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獲得した欧州の販路に乗せて「スーパードライ」を世界に拡販できるかが成長の鍵を握る Photo:Bloomberg/gettyimages
アサヒの東欧ビール巨額買収、実は「手堅い買い物」
http://diamond.jp/articles/-/111791
2016年12月19日 週刊ダイヤモンド編集部
ビール国内首位のアサヒグループホールディングスが約9000億円の大型買収を決断した。業界内外からは「リスクが大きい」との声が上がるが、アサヒの真意は逆。手堅い買い物を選んだ結果だった。(「週刊ダイヤモンド」編集部 泉 秀一)
「日本vs中国の構図でどちらも譲らず、結果的に金額がつり上がった」。ある投資銀行の関係者は、巨大ディールをこう振り返る。
アサヒグループホールディングスは12月13日、ビール世界最大手であるベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI)の東欧5カ国のビール事業を買収することで、同社と合意したと発表。買収額は当初、5000億円程度と見込まれていたが、約8883億円にまで膨らんだ。
この案件は、ABIと世界第2位だった英SABミラーの合併に伴い、独占禁止法への対応として売りに出されたもの。チェコ、ポーランド、ハンガリー、スロバキア、ルーマニアの5カ国の事業が対象となった。
ビール業界の世界再編は、ABIとSABの統合により「ほとんど片が付いた」とアサヒ幹部。「今回は残り少ない買収チャンスだった」(同)。
だからこそアサヒだけでなく、中国最大手の華潤ビールも買収に名乗りを上げた。投資ファンドも入札に参加したが、最後はアサヒと華潤の一騎打ちで争奪戦が繰り広げられた。
買収発表直後、業界内外から「高値つかみでリスクが大きい」という声が上がった。買収の報道が流れた13日、アサヒの株価は急落し、一時は前日比で6.4%下げ、終値は同4.2%安。巨額の投資リスクを嫌われた格好だ。確かに当初の予定から大幅に金額が上乗せされ、「買収額に割安感はない」(アナリスト)。
一見、アサヒはリスクの大きな選択をしたように思える。しかしその真意は逆。今回の大型買収は、限られた選択肢の中からできるだけリスクの小さい勝負を選んだ結果なのである。
■安定的に稼ぐためベトナムを捨て東欧を選んだ
国内のビール系飲料市場が縮小する今、ビールメーカーにとって成長エンジンが海外なのは明白だ。「チャンスを逃して海外に投資しない方がリスク」と大手ビールメーカー幹部。では、出物が残り少ない買収案件のうち、どこを狙うのか。
アサヒには東欧の他にベトナムでの投資という選択肢もあった。ベトナム政府がサイゴンビール・アルコール飲料総公社(サベコ)とハノイビール・アルコール飲料総公社(ハベコ)の国営2社の売却を予定しているからだ。
ベトナムは年率5%超えの成長市場で、トップシェアを握るサベコの争奪戦が熾烈になることは必至。キリンホールディングスやサッポロホールディングス、さらにABIやオランダのハイネケンなど海外勢も入札に参加する予定だ。
しかし、仮にサベコを取得できたとしても、成長市場であるが故、他社との間で価格競争が勃発してシェアが安定しない可能性が高い。入札合戦で価格がつり上がれば、ばら色の世界から一変、減損リスクを背負うことになる。
一方、東欧はすでに市場シェア争いが一段落している。買収する事業は、スロバキア以外はトップシェアで、「大崩れの可能性は低い」(藤原悟史・野村證券アナリスト)。安定的なキャッシュ創出が見込めるのだ。
アサヒの小路明善社長は、買収を発表する直前の6日、本誌のインタビューで買収の基準は四つあると語った。
それは「売上高EBITDA比率20%超えの高収益」「エリアで強いブランドを有している」「高い経営能力を持ったトップとキーパーソンがいる」「高い醸造技術を有している」というもの。
買収する東欧のビール事業は、売上高EBITDA比率が31%。とりわけ安定的な収益基盤を重視するアサヒのお眼鏡にかなった。
財務の安定性については、ネット有利子負債/EBITDA比率を重視する方針。「新たな買収をした場合、数年で倍率を適正の3倍に戻していく」(小路社長)と語っていた。
今回の買収に掛かる費用は銀行借り入れで賄うもよう。単純計算で有利子負債は1兆3000億円規模に膨らみ、ネット有利子負債/EBITDA比率は4.6倍程度に上昇する。年間1000億円程度の返済を5年続ければ3倍程度に戻せる計算になる。
ただし、東欧はベトナムに比べて市場の成長性は低い。アサヒは「スーパードライ」の拡販で成長を目指すことになるが、欧州でのスーパードライの売り上げ規模は約100万ケースと小さく、大幅な販売増を実現できるかは不透明だ。海外での大型買収経験に乏しいだけに、経営陣との意思疎通やマネジメントにも不安が残る。
10月に西欧でも約3000億円の買収を行い、一気に海外展開を進めているが、一連の買収を“おいしい”案件にできるかどうかは、今後の料理法に懸かっている。
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