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日産のコンセプトカー
街づくりに参加する日産の狙い
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8625
2017年1月10日 土方細秩子 (ジャーナリスト) WEDGE Infinity
日産・ルノーグループは合計で2016年に850万台の車を販売、これに三菱が加わって2017年には売上台数が1000万台を越える巨大グループとなる。そのCEOであるカルロス・ゴーン氏がCES2017の基調演説を行った。
ゴーン氏は日産・ルノーグループ全体の目標として、まず2030年までに販売するすべての車の15%を自動運転車両とすること、また25%をEVにすることを掲げた。また2025年にはすべての車がインターネットに接続できる機能を備えることになる、とも宣言した。
そもそも日産は2010年にEV「リーフ」を発売、これまでに累計で25万台を売り上げたが、これは世界一の数字だ。2008年に当時のオバマ政権がEV化政策のためにメーカーに融資を発表した際に、最初に対象となったのがフォード、日産、テスラ、フリスカーの4つのメーカーのみだった。ことEVに関しては日産は今でも業界リーダー的な存在といえる。
その日産が提唱するのが「日産インテリジェント・モビリティ」という考え方だ。インテリジェント・ドライブ、インテリジェント・パワー、そしてインテリジェント・インテグレーションを総合したものがモビリティである。ドライブはもちろん自動運転を含めた「ゼロ・エミッション、ゼロ・ファタリティ(死亡事故ゼロ)」を目指すもの。パワーとはEVを家庭用エネルギーの一環に組み込み、ソーラーパワーと組み合わせて省エネ、クリーンエネルギーを目指すもの。そしてインテグレーションとは人と車、車同士などのコミュニケーションを進め、一体化した「シームレス」なインテリジェント環境を作り出すことにある。
この目標のため、日産は日本のDeNAとの提携を発表、今年から日本国内で商業用EVのフィールド走行テストを開始するという。また日産の自動運転システムにはマイクロソフトもパートナーとして参画しており、こちらはAIシステム「コルタナ」を用いた音声コマンドに対応するパーソナルアシスタントを提供する。
日産では完全自動運転へのステップとして
1.高速道路でのシングルレーン走行。これはミニバン「セレナ」などにすでに搭載されており、車がレーンの中央をまっすぐ走るアシストを行うもの。
2.マルチレーンの高速道路走行。2、3車線の道路でもレーンチェンジなどを行えるシステムで、2018年には市販車に組み込まれる予定だ。
3.一般道での自動運転走行が可能なシステム。
4.完全自動運転。
という段階を踏み、2030年の15%の販売車両を自動運転車両に、という目的に着実に向かっている。
特に2020年には商業用車両のEV化がメインストリームになる、とゴーン氏は予測する。日本のように宅配車両などが多い国では、配達トラックのEV化は環境の観点からも真っ先に進められるべきだろう。
今回、プロパイロットという自動運転アシストを備えた新型リーフも発表された。コンセプトとして、未来型の1人乗り小型EVという考え方も提供された。都市部においては、こうした1人や2人で移動する車両の需要は今後ますます高まるものと考えられる。
また自動運転において現在様々な企業が競争状態にあるが、日産が提唱するのは「シングル・グローバル・プラットホーム」という考え方だ。世界のどこでも1つのシステムで自動運転が可能となるシステムで、このプラットホーム作りにマイクロソフトやNASAの技術が用いられる。
■100 Resilient Cities
今後の道筋として日産では「100 Resilient Cities」というプログラムを発表した。世界中から何らかの問題を抱える自治体を選択し、その問題をエネルギー、環境という面からサポートしてResilient (回復、復活)させる、というものだ。たとえば電力が不足しているところにEVによる蓄電設備を提供して電力を供給する、高齢化や過疎化に悩むところに自動運転システムによるアシストを提供する、など様々な方法で社会の活性化に協力するプログラムで、今年からテスト運用を行うという。
現在EVや自動運転には多くの企業が参入しているが、「何を持って差別化を図るのか」に対するゴーン氏の答えは「カスタマー・エクスペリエンスの向上」だ。シームレスな人と車のコミュニケーション実現のためにメーカーがなすべきことはまだまだ多い。
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