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米企業買収、トランプ砲から身を守る「切り札条項」 QE緊迫化ECB 株上昇 分岐点のドル高 オバマ規制無効化 BC落し穴
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 13 日 12:20:45: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

米企業買収、トランプ砲から身を守る「切り札条項」

Reynolds Holding

[ニューヨーク 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ次期米大統領によるツイッターでの放言や気まぐれな政策に翻弄され、米企業は今後、買収計画を撤回したくなる場面が増えるかもしれない。そこで切り札となる可能性があるのが「MAC条項」だ。

これは買収計画に「不利益をもたらす重大な変更(material adverse change)」が生じた場合、調印から買収完了までの間に契約から手を引く余地を与えるもの。これまで執行された事例は乏しいが、今後は状況が変わるかもしれない。

買収計画に予想外の事態はつきものだ。米医薬品大手アボット・ラボラトリーズ(ABT.N)は米診断薬・医療機器会社アリーア(ALR.N)を58億ドルで買収することで合意したが、その後、同社の財務諸表の報告が遅れたほか、販売慣行や収賄を巡り当局の調査を受けていることが発覚した。

通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ.N)が米インターネット検索大手ヤフー(YHOO.O)の中核事業を取得する計画は、ヤフーの大規模なユーザー情報流出事件で遂行が危ぶまれている。

現在、買収を取り巻く環境は通常にも増して困難だ。

金融規制、最高裁、貿易、移民、税制、外交政策の行方が不透明で、買収企業の業績に与える影響は測り難い。トランプ氏がツイッターでプーチン・ロシア大統領に親愛の情を示したり、米国外に工場を維持する企業を罵倒するといった言動が、企業の不安に輪を掛けている。

どうやらMAC条項を活躍させる機は熟したようだ。

これまでのところ、特定の規制変更などはMACの定義から除外される場合が多かったが、企業はトランプ政権下の突発事項から身を守るため、声高に異を唱え始めるかもしれない。同条項の執行をより強く働きかける可能性もある。判事側の姿勢も以前より好意的になった。

デラウエア州衡平法裁判所のレオ・ストライン判事は2001年、下級審の判事として、米食品大手タイソン・フーズ(TSN.N)によるIBP社の買収計画について、業績が2四半期連続で悪く、子会社の経営が不振だというだけで撤回することはできないとの判決を下した。この際判事が示した有名な法的見解では、MACが「対象企業の潜在的利益全体を著しく脅かし、その脅威が持続的に大きい未知の出来事」と定義されている。これはあまりにも高い基準であるため、満たされたことがない。

しかし、しばしば忘れられがちなのは、ストライン判事が「何が正しい判決なのか、心が千々に乱れた」と打ち明けてもいることだ。判事がタイソンの訴えを却下したのは、IBPの業績サイクル等を知りながら買収に合意したからというのが主な理由で、言い換えればMACを理由に買収を撤回するのは見た目の印象ほど難しくないのかもしれない。

法廷がMAC条項の幅広い解釈に前向きになっている様子を示す事例もある。2013年にインドのアポロ・タイヤ(APLO.NS)が米クーパー・タイヤ&ラバーの買収を破棄できるはずだと訴えた裁判では、デラウエア州衡平法裁判所の判事がクーパーの中国部門での労働紛争がMACの事由に含まれるとしてアポロの訴えを認めた。

目下のところ、一番の注目案件はアボットによるアリーアの買収計画だ。アボットは先月、買収破棄を裁判所に申し立てた。アリーアの抱える問題は深刻なため、アボットの訴えは説得力を持っている。トランプ次期政権の出方に神経を尖らせている企業幹部にとっては幸先の良いことだ。トランプ氏は、何はともあれMACを再び偉大な存在にした功績で、後世に名を残すことになるかもしれない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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ECB:QE軌道に異論続出、今後の論争緊迫化を示唆−議事要旨
Carolynn Look
2017年1月13日 01:39 JST

ECBは昨年12月7、8両日の会合の議事要旨を公表
一部メンバーはプラート理事提示の2案いずれも支持せず

欧州中央銀行(ECB)の当局者らは昨年12月の会合で、量的緩和(QE)プログラムの軌道をめぐり活発に意見を戦わせたもようだ。ユーロ圏のインフレ率上昇に伴い、今後さらに緊迫した論争が予想される。

