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年齢を重ねてもイキイキしている人の秘訣は何か(※写真はイメージ)
「高齢者は75歳以上」の時代に現役並みの収入が得られる? 60歳から“効く”学びのすゝめ〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170112-00000042-sasahi-life
週刊朝日 2017年1月20日号
年齢を重ねてもイキイキしている人の秘訣は何か。新しいことを学び続けることで、健康を保ち、気持ちも前向きになり、人間関係もいい方向に回転し始めるという。ただし、定年を迎えてからの学びにはコツがある。「高齢者は75歳以上」などと提言される時代に、人生あきらめるのはまだ早い。一歩を踏み出せば、後半の人生が花開く。
「勉強を始めてから、道が開かれてきました」
待ち合わせの場所に現れた田代真一郎さん(66)は、60代後半とは思えないほど外見は若々しく、話しぶりもはつらつとしている。50代で定年が視野に入ったとき、一念発起して英語の勉強を開始。若いころから語学が堪能だったわけでもなく、留学や海外勤務の経験もなかったが、6年前に大手自動車メーカーを定年退職し、今は同時通訳として活躍している。
「おかげさまで途切れることなく依頼があり、お断りしているくらいです」(田代さん)
今でも「勉強」は継続中だ。通訳の仕事は専門用語や業界独特の表現を覚えることが肝だからだ。
「先日、陶磁器関係の通訳をした際は、『釉薬』や『のぼり窯』など聞き慣れない言葉の単語帳を作って、使う場面をシミュレーションして臨みました」(同)
通訳の仕事が軌道にのると田代さんは、若い営業マンも顔負けの行動力を発揮。出版社に飛び込みで企画を持ち込み、自身の経験を『「英語が話せない、海外居住経験なしのエンジニア」だった私が、定年後に同時通訳者になれた理由』(ディスカヴァー携書)という本にまとめた。現在、2冊目、3冊目の出版計画も進行中だ。
田代さんのように60歳を超えても充実した人生を送る人がいる一方で、時間を持て余し、急に老け込んでしまう人も多い。人生の後半が花咲くかどうかは、「学び」に鍵があるようなのだ。
「老化と闘っていくために必要なのは、勉強です」
と話すのは、精神科医の和田秀樹さんだ。
「若々しさというと、体を動かし、鍛えることに目が向きがちですが、脳を若々しく保つほうが大切。脳を動かしている人のほうが、おっくうがらずにアクティブにもなれる。前頭葉が縮んでくると、意欲も低下してしまうからです」
和田さんは、著書でオランダの大学が実施したある調査に着目している。
表は、55歳から85歳までを対象に行った4年後の死亡率の研究の結果だ。がんや心臓病の有無、情報処理速度や流動性知能のテストの結果と死亡率の関係を調査。平たくいえば、長生きには何が影響するのかを調べたものだ。
知能を測る二つのテストで上半分のスコアだったグループのほうが、下半分のグループと比べて死亡率が低かった。その上、がんや心臓病の有無よりも差がはっきりしていた。
さらにこの研究では、学歴と死亡率の関係も調査。その結果、大卒より高卒だった人のほうが死亡率が低かったことが示されている。
「私の仮説ですが、死亡率には、若いころに勉強ができた(した)かではなく、年をとってから頭を使っているかが重要なのでは。定年後に何もせず毎日同じようなことをして過ごしているほうが、早く亡くなる傾向があると読み取れそうです」(和田さん)
頭を使う生活の大切さは、日本一の長寿県である長野県の「ある特徴」にもみてとれるという。長野の長寿の背景は、地域医療の充実や食生活、山歩きなどで体を動かすといったさまざまな要因がこれまであげられてきたが、和田さんは、働く高齢者が多いことにも注目する。
総務省の統計(2012年)によると、都道府県ごとの65歳以上の高齢者人口に占める就業者の割合は、長野県は男性が38.5%、女性が19.7%といずれも1位だった。
「働き続けることは、頭を使い続けているということ。運動も効果はありますが、頭を使うことのほうが健康寿命に関係すると考えています」(同)
学びのメリットは、健康や長生きばかりではない。
年金制度改革法が成立し、年金の支給額の先細りが懸念されている。60歳を過ぎても収入を得る手段があれば、安心できるというもの。ただ、単純作業は機械やAIにとって代わられ、体力勝負の仕事は年齢を重ねるにつれて不利になる。
前出の田代さんは言う。
「老後に備え、最初はある程度の自己投資をしてでも勉強して、知識を身につけて稼ぐのはひとつの選択肢だと思います」
60歳で同時通訳の職を手に入れた田代さんは、今では会社員時代のピーク時並みの収入があるという。
帰国子女でもなければ、海外勤務や留学の経験もない田代さんは、55歳で通訳学校に通いだした。週末ごとの「新幹線通学」を定年まで続けた。
「最初は通訳になるとまでは考えていませんでした。でも、勉強を始めたら会社員人生の後に、英語で飯を食うことが目標に。お金も時間も投資しましたが、今は月20日以上は仕事をしています」(田代さん)
「英語」という新しい知識を身につけると、人間関係も変化。会社員時代に技術畑を歩んできた田代さんの経験を、外国人のビジネスパーソンたちに話してほしいという講演依頼も相次いでいるのだ。
「『カイゼン』が注目されるように、日本の技術力に対する海外からの関心は高い。日本の企業での経験を聞きたいというニーズは多いと思います」(同)
