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ゴールドマン出身者の相次ぐ政権入り、その意味とは
トランプ氏の米大統領選勝利を受け、ゴールドマン・サックスは恐らく同行が望む以上に世間の注目を集めている
By ADAM CREIGHTON
2017 年 1 月 16 日 17:29 JST
――筆者のアダム・クレイトンはWSJオーストラリア経済担当コレスポンデント
***
米大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利を受け、ゴールドマン・サックス・グループは世間から恐らく同行が望む以上の注目を集めてきた。トランプ氏が現職も含め多数のゴールドマン出身者を政権の要職に指名したことで、同行は「ガバメント・サックス」とやゆされるほど政権と密接につながっていた金融危機当時の姿をよみがえらせている。
同行出身のスティーブ・バノン氏とスティーブン・ムニューチン氏はトランプ氏の首席戦略官と財務長官にそれぞれ指名された。同行ナンバー2のゲーリー・コーン最高執行責任者(COO)は退社して国家経済会議(NEC)委員長に就く。米証券取引所委員会(SEC)委員長に指名されたジェイ・クレイトン氏は、同行を顧客に持つ弁護士だ。
だが、同じくゴールドマン出身のロバート・ルービン、ヘンリー・ポールソン両氏がたどった足跡がそのままトランプ政権に反映されると仮定するのは、時期尚早であまりに単純だ。両氏は財務長官として、金融規制緩和と金融機関救済にそれぞれ重要な役割を果たした。
まず第一に、トランプ氏に指名されたゴールドマン出身者らは、米金融業界、特にゴールドマンに有利になるように規則を変更しているとは見られたくないという意識が強まる可能性がある。
だがより重要なのは、ゴールドマン出身者の世界観が必ずしも米金融業界のそれと相関しているわけではないことだ。ミネアポリス地区連銀のニール・カシュカリ総裁はゴールドマン出身だが、「大きすぎてつぶせない」銀行に対する規制強化を在任中の最大目標に掲げており、2016年には大手銀行の最低自己資本基準について驚くほどの引き上げを提案した。
30歳でゴールドマンのパートナーになったゲーリー・ゲンスラー氏は90年代末に財務省幹部として、商業銀行業務と投資銀行業務を分離させるグラス・スティーガル法の廃止に貢献したが、金融危機後は米商品先物取引委員会(CFTC)委員長(09年〜14年)として厳しい姿勢でデリバティブ(金融派生商品)市場の規制強化に尽力した。
また、バノン氏が在籍していた80年代のゴールドマンは今とは全く違う姿だった。負債率は今よりもはるかに低く、組織形態として株式会社ではなくパートナーシップ制を取っていた。パートナーシップ制では、パートナーである幹部が組織としての決断に対し個人的責任を負う。実際、バノン氏は14年、「われわれは08年の問題を一度も深く掘り下げて調べたことがない」として、自己資本基準の引き上げやトレーディング業務の縮小など「銀行バランスシートの基本的な立て直し」を求めている。こうした規制強化はゴールドマンにとって受け入れがたいものだ。
ムニューチン氏は99年の株式公開を経験し、02年にゴールドマンを退社した。02年といえば、金融危機の引き金となったサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン債権の「バブル」崩壊の何年も前だ。
ムニューチン氏は10年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)について、一部見直したいとの意向を確かに示してはいるものの、「あまりに複雑で、銀行融資を減らすことになる」とも述べている。だが、自己資本基準など、大手金融機関に関わる規制問題についての同氏の見解は定かではない。
トランプ政権の要職に指名された人たちはすでに莫大な個人資産を築いており、キャリアをスタートさせた頃に抱いていたかもしれない仲間意識はすっかり薄れ、数十年前のゴールドマンの同僚を助けたいと考える理由はそれほどなさそうだ。トランプ政権が大手金融機関をどう扱っていくかを見極める上で、政権を担う人々の経歴は手掛かりになりこそすれ指針にはならない。
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Saleha Mohsin
2017年1月16日 13:05 JST