  12日に公表された昨年12月7、8両日の政策委員会の議事要旨によると、政策委は総じて「インフレ率が緩やかな上昇トレンドを描くというシナリオは依然かなりの程度、緩和的な金融政策の下支えに依存している」との見解で一致した。一方、この金融緩和を維持する方法については意見が分かれた。チーフエコノミストのプラート理事は債券購入を月額800億ユーロで維持しつつ今年3月としていた期限から6カ月延長する案と、月600億ユーロにペースを落として9カ月延長する案の二つを提示した。

  議事要旨によれば、「何人かは前者の案への支持を表明したが、後者への支持が総意であれば加わる用意があると言明」し、「何人かはいずれの案も支持しなかった」という。
  また、一部の当局者は後者の案よりもさらに長くプログラムを延長することを主張し、「市場でのユーロシステムの持続的なプレゼンスを強化することにより、ユーロ圏の回復をより長く、生じ得る悪影響から守ることができる」と論じた。政策委員会は必要があれば購入プログラムを再び拡大することが可能だとの考えで同意した。

  一方で、購入ペースの月600億ユーロへの修正と短い期間延長を組み合わせる案も提示されたという。最終決定は「自信を示すことと不確実な環境で安定を維持する必要との間で、適切なバランスを取ったものだと見なされた」と議事要旨は説明。「逆境に対応するための柔軟性と、実行していける可能性の確保」の点で明らかに利点があるとの評価だ。クーレ理事も後者の案が望ましいとの考えを示した。

  コアインフレ率は依然として低いものの、総合インフレ率の上昇が賃金上昇につながる可能性も当局者らは認識している。「賃上げ交渉のプロセスはこれまで極めて低調だったが、実質賃金が増えていない、あるいは減っていることに労働者が気付けばこれが変わる可能性がある」と分析し、「労働市場ではこれまで良い意味で驚かされる展開が繰り返し起きている。このため予想以上に力強い動きが続く公算もある」と指摘した。
  ECBは来週、政策決定会合を開く。
原題:ECB Stimulus Disagreements Signal Vigorous Debates Ahead (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJOB416VDKHY01


 
日本株は上昇、好決算の小売や輸出関連が高い−円高一服で安心感
鷺池秀樹
2017年1月13日 08:04 JST 更新日時 2017年1月13日 10:39 JST 
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Fリテイリや7&iHDが小売株の上昇をけん引
トランプトレードの巻き戻しは一巡した印象−大和証・石黒氏

13日午前の東京株式市場は上昇している。為替市場で急激な円高が一服し買い安心感が広がった。好決算が相次いだ小売株が買われ、精密機器やゴム製品など輸出関連、食料品や情報・通信などの内需ディフェンシブも高い。
  日経平均株価は前日比0.6%高の1万9248円まで上昇。12日に発表した四半期決算が評価されたファーストリテイリングとセブン&アイ・ホールディングスが上げをけん引している。TOPIXも一時0.4%高。 
東証外観
東証外観 Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg
  午前の東京外国為替市場でドル・円は1ドル=115円付近と、前日の日本株終値時点の114円41銭からは円安・ドル高となっている。12日は一時113円70銭台と昨年12月8日以来の円高水準を付けていた。
  大和証券投資戦略部の石黒英之シニアストラテジストは、「米国債売り・ドル買いの『トランプトレード』のアンワインドは12日でいったん一巡した印象。売りが止まり、これまでの上昇ピッチの速さから買えなかった投資家の買いが入っている」と話していた。
  相場の上昇をけん引しているのが小売りセクターだ。Fリテイリの2016年9−11月期の営業利益は前年同期比17%増の886億円と、市場予想870億円を上回った。7&iHDも3−11月期で5%増益となり、ゴールドマン・サックス証券では「想定以上の決算。新経営陣の下、順調なスタート」と評価した。

  12日の米S&P500種株価指数は前日比0.2%下げて2270.44だったが、入札制度導入への警戒で11日に急落したバイオテクノロジー関連が午後に上昇転換したこともあり、徐々に下げ幅を縮小する展開だった。米雇用指数の堅調も日本株の上昇を後押し。7日終了週の米週間新規失業保険申請件数は前週比1万件増の24万7000件と、市場予想25万5000件より若干良かった。
  午前10時16分現在、TOPIXは前日比5.10ポイント(0.3%)高の1540.51、日経平均株価は97円44銭(0.5%)高の1万9232円14銭。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJOV8C6K50XY01


 

