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日銀は長期金利目標を引き上げるか 超長期国債厳しい1年−日銀支援少、増発 女性と移民が日本の活力源 失敗経験からメリット
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/898.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 18 日 19:59:40: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

コラム:日銀は長期金利目標を引き上げるか

河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 17日] - 日銀の金融政策について筆者が今年注目しているのは、金融緩和ではなく、長期金利の誘導目標を引き上げるかどうかである。

円安や原油高の効果で、年央にも消費者物価指数(除く生鮮食品、以下CPIコア)は0.5%を超え、夏場にも1%に到達すると予想するが、日銀は長期金利の誘導目標をゼロ%程度のまま維持するだろうか、それとも引き上げるだろうか。これが今回のテーマである。

結論を先に言っておくと、インフレ期待を醸成することのメリットと出口の際に膨らむコストを比較考量し、日銀は長期金利誘導目標の引き上げのタイミングを決定することになる。今のところ筆者が考えているシナリオは次のようなものだ。

1)CPIコアの1%台乗せが定着する10月に引き上げると予想するが(メインシナリオ)、円安への政治的反発が強まれば7月にも実施される可能性がある(リスクシナリオ)。

2)その際、継続的な誘導目標の引き上げの思惑が広がることを避けるため、引き上げ幅は30ベーシスポイント(bp)程度の比較的大きなものになる。

3)また、誘導目標の引き上げで、長期金利が急騰するリスクが高い場合には、それを抑え込むため、短期政策金利について同時に10bpのマイナス金利の深掘りも併用する可能性がある。以下、詳しく論じる。

<長期金利誘導目標の引き上げが論点になる理由>

まず、大規模財政を掲げるトランプ新大統領の誕生で、「長短金利操作付き量的・質的緩和」に早い段階で追い風が急激に強まったことは、日銀にとって想定外だっただろう。

9月21日に導入した同政策はプラスの総需要ショックやインフレショックが生じた場合、効果を増幅させるメカニズムを持っている。短期自然利子率やインフレ期待の上昇に伴って、日本の長期金利にも上昇圧力がかかるが、それを日銀がゼロ%前後に抑え込むため、金融緩和効果が強まる。最も目に付きやすい効果は、内外金利差が拡大し、円安が促され、株高が進むことである。

日銀は、この政策を導入した際、追い風も逆風も生じないうちに、10年金利をゼロ%程度に誘導する下で、年率80兆円程度に上る長期国債の購入額をある程度減額することを狙っていたはずである。周知の通り、日銀が操作目標を国債購入額から長期金利に移行したのは、国債購入額を減額し、政策の持続可能性を高めることが主目的だった。購入額を減額する前に、大きな追い風の発生で長期金利に上昇圧力がかかり始め、減額のタイミングを逸してしまったのである。

足元では、世界的な株高や長期金利上昇、ドル高に一服感が見られる。これまではトランプノミクスへの期待だけで動いてきたが、ここからは、大統領就任後に打ち出される実際の政策の決定を確認してからということなのかもしれない。仮に、こうした無風の状況が続くのであれば、今後、日銀は長期金利の誘導目標をゼロ%に維持したまま、国債購入の減額を進める可能性がある。

実際、「年率80兆円程度」の範囲内ではあるものの、10月には長期国債の購入額をわずかに減らした。金融市場の今後の動き次第ではあるが、市場の当面の関心は、誘導目標の引き上げではなく、国債購入の減額になるのかもしれない。

しかし、筆者は長期金利の誘導目標引き上げも論点になると考える。それは、実物経済の改善のみならず、物価も今後、上昇するためである。

11月のCPIコアは前年比マイナス0.4%だったが、原油価格の反発や円高の影響が和らぎ、12月はマイナス0.3%、1月にはゼロと下げ止まり、2月にはプラス圏へ浮上する見込みだ。これまでの原油価格の上昇、円安進展を前提にすれば、その後もCPIコアは順調に上昇が続く。筆者の見通しでは、5月、6月に0.7%、7月は0.9%まで上昇し、8月以降、1%台が定着する。経済が完全雇用にあることを考えると、2017年後半はさらに速いペースでインフレ率が高まる可能性もあり得る。

