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「和民」看板外し業績改善 「ブラック隠し」「当然」賛否両論
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161224-00000532-san-bus_all
産経新聞 12/24(土) 14:25配信
居酒屋チェーンのワタミの業績が回復している。2008年に新入社員が過労自殺した事件をきっかけに「ブラック企業」のイメージが定着し、客離れを起こしていたが、総合居酒屋の「和民」や「わたみん家」を新業態の「ミライザカ」や「三代目鳥メロ」に転換し、復調している。ただ、一部の経済ニュース番組が「ワタミ隠し」で客足が戻っていると報じ、インターネット上では新業態の屋号について、賛否両論の意見が出ている。
「このまま行けば、通期で黒字化できる」。11月に都内で開いた16年中間期決算の説明会で、ワタミの清水邦晃社長は業績改善に手応えをみせた。
16年中間期の売上高は介護事業の売却などで前年同期比30.6%減の482億円で営業損益が10億円の赤字(前年同期は14億円の赤字)だったが、国内外食既存店売上高は101.8%増とプラスに転じた。「01年以降、半期で100%を超えたのは初めて」(清水社長)。企業イメージの悪化で売り上げの減少が続いていたが、ようやく歯止めがかかった。
要因は新業態への転換が大きい。総合居酒屋の「甘太郎」や「土間土間」を展開するコロワイドなどが赤字転落する中、低価格の焼き鳥チェーン鳥貴族は好調な業績を維持している。
低価格居酒屋が消費者に受け入れられており、ワタミも上期に和民など32店舗をみちのく清流若鶏唐揚げを提供するミライザカに、わたみん家など44店舗をタレの焼き鳥・串揚げの鳥メロに業態転換させた。
その結果、ミライザカは転換全店累計売上高が前年同期比33.3%増、鳥メロは45.1%増を記録した。今年度は和民やわたみん家の100店舗を新業態に転換する。清水社長は「ミライザカと鳥メロの業績が好調で、そちらに注力する」と述べており、来年度以降も新業態を増やす方針だ。
また、和民やわたみん家も、これまでの高価格路線を見直した効果で上期累計客数は前年比0.5%増とプラスで復調傾向にある。同社では12月の忘年会シーズンの客足が順調に推移すれば、17年3月期連結の営業損益は1億円の黒字に転じると予想する。
ワタミの業績回復について、一部の経済ニュース番組が「ワタミ隠し」の影響が大きいと報じた。新業態の屋号にワタミという文字がないため、ワタミグループと知らずにお客さんが入っていると伝えた。
この報道を受けて、ネット上では「ワタミグループと知っていたら入らなかった」、「ワタミを隠すのは良くない」という声などが相次いだ。
一方で、この報道に対して「新業態への転換が消費者に受けたのでは」、「イメージが悪いのだから屋号にワタミを入れないのは企業として当然だ」との声もあり、消費者の受け止め方はさまざまだ。
ワタミ広報は、ワタミ隠しで業績が回復していると指摘されている点について「さまざまな意見があることは承知している」とした上で、新業態の屋号については「ワタミという文字を意図的に隠しているわけではない」と回答した。
過重労働による新入社員の自殺や賃金未払いなどの問題を起こしたワタミは長年にわたって、ブラック企業と批判されてきた。創業者の渡辺美樹氏は、そうした批判を否定する発言を繰り返し、逆に企業イメージが悪化して客離れを招いた。
その渡辺氏が13年に参院選に出馬するため経営から離れ、15年に社長に就任した清水氏は「世間のブラック企業との批判を真正面から受け止める必要がある」と方針を転換。今年に入り、労働組合を発足させるなど、企業体質や労働環境の改善に取り組んできた。
若手女性社員が過重労働で自殺した電通問題が起こり、ブラック企業が改めて問題視されている今だからこそ、ワタミも見かけだけでなく本当に生まれ変わったかが問われている。(経済本部 黄金崎元)
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