前場の日経平均は反発、大幅安の反動 買い一巡後は伸び悩む 
[東京 13日 ロイター] - 前場の東京株式市場で、日経平均株価は前営業日比99円19銭高の1万9233円89銭となり、反発した。前日の大幅安の反動に加え、ドル/円が115円台まで円安方向に振れたことが支援材料となった。好決算を発表したセブン&アイ・ホールディングス(3382.T)や、ファーストリテイリング(9983.T)など値がさ株の上昇も寄与。ただ指数は買い一巡後は伸び悩んだ。

TOPIXは前日比0.33%高で午前の取引を終了した。業種別では小売、電気・ガスが上昇率で上位。一方、下落率上位は鉄鋼、非鉄金属となっている。セブン&アイが前日比で8%を超す上昇。ファーストリテイリング(9983.T)、ファナック(6954.T)が1%超高で前引けとなり、3銘柄で日経平均を約44円押し上げた。

一方、メガバンクは高安まちまち。トヨタ(7203.T)は小幅な上昇にとどまり、ホンダ(7267.T)や日立(6501.T)など自動車・電機の一角がマイナス圏で推移した。「今週は円売りポジションを積み上げた投機筋の巻き戻しとみられる動きもあった。来週以降、ドル/円が落ち着きを取り戻せるか警戒感も残っている」(岡三証券シニアストラテジストの小川佳紀氏)との声が聞かれた。

東証1部騰落数は、値上がり996銘柄に対し、値下がりが823銘柄、変わらずが185銘柄だった。

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欧州市場サマリー(12日)
対米投資「結構な額」、麻生財務相がトランプ氏会見に言及
米財政収支、12月は280億ドルの赤字 前年同月から拡大
米マクドナルド、日本法人の株式売却で入札=WSJ
中国の12月新規人民元建て融資は1.04兆元、予想上回る
http://jp.reuters.com/article/nikkei-mid-idJPKBN14X08U


 

焦点:分岐点のドル高/円安相場、トランプ発信で振れ幅拡大も

[東京 12日 ロイター] - トランプ米次期大統領の会見が肩透かしとなったことで、ドル/円JPY=EBSは約2円の急落となった。米経済指標は改善しているが、米金利を押し上げてきた米財政政策の中味が不透明なままで、ドル高を中核にしたトランプ相場は大きな分岐点にさしかかった。

ただ、ドル高とドル安の予想はきっ抗。当面はツイッターを含めたトランプ氏の発言から、政策の中味を探る振れ幅の大きな展開が予想される。

<減税や投資政策への言及なし>

11日のトランプ氏の会見は、市場の期待値を下回る内容だった。減税やインフラ投資などの政策に関する具体的発言がなく、ドル/円は失望売りが先行し116円後半から114円前半へと2円超下落。10年米国債入札が堅調な結果となって10年米国債利回りUS10YT=RRが2.33%付近に急低下したことも、ドル/円の下押し材料となった。

会見でトランプ氏は、貿易不均衡是正を政権の重要課題に掲げ、中国、メキシコとともに日本を名指しした。その直後にドル売り/円買いの勢いが加速した。

みずほ証券・チーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏は、トランプ氏が保護主義を強める姿勢をあらためて示したことを踏まえ「再びドル安/円高圧力が強まるリスクが大きくなった」と指摘する。

ドル/円は東京時間も上値の重さが意識され、欧州市場の取引時間帯に入り、一時113円後半まで水準を切り下げた。

下値めどとして、トランプ相場での半値押しとなる110円付近や、アベノミクス相場での高値125.86円とその後に英国民投票後につけた安値99.00円からの半値戻し112.50円付近が意識されそうだという。

<米経済持ち直しが支えに>

一方、米供給管理協会(ISM)が発表した12月の製造業景気指数は54.7で、2014年12月以来2年ぶりの高水準だった。「ドル高にもかかわらず高い水準となったことから、米国内のムードの良さがうかがえる」(国内金融機関)という。12月雇用統計における時間当たり平均賃金も、2009年6月以来の伸びだ。

「米国景気は絶好調と言えるほどに強含んでおり、利上げ期待が1回まで低下してドル安が110円まで進むような可能性は低い」と、野村証券・チーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は指摘。「ここはドル/円の押し目買いゾーン」と話す。

あおぞら銀行・市場商品部部長の諸我晃氏は「トランプ期待は、ある程度剥落しても、経済に裏打ちされた利上げ期待が支えになる。株価も崩れておらず、ドル買いポジションが一気に巻き戻される様子はない」とみる。

