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貧困解消を訴える若者たちのデモ=東京・新宿で2016年8月(毎日新聞)
<貧困>「40代下流」を増やしてはいけない理由
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161217-00000007-mai-bus_all
毎日新聞 12/17(土) 9:30配信
1990年代後半に社会に出た就職氷河期世代が、そろそろ40代を迎えます。不安定な雇用状況に翻弄され、キャリアを築けなかったり、望む仕事に就けなかったりした人たちがたくさんいます。さいたま市のNPO法人「ほっとプラス」代表理事で、「下流老人」著者の藤田孝典さんが、彼らの現状を報告します。
埼玉県内の大手スーパーでレジ打ちの仕事をしている陽子さん(43歳・仮名)は、低い賃金ながら一生懸命働いています。ここ数年、県の最低賃金が10円ちょっとずつ引き上げられたことで時給が上がり、「すごく助かっている」と言います。
日本には、アパートの家賃を払い、税金を納め、日々の小さな喜びを支えにつつましく生きる陽子さんのような人が数百万人いて、暮らし向きが良くなることを望んでいます。彼ら彼女たちは自分を貧しいとは思っていません。将来への不安があっても、それが誇りです。
その誇りと暮らしは、ひとたび病気やアクシデントに見舞われると、すぐ崩壊しかねません。そして、年を重ねるごとに崩壊リスクは高まります。なぜなら、かつて機能していた「結婚」というセーフティーネットが機能しなくなり、収入がなくなって頼れる網は、生活保護しかなくなったからです。
貧困ラインすれすれの人たちの数を減らし、生活保護予備軍と言われる人たちの暮らしをどう安定させるのか。これまでの家族制度や社会保障の仕組みによらない、新しい仕組みを早急に考える時期にきています。「自己責任」と言い放って彼らを放置することは、社会の安定や成長を妨げる“無責任な行為”と言えます。
◇「独身の娘がこれからどう生きていくのか心配……」
私たちのNPO法人「ほっとプラス」への相談は、貧困当事者からのものばかりではありません。先日、38歳独身の娘と暮らす父親(65)から電話がありました。
父親は会社を定年退職し、妻と娘の3人で持ち家で暮らしています。娘は2000年ごろの就職氷河期時代に短大を卒業し、東京や埼玉県内で仕事を転々とし、今は実家に戻ってパートの仕事をしています。
実家で家賃はかからず、お風呂にも入れて、母親が作る食事を食べ、今のところ生活は不自由ではありません。収入はパートタイムワークで得られる10万円そこそこ。父親の相談は「私と妻に何かあったら、彼女は1人で生きていけるでしょうか、自立できるでしょうか」というものでした。
娘との関係は悪くなく、普通に会話はするものの、将来について話すのはタブーになっているというのです。
「結婚する気はあるのかと尋ねるのもはばかられ、尋ねたとしてもどうなるものでもないとも思っています。38歳で新しい恋や仕事に向かうふうでもない娘を見ながら、年老いていく自分たちのこれからの不安と、娘の将来への不安がないまぜになり、胸が苦しくなって相談しました」
ここ数年、このような親からの相談が増えています。00年前後以降に社会に出て、非正規でキャリアを築けなかった人たちがやり直しのききにくい中年層に突入し、高齢化する親とともに数年先への不安を抱えている、という構図です。
親世代は高度成長期に働いてそれなりの資産を形成し、年金も一定程度受給できる世代です。だから親と同居している子供の困窮は、外からはよく見えません。しかし、親が高齢期に突入し、病気や要介護になると、困窮は一気に表面化します。さらに親が亡くなると、子供を守っていた「親の年金」がなくなり、子供は一気に丸裸になります。
◇生活保護を申請したがらない母と娘
栃木県の68歳の女性からは、41歳の娘さんのことで相談がありました。娘さんは東京都内で会社に勤めていたところ、長時間労働でうつになり、実家に戻って暮らしています。ところが、お母さんは夫を亡くした後、今は月12万円の遺族年金だけで生活していて、そこに娘が加わり、生活と家計が限界に近いという相談でした。持ち家だからなんとか維持できているものの、突発事態が起きたら崩壊する不安を抱えていました。
娘さんはうつの治療中で、寝たり起きたりの生活ですが、できればもう一度働きたいという希望を持っています。「ゆっくり焦らず治しましょう」とアドバイスするものの、月の収入が12万円ですから、そうゆっくりしてはいられません。
月12万円の母娘2人の暮らしは、生活保護基準に該当する水準です。しかし、お母さんが一度役所に相談に行ったところ、持ち家と自動車がネックになって、受給できませんでした。
栃木県では自動車がないと生活できませんが、役所で「ここは山間へき地ではないので、やはり車を手放してもらわないと生活保護は認められない」と、申し訳なさそうに言われたそうです。
うつで治療中の娘、遺族年金で暮らす母親ーー本来なら生活保護で暮らしを立て直すべき人たちです。でも、本人たちは生活保護に頼ることに消極的。これまで誰にも頼らず暮らしを立ててきた誇りがあり、保護を「施し」と受け止めがちです。
◇男性よりも中高年女性の方が下流転落リスクは高い
内閣府の2013年版「男女共同参画白書」に盛り込まれた各種データによると、企業の非正規労働者の割合は年々上昇しています。特に女性の非正規率は15〜24歳50.6%▽25〜34歳40.9%▽35〜44歳53.8%▽45〜54歳58.4%▽55〜64歳65.4%−−と、軒並み高い数字を示しています(12年労働力調査データ)。例えば男性の25〜34歳15.3%▽35〜44歳8.6%−−と比べても、異常とも言える高さです。
職業人生のスタート時点で正社員に就く機会の圧倒的な低さ、実際の低賃金、年をとるごとに高まる失職のリスク、生涯未婚率の高まりは、男性以上に女性を困窮に追いやっています。
中流だった人たちが「下の上」に落ち、救済を得られない状況がさらに広がっています。これまでの仕組みをどう変えて助け合えばいいのか。私たちみんなが考えなければいけない課題です。
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