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現在の日本株は円安進行を見込んでも割安感はなし
http://diamond.jp/articles/-/111796
2016年12月19日 成瀬順也(大和証券チーフストラテジスト) ダイヤモンド・オンライン
2016年はU字型の株式相場となった。注目は投資家のマインドの変化の大きさで、年初は悲観に振れ、年末は楽観に振れた。それぞれの背景となる考え方は大きく異なる。
年初は原油の大幅安で世界経済がデフレに沈むことが懸念され、年末には次期トランプ政権の誕生で、米国を中心に減税と公共投資増加で再度インフレになるのではないかと期待が高まっている。いったいどちらが正しいのか。
われわれは、その中間に答えがあると考える。世界のデフレ圧力は中央銀行の金融政策によって下支えされ、先進国の「日本化」が進む中、財政政策でインフレをつくり出すのは容易ではない。
16年に企業収益が全体として伸び悩む中で、日本株は海外市場の動向の影響を大きく受けた。為替要因を除いては17年も大きく伸びる要素は少ない。海外情勢を整理することは投資家にとって重要だ。
日本株の今年の上下は、ドル円相場の上下としても表れている(グラフ上参照)。年前半は円高が進み、年末にかけて円安に戻りつつある。現在のトランプ相場は、米国の景気上昇→米国のインフレ率上昇→米国金利上昇→ドル高円安→日本株高という経路をたどっている。
この経路がいつまで日本株を上昇させ続けるのかは疑問が残る。黒田日銀のバズーカ金融政策が当初2年間はインフレへの期待をつくり出したが、実際にはインフレをつくり出せなかったのと同じように、財政政策によって米国景気が金利上昇を相殺するほど力強く回復し続けるのかは未知数である。
11月26日号の本欄では、日経平均株価の上値は海外株式と比較して日本株の割安感がなくなる1万8000円程度と述べた。しかし、現在は1万9000円を超えている。12カ月先の利益予想に基づく日経平均のPER(株価収益率)は16.5倍ほどで、ある程度の円安を考えても割安感はない。
グラフ下は、PBR(株価純資産倍率)が1倍以下、つまり株価が1株当たり純資産を下回って取引されているTOPIX500銘柄の数を示したもの。この指標は昨年6月の高値時の水準まで低下、株価がかなり上方の期待値を織り込んでいることを示している。
株価は期待値を反映するものであるが、上にも下にも行き過ぎる。今年9月には「金融政策限界論」が広まっていた。10月1日号の本欄で「金融政策の限界」として理解すべきではなく、「金融政策は十分である」と理解すべきとして、一つの面から株式市場を見て解釈する危険に警鐘を鳴らした。現在は、トランプ政権の誕生→円安という経路のみにスポットライトが当たっているように見える。ほかの要因にも注意を向けるべきときであろう。
(大和証券チーフストラテジスト 成瀬順也)
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