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緩みつつある中銀の呪縛 ユーロ圏のインフレ加速、乱高下の呼水 中国、金融引締―当局の対立 トランプ流、経済成長保証せず 
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/492.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 05 日 23:38:19: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

緩みつつある中銀の呪縛−市場の注目は景気動向へ

左から米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、英中銀イングランド銀行 PHOTO: STEPHEN VOSS FOR THE WALL STREET JOURNAL; KAI PFAFFENBACH/REUTERS; ANTHONY DEVLIN/PA WIRE/ZUMA PRESS

By
JON SINDREU
2017 年 1 月 5 日 15:38 JST
 中央銀行の政策が市場を左右する時代は終わりに向かい始めたのかもしれない。
 2017年には、金融政策の引き締めや経済ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)の改善が進み、市場は中銀の呪縛から解放される可能性がある。債券や株式などの資産市場ではここ数年間、中銀の動きに翻弄される相場展開が続いてきた。
 こうした変化は投資家の置かれた環境が大きく変わる前兆であり、投資家はすでにそれを見越してポジション調整を進めている。長期間にわたる超低金利政策や中銀の資産買い入れが債券や安全な株式の価格を押し上げてきた。投資家は現在、相場の鍵を握る要因として景気動向が中銀と肩を並べる時代が到来すると予想している。特に、これ以上金融緩和が拡大することはないとの見方が背景になっている。
 つまり、経済成長によって大きな恩恵を受ける高リスク資産の相場上昇が17年に入っても続くとみられる一方、債券やディフェンシブ株の売りは止まらないだろうということだ。
 アナリストらはまた、投資家はこれまでのように時間をかけて中銀関係者の発言の一語一句を分析することはしなくなり、今後は企業の利益や信用リスクへの注目を強めると予想している。
 UBSウェルス・マネジメントのエコノミスト、ディーン・ターナー氏は「われわれはファンダメンタルズの重要性が今までよりも少し高い世界に戻り始めている」と語った。

【上】株式のリターンは債券を上回った(基準値=07年)、【中】ディフェンシブ株との比較で見ると、景気敏感株は08年以来の高値にある、【下】株価収益率(緑:予想EPS、薄い緑:実績EPS)
https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AT544A_CB201_16U_20170102083622.jpg

