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「フェアトレードは途上国支援だから低品質で割高」は完全な間違い…高品質で独創的
http://biz-journal.jp/2017/01/post_17689.html
2017.01.11 文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授 Business Journal
先日、筆者が勤務する大学で、エシカル・ペネロープというアパレルショップを営み、かつ東海圏でタレントとしても有名な原田さとみ氏の講演会(名城大学起業講座)が開催されました。エシカル・ペネロープは、単なる洋服店ではなくフェアトレードの商品を扱うお店です。
みなさんは、フェアトレードという言葉を聞いたことがありますか。
フェアトレードとは、直訳すれば「公平な貿易」、特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパンのホームページでは「開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易のしくみ」と紹介されています。
もともとはアメリカ、イギリス、オランダといった欧米を中心に始まった活動ですが、近年、世界中に広がってきています。取り扱われている商品はコーヒー、チョコレート(カカオ)、バナナといった食品のほか、衣料など多岐にわたっています。
■安売りの代償
あらためて考えると、ファストファッションの衣料やスーパーマーケットで販売されているコーヒーやチョコレートは、昔と比べて、ずいぶん安くなったと思いませんか。服を修繕して着るということは、今の時代では考えられなくなっています。少しでもほつれたら、ポイッと捨ててしまう人も多いのではないでしょうか。昭和という時代をしっかり経験した筆者は、このように商品を消費しつつ、「我ながらいい身分だな」と思うことがしばしばあります。
しかし、世の中は必ずどこかで帳尻合わせがされており、先進国における消費者が我が世の春を謳歌している一方で、開発途上国における生産の現場では年端もいかない子どもたちが労働に従事し、また大人ではあっても劣悪な環境において低賃金で長時間労働を強いられている場合が少なくはないのです。
こうした開発途上国における問題を解決するために、フェアトレード活動は行われています。倫理的にもちろん正しく、純粋で心優しき学生たちの関心を集める場合も多く、数年前にマーケティングを主たるテーマとする当ゼミナールの学生たちも研究に取り組んだことがあります。
ただ、研究としては、あまりうまくいかなかったというのが指導していた筆者の感想です。もちろん、自らが強く興味を持ったフェアトレードというテーマに対して、学生たちは必死で取り組んでいました。しかし、その内容はフェアトレードという仕組みの素晴らしさや認証システムの探求などに終始し、適正な価格で仕入れるため(相手を尊重し、商品を買い叩かない)、ファストファッションなどと比較すれば往々に販売価格が高くなってしまうフェアトレード商品を「いかに消費者に販売するか」という、マーケティングにおける王道的問題に直視できなかったのです。極端なことを言えば、商行為自体を否定しそうな勢いでした(お金儲けは悪であるなど)。
■フェアトレード商品のマーケティング戦略
講演会終了後の質疑応答の際、原田氏に以下のような質問をさせていただきました。
「フェアトレードは寄付などの慈善行為と捉えるべきか、それとも純然たる商取引・ビジネスであるのか」
「ビジネスであるならば、割高となる場合が多いフェアトレード商品をいかに消費者に販売すればよいのか」
これに対する原田氏の回答は、以下のようなものでした。
「フェアトレードを単なる慈善行為と捉えても、うまくはいかない。たとえば、接客の際に開発国の労働者の悲惨な実態などの話をすれば買ってくれる消費者もいるだろうが、そういうやり方では継続購買とはならず、一回きりの購買に終わってしまうことが多いだろう。したがって、まず何よりも商品が魅力的でなければならない。商品のデザインや品質など、商品力が重要である」
原田氏のこうした発言に大いに驚き、感服した次第です。フェアトレードに携わる人はもともと非常に倫理観が強く、多少デザインや品質に問題があっても社会貢献に関わることなので仕方がないと考える傾向が強い(消費者にも強要する)のではないかという筆者の浅はかな偏見は見事に打ち砕かれました。
実際、フェアトレードのアパレル商品に関して、従来は民族色の強いデザインが多かったものの、現在では欧州のデザイナーが現地でデザイン指導を行い、一般の市場において競争力のある商品となることを目指している場合も多いようです。また、天然の染料はあまりにビビッド(鮮明)な色合いになってしまう場合が多いため、泥などを混ぜて色を落ち着かせるといった取り組みも行われているようです。
そのほか、よくよく考えると、フェアトレードで扱われるアパレル商品は手づくりの場合も多く、こうした小ロット生産の特性により、ファストファッションでよく見られる、「ほかの人と服がかぶる」といった問題を避けることができます。また、機械による大量生産ではできない手の込んだデザインや縫製の商品も容易に実現することでしょう。
こうした商品の付加価値は、低価格を強要するのではなく、適正な価格で原料や製品を調達する分のコスト増を十分に上回るものとなり、消費者に継続的に受け入れられる商品となっていくことでしょう。
原田氏が経営するエシカル・ペネロープは名古屋の真ん中、名古屋テレビ塔の1階にあります。地元名古屋の方はもちろん、観光で名古屋を訪れる方も立ち寄られてみてはいかがでしょうか。
(文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授)
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