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日本国のバランスシートを精査(財務省)
日本国のバランスシート分析 政府資産世界一、徴税力も強大
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170109-00000009-pseven-bus_all
週刊ポスト2017年1月13・20日号
「日本は1000兆円も借金があるから増税しなければいけない」「ギリシャのように破綻する可能性がある」──新聞・テレビで何度も繰り返されてきた“警告”だ。
だが、日本という国家の財務状況は「借金の額」だけを見ても判断できないはずだ。投資家や銀行が企業の経営状態が健全かをチェックする際には、必ず「バランスシート」を見る。では“日本国”についても同じように見てみるべきではないか。
◆借金は本当に“多い”のか?
政府は過去最高の97兆4547億円の来年度予算案を編成した。そのうち35%の34兆3700億円が借金(国債の新規発行)だ。
かつて自らを「世界一の借金王」と称した小渕恵三首相の時代に約645兆円(1999年度末)だった日本の国の借金総額はいまや1000兆円を超え、今年度末には1094兆円に達する。国民1人あたりで計算すると862万円だ。
しかし不思議なことに、政府は何十年にもわたって収入(税収)より支出の多い赤字予算を組んでいるにもかかわらず、日本経済には破綻したギリシャのようなインフレは起きないし、為替(円)も国債も暴落しない。世界の経済大国の地位を失っていない。なぜだろうか。
「借金の総額だけをみても国の財政の健全度はわからない。借金の金額が大きく見えても、それに見合う資産があり、十分な収入があれば破綻の心配はないからです」
そう語るのは国の資産を管理する財務省理財局の資金企画室長などを歴任した嘉悦大学教授の高橋洋一氏だ。
たとえば「オレは1億円の現金が手元にある」と豪語する人がいても、その人物が10億円の借金を抱えていれば内実は“火の車”だし、逆に「10億円の借金がある人物」でも、現金や株、土地などの資産を100億円以上持っていれば借金など苦にならない。
「資産」と「負債」の両方を見なければ借金が多いか少ないのか判断はできないのだ。そのため、上場企業には資産と負債を整理した「バランスシート(貸借対照表)」の公表が義務づけられ、投資家など誰でも経営の健全度を調べることができる。
実は、国(政府)にも国家財政を企業会計の基準で分析したバランスシートがある。最初に作ったのが高橋氏だった。
「1991年から1994年にかけて理財局で財政投融資資金(※注/年金積立金や郵便貯金を預かり、政府系金融機関や特殊法人に貸し付ける資金のこと)のリスクを管理するシステム作りの責任者だった時、必要に迫られて国のバランスシートを作成した。それをみれば国にどれだけの資産があるか、財政が健全かどうかが一目瞭然です」
高橋氏がバランスシートを作成した当時は「財務省限り」の非公表とされていた。毎年の表が公表されるようになったのは2000年10月からだ。
ところが、その後現在に至るまで、バランスシートの内容がメディアに取り上げられることはほとんどないまま「財政危機説」ばかりが報道されている。財務省を長く取材してきた東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏がいう。
「国のバランスシートは財務省のホームページに公表され、記者発表もされている。しかし、記者クラブの記者は不勉強で問題意識がないから、内容を吟味することなく、借金の総額だけを見て財政危機と思い込んでいる」
そこで本誌が高橋氏の解説を踏まえて国のバランスシートを読み解いていくと、興味深い国家財政の“秘密”が見えてきた。
◆750兆円の“見えない資産”
財務省が公表している最新の国のバランスシート(平成26年度/2014年度末決算)には、保有する様々な「資産」の金額や「負債」の金額が表示されている。
「資産の部」を一目見てわかるのが、日本政府は約680兆円もの資産を持つ“大資産家”ということだ。国がどんな資産を保有しているかを見ていこう。
まず金融資産から。「現金・預金」が約28兆円。これは各役所の金庫にある手元資金や政府が日銀の口座に預けている預金であり、国家公務員の給料や役所の備品購入、公共事業の工事代金などがここから支払われる。「有価証券」(約139兆円)の保有額が桁外れに巨額なのは、財務省(外国為替特別会計)がドル買いの為替介入で買った米国債を大量に保有しているからだ。