マイナス金利政策や上場投資信託(ETF)購入については、結果的に手じまいの開始が2%インフレの達成後となる可能性は十分にあるが、長期金利の誘導目標については、2%インフレが展望できるようになる前に引き上げが開始される可能性が高い。

仮に2%インフレが展望できるまで長期金利をゼロ%程度に誘導した場合、その後、日銀が緩やかな引き上げを目指そうとすると、長期国債の売り圧力が相当に高まり、国債購入を減額するどころか、購入額は一段と膨らむ。インフレ率が高まれば高まるほど、長期金利には大きな上昇圧力がかかり、それを抑え込もうとすると日銀のバランスシートはとてつもなく膨らんでしまう。

<実質ベースではビハインド・ザ・カーブ政策と矛盾せず>

ではインフレがどこまで上昇すれば、長期金利の誘導目標の引き上げが開始されるだろうか。誘導目標の引き上げを遅らせるメリットは、可能な限り「ビハインド・ザ・カーブ」とする(物価上昇に対して意図的に政策金利引き上げを遅らせる)ことで、インフレ期待を上昇させることだ。

日本のゼロインフレ予想は相当に根強い。量的・質的緩和による円安誘導でCPIコアが1.5%に達した2014年4月においても、サービスを中心にCPIの約半数の品目では(シェアベース)、2012年12月から価格は全く動いていなかった。根強いゼロインフレ予想を取り除くには、ビハインド・ザ・カーブとすることで、実質金利を可能な限り低い状況に維持することが必要である。

一方、誘導目標の引き上げを遅らせることのデメリットは、前述した通り、日銀のバランスシートが大きく膨らみ、金融緩和の出口で生じるコストが膨らむことだ。実質金利のマイナス幅が広がれば、その分、長期金利の調整を始めた際に、必要な引き上げ幅は大きくなる。急激な長期金利引き上げは、マクロ経済を不安定化させるため、ゆっくりとした引き上げが望ましいが、そのためには、日銀の国債購入量が拡大し、バランスシートはさらに膨らむ。

そうなれば、短期金利引き上げ時の付利の支払い急増など、出口のコストは増大する。それを抑えようとするなら、インフレが上がってくれば、長期金利の誘導目標を早めに引き上げるべきということになる。

このように、インフレ期待が上昇するというメリットと出口のコストが膨らむというデメリットを比較考量して、長期金利の誘導目標引き上げのタイミングは決定される。国債発行残高に占める日銀の保有比率が膨らむため、長期金利はあまり上がらないという議論も可能だが、それは日銀のバランスシートが膨らんでいるから可能になっているのであり、出口のコストが膨らむことに変わりはない。

伝統的な中央銀行の発想なら、バランスシートが大幅に膨らみ、出口のコストが拡大することを懸念し、比較的早い段階で、長期金利の誘導目標の引き上げに向かうだろう。失業率は3%程度まで低下し、日本経済が完全雇用にあることを考慮すればなおさらだ。現在、需給ギャップはプラスの1%弱である。また、一般物価が上昇していないからと言って、景気過熱が生じないわけではない。金融的不均衡の拡大(バブル)という形でそれが生じる可能性もある。1980年代以降、日本を皮切りに、先進国で生じた景気過熱は、バブルという形で、いずれも低インフレの下で生じている。

むろん、黒田東彦総裁が率いる日銀はすでに伝統的な中央銀行とは異なる。いや、もはや伝統的な中央銀行はこの世に存在せず、中央銀行業界では、「非伝統が新たな伝統となる」状況だ。日銀の雨宮正佳理事が1月11日の講演で指摘する通り、我々が伝統的な金融政策と呼ぶものは、まだ200年にも満たない中央銀行の比較的短い歴史の中で、リーマン・ショック前の約20年間、主流とされていたものにすぎない。

アグレッシブな政策を採用する中央銀行なら、インフレ期待の上昇に重きを置き、出口のコストが膨らむことには多少目をつぶってでも、ビハインド・ザ・カーブを追求することで、2%インフレ達成に少しでも近づける可能性がある。

とはいえ、前述した通り、夏場以降、CPIコアは1%台に乗せてくる。実質長期金利がマイナス1%近くまで低下すれば、それは歴史的な金融緩和状況と言ってよいだろう。そこで長期金利の誘導水準を多少引き上げても、実質長期金利で見れば、金融緩和の度合いは一段と増す。実質ベースでは引き締めに動いたとは言えず、その場合もビハインド・ザ・カーブ政策とは矛盾しない。