 金融危機以降、中銀は大規模な資産買い入れ政策を導入し、経済成長やインフレの押し上げに向けて金利を過去最低ないし場合によってはマイナス水準に維持してきた。欧州中央銀行(ECB)は目下、国債や社債を毎月800億ユーロ(約9兆7000億円)購入しており、英中銀イングランド銀行も社債と国債の買い入れを行っている。日本銀行は株式さえも買い入れの対象にしている。
 企業収益は金利が低いときの方が実際より魅力的に見える傾向がある。低金利が株価を押し上げることが多いためだ。ファクトセットによると、S&P500種指数構成企業の予想株価収益率(PER)は現在17倍で、ここ10年間の平均の14.4倍を上回る。足元のPERが高いのは低金利が一因だ。
 スイスのプライベートバンク、ユニオン・バンケール・プリベのファンドマネジャー、スコット・ミーヒ氏は「株式市場を動かす第一の要因は長らく企業収益ではなく債券相場だった」と述べた。
 だが、多くの投資家は今や中銀の刺激策は限界に達したとみている。ECBは2016年12月、買い入れ対象の債券が枯渇しつつあるとの懸念が広がる中、買い入れ策を延長する一方で17年4月以降の毎月の購入額を減額することを決定した。その翌週、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、今後見込まれる利上げの回数が従来見通しよりも増えることを示唆した。
 投資家の間には、政府が不足分を補い、経済成長やインフレの押し上げに今よりも大きな役割を果たすようになるとの声もある。米国ではドナルド・トランプ次期大統領がインフラ支出拡大や金融規制緩和を公約に掲げている。コモディティー(国際商品)価格の上昇もインフレ期待を高める要因となってきた。
 インベスコの新興国経済調査部門責任者、アーナブ・ダス氏は「財政出動や規制緩和がすでに回復基調にある経済のてこ入れに寄与すれば、中銀、特にFRBは恐らく今までのようにハト派姿勢を続けることはできなくなるだろう」と述べた。
 昨年11月以降、MSCIワールド指数の構成銘柄のうち、景気敏感株が10%上昇したのに対し、景気動向の影響を受けにくいディフェンシブ株は4.6%しか上昇していない(金融危機以降の上昇率はディフェンシブ株の方が高い)。ディフェンシブ株との比較で見ると、景気敏感株の株価は現在、08年以来の高値にある。
 ユーロ圏の銀行株には、こうしたリスク志向の高まりが色濃く反映されている。16年の大半において売り込まれていた銀行株だが、ここ2カ月で大幅に上昇し、下落分の一部を取り戻した。
 一方、世界の債券はこの2カ月で5%下落している。10年物米国債利回りの4日終値は2.452%だった。
 だが問題は、17年に上昇が期待できるとして投資家が買いを膨らませている高リスク銘柄が、この動きを正当化するほど十分な利益を上げられるかどうかだ。S&P500種指数の17年利益見通しに基づく予想株価収益率(PER)は現在、過去最高水準にあり、15年末に下がっていたStoxx欧州600指数の予想PERも持ち直している。
 ブラックロックのファンドマネジャー、ナイジェル・ボルトン氏は「(企業)収益は世界中で改善傾向にある」とした上で、「いまが株式を買う絶好のタイミングだ」との見方を示した。
 米国の16年7-9月期国内総生産(GDP)は前期比年率換算で3.2%増加し、2年ぶりの高い伸びとなった。何年にもわたり成長低迷に悩まされてきたユーロ圏や日本に対する投資家の景気見通しはやや上向いている。中国についても16年のGDP成長率が7-9月期まで3四半期連続で6.7%と安定し、痛みを伴う経済破綻に至るのではないかとの懸念は和らいだ。
 JPモルガンの欧州金利チーフストラテジストのファビオ・バッシ氏は「中銀が手綱を緩めたのは事実だが、正当な理由があってのことだ」と述べた。
 とはいえ、リスクはまだ残っている。ここ数年、企業収益は予想を下回ることが多かった。そして、中銀の圧倒的な存在感はすぐには消えそうにない。過去に市場が中銀の一挙手一投足に注目する時代は終わった、との見方が覆されたこともあった。
 その上、大規模な財政出動は実現しないかもしれない。財政政策は、政府債務への懸念など政治的制約を受けることがよくあるからだ。
 アムンディ・アセット・マネジメントのアナリスト、ディディア・ボロウスキ氏は「リセッション(景気後退)入りの恐れがない中で、債務を財源とした大規模な景気てこ入れ策を期待すべきではない」と語った。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj-tMH7mKvRAhWClZQKHcVpAjQQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582540321428984932&usg=AFQjCNHXk2DWvoRecWfTePs7u8H6Tqxl0A


 

ユーロ圏のインフレ加速、乱高下の呼び水となるか
昨年12月のユーロ圏CPI上昇率は、石油が主なけん引役となり約3年ぶりの高水準となった(写真はドイツ・シーバスドルフの風力発電所)

By MIKE BIRD AND PAUL HANNON
2017 年 1 月 5 日 15:15 JST

 2016年12月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.1%上昇した。石油が主なけん引役となり、上昇率は約3年ぶり高水準となった。欧州中央銀行(ECB)にとっては勇気づけられる内容だが、長年、同行の刺激策で形成されてきた市場にとって大きな変化の予兆となる可能性がある。

 12月のCPI上昇率は依然、2%弱というECBのインフレ目標を下回るが11月の0.6%を大きく超えた。また、市場の一部指標は将来の物価上昇を示唆している。

 インフレ率はわずかな上昇でも市場に幅広い影響を及ぼし得るが、特にユーロ圏では顕著だろう。物価上昇はECBに前例のない金融刺激策の縮小を迫る可能性があるからだ。刺激策の影響はこの3年、欧州市場にあまねく広がっている。

