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中国人のクルーズ船観光が急増中、世界の海を席巻へ 女子会のノリで世界一周 旅慣れた中国人たち 日本を飛び越え、世界へ
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 12 月 22 日 23:22:18: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見
2016年12月22日 莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
中国人のクルーズ船観光が急増中、世界の海を席巻へ

中国人観光客のクルージングによる旅が急増している(写真はイタリアのコスタビクトリア)
「豪華客船楽しむ時代に」

 約6年半前の2010年3月6日、私は日本の全国紙にこのようなタイトルで、中国人観光客がクルージング用の大型豪華客船に乗って世界中を旅行する時代が訪れた、とコラムで取り上げた。

 その年の2月、豪華客船による初の世界周遊ツアーが実現したので、当時の中国のメディアは、中国もクルージング元年を迎えた、とはしゃいだ。

 イタリアの「歌詩達」(コスタ)、米国の「皇家加勒比」(ロイヤルカリビアン)などの社名が豪華客船と重なり、多くの中国人の心に焼き付けられた。地中海の青い空、太平洋を横断する爽快さ、船の横を流れていく無名の島、海の水面をかすめて飛ぶ魚……。これらが豊かになった億単位の中国人が追い求める新しい生活スタイルとなりつつある、と私は書いた。

 実は、その時点から中国の沿岸部で新しい競争も始まった。「郵輪母港」つまりクルーズ専用の港になるべく、大連、青島、上海、寧波、アモイ、海南の三亜などの沿海都市が名乗りをあげている。タイタニックよりはるかに大きい皇家加勒比の22万トン客船が、2009年12月に初航海をした。それを聞いた海南では、すぐに25万トンの大型客船が停泊できる規模の埠頭の建設に取り掛かった。いうまでもなく、その大型客船の寄港に狙いを定めている。

 歳月はあっという間に過ぎ去ってしまい、中国のメディアはまた、2015年はクルーズ元年と騒ぎ出した。同じく「元年」という言葉を使っているが、その着眼点が違う。前者はクルーズが中国に登場したことに力点を入れて強調しているのに対して、後者はその市場規模がある程度になったことに力点を置いて見ているのだ。

 その着眼点の違いからは、市場の変化と乗客の顔ぶれが読み取れてくるので、なかなか面白い。

女子会のノリで世界一周
旅慣れた中国人たち

 12月9日〜20日まで、航路としては、横浜から神戸を経て、さらに上海に寄港したうえ、シンガポールにたどり着いた。これは私が乗った区間の航路だ。

 私が乗りこんだのはオーシャン・ドリーム号という客船だが、30年前後もある船齢の船だが、1000人規模の乗客を載せて世界一周の旅に出るのだ。神戸、上海、シンガポールから乗船する人もかなりいる。私が降りた後、客船はインド洋に進み、南極を経て、世界一周の旅を本格的に展開させていく。

 私は、上海から乗船した中国人乗客の大半は初のクルーズ体験ではないか、と事前に推測していたが、実際、乗ってきた中国人乗客に話を聞いたら、びっくりする事実が出てくる。

 たとえば、趙さん(79歳)という上海出身の男性乗客は、今回の航海を除いて、すでに8回もクルーズの乗船経験を持っている。

 本人の話を聞くと、「アメリカのクルーズ“量子號”はこれまで乗ってきたなかで最大の客船です。その量子號の処女航海に参加するため、上海からわざわざスペインに飛んでいって乗船したのですよ。世界一周のクルーズの旅も今回を入れて2回となりますが、ただ、2回とも南半球の旅だった」という。やや残念がっている口ぶりがいかにも旅慣れた様子だったが、初クルーズ体験は2013年だったということを知って、そのクルーズ利用頻度にただただ驚いたのだった。

 ちなみに、趙さんが言う“量子號”はロイヤルカリビアン社の海洋量子號(英語名:MS Quantum of the Seas)のことを言う。16万トンで4000人も載せる量子號は上海を母港とするクルーズだ。処女航海は2014年の11月だった。

 もう一人の男性にもインタビューをしてみた。74歳の呉さんだ。クルージング体験はすでに4回だ。ヴォルガ川、ナイル川、ドバイなどでクルージングしたことがある、という。

 もう一つの現象は旦那さんを家に残して、女子会のノリで世界一周のクルーズ旅に出る女性も相当いることである。船上で積極的に日本人に声をかけたり日本人が作った自主企画に参加して交流したりしている。言葉が通じないとか、受け入れてもらえるのかといった悩みなど、まったく見せない。海外旅行に慣れてきた中国人客がだいぶ増えたという実感を一層強くした。

80年代とは大違い
日本を飛び越え、世界へ

 1981年、私は初めて日本を訪問したとき、瀬戸内海にひとめぼれした。フェリーの手すりに寄りかかって、瀬戸内海の夕日を眺めるのが好きだった。これから多くの中国人観光客もその瀬戸内海の美景に陶酔するだろう、と想像していた。

 しかし、いまや大勢の中国人はクルーズの手すりに寄りかかって、世界の川と海の景色を楽しみ始めている。しかも急速な勢いでそのクルージング人口を増やしていく。

 2002年から2012年までの間に、中国人のクルージング人口は毎年30%の勢いで増え続けている。2015年、中国はすでに世界のクルージング人口ランキングにおいては、7位に食い込んだ。これからは間違いなく世界最大の規模を誇るようになるだろうと、多くのクルーズ会社が中国を熱く見つめている。だが残念ながら、日本のクルーズ会社にとっては中国はまだ近くて遠い市場のようだ。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)
http://diamond.jp/articles/-/112331  

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