このように誘導目標引き上げを遅らせることのメリット、デメリットを比較考量すると、日銀がアグレッシブな中央銀行であるとしても、年内の引き上げの蓋然性は高いように思われる。

<円安加速ならマイナス金利深掘りは抜かずの宝刀に>

では、長期金利の誘導目標の引き上げ幅はどの程度となるか。多くの人は10bp程度の小幅な引き上げを念頭に置いているようだが、あまりに小幅だと国債市場では継続的な引き上げの思惑が広がり、長期金利の誘導はスムーズに行かなくなる。

仮に3カ月に一度の引き上げが織り込まれれば、金融調節の現場は大混乱に直面する。このため、一度引き上げると、少なくともしばらく引き上げはないとマーケットに確信させる程度の引き上げ幅が必要となるはずだ。これが短期金利の誘導と違って、長期金利の誘導の難しいところである。だから行うべきではなかったのだと、伝統的な金融政策に郷愁を持つ中央銀行関係者も少なくないだろう。

一方、50bp程度の大幅な引き上げ幅となれば、金融市場へのショックが大きいだけでなく、国債を保有する金融機関の経営にも悪影響をもたらす。資産市場ではさまざまな裁定が働くため、損失を被った金融機関のポジション調整を引き金に、思わぬ事態が生じるリスクがある。このため消去法的に考えるなら、30bp程度の引き上げが選択されるのではないか。

その上で、調整は「長短金利操作付き量的・質的緩和」の出口の開始を意味するものではなく、その後の経済、物価の情勢次第では、再び誘導目標の引き下げもあり得ると強調することで、継続引き上げ観測の台頭による長期国債の売り圧力を回避しようとするだろう。

それでも、一度、長期金利の誘導目標の引き上げを開始すれば、長期国債の売り圧力は簡単に抑えられず、日銀は国債購入の増額に追い込まれると考える人も少なくない。日銀は10年国債や20年国債の指値オペで対応せざるを得なくなるが、1990年8月以降続いた長期金利低下が完全に終わり、もはや国債価格は下落しかないという予想が広がれば、コントロールは相当に難しくなる。

そうした事態を回避するための方策は果たしてあるのか。

実は、そのための方策がマイナス金利政策だ。短期政策金利について10bpのマイナス金利の深掘りを併用することで、長期金利の誘導目標の引き上げと国債購入額の減額をスムーズに行うことが可能となる。関係者の発言から類推すると、もともとマイナス金利政策は、将来、量的・質的緩和のテーパリング(段階的縮小)を開始する際に、長期金利の急騰を避けるためのツールとして日銀内で検討されていた。

もっとも、マイナス金利の金融機関の業績への悪影響が大きいことを考えると、長期金利の誘導目標の引き上げの際に常に行われるというわけではないだろう。できれば、抜かずの宝刀となることを、金融機関は望んでいる。発動は、長期金利急騰が懸念される場合に限られるだろう。また、長期金利急騰だけでなく、円安加速が同時に問題となる場合には、理屈上はマイナス金利の深掘りが円安を助長するため、日銀がこのオプションを採用する可能性は小さい。

前述した通り、誘導目標が引き上げられる以前の段階から、円安が進み、インフレ率が高まっていくに連れて、長期金利の誘導レンジの上限と考えられている0.1%を多少超えることを日銀が容認する可能性はあるが、誘導目標の引き上げをマーケットがいったん意識し始めれば、その途端に長期金利のコントロールは難しくなる。このため、大幅な上ぶれは容認されず、また誘導目標の変更時期が近づいても、黒田総裁は、検討することすら時期尚早と繰り返すはずだ。コミュニケーション戦略において、イールドカーブ・コントロールはもともと難しさを内包しているのである。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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http://jp.reuters.com/article/column-ryutaro-kono-idJPKBN1510F3?sp=true


 


 

超長期国債、運用には厳しい1年に−日銀支援少なく実質増発も(1)
三浦和美、山中英典
2017年1月18日 11:04 JST 更新日時 2017年1月18日 13:46 JST

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日銀、超長期の利回りどんどん下げる考えない可能性−JPモルガン
相場がいったん動き出すと超長期ゾーンは売り方向とみる−野村証