 とりわけECBの債券購入プログラムは債券利回りを過去最低水準に押し下げる一方、欧州株を押し上げた。

 JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、マイク・ベル氏は「インフレ率がECB目標にますます近づき、上昇ペースが予想を上回りそうになれば、市場ではECBが相応のテーパリング(量的緩和の段階的縮小)を開始するとの臆測が強まるだろう。そうなれば債券利回り上昇の可能性があるのは明らかだ」と述べた。

 ユーロ圏のCPIは昨年5月に低下したが、それ以降は上昇が加速しており、ユーロ圏が長期デフレに陥る不安は和らいでいる。ECBは、今年4月から国債を中心とする債券買い入れ規模を月額800億ユーロから600億ユーロに引き下げると決めたのはインフレ率が回復しているためだと説明した。

 だが、ECBは同時に、同プログラムの期限を今年3月から12月末に延長した。

 ECBが慎重姿勢を取る主な理由は、総合インフレ率は持ち直しているものの、変動の大きいエネルギーや食品を除いたコアCPIが昨年12月に0.9%上昇と低水準にとどまっているためだ。

 ただ、インフレ期待を示す市場の指標は上向きつつある。

 ユーロ・インフレスワップの5年先スタート5年物フォワードレート(市場が予想する5年後から5年間の平均インフレ率)は昨年半ばに1.25%まで低下したが、今月4日、1.77%に達した。

 インフレ率の上昇は投資家のリターンをむしばむため、債券市場にとりわけ大きな打撃を与える。

 インフレ加速はすでに債券市場に織り込まれている。10年物ドイツ国債利回りは昨年、マイナス0.189%まで低下したが、今月4日、0.288%に上昇した。同期間に同期限の米国債利回りは1.356%から2.46%に上昇した。

 物価上昇へのECBの対応はユーロ圏で大きな鍵を握りそうだ。1月と3月の政策理事会での政策変更を予想するエコノミストはほぼいないが、その後のことは分からない。

 臆測が市場を乱高下させ、今後発表されるインフレ率が重要な指標となる可能性が高い。

 ECBが先月、債券購入プログラムの購入規模縮小と期限延長を発表した際の市場は、いつ乱高下してもおかしくない様子を見せた。投資家がこの措置をテーパリングと解釈し、ユーロと債券利回りが一時上昇したのだ。

 最近、ドイツのインフレ率が大幅に上昇していることで、状況は複雑になっている。ドイツの昨年12月のCPI上昇率は1.7%と、ECBの目標に近づいている。同国の政治家と中央銀行当局者は、ECBの債券購入プログラムに最も批判的だ。インフレ加速により、ドイツ当局者はECBに対し金融緩和策を縮小するよう圧力を強めるかもしれない。

 テーパリングは債券には逆風だが、銀行株など一部には追い風となる。銀行は短期資金を借り入れ長期融資を行っているため、長期金利上昇は通常、貸出事業の利益増加につながる。こうした思惑を背景にユーロ・ストックス銀行株指数はこの半年で50%近く上昇した。

 アナリストらは、インフレ率上昇は企業利益を押し上げるとみている。一部では、数年にわたる欧州の企業利益低迷は、世界的な低インフレが原因との見方もある。低インフレ下では企業が値上げしにくくなるからだ。

 バークレイズは先進国のインフレ率予想を2%としており、同社アナリストらは物価上昇が特に工業セクターや、自動車などの一般消費財メーカー、メディア企業の利益に多大な影響を与えると考えている。調査報告書では「われわれが正しければ、5年に及ぶ欧州の企業利益の低迷は過去のものとなるかもしれない」とした。

 インフレ率上昇はユーロにも影響を及ぼすだろう。

 利上げや投資家の利上げ観測はユーロ相場を後押しする。米国とユーロ圏の金利見通しの差が拡大したことで、ユーロの対米ドルレートは先ごろ、大幅に下落した。

 一方、物価の上昇ペースが予想を上回り、ECBが政策を変更しなかった場合、ユーロは下落する可能性がある。金利の上昇によって物価上昇分を補えなければ、リターンがむしばまれるからだ。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiz8sGDmavRAhVLpZQKHVBeD2EQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582540292546999830&usg=AFQjCNH5O5e7T8oJ1EY4fxCOHQ5BEyPg1g