<ドル買い遅れの実需筋>

さらにトランプ相場に乗り遅れた国内輸入企業が多いとみられている。「下がれば押し目買いが入ってくる」(別の国内金融機関)という。

一方、トランプ相場の序盤に逆張りのドル売りで臨んだ個人投資家も、足元ではドル買い/円売りが優勢となっており「基本スタンスは押し目買い」と、外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏は指摘する。

目先のイベントとして意識されるのは、20日の米大統領就任式だ。ここで減税やインフラ投資に関する方針を打ち出すのか──。

さらに今回の会見で触れなかった為替に関する発言が飛び出すのかどうか、市場は再び、固唾(かたず)を飲んで見守ることになりそうだ。

(平田紀之 編集:伊賀大記)

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12月ECB理事会、QE反対派が買い入れ延長に反対=議事要旨
http://jp.reuters.com/article/analysis-forex-idJPKBN14W14C?sp=true


 


米議会、オバマ政権下の規制に無効化手続き開始へ=共和党幹部 http://jp.reuters.com/article/voiding-newregulations-idJPKBN14X05O
[ワシントン 12日 ロイター] - 米共和党のマッカーシー下院院内総務は12日、議会共和党が今月末から環境や労働などの分野でオバマ政権が導入した一連の規制を無効化する方針であることを明らかにした。

同氏によると、議会で過半数を占める共和党は規制改革を医療保険制度改革(オバマケア)の廃止と税制改革に並ぶ最優先課題と位置づけている。

議会は「議会評価法」の下で連邦政府が公布した規制を一定の期間に評価する権限を有しており、共和党はこの仕組みを利用してオバマ政権が5月末以降に導入したエネルギー、環境、輸送、銀行、金融、教育、メディア所有権に関する新規則を無効化する。

マッカーシー氏は、議会が1月30日から2週間かけて新規則の不承認手続きを行うと明らかにした。下院関係者によると、同氏が不承認手続きを主導する。不承認決議案は過半数の賛成で可決できるため、上院の民主党議員がフィリバスター(議事妨害)で抵抗することはできない。

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コラム:ビットコイン投資の落とし穴=村田雅志氏
村田雅志
村田雅志ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジスト
[東京 13日] - 昨年12月以降、仮想通貨ビットコインの値動きが派手なものとなっている。昨年1月から5月まで400ドルちょうど近辺で取引されていたビットコインは12月下旬には800ドルを突破し、今年初めには1000ドル台に到達。1月5日には1160ドル台と過去最高値を更新した。

しかし、過去最高値を付けた同じ5日に、ビットコインは一時900ドル割れまで急落。翌6日には1000ドル台を回復する場面もあったが、12日には700ドル台半ばと昨年12月中旬以来の安値を記録し、本稿執筆時点の13日は800ドル台で上値の重い動きとなっている。ビットコインは年初の高値から30%以上も下落したことになる。

ビットコインとはインターネット上で流通する暗号化された電子通貨の名称だ。ビットコインは、ドルや円のように法的に定められたものでもなく、中央銀行や政府機関によって発行されるわけでもない。取引の正当性の確認は、マイニング(採掘)と呼ばれる計算作業を通じて行われ、同作業に協力した者(マイナー=採掘者)には一定量のビットコインが交付される。

ただ、最大発行量はプログラムにて2100万と決められており、既存の貨幣のように発行量が無制限ではない。発行主体がなく、発行量が有限という点で、金やプラチナといった貴金属に近いとの見方をする者もいる。

ビットコインの特徴の1つに、秘匿性の高さがある。ビットコインは、暗号化されたデジタル情報でしかなく、既存の貨幣のようにコインや紙幣といった物質(モノ)ではないため、物理的に発見されにくい。

また、ビットコインの保管や送受信に使われるソフトウェア(ウォレット)を利用する際には、本名などのプライバシー情報を開示する必要はなく、メールアドレスを登録するだけである。このため行政当局は個々人のビットコインの取引状況を把握することができず、取引を強制的に停止したり、課税することも難しいとされている。

<元建て資産の逃避先に>

ビットコインの値動きが大きくなった理由の1つとして、人民元の先安観を背景とした中国の外貨需要の高まりがある。

中国当局は昨年、約3200億ドルの外貨準備を使い元買い介入を続けたものの、年末の人民元は1ドル=6.9450元と、2008年6月以来の元安を記録。下落率は6.5%と、アジア通貨の中で最も大きかった。中国景気の減速、資本流出の継続、外貨準備の減少などを理由に人民元は今後も下落が続くとの見方が大勢で、1ドル=7元を突破するのは時間の問題とみられている。