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ihACYkvKeKao/v2/-1x-1.png


今年は超長期国債の運用環境が厳しい年になる。日本銀行による国債の積極的な買い支えは長期債までにとどまり、財務省の発行計画では超長期ゾーンだけが増発されるため、投資家需要が盛り上がらないと市場関係者はみている。
  超長期債で今年最初の入札となった11日の30年利付国債入札は、最低落札価格がブルームバーグがまとめた市場予想を下回る低調な結果となった。17日の20年債入札では最低落札価格が予想を上回ったものの、相場への影響は限定的された。むしろ、来週に行われる40年債入札への警戒感から40年債利回りに上昇圧力がかかる場面があった。
  JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「10年以下のゾーンは日銀の買い入れによるサポートが厚い」とした一方で、超長期セクターに関しては、「利回りが意外に上がっているが、意外と放置されている感があり、どんどん下げていきたいという考えはないと思う」と分析。「昨年の夏以降に日銀がマイナス金利を深掘りしなかったという面から考えても追加緩和を想定しづらく、今年は金利が大幅に下がりづらい1年になる」と読む。
超長期オペ増額は一時的
黒田東彦日本銀行総裁
黒田東彦日本銀行総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  日銀が昨年9月に導入した「長短金利操作」は、短期金利と長期金利に目標を設置し、イールドカーブ(利回り曲線)をコントロールすることを目的にしている。20年債利回りが昨年12月13日に約10カ月ぶりの水準となる0.65%まで上昇した際、日銀は翌日に残存期間10年超の国債買い入れ増額などで金利上昇を抑制。しかし、その後利回りが低下すると2週間程度で買い入れ額を元に戻した。
  野村証券の中島武信クオンツ・アナリストは、日銀の金融調節について、「超長期ゾーンが一番サポートされにくく、イールドカーブを立たせていくのではないか」と指摘。「20年債入札は相場が大きく動いていなかったので無難に終えることができたものの、いったん相場が動き出すと、超長期ゾーンは売り方向とみている」と話した。

  24日の40年債入札について、野村証の中島氏は、「供給が増えるゾーンにもかかわらず、水準的に安いとは言いにくく、入札が強く終わるイメージはない」と指摘し、警戒感があるとの見方を示した。
  財務省が昨年末にまとめた2017年度の国債発行計画によると、入札を通じた市中発行額は141.2兆円と16年度当初計画より5.8兆円少ない。2年債は1.2兆円、5年債は2.4兆円の減額。10年債は19年ぶりに1.2兆円減らす。超長期ゾーンは20年債は1.2兆円減らすものの、30年債は据え置き、40年債は0.6兆円増やす。既発債を追加発行する流動性供給入札が1.2兆円増となることを含めると、超長期ゾーンは実質的な増額となる。
過剰な金融緩和からの出口
  日銀の黒田東彦総裁は18年4月に任期満了を迎える。ブルームバーグが昨年12月にエコノミスト39人を対象に実施した調査では、総裁の任期中に追加緩和はないとの見方が64%を占めた。
  JPモルガンの山脇氏は、「過剰な金融緩和からの本格的な出口が18年前半に見えてくるので、今年後半からはさらに金利が下がりにくい環境になってくる」と指摘。「黒田総裁の任期終了は避けようがない材料で、年末になって後任人事に不透明感が強まる状況になれば、より日本国債から離れる動きが出てくる。全般的に買いが手控えられて、ゆっくりじわっと金利が上がってしまうような展開になる」とみている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-18/OJWYB66TTDS101


 


 
Special | 2017年 01月 18日 12:53 JST 関連トピックス: トップニュース
視点:女性労働力と移民が日本経済の活力源に

マーカス・ノーランド米ピーターソン国際経済研究所 エグゼクティブバイスプレジデント
[東京 18日] - 日本経済が活力を取り戻すためには、女性労働力の有効活用と移民受け入れ拡充が欠かせないと、米ピーターソン国際経済研究所エグゼクティブバイスプレジデントのマーカス・ノーランド氏は指摘する。