 


ユーロ圏のインフレ加速、乱高下の呼び水となるか
昨年12月のユーロ圏CPI上昇率は、石油が主なけん引役となり約3年ぶりの高水準となった(写真はドイツ・シーバスドルフの風力発電所)

By MIKE BIRD AND PAUL HANNON
2017 年 1 月 5 日 15:15 JST

 2016年12月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.1%上昇した。石油が主なけん引役となり、上昇率は約3年ぶり高水準となった。欧州中央銀行(ECB)にとっては勇気づけられる内容だが、長年、同行の刺激策で形成されてきた市場にとって大きな変化の予兆となる可能性がある。

 12月のCPI上昇率は依然、2%弱というECBのインフレ目標を下回るが11月の0.6%を大きく超えた。また、市場の一部指標は将来の物価上昇を示唆している。

 インフレ率はわずかな上昇でも市場に幅広い影響を及ぼし得るが、特にユーロ圏では顕著だろう。物価上昇はECBに前例のない金融刺激策の縮小を迫る可能性があるからだ。刺激策の影響はこの3年、欧州市場にあまねく広がっている。

 とりわけECBの債券購入プログラムは債券利回りを過去最低水準に押し下げる一方、欧州株を押し上げた。

 JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、マイク・ベル氏は「インフレ率がECB目標にますます近づき、上昇ペースが予想を上回りそうになれば、市場ではECBが相応のテーパリング(量的緩和の段階的縮小)を開始するとの臆測が強まるだろう。そうなれば債券利回り上昇の可能性があるのは明らかだ」と述べた。

 ユーロ圏のCPIは昨年5月に低下したが、それ以降は上昇が加速しており、ユーロ圏が長期デフレに陥る不安は和らいでいる。ECBは、今年4月から国債を中心とする債券買い入れ規模を月額800億ユーロから600億ユーロに引き下げると決めたのはインフレ率が回復しているためだと説明した。

 だが、ECBは同時に、同プログラムの期限を今年3月から12月末に延長した。

 ECBが慎重姿勢を取る主な理由は、総合インフレ率は持ち直しているものの、変動の大きいエネルギーや食品を除いたコアCPIが昨年12月に0.9%上昇と低水準にとどまっているためだ。

 ただ、インフレ期待を示す市場の指標は上向きつつある。

 ユーロ・インフレスワップの5年先スタート5年物フォワードレート(市場が予想する5年後から5年間の平均インフレ率)は昨年半ばに1.25%まで低下したが、今月4日、1.77%に達した。

 インフレ率の上昇は投資家のリターンをむしばむため、債券市場にとりわけ大きな打撃を与える。

 インフレ加速はすでに債券市場に織り込まれている。10年物ドイツ国債利回りは昨年、マイナス0.189%まで低下したが、今月4日、0.288%に上昇した。同期間に同期限の米国債利回りは1.356%から2.46%に上昇した。

 物価上昇へのECBの対応はユーロ圏で大きな鍵を握りそうだ。1月と3月の政策理事会での政策変更を予想するエコノミストはほぼいないが、その後のことは分からない。

 臆測が市場を乱高下させ、今後発表されるインフレ率が重要な指標となる可能性が高い。

 ECBが先月、債券購入プログラムの購入規模縮小と期限延長を発表した際の市場は、いつ乱高下してもおかしくない様子を見せた。投資家がこの措置をテーパリングと解釈し、ユーロと債券利回りが一時上昇したのだ。

 最近、ドイツのインフレ率が大幅に上昇していることで、状況は複雑になっている。ドイツの昨年12月のCPI上昇率は1.7%と、ECBの目標に近づいている。同国の政治家と中央銀行当局者は、ECBの債券購入プログラムに最も批判的だ。インフレ加速により、ドイツ当局者はECBに対し金融緩和策を縮小するよう圧力を強めるかもしれない。