上院の指名承認公聴会は米東部時間19日午前(日本時間20日午前)
財政委の規定は最終承認が月内に行われる可能性が低いことを示唆
米国で20日に発足するトランプ政権で、財務長官不在が長引くかもしれない。
上院財政委員会はスティーブン・ムニューチン次期財務長官の指名承認公聴会を東部時間19日午前10時(日本時間20日午前0時)から開くが、同委の規定は最終的な承認が月内に行われる可能性が低いことを示唆している。
ゴールドマン・サックスのパートナーだったムニューチン氏は他の閣僚候補より多くの個人的な納税データの提出を求められており、議会承認で厳しい状況に直面。これまでの政権発足時に比べ、財務長官不在の期間が長くなるとの見方が強まっている。
原題:Mnuchin Start Date Iffy as Congress Scours Wall Street Past (3)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-16/OJUSSW6KLVR401
【寄稿】新「プラザ合意」、今こそ必要か
強いドルに経済成長を阻害させるな
ドル高によって輸出が減速し、ポピュリスト的な怒りが一段と高まる可能性も
By SEAN RUSHTON
2017 年 1 月 16 日 15:30 JST
――筆者のショーン・ラシュトン氏は米上院の元上級政策顧問で、ジャック・ケンプ財団と共同で立ち上げた「為替レートとドルプロジェクト(Project on Exchange Rates and the Dollar)」代表
***
米経済が2008年の金融危機の後遺症である低成長からようやく立ち直りつつある中、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策の緩やかな引き締めに着手している。ドナルド・トランプ次期米大統領と議会共和党は、規制緩和と法人減税・所得減税を通じて経済成長を後押しする構えだ。ただ、レーガン政権時代からの教訓は、経済成長を妨げるもう1つの脅威、すなわちドル高にも目配りを忘れてはいけないことだ。
1980年代初頭、FRBの金融引き締め策とレーガン政権の減税によってドルは他の主要通貨に対して劇的に上昇。80-85年の上昇率は50%を超えた。ドル高騰の一方でインフレ率は80年の13%から83年は4%弱に低下。その後物価は上昇せず、歓迎すべきディスインフレが続いた。
ドル安とインフレの70年代から一転、消費者はその恩恵を受けた。経済学者ロバート・マンデル氏(後にノーベル経済学賞を受賞)やアーサー・ラッファー氏が唱えたサプライサイド重視の政策も奏功し、米経済は活況に沸いた。84年の実質GDP(国内総生産)成長率は7.3%に達した。
マンデル氏が鳴らした警鐘
しかしインフレが落ち着くと、マンデル氏や彼と親交があったジャック・ケンプ下院議員(ニューヨーク州)は、急騰するドルという新たな危険に警鐘を鳴らした。ドル高はインフレ抑制には有効なものの、米多国籍企業の収益を悪化させ、自動車や電気製品などの国内メーカーの競争力を低下させた。また原油や農産物、鉄鋼といった商品(コモディティー)価格も落ち込んだ。
その結果、80年代には労使双方の立場から世界貿易に対するポピュリスト的な怒りが沸き上がった。自動車メーカーの労働者は日本の国旗を燃やし、ハンマーで日本車をたたき壊した。米議会では日本製品を破壊するパフォーマンスが行われ、「バイ・アメリカン」が合言葉となった。資源国の景気悪化や中南米諸国などドル建て債務を抱える国々が苦境に陥り経済に深い傷跡を残したことで、世界的な金融システムが不安定になった。
今日の状況は当時とあまりによく似ており、警告を促すのに十分だ。筆者が2011年に本欄に寄稿したように、マンデル氏は、2008年の金融危機の原因はFRBが過度に引き締まった金融状況を作ったことだと主張する。消費者物価指数は08年6月の5.5%から同年12月はゼロに低下、09年3月にはマイナス2%に落ち込んだ。その結果ドルの過大評価が進み、FRBが「量的緩和策」による資産購入を終えるたびにドルは急騰した。
この傾向は持続しており、14年の量的緩和第3弾(QE3)終了以降、ドルは対ユーロで25%上昇した。ドル先高観は08年の金融危機後ずっと米経済をむしばんでいる。金利や物価、国内総生産(GDP)の正常化を阻み、1990年代以降の日本と同じ状況に陥らせるからだ。マンデル氏の考えでは均衡を取り戻すにはドル高予想を覆す必要がある。筆者も同感だ。
さらにドル高ならどうなる?