中でも女性労働力については、企業経営層におけるジェンダーダイバーシティ(性的多様性)の度合いで日本は主要91カ国中最下位であり、対策の強化が急務と説く。

同氏の見解は以下の通り

<女性労働力の有効活用>

日本は、女性労働力をもっと有効に活用すべきだ。女性の就業者数が増えているにもかかわらず、日本は、その豊富な才能を生かし切れていない。

例えば、ピーターソン国際経済研究所は最近、91カ国2万1980社の企業を対象に、ジェンダーダイバーシティと企業経営の関係に関する調査を行ったが、(取締役や経営幹部層に占める女性の割合などでランク付けすると)、日本は最下位だった。

女性の才能の不完全活用は、大きな代償を伴う。われわれの調査では、女性幹部が多いほど企業の収益性は高いことが分かっている。

では、日本はどうすべきなのか。まず、STEM(科学・技術・工学・数学)教育や大学での経営幹部養成教育から若い女性が遠ざけられないようにしなければならない。

反差別法を厳しくし、適用も強化すべきだ。産前産後や育児期間におけるサポートをさらに改善し(安倍政権下で行われてきたように)、男性の育児休暇についてもより寛容な制度を整えるべきだ。加えて、企業がより積極的な昇進昇格のポリシーを採用するように促す必要がある。

<移民受け入れプログラムの拡充>

また、日本は移民を増やすべきだ。それは、人口動態上の課題に対処する上で助けとなる。

移民は、経済成長を促す起業家精神、海外市場との新たな関係、そして新たなスキルの源泉となり得る。これを実現するためには、移民を増やして、社会に受け入れるためのプログラムを拡充する必要がある。十分な支援を与えれば、移民は日本の活力源となり得るのだ。

*マーカス・ノーランド氏は、米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のエグゼクティブバイスプレジデント兼研究ディレクター。2009―12年は同研究所の副所長。米大統領経済諮問委員会(CEA)のシニアエコノミスト、世界銀行のコンサルタントなどを歴任。ジョンズ・ホプキンズ大学で博士号取得。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2017年の視点」に掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

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http://jp.reuters.com/article/view-noland-idJPKBN14U0HO


 


華僑が「失敗経験」から得る3つのメリット

華僑直伝ずるゆる処世術

2017年1月18日(水)
大城 太

 40年間、無遅刻無欠勤で大過なく勤め上げるという会社人生が賞賛を得たのは、古き良き高度成長時代の日本。現代はそれとは打って変わって、目に見える形の業績貢献など数値化できるものだけが評価の中心になるなど大きく変貌を遂げようとしています。

 ですが、社員の働きをそのように評価することが本当にビジネス上において優位に立てる戦略なのでしょうか? 目に見えない貢献も相変わらずたくさんあります。仕事は数値で評価できるものだけではありません。

 目先の業績アップにだけ目を奪われるあまり、失敗を極端に恐れる人が多くなってきたのも最近の特徴かもしれません。失敗をすることによって査定が悪くなる、失敗をすることによって信用を落とす、と多くの方は考えがちです。短期的なモノの見方をすればそれは正しいと言えますが、長期的に考えると必ずしも、正しいとは言えません。

 短期的な視野に頭や行動が奪われると、上司・先輩になった時に困ることだらけになるのは目に見えています。部下の指導で頭を悩ませている読者の方も多くいらっしゃると思いますが、「失敗経験」こそが語る価値があり、部下の気持ちに寄り添える武器となることに気づかれている人は多くありません。

長期的に勝つのは、失敗経験をうまく扱う人


 うまくいった経験を部下指導や企業戦略に取り入れるのは、ある意味偏ったモノの見方だと理解する必要があります。うまくいったときは、孫子の「天の時、地の利、人の和」ではありませんが、様々な要因がうまく重なり、運が味方したときだということを忘れると痛い目にあう可能性がでてきます。

 うまくいく方法のみを伝承していくのはある意味ジャンケンの勝ち方を伝承するのに近いかもしれません。グーを出せば勝てる、パーを出せば勝てる、チョキを出せば勝てる。ですがそれは、相手が負けるものを出したとき、という前提があったり、運を味方につけることを前提にしていたりするものです。

 現代も含め、古今東西老若男女を問わず、うまくやっている人たちには、失敗の活かし方、語り方を知っているという特徴があります。たくさんの失敗経験をもっている人ほど、勝ちやすくなっていくのをご存知でしょうか?