さらに大きな金額が続く。「貸付金」(約138兆円)は特殊法人や独立行政法人などへの貸し付け、「運用寄託金」(約104兆円)は年金積立金のうち政府が運用している金額だ。さらに独立行政法人への「出資金」(約70兆円)など、金融資産の総額は500兆円近くにものぼる。
ちなみに「未収金等」(約11.5兆円)は国税や年金保険料などの未収金分の金額で、「前払い費用」(約4兆円)は福島原発事故の賠償金や廃炉費用のうちまだ使われていない金額である。
次は「固定資産」。役所の庁舎(土地建物)、自衛隊の艦船、戦闘機などの「国有財産」が約29兆円、公共事業で建設した道路や橋、堤防などの「公共用財産」が148兆円と計算されている。
「日本の政府資産は世界一で、金融資産が巨額なのが特徴です。金融資産のうち、官僚の天下り先である特殊法人や独立行政法人などに流している貸付金と出資金を合わせると200兆円にもなる。つまり、天下り先が多いから金融資産が膨れあがった」(高橋氏)
ちなみに米国の連邦政府のバランスシート(2015会計年度)をみると、連邦政府の総資産は約377兆円でそのうち金融資産は約200兆円しかない(1ドル=117円で計算)。日本は経済規模(GDP)では米国の4分の1だが、政府の保有する金融資産は2倍以上あるのだ。
日本の国のバランスシートの「負債の部」も確かに巨額だ。「公債(国債)」が884兆円。為替介入のために必要な資金など、政府が1年未満の短期の資金繰りのために発行する「政府短期証券」が約99兆円、それに民間銀行からの「借入金」(28.9兆円)や「公的年金預り金(年金積立金)」(113.7兆円)などを合わせた負債合計は約1172兆円となっている。
財務省はホームページで「道路や堤防は買い手がないから売却できない。年金積立金の運用寄託金は将来の年金給付のためのもので、国債の返済にはあてられない」と説明。
資産は処分できないものばかりで、負債のざっと1000兆円は丸ごと「国の借金」だと強調しているが、高橋氏は「政府の金融資産のうち特殊法人などへの出資金や貸付金は天下り先を民営化すれば回収できる」と反論している。このあたりが専門家の間で議論のポイントとなるようだ。
ここで素朴な疑問が浮かぶ。民間企業であれば、資産より負債の方が多い「債務超過」状態は倒産の危機と見られる。
かつて日本航空が経営破綻(会社更生法を申請)した時のバランスシート(2010年1月決算)は、資産9718億円に対して、負債2兆6852億円。差し引き1兆7134億円の債務超過だった。
日本の国家財政は政府の資産を全部売ったとしてもまだ500兆円近い借金が残り、完全な債務超過だ。それは破綻の危機ではないのか。高橋氏の反論は明快だ。
「ほとんどの国のバランスシートは債務超過状態です。それでも企業と違って破綻しないのは、政府には徴税権といういわば“見えない資産”があるからです。日本の場合、少なく見積もっても毎年30兆円の税収(国税)がある(2017年度は57.7兆円の見通し)。
徴税力のある国の徴税権を資産として評価する場合、われわれ専門家は税収の25倍と計算する。税収が年間30兆円なら750兆円、税収40兆円とすれば1000兆円の見えない資産があるわけで、それを加味すると日本は全く債務超過ではない」
住宅ローンでたとえれば、定年も寿命もないサラリーマン(何年先も安定した収入のある国)は、より大きなローン(負債)を抱えても大丈夫というロジックだ。
確かに、日本人ほど政府のいいなりに税金を真面目に払う国民は他にない。高橋氏の指摘のように「徴税権」を750兆円の資産として国のバランスシートに計上すれば、資産と負債の差額は260兆円のプラスになる。日本とギリシャの違いもここにある。
「徴税権の資産価値は政府がちゃんと税金を徴収できるかにかかっている。ギリシャは日本と違って政府の徴税力が低いと見られているから国債の金利がハネ上がって財政が破綻した」(高橋氏)
5年前のギリシャ危機の際、同国の国債(10年物)は約35%の金利をつけなければ買い手がつかなかったが、現在の日本の国債(10年物)の金利はほぼゼロ。これが徴税力という国の信用の差であるという説明だ。
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