 テーパリングは債券には逆風だが、銀行株など一部には追い風となる。銀行は短期資金を借り入れ長期融資を行っているため、長期金利上昇は通常、貸出事業の利益増加につながる。こうした思惑を背景にユーロ・ストックス銀行株指数はこの半年で50%近く上昇した。

 アナリストらは、インフレ率上昇は企業利益を押し上げるとみている。一部では、数年にわたる欧州の企業利益低迷は、世界的な低インフレが原因との見方もある。低インフレ下では企業が値上げしにくくなるからだ。

 バークレイズは先進国のインフレ率予想を2%としており、同社アナリストらは物価上昇が特に工業セクターや、自動車などの一般消費財メーカー、メディア企業の利益に多大な影響を与えると考えている。調査報告書では「われわれが正しければ、5年に及ぶ欧州の企業利益の低迷は過去のものとなるかもしれない」とした。

 インフレ率上昇はユーロにも影響を及ぼすだろう。

 利上げや投資家の利上げ観測はユーロ相場を後押しする。米国とユーロ圏の金利見通しの差が拡大したことで、ユーロの対米ドルレートは先ごろ、大幅に下落した。

 一方、物価の上昇ペースが予想を上回り、ECBが政策を変更しなかった場合、ユーロは下落する可能性がある。金利の上昇によって物価上昇分を補えなければ、リターンがむしばまれるからだ。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiz8sGDmavRAhVLpZQKHVBeD2EQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582540292546999830&usg=AFQjCNH5O5e7T8oJ1EY4fxCOHQ5BEyPg1g


 

中国、金融政策スタンス引き締めの裏側―当局の対立
Bei中国人民銀行と中国銀行業監督管理委員会(CBRC)との意見相違が、ある銀行監督当局者の発言で浮き彫りとなった。写真はCBRCの建物

By CHAO DENG
2017 年 1 月 5 日 14:24 JST

 中国の最高指導部は、金融政策スタンスを2017年にやや引き締める考えを示唆している。だが、こうした見せ掛けの統一目標の裏では、さまざまな金融規制当局の間で長年にわたり緊張がくすぶり続けている。どんな政策が適切かについて、それぞれの当局に独自の考えがあるようだ。

 ある銀行監督当局者が最近行った発言は、中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行業監督管理委員会(CBRC)との間に見解の相違があることを物語っている。

 国営上海証券報の先週の報道によると、CBRCに所属する于学軍氏は、銀行の預金準備率を引き下げるべきだとし、引き下げ後は他の金融手段を用いて流動性を調整できるとの見解を示した。預金準備率の引き下げは銀行の融資拡大につながる。

 于氏は、中央銀行が一定の金利で銀行に期間物資金を貸し出すことに応じる中期貸出制度(MLF)などの手段について、準備率引き下げの前に使いすぎるべきではないと語った。

 だが、最近の中央経済工作会議では、党幹部らが今年の「穏健で中立的」な金融政策を呼び掛けた。アナリストらによると、前回声明の「緩和的」から変化したこの文言は、中銀が預金準備率の引き下げ、ましてや政策金利の引き下げは見送ることをほのめかしている。

 こうした言い回しに見られる食い違いは、規制当局ごとに優先課題が異なることに原因がある。銀行監督当局は、不良債権の急増と経済成長の減速に苦しめられている銀行に目配りしている。中央銀行は金融システム全般に気を配り、どこであれリスクが浮上すれば対応する。国内債券市場におけるデレバレッジ(負債圧縮)の促進から人民元安の阻止、資本逃避の防止に至るまでさまざまな対応だ。また、動きの鈍い国内規制団体の調整役を担うようにもなりつつある。

 銀行の預金準備率を引き下げれば、中国からの資本流出が加速する恐れがある。これはまさに指導部が避けたい事態だ。中銀が最後に預金準備率を引き下げたのは16年3月で、大手銀に適用される準備率を50ベーシスポイント(bp)下げて17%とした。それ以降は金融システムの資金供給を調整する上で、より柔軟な金融手段を続けている。そうした手段が銀行にとって高くつくにもかかわらずだ。