中国人投資家の立場で考えれば、元安が今後も続くと見込まれるのであれば、元建ての保有資産を外貨建てに換えることが合理的となる。元建て資産を外貨建てにすれば、元安による資産価値の目減りを防ぐことができるだけでなく、元安進展による差益を得ることも可能となるからだ。

しかし中国当局は、さらなる資本流出を抑えるべく外貨買いの動きに対し規制を厳しくしている。例えば昨年11月から、500万ドル以上の海外送金、両替、海外企業買収については当局による事前審査が義務付けられた。

また、中国人観光客が海外での買い物で広く利用している銀聯カードは、昨年12月下旬より新規発行が停止された。今年からは、中国国民が人民元を外貨に両替する際に提出する申告書に、両替した外貨を外国での不動産購入、証券投資、生命保険・投資性還元保険類に使用してはならない旨が明記された。

こうした状況では、ビットコインは元建て資産の逃避先として非常に魅力的となる。上述したようにビットコインは秘匿性が高い。人民元でビットコインを購入すれば、中国当局によるさまざまな資本規制をくぐり抜ける形で元建て資産を外貨(ビットコイン)建てに換えることが可能となる。

<中国当局の規制リスク>

ビットコインは過去にも資本規制をくぐり抜ける手段として注目され、価格が高騰したことがあった。タックスヘイブン(租税回避地)として世界各国から資本を呼び込んでいたキプロスは、2012年後半から大規模な資本流出に直面。同国政府は、2013年3月に銀行預金の引き出し制限などの規制を実施するとともに、銀行預金への課税を実施した。

当時、ビットコインは一部のマニアの間でしか知られていないものだったが、当局の資本規制をくぐり抜ける有力な手段であるとの見方から世界的に知名度が上昇。キプロス当局による資本規制・銀行課税が決まる前に13ドルにすぎなかったビットコインは急騰し、同年4月には200ドルを超えた。

仮に人民元の下落や中国の資本規制の強化が今後も続くとすれば、ビットコインの価格上昇が続くとの見方も、一見正しいように思えるかもしれない。しかし政府樹立以来、社会主義国として国民に対し、さまざまな規制や干渉を行ってきた中国当局が、ビットコインに対して手をこまぬき続けるとは考えにくい。

現に中国人民銀行(中央銀行)は11日、中国でビットコイン取引所を運営する主要3社に対し調査を始めたと発表。中国当局がビットコイン取引の取り締まりを強化するとの思惑が、ここ数日のビットコイン価格の急落につながったと考えられる。

キプロスの資本規制・銀行課税をきっかけに世界的に知られるようになったビットコインは、2013年末に1100ドル台まで上昇したが、2014年からは売りが先行し、同年末には300ドル台まで下落した。また、上述したように昨年初めは、400ドルちょうど近辺にすぎなかったが、今年初めには(一時的とはいえ)1160ドル台と過去最高値を更新するなど、ビットコインの値動きは非常に大きい。

そもそもビットコインの価格は、供給がマイニングを通じて緩やかにしか増加しないため、需要の変動に大きく左右される性質を持つ。資本規制などのイベントで需要が急激に増えれば、価格は高騰しやすくなるが、今回の中国人民銀行の動きのように先行き不透明感を強めるイベントが発生し、需要が後退すれば、価格が急落しても不思議ではない。

また、ビットコインはインターネット上での取引がほとんどであるため、需給動向の変化スピードは他の実物資産に比べて早い。このため短期間で価格が大きく変動しやすい。

投資の世界では、資産価格の評価をする際に、得られるリターンと同時に価格の変動率(リスク)も検討することが一般的となっている。ビットコインは、短期間に大きな値動きを示す可能性があるが、これはリスクが非常に高いことも意味しており、リスクで調整したリターンは、他金融資産と比べて大きくないだろう。

競馬やパチンコといったギャンブルとして考えるのならともかく、ビットコインを投資の1つとして考えるのはあまり合理的ではないように思える。

*村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。近著に「人民元切り下げ:次のバブルが迫る」(東洋経済新報社)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
 


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コラム:トランプ相場は世界動乱期の「あだ花」か=斉藤洋二氏 2016年 11月 24日
コラム:元安容認とAIIB出資、米中取引あるか=村田雅志氏 2016年 12月 21日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-masashi-murata-idJPKBN14X06M?sp=true
 

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