16年には、訪日客数は2千万人を超え、増加傾向が続く。20年に行われる東京オリンピックでは、9万人近くのボランティアが必要といわれている。
「東京五輪に向けて、日本のことを外国語で解説し、案内できる人が必要とされています。中高年が活躍する良いチャンスではないでしょうか」(同)
訪日外国人のもてなしは家族や友人からの尊敬も集められそうだ。そう、勉強がもたらすのは「お金」だけではない。仕事を離れ「肩書」がなくなると、会社員時代のお付き合いが途絶えてしまう人は珍しくない。そんな人にとって、人気者になれる起死回生のツールこそ、勉強なのだ。
身につける知識は語学でなくてもいい。前出の和田さんは言う。
「私の場合は、ワインの勉強です。それから料理もオススメ。ホームパーティーなどを開けば、人脈づくりにもつながります」
料理の腕前をプロ級に磨かなくても、本などで知識を豊富に蓄えれば、周りに自然といろんな人たちが集まってくるという。
「白トリュフは『ダシとして使ったほうがおいしい』なんてことを料理と一緒に披露できれば、みんなも『へぇ』となりますよ」
とはいえ、中高年の勉強には、記憶力の低下という壁が立ちはだかる。前出の田代さんも率直に打ち明ける。
「若いときは記憶力もいいですが、この年齢になると、単語がすぐ覚えられないなど、暗記では確かに苦労も多いです」
だが、語学に関しては、そうした欠点を克服するだけの「中高年の武器がある」と田代さんは続ける。
「語学は、外国人とのコミュニケーション。英語力も必要ですが、物事への理解力や一般常識、話す中身や、話題の予備知識が重要なんです。年とともに積み重ねてきた経験や知識が力を発揮してくれます」
いくら単語の数を覚えたとしても、そうした知識がないと先の応用が利かない。逆に、記憶力が低下しても、日本語で体系的な知識があれば、意外にも単語はすっと入ってくるというわけだ。
「日本語で知っていることは、英語で聞かれても理解がスムーズですし、話しやすいんです。知識を元にした応用力が、衰えた記憶力を補ってくれる。これは若い人にはない強みだと思います」(田代さん)
田代さんがオススメするのは、まず自分が得意だったり、興味がある分野に関する知識や情報を日本語で調べて体系的に整理して復習。それから専門的な英単語を覚えることだ。次に、その単語を使う場面をイメージして、英語を声に出してトレーニングするのが良いという。
「意味のない会話を流ちょうに話すより、よっぽど深い会話を外国人とできます。まして、何十年も仕事をしてきた専門分野なら業界の知識や動向にも詳しく、自信もあるはずです」(同)
中高年の経験値があればこそ、コミュニケーションの手段として語学は武器になりうるのだ。
定期テストや大学受験という明確なゴールがない中高年にとって、勉強を続けるモチベーションを維持するのは至難の業。どのような学び方だと、無理なく続けられるのだろうか。
精神科医の和田さんは、60歳を過ぎてからの勉強では、「暗記(=インプット)」よりもアウトプットを重視することを提言する。
「テレビのクイズ番組で正解を連発するタレントさんを指して『頭がいい』などと評価する人がいます。ですが、情報や知識量にばかり目がいくと、勉強そのものが目的になってしまいます。大切なのは、学んだことを外に出していくことです。暗記とはひと味違う知識を身につけたいですね」
年齢を重ねると、数字を丸暗記するような「単純記憶」よりも、意味ある事柄の記憶のほうが得意になる。アウトプットは、新しい知識について自ら説明することなので、意味のある記憶として身につきやすい。
和田さんは、このアウトプット重視型の勉強に、特に向いているのが団塊の世代だ、という見方を示す。若者にはない「反骨精神」こそ大きな武器だという。
「団塊の世代は、若いころ、学校や教師に反発した人も多いはず。その気持ちをぜひ思い出してほしい。権威や常識に疑いを持つ姿勢があれば、教わったことをうのみにせず、自分なりの意見を持つことができると思います」(和田さん)
それをフェイスブックやブログなどを使って発信してみるのもいい。
「多くの人におもしろいなと思ってもらえますよ。定年後の60代に、多様な考え方を提示し、自分なりの考えを言って目立てば、人生の新しいステージにいけるかもしれません」(同)
一方、年を取るにつれて自分のそれまでの経験から「これはこういうものだ」と、はじめから決めつけてかかると、頭を使わなくなってしまい、学ぶ楽しさが感じられなくなる。和田さんは次のように言う。
「生き生きと毎日を過ごすためにも、意識的に自分の意見とは違う考えに触れてみてください」
例えば、自分は「左寄り」だと思う人は、あえて「産経新聞」や「正論」、「Voice」など保守系の新聞や論壇誌を読んでみる。反対に、「右寄り」な人こそ、「朝日新聞」や「世界」を手に取ってみる。主張に染まる必要はなく、自分とは違うものの見方が世の中にあることを知り、頭を柔らかく保つための訓練のようなものだ。
「自分とは違う意見や考えを冷静に見られるようになれれば、まだまだ成長できます」(和田さん)
このような勉強法を続けていくことで、情報への接し方は変わってくる。受動的にならず、自分の頭で考えるくせがつく。
「ワイドショーのコメンテーターの発言を聞いて『レベルが低い』なんて言えるようになれたらしめたものです。ぜひ挑戦してみてください」(同)
年明けは、新しいチャレンジに最適な時期。学びの一歩を踏み出し、もう一度、人生の花を咲かせよう。
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