 UOBケイヒアンのエコノミスト、朱超平氏は、今年は預金準備率の引き下げではなく、「より細かい調整を行う手段を想定している」と述べた。当局は15年に利用開始した中期および短期の貸出制度を、借り入れコストを調整する正式な手段にしようとしているという。

 国営金融機関を監督するCBRCにおいて于氏の役割が比較的狭いことを考えると、同氏の見解にさほど影響力はないかもしれない。

 だが于氏の発言は、中国の規制当局間でさらなる協調が必要であることを物語っている。同じような政策の対立は、中央銀行と国家発展改革委員会(NDRC)の間でも表面化している。

 アナリストらによれば、昨年持ち上がった規制の一元化は残念ながら立ち消えとなっている。目下の中国が認めざるを得ないメッセージは、どんな犠牲を払ってでも安定を手に入れる、というものだろう。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiwqpm1mavRAhWDn5QKHRkgCr8QFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582540221267885372&usg=AFQjCNFVLr7ed5qfyCV23ejEFWQA65h9PQ

 


株高呼んだトランプ氏の流儀、経済成長を保証せず
トランプ相場で上昇した企業の信頼感はいずれ、結果によって実証されなければならない
ニューヨーク証券取引所のトレーダー

By GREG IP
2017 年 1 月 5 日 13:03 JST

――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

***

 ドナルド・トランプ氏の米大統領当選以降に株式が急騰したのを受けて、企業と投資家の信頼感が上昇し、過去8年間続いている低成長軌道から近く脱するとの見通しが強まっている。

 約1600億ドル(約19兆円)の資産を運用する巨大ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツのレイ・ダリオ会長は昨年12月、介入主義的なバラク・オバマ大統領から親ビジネス姿勢のトランプ氏への政権シフトは、どんな税政策あるいは財政支出政策よりも成長に寄与するかもしれないとの見方を示した。

 ダリオ会長は「次期政権は、軟弱で非生産的な社会主義的人間や政策を嫌っており、強くて意欲的な利益創出者を称えている」と記した。来たるべき政権シフトは「多分、1979−82年に英国、米国、そしてドイツで生じた社会主義者から資本家への政権シフト、つまりマーガレット・サッチャー、ロナルド・レーガン、そしてヘルムート・コールの登場よりもはるかに著しい影響をもたらすだろう」という。

 ダリオ氏は正しいのだろうか? 米企業の設備投資計画は実際にはまだ回復していないが、増加しそうな気配はある。製造活動の一つの指標(ISM製造業景気指数)は昨年12月に2年ぶりの高水準を記録した。

アベノミクスの蹉跌

 信頼感というのは強力な追い風になり得る。とりわけ市場にとってはそうだ。経済学者ジョン・メイナード・ケインズは1936年、将来の定量的評価よりもむしろ「アニマルスピリット、つまり行動への自発的な衝動」に基づいて個人は行動すると説いた。2年後にケインズは時のフランクリン・ルーズベルト米大統領のビジネス蔑視姿勢をやんわりと警告した。「もし彼らを、無愛想で頑なで怯えた気分に追いやるならば(飼い慣らされたアニマルも手荒な扱いを受ければそんな気分になり得るのだ)、・・・最終的には世論が自ら進む方向を転換するだろう」

 ただ最終的には、そうした信頼感は結果によって実証されなければならない。日本では2012年、安倍晋三氏が総選挙の地滑り的勝利で首相に返り咲き、それに伴って株価は急騰した。だが実体経済は追随しなかった。ヘッジファンドマネジャーのスティーブン・ジェン氏は先月、「強い政策措置を講じるという安倍氏の『意欲』だけで十分、持続的で大幅な株価急騰の原動力となった」と書いた。その上で「安倍氏の成功への『能力』をめぐる疑問は、2年後になってようやく妥当な問い掛けになった」と付け加えた。