15年以降のドル高は既に多国籍企業や国内製造業、商品生産者に打撃を与えている。マイクロソフトやIBM、エマソン・エレクトリック、ファイザー、キャタピラーなど米国を代表する企業は昨年、業績が下振れした一因としてドル相場を挙げた。16年1月、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、為替のせいで14年の海外売上高100ドルが15年換算では85ドルになるとこぼし、「この期間に為替がこれほど動くと、わが社にとって有意な違いになる」と語った。
一方、多額のドル債務を抱える国々にも債務不履行(デフォルト)への圧力となる。国際決済銀行(BIS)の試算では、昨年の世界の債務残高は9兆7000億ドルだ。BISは仮に新興国にデフォルトが広がれば、世界金融システムを揺るがしかねないと警告している。中国やサウジアラビアなど自国通貨がドルと連動する国では、ドルペッグを廃止して通貨を切り下げるようにとの圧力が高まる。資本流出を防ぐため資本規制を導入する国も増えている。
米連邦準備制度理事会(FRB)が17年の利上げペース目標を引き上げる一方、他の先進国では金融緩和策が維持され、米次期大統領が17年に大幅減税を約束していることから、ドルは危険な水準まで高騰するリスクがある。昨年11月の大統領選投票日からドルは5%以上上昇している。
既に高水準のドルが一段と上昇すれば、低インフレで資金の動きも鈍く、景気回復の途上にある米経済にどのような影響があるのか? 米国の輸出や製造業、商品市場、ブルーカラー労働者の雇用にいかなる効果を及ぼすのか? 世界中でデフォルトがどのくらい発生し、銀行にはどう影響するのか? 中国が人民元を大幅に切り下げ、貿易戦争が勃発する可能性はあるのか? トランプ新政権が減税などサプライサイド政策を実施しても、強いドルがそのプラス効果を打ち消すのか? あるいは金融市場が先に崩壊し、FRBは金利正常化方針を撤回せざるを得なくなるのか?
世界的なポリシーミックス
1985年にはマンデル氏やケンプ議員らが議論を重ねた末、レーガン政権は当時のジェームズ・ベーカー財務長官を交渉役に「プラザ合意」をまとめた。ドル相場を低水準で安定させるため、主要国が協調行動をとったのだ。「大いなる安定(グレート・モデレーション)」と記憶されるこれ以降の期間は物価や金利が抑えられ、ドルは健全な取引水準に戻り、世界経済は順調に成長した。保護主義への圧力は後退し、貿易が拡大した。
当時よりはるかに大きく、相互に依存する現在の世界経済にも、新たなプラザ合意が必要なのではないか。欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は昨年6月の会議で、通貨政策の協調を進め、安定性を高める必要性を訴えるなかでこう述べた。「グローバル化が進んだ世界では、世界的なポリシーミックスが重要だ」
ドルが跳ね上がる見込みをなくせば、長期的な経済の生産性にとって計り知れない恩恵をもたらす。共通の外部目標を設け、通貨政策のルールを共有するなどの手段を通じて主要通貨の変動を抑えることは、危機に陥りやすい現在のシステムを安定化に導き、正常な金利水準を回復し、貿易摩擦を緩和し、世界経済を成長軌道に戻すための大きな一歩となるだろう。
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山崎前財務官:為替発言しないトランプ氏はリスペクトに値する
下土井京子、Connor Cislo
2017年1月16日 06:00 JST 更新日時 2017年1月16日 14:53 JST
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1ドル=120−125円は深刻な問題生じるレベルではない−日本経済
尖閣に安保適用のティラーソン発言で「日米関係は決まった」
前財務官の山崎達雄・国際医療福祉大学特任教授は、ツィッターを駆使して米国の貿易赤字などに不満を表明しているトランプ次期米大統領が、為替相場について発言を控えていることは「リスペクトに値する」との見解を示した。