 ビジネスの社会では、生き残ったものが最終的に勝ちを収めます。当然ですね。資本主義社会において、マーケットの大きさが同じならライバル(参入者)が多ければ多いほどパイの奪い合いは熾烈を極めます。一方ライバルが少なければ、それだけ労少なくして、多くのパイを手にできます。現在のように時代の流れが速いときほど、今の勝ちパターンはすぐに古くなってしまいます。古くなるのが目に見えている勝ちパターンを新たに覚えるよりも、失敗のパターンをたくさん知り、それと同じ轍を踏まないように工夫する方が、勝ちが少なくても生き残る可能性は高くなります。

 各所で「成功体験」を捨てなさい、とよく言われているのは読者の皆様もご存知の通り。会社対会社といっても、分解していくと結局は個人対個人になります。法人営業、個人営業と分けて研修などが行われていますが、法人営業といっても担当者対担当者ということを考えれば、分けて考える意味はそれほどないこともお分かりいただけるでしょう。結局はその人の対人能力がモノをいうのです。個人の英知の結晶が会社の判断となっていくのを考えると、個人の失敗の蓄積が会社にも役立つというのはここまでお読みの方はなんとなくお分かりいただけたかと思います。

 今回は失敗こそ財産、そのようなことをご紹介させていただきます。

失敗がもたらす3つのメリット


 失敗をすることによって得られるメリットは次の3つになります。

@失敗への免疫をアピールできる
A警戒されない
B話す内容に気を使わなくてよくなる
 1つずつ説明します。1つ目の「失敗への免疫をアピールできる」ですが、ご自身が誰かに何かをお願いする時のことを考えるとわかりやすいでしょう。

 ここに二人の部下がいます。一人は育った環境も温室育ちで何も失敗経験がない人、もう一人は育った環境は一般的ですが、たくさんの失敗を重ねてきた人。この二人のどちらかに少し難しめの仕事を頼む場合、どちらに頼むでしょうか? 失敗経験がない人を選ばれる方もいらっしゃるでしょう。それも一概に間違いではありません。

 その理由はいたって明快で失敗経験が全くない人というのは失敗をイメージすることができません。ですので、本人の中で失敗をしないような動きをしっかりとしてくれる可能性があります。ただ、この失敗経験のない人の弱点は、失敗をする可能性は最初から選択肢として除外して思考行動する、というところにあります。ただでさえ経験が浅い中で更に失敗の可能性を除外するということは、本当に限られた選択肢の中でしか思考行動しない、ということになります。ですので、このような人に何かの頼みごとをするのは単純作業に限った方が無難だということになります。

 一方、失敗経験がある人、その経験が豊富であればあるほど、いわゆる失敗慣れしており、失敗のたくさんの症例も知っていることから様々なリスク分析をした上での大胆な思考行動を期待できます。また、失敗経験がある人は、やり直しや練り直しに慣れていますので、自然とスピード感溢れるレスポンスが期待できます。

 自分が頼まれる側に回った場合を考えても、失敗経験があれば、それを活かした提案ができます。提案に対して多かれ少なかれ、反対意見や反論はつきものです。そういったときでも失敗した後の時間的、金銭的、リソースのリカバリー方法まで含めた提案ができるようになってきます。「過去にこのような失敗事例がありましたが、その対策として」と付け加えるだけで、この人はそのような不測の事態が起こっても、慌てず、落ち着いて遂行できる人と印象づけられます。

なぜ「短所は愛される」のか?


 2つ目の「警戒されない」ですが、何事も警戒されると、計算通りに物事が進まなくなってしまうのが世の常です。これも自分に置き換えると非常にわかりやすいのではないでしょうか? 安心できる人物の発する言葉と、警戒している人物が発する言葉、どのような捉え方をするでしょうか? 答えは明白ですね。安心できる人物の発言であれば、発した言葉そのまま受け取ることでしょう。ですが、警戒する人物の発言であれば、裏に何かあるのではないだろうか、いわゆる邪推するのが一般的な反応です。警戒されるということは、発言のみならず、行動、場合によっては善意まで邪推される危険性を秘めています。

 失敗経験と警戒される・されないが、どのように関係するか不思議に思われた方もいらっしゃるでしょう。これは、「短所は愛される」という人の心理からきているものです。物語や映画のヒーローを持ち出すまでもなく(ストーリーの創作には必ずそれを演出に含めるような設定をしています)、人間には弱点を応援したいという心があるのです。この心の裏には、優越感を持ちたい、という人の願望が含まれているのですが、優越感を一面的一時的にでも抱くと、警戒心は消えてしまいます。心の自然な感じ方を考えればお分かり頂けると思いますが、優越感を覚える相手に対して、それと同時に警戒心を持つことは至難の技です。

