪の毛をかき上げる姿を見て、客はティッシュの中に射精した。
マジックミラーにかすかに映る客のシルエットを見ていると、ついさっきまで私が履いていたルーズソックスを手を伸ばして持ち上げ、足の裏にあたる部分を顔に押し付けて「う、う」と声をもらしていた。フィルムケースに入った唾液を顔中に塗って股間をこすり続けていた。
タバコ部屋に戻るとパンツを売った場合のみ、Pチェックといって履いているパンツを男性店員に見せる決まりがあった。男性店員の趣味なんじゃないか、とクレームを申し立てる女の子がいないことはなかったが、パンツをちゃんと2枚履いていたかどうかを確認するためだ。
それが終わると女の子のバッジの裏には黄色い伝票が挟み込まれる。伝票には何をいくらで売ったかが記録されていた。
こうして女子高生たちは、断絶された鏡の向こう側の客に何かしらを売り、オカネを稼いだ。生脱ぎブルセラ店は、私たち女子高生にとってたしかにオカネをつくる場所であった。翌日の買い物の約束や、次の週末のデート服を用意する必要があるとき、私たちには100円のパンツを買い、それによくわからない価値を塗りつけて売る選択肢があった。
そしてその売買の場所には16〜18歳の、オカネをつくりたい女の子たちが集まる。1つの部屋に集まり、客の入らない暇な時間をやり過ごしたり、指名を受けた女の子が下着を脱いでいる間に悪口を言ったりする。
そうであることで、そこは、女子高生にとって、オカネをつくる場所、だけではない場所にもなりえた。女子高生のたまり場、そしてそこには正体も定かではない、頭頂部の映像と影のシルエットだけの男たちがいる。この微妙な男とオカネとの関係が、そこにいる女の子たちそれぞれに色々な「立場」を与えていたのである。
(バックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/author/suzumisuzuki)
「十分満たされているのに、全然満たされていない」引き裂かれた欲望を抱え、「キラキラ」を探して生きる現代の女子たちを、鮮やかに描く。
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