山崎氏は12日、ブルームバーグのインタビューで、米大統領選後の円安ドル高について、「米国企業の利益に敏感なトランプ氏が内心では嫌だなと思っているに決まっている」とし、「トランプ氏が為替について何も言わないのはすごいことだ」と語った。
トランプ氏は12日未明(日本時間)にニューヨークで開いた記者会見で「中国との貿易で年間で数千億ドルの損失を被っているのに加え、日本やメキシコとの間にも貿易不均衡が存在している」と、日本を名指しした。しかし、市場が注目していたドル高のけん制までは踏み込まなかった。
昨年11月の米大統領選後、円は対ドルで約8%下落した。同氏は円安が進んでいた2015年には日本の為替操作についてコメントをしたこともあるが、足元の円安には沈黙を守っている。一方で、昨年12月には人民元の価値引き下げに対する懸念をツイッターに投稿していた。
山崎氏はドル円相場について「ドルはベーシックに高い感じが続く」と予想。その上で、「多くの日本企業の社内想定レートは100円の前半だ。それが120円、125円になったところで、日本経済全体でみると深刻な問題が生じるレベルではない」とし、為替相場は安定していることが大事だと強調した。
ドル=円相場はトランプ氏が12日の記者会見で経済財政政策の具体策に言及しなかったことから一時1ドル=113円と約1カ月ぶりの円高となり、足元では114円台で推移している。
中国への批判は「当たり前」
トランプ氏の中国の通商政策に対する批判は「当たり前だ」と言う山崎氏は「一見市場ルールに従っているが、目に見えないところで不公正な貿易を正すんだと言っている。決して保護主義をやると言っているわけではない」とみる。日本も欧州連合(EU)も利害は共通しているとの見解を示した。
一方で、トランプ氏が環太平洋連携協定(TPP)からの脱退を表明していることに対しては、「米国企業に競争力を戻し、米国を輸出基地にするような発想があるのであれば、マルチで高いレベルの通商基準を他の新興国にも守らせることが本当は大事だ」と述べ、多国間での通商ルールが必要との考えを示した。
米国経済の高成長に期待
インフラ投資や減税などを柱としたトランプノミクスへの期待値は高まっている。経済協力開発機構(OECD)は昨年11月発表の半期経済見通しで、トランプ次期政権の経済財政政策によって米国の成長率が17年の2.3%から18年には3.0%に伸びると予想。同年の世界成長率予想は3.6%と11年以来の高成長を見込んでいる。
政策の不確実性はあるものの、山崎氏はトランプ氏の経済政策が米国の成長自体を高めるとの予想は日本をはじめ「世界経済にも当然プラスだ。米国の成長率が高まれば、米国の輸入も増える。世界経済全体が拡大する」と期待感を示した。
トランプ次期政権は輸出入を基準とした法人税の調整も検討しており、日本の輸出企業に一時的に影響を与える可能性もある。山崎氏は日米の「経済関係は同じ船に乗っている。通商問題については意見を言わなければならない部分もあるかと思うが、できるだけ協力してやっていった方が良い」と述べた。
尖閣への日米安保適用
山崎氏が注目するのは上院外交委員会の公聴会でのレックス・ティラーソン氏の発言だ。国務長官に指名されたエクソンモービル前会長兼最高経営責任者(CEO)の同氏は日米安全保障条約を守る考えを示した上で、尖閣諸島が同条約の適用範囲だとする姿勢を示唆した。
山崎氏は日本政府が求めていた安全保障上の重要方針を早々とティラーソン氏が明言したことで「日米関係は決まった」と評価。トランプ次期政権は「少なくとも中国に言うべきことは言う体制。ロシアに対してはプーチン大統領と関係改善の可能性を探ると言っている」ことから、安倍晋三政権と歩調が合うとの見方を示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-15/OJP1JR6K50XS01
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