 失敗経験を多く経験している人は、短所を持っているというイメージを持たせます。これが相手の警戒心を解き、懐に飛び込むチャンスを呼び込むのですね。

失敗した人=克服方法も知っている人


 3つ目の「話す内容に気を使わなくなる」、これは意外と盲点になりがちですが、とても重要です。メールなどの普及により、ちょっとしたお願い事であればIT機器を使うことも多くなってきましたが、お客さんとの打ち合わせや、社内での重要な会議、大切な話などはやはり、人と人が直接会うことは無くなりません。ビジネス上、人と会わなくても完結できてしまう職種の人もいると思いますが、プライベートの充実にはやはり対人コミュニケーションは避けては通れません。

 そのときの会話でどんな会話が好まれないでしょうか? もっと端的に言えば、どんな人が好かれないでしょうか? そうです、自分の自慢話ばかりする人です。自慢話をときには織り交ぜることで、こちらの実績を知ってもらうことも必要ですが、その話が中心になってしまうとうんざりしてしまいます。

 ですが、それが失敗経験の話だったらどうでしょうか? 「いやあ、先日こんな失敗をしましてね」という友人知人の話は面白く聞けるのではないでしょうか? 「私も昔こんな失敗をしてね」という上司の話なら、勇気付けられるのではないでしょうか?

 そうです、失敗経験を話す限り、相手を不愉快にさせることはないのです。それどころか、話ネタに困ったときは、失敗話を話題にすればいいことになります。「お客さんに失敗話をするのはどうしたものか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、その失敗経験を乗り越えたり、克服したりしていれば、失敗を話さないよりもより信頼を得られます。「この人は困ったときも安心だ、先回りしてなんでもわかってくれている人だ」と。

 失敗経験を上記の3つのように使うだなんてずるい、と感じた方もいらっしゃるかもしれません。ですが、中国人社会では、「賢い=ずるい」「ずるい=賢い」と表現されることが多くあります。言葉が不自由な状況でもビジネスを成功させていく華僑流処世術がここにあります。ずるさを知りつつ、それを使わない。あるいは少しだけ周りの幸せの為に使ってみる。なので、「ずるゆる」なのですね。

なんとなく頭打ち…、中間管理職の憂い


 それでは“ずるゆるマスター”の事例をみてみましょう。

 中堅流通会社に勤める企画部課長補佐Cさんは、最近自分の伸び悩みを感じていました。なんとも言えない閉塞感を覚えており、「このままでいいのだろうか」と考え込んでしまうことも多くなってきました。

 課長補佐という中間管理職ですので、部長や課長からの業務命令もありますし、係長以下部下の人たちへの指導もこなさなければなりません。部長や課長は業務上の権限もあり楽しそうに仕事をしているように見え、一方で部下は呑気で楽そうに見えてしまいます。

 「僕はこのままで終わってしまうんじゃないだろうか。部長にはなれないにしても課長、次長と階段を登っていけるのだろうか。ひょっとして、部下の彼ら彼女らに抜かれていくんじゃないだろうか」

 考えれば考えるほど、気分はドンドン滅入っていきます。考え込んでも仕方ないのでインターネットで「部下育成」や「出世方法」などで検索して出てきたセミナーに参加してみたり、どこかの誰かが書いたウェブサイトやブログを熱心に読んだり、試したりしているものの気持ちは晴れません。書店や図書館にも足を運ばなければ、と思いつつも日々の業務の疲れでどうも気が進みません。

 今の状況を課長に相談すれば、「課長の器ならず」の烙印を押されそうで怖いという思いもあり、かといって同期に相談すれば、弱点を晒すようでそれはそれで危険だと感じます。部下に冗談ぽく話してみようかな、と考えたこともありましたが、それも部下からの信認がなくなりそうで怖くなりやめました。

 「そうだ、W部長に相談してみよう」。W部長は、最年少役員の呼び声高い実力者でありながら、「仏のW」と囁かれるほど、優しく面倒見がいいことでも社内で有名です。一時は閑職の立場になったこともありますが、見事復活を果たし、今ではみんなの憧れの的です。

チャンスがあるのにチャレンジできない理由とは?