 オバマ大統領はルーズベルトとは違い、ビジネスへの憎しみを決して良しとしなかった。だが、オバマ氏の行動がレッセフェール(自由放任主義)的な資本主義への不信を表していたのは確かだ。例えば、金融、医療、エネルギーへの規制を大幅に強化したし、企業の不正行為に過去最高の罰金を科した。

ビジネス界での経験年数

 ダリオ氏は、ジョン・F・ケネディ以来の歴代大統領(トランプ次期大統領を含む)について、それぞれの政権の高官トップ8人(大統領ないし次期大統領自身を含む)のビジネス界での累積経験年数を集計した。その結果、オバマ政権はビジネス経験が最も乏しかった一方、トランプ次期政権は最も多くなることが分かった。政府と軍隊の経験を加算すると、トランプ期政権の経験年数はジョージ・W・ブッシュ前政権に後れをとっているだけだ。

 しかし、このことは経済がどこに向かうかは一切語っていない。国民1人当たりの経済成長率はケネディ政権時代が最大だった。歴代の民主党政権はビジネス経験が乏しかったが、第2位はクリントン政権が共和党のレーガン政権と同率で並んだ。成長率が最も低かったのはブッシュ父子2代の政権だが、両政権は最もビジネス経験が長かった高官を擁していた。このことは、その他の事情、例えば人口動態上の特性、生産性、そして連邦準備制度理事会(FRB)の政策が、政権高官のビジネス上の資質以上に重要なことを物語っている。

 また、ビジネスリーダーが自らの経験を政治でどう応用するのかも重要だ。個々の企業にとって良いことが国全体にとっては良くないこともあるからだ。トランプ氏が商務長官に指名したウィルバー・ロス氏が2002年に買収した複数の破産鉄鋼会社は関税引き上げの恩恵を受けたが、鉄鋼を原料として消費していた何千もの企業は敗れ去った。石油大手エクソンモービル最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーソン氏は、クリミアを併合したロシアに対する西側制裁措置に反対し、株主たちに貢献した。だが、制裁反対が米国に寄与したかどうかはいささか疑問が残る。トランプ氏は自らのビジネスで、貸し手やサプライヤーに負った債務よりも借金返済額のほうが少ないのが常だった。

 それは恐らく、連邦政府にとって良いモデルではないだろう。

フーバー大統領の教訓

 指導者のビジョンと判断にとって重要なのは、それがどこで獲得されたかではない。マーガレット・サッチャーとロナルド・レーガンは、自らの世界観を経済学者のフリードリヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンに負っており、それはどんなビジネス上の経験よりも大きかった。2人は、ビジネス界の多くが厳しい金融政策を終わらせるよう懇願したにもかかわらず自らの政策に固執してインフレ高進を封じ、それによって強力なブル・マーケット(強気市場)の土台を築いた。

 有能なビジネス経験者たちが政権に役立つであろうことは確かだ。ジョージ・シュルツは大手エンジニアリング会社ベクテルを経営していたし、ロバート・ルービンは投資銀行大手ゴールドマン・サックス・グループのCEOだった。彼らはそれぞれレーガン政権の国務長官、クリントン政権の財務長官として極めて高い能力を発揮した。それは2人がビジネスと政権の双方に持ち込んだ判断力のたまものだった。

 他方で、ハーバート・フーバー以上に良いビジネス経験を持って政権を担った大統領はほとんどいない。フーバーは鉱業で財をなした後、戦争救済(第1次世界大戦中と戦後の欧州救済)の中心人物として、そして1920年代には商務長官として評判を築いた。1928年に大統領に当選すると、株式市場が急騰した。それはトランプ相場に匹敵するものだった。

 それでもフーバーは大恐慌を阻止できなかった。その一因は、政府の介入が必要だった諸問題に対し、純粋に民間部門の解決法を追求したことだった。

 トランプ相場がフーバー時代の株価急騰よりハッピーエンドで終わるようにするには、トランプ氏はビジネス経験者以外からも経済上の助言を求めるようにすべきだ。

筆者の過去のコラム

FRB議長とトランプ氏、ひとまず意気投合
米国経済の真の問題:イノベーション停滞
米大統領が経済の重力に逆らうとき
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