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トランプ米次期大統領=AP
強いドルこそ米の国益、1ドル=130円も 日本株にも恩恵(武者陵司)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170110-00000004-nikkeisty-bus_all
NIKKEI STYLE 1/10(火) 7:47配信
2017年で最も重要な事柄は、トランプ次期大統領による強い米国の登場だろう。水面下で培われた米国経済の強さが、強い大統領であるトランプ氏の下で顕在化し、強いドルが鮮明となる。ドル円レートは1〜2年で1ドル=130円をゆうに超えていくと想定される。円安とともに日経平均株価も先行き3万円を上回るだろう。
■米国のファンダメンタルズは健全
米国経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の健全性は歴史的水準にある。トランプ氏はそれを引き継ぎ、18年にかけて米国景気は大きなブームを迎えると予想される。
米国の健全なファンダメンタルズとは(1)情報インターネット革命に支えられた空前の企業収益(2)世界最強のイノベーションに基づく産業競争力(3)低金利かつ潤沢な投資余力(4)健全化した財政(5)抑制されたインフレ――である。こうした良好な条件の中、さらにトランプ氏は財政支出と規制緩和による成長底上げ政策を打ち出しており、それを市場は評価しているのである。
トランプ氏の政策による成長加速の連鎖効果も注目される。特に減税案は(1)法人税減税(2)個人所得税の減税(3)キャピタルゲインおよび配当に対する減税延長(4)相続税の撤廃――など壮大なものである。また累計2.5兆ドルにのぼる多国籍企業の海外留保利益の国内送金に対する時限的課税軽減により、税収増と海外からの所得還流が見込まれる。
これに1兆ドルといわれるインフラ投資と国防支出増が加われば、リーマン・ショック以降、年平均2.1%(11〜15年)であった米国の国内総生産(GDP)成長率は容易に1990年以降の長期成長トレンド3%を超えていくだろう。さらにエネルギーや金融規制緩和もビジネスを活発にする。次回中間選挙の18年には経済成長率4〜5%のブームが訪れる可能性が大きい。
米国企業の競争力優位は歴然としている。インターネット、スマートフォン、クラウドコンピューティングなどの情報インフラにおいては世界中の人々が、米国企業の提供するプラットフォームの上で、ビジネスと生活をしている。金融においても米国の突出した強みは歴然である。
■強いドルは米国の独占企業に好都合
米国にとって今ほど強いドルが国益になる時代はないだろう。理由は世界市場を傘下に収める米国の独占的企業にとってドル高の方が都合がいいからだ。まず強いドルは世界で企業を買い占めるのに有利である。さらに米国企業がネットインフラのプラットフォームを提供しているので、ドル高になればドル建てでの収入維持を狙う米国企業は海外のサービス価格を現地通貨建てで引き上げる。需要家は代替手段がないので値上げに応じざるを得ない。
つまり、米国の企業は輸出品(または海外で提供するサービス)が独占品で価格支配力が強く、ドル高になっても値上げが通るのでさして困らない。一方、輸入品は多くの対米輸出国が競合しているので海外生産者の価格支配力が弱く、ドル高になれば値下げ要求が強まる。この結果、ドル高は米国にとって安く買って高く売るという交易条件の改善につながりやすいのだ。総計2.5兆ドルに達する米多国籍企業の膨大な海外留保利益は、財の貿易ではなく直接投資とサービス輸出で稼ぐ今日的米国企業の収益構造を端的に示している。
しかも強いドルはマクロ的にも世界におけるGDPシェアを高めるなど、米国のプレゼンスを一気に押し上げるだろう。
米国経済の強さはドル高によってさらに増幅されるだろう。唯一の懸念は一部の地域、階層が成長の果実を享受できていないことであるが、これらは手当次第で容易に解決できる問題である。だからこそトランプ氏の政策は市場で高く評価されているのだ。
■経常収支は過去10年に大きく改善
もとより、米国の経常収支は大きく改善している。米国の経常赤字は過去10年間(05年から15年)に、8067億ドル(対GDP比で5.7%)から4630億ドル(対GDP比2.6%)へと大きく縮小したが、改善をリードしたのは金融・知的所有権料・ビジネスサービスなどのサービス収支と、直接投資、証券投資などの第1次所得収支の2部門である。他方、この10年間に米国の貿易赤字は7828億ドルから7626億ドルへと、ほぼ横ばいであった。今後サービス収支と第1次所得収支の合計額がこのペースで増加し、貿易赤字が横ばいで続けば、米国はあと6年で経常収支の黒字国に転換することになる。この状態でさらなるドル高が進行すれば、米国の経常収支改善ペースはさらに速まるかもしれない。
米国の経常収支均衡が視野に入り始めるとすれば、それは衝撃的である。これもドル高を加速させる要因になるだろう。
ドル高の恩恵は、日本にとっては神風になる。円安が企業収益の大きな押し上げ要因となり、日本株は大幅な上昇が見込まれる。日本対外資産の増価というマクロの要因も大きい。日本の対外資産と負債の差額(純資産)は2.9兆ドルと世界最大級であり、この差額分はドル高となれば、円ベースでそのまま増大する。
アベノミクス相場の第2弾が始まった可能性が濃厚である。日経平均は20年にかけて3万〜4万円に届くだろう。
武者 陵司(むしゃ りょうじ) 武者リサーチ代表、ドイツ証券アドバイザー。1949年9月長野県生まれ。73年横浜国立大学経済学部卒業。大和証券株式会社入社。企業調査アナリスト、繊維、建設、不動産、自動車、電機、エレクトロニクスを担当。大和総研アメリカでチーフアナリスト、大和総研企業調査第二部長を経て97年ドイツ証券入社、調査部長兼チーフストラテジスト、2005年副会長に就任。09年7月株式会社武者リサーチ設立。主な著書に「アメリカ 蘇生する資本主義」(東洋経済新報社)、「新帝国主義論」(東洋経済新報社)、「日本株大復活」(PHP研究所)、「失われた20年の終わり」(東洋経済新報社)、「日本株100年に1度の波が来た」(中経出版)、「超金融緩和の時代」(日本実業出版社)など。
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