 その夜、CさんはWさんとある居酒屋で向かい合わせに座っていました。

 「部長、というわけでとても悩んでおります」

 「そうなんだ、正直に話してくれてありがとう。ところでC君、社歴も15年くらいになるよね。何か最近学んでいることとかはあるかい?」

 「いえ、特にこれといって何かにチャレンジしているということはありません」

 「企画部は中小企業診断士の資格取得を奨励しているのをもちろん知っているよね? それに名乗りをあげれば受験予備校に行っている時間も残業代が出るからね。合格すれば、報奨金も出るし等級もひとつ昇格する、ということはC君の等級だったら課長になれるんじゃないのかい」

 「はい、それは知っていますが、もし何年もかかって合格しなければ、一生このままの等級に固定されるのが怖いですし、上司にも部下たちにもあの人は要領が悪い、勉強ができない、残業代ドロボーと思われそうで非常にリスクだと考えております」

 「チャレンジして、合格しなかった人をC君はそのように評価するのかい? また、チャレンジして合格した人にはどのような感情をもつのかな?」

 「はい、チャレンジして合格しなかった人を見れば、正直安心した気持ちになるかもしれません、自分が恥をかかずにすんだ、と。でもその人をバカにするようなことはありません、もしかしたらそれまで以上にその人を大切にしたくなるかもしれません。また、合格した人に対しては自分もそうなりたいと思うものの、自分とは違うコースの人だと考えると思います」

 「なるほど、合格した人は違うコースの人か。知っていると思うけど、僕は中国支社にいたことがあるんだ。今の中国支社だと出世コースだけど、20年前の中国支社といったら、何もやることがない。まあ、言ってしまえば僕は、自分から辞めると言うのを待たれる立場だった。でも僕はその時に腐らず、中国古典を一生懸命勉強したんだよ。C君も『四書五経』というのは聞いたことがあると思うけど、そのひとつの『中庸』に今のC君にぴったりの言葉がある」

 「はい、ぜひとも教えてください」

失敗を避けることは「三徳」を放棄すること

 「『学を好むは知に近く、力行は仁に近く、恥じを知るは勇に近し』。これの意味はね、〈知〉を身につけるには学ぶ意欲を持たなければならない、知っていればたくさんのことに対応できるという意味だね。〈仁〉になるには耳学問として知っているだけではなくて常に実践していること。〈勇〉つまり勇気を身につけるのは恥をかくこと。ということになる。今のC君は失敗を恐れて〈知〉も〈仁〉も〈勇〉も放棄した状態になっている。それで元気が出るわけはないよね」

 「はい、おっしゃる通りです」

 「資格試験を受けろ、と言っているわけではないんだよ。失敗を恐れていると仕事そのものや周りの仲間との関係がおかしくなっていくっていうことをわかって欲しいんだ。失敗は君の財産になる、これは僕が断言してもいい」

 「部長、ありがとうございました。失敗をしてもいいんだ、と聞いたらなんだか明日からの仕事が楽しみになってきました」


 失敗なんて怖くない。失敗しても可及的速やかに対処すればいい方向に向かっていく。“ずるゆるマスター” Wさんは、『中庸』の言葉をうまく使ってCさんのモヤモヤ感を15分で取り去ってしまいました。

 完璧ではないのに、晴れ晴れとした顔をいつもしている皆から人気のあの人は、失敗を怖がらず失敗経験をしっかりと活かし、〈知〉〈仁〉〈勇〉を持った“ずるゆるマスター”かもしれません。


このコラムについて

華僑直伝ずるゆる処世術
 世界各地に移住し、そしてその土地土地で商売を成功に導いている華僑。華僑は日本人ではなかなかマネができない“生き方のコツ”を持っている。“生き方のコツ”と一口に言ってもビジネス、家庭生活、対人関係、子育てなど多岐に渡る。本コラムでは、華僑の師から学び実践して結果を出してきた筆者が、生真面目な日本のビジネスパーソンにぜひ取り入れてほしい成功術を紹介する。華僑のずる賢くもゆるく合理的な処世術(世渡り術)はきっと仕事にも人生にも役立つはずだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/022500005/011600024/
 

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