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海外でQBハウスの店舗が増えている
「儲かっているのに、撤退」QBハウスの事例
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161214-00000027-zdn_mkt-bus_all
ITmedia ビジネスオンライン 12/14(水) 8:14配信
空いた時間に、ささっと髪を切りたい――。そんなときにヘアカット専門店「QBハウス」(運営:キュービーネットホールディングス)で切ったことがある人も多いのでは。カット時間は10分で、料金は1000円(税抜き)。「短時間、低価格」をウリにした理容店が、海外でも増えているのをご存じだろうか。
2002年、シンガポールに進出。現地で手ごたえをつかんだQBハウスは、香港や台湾に出店し、2017年夏にはニューヨーク進出も予定している。来店客数と店舗数をみると、この10年で10倍に。そんなものスゴい数字をみると、当然、ライバルも登場してくる。「短時間、低価格」を真似た模倣店が増えていく中で、QBハウスはどのような手を打ってきたのか。
前回、そのような話を中心に聞いたが、今回は出店戦略について。日本と海外の店でどのような違いがあるのか。キュービーネットホールディングスで海外事業を担当している取締役の松本修さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
●日々の生活シーンの中に
土肥: QBハウスはどんなところに出店しているのか。日本の店舗をみると、駅前だったり、商業施設の中であったり、オフィス街だったり。人がたくさんいるところを中心に出店している印象がありますが、海外ではいかがでしょうか?
松本: 基本的には同じです。駅でいうと、乗降客数や人口密度が高いところが多いですね。日本でいえば、東京・新宿・渋谷といった乗降客数が多いところにある店舗は人気があります。商業施設でいうと、ショッピングセンターのほかに、地域のいわゆる“一番店”の中も好調です。例えば、東京の人は知らないけれど、埼玉にある地元のスーパーとか。集客力のある商業施設に出店すると、人気店に成長する傾向がありますね。
土肥: やはり、「人がたくさん集まっている」「人がたくさん歩いている」といったところに店舗を出されているわけですね。
松本: たくさんの人が乗り降りしている駅、たくさんの人が利用しているショッピングセンター、たくさんの人が集まってくる地元のスーパー。出店を検討する際、これらの条件は重要になりますが、それだけではありません。「人の導線」にも注目しています。QBハウスは、日々の生活シーンの中になければいけないと思っています。
土肥: 日々の生活シーンの中に? どういう意味でしょうか?
松本: ビジネスパーソンであれば、通勤で鉄道に乗るために駅に行く、そして会社に到着する。休日は商業施設で買い物をする。そうした日常生活の途中に「立ち寄りやすいなあ」「手軽に行きやすいなあ」と感じられるような場所に店舗を構えなければいけません。駅中であれば人がたくさん歩いているところよりも、「髪を切ろうかなあ」と思えるところのほうがいいかもしれない。商業施設の中であればたくさんの人が買い物をしているところよりも、建物の隣のほうがいいかもしれない。
日本の場合、高齢化が進んでいるので、これからは住宅地の中や郊外などに出店してもいいかもしれません。繰り返しになりますが、出店場所については日本も海外も同じ考え方ですね。
●香港で「シェル型」店舗
土肥: 海外で「シェル型」店舗を出されているそうですが、これはどのような形なのでしょうか?
松本: 簡易型の店舗で、広さは1坪ほどしかありません。ブースは組み立て式なので、空きスペースなどに出店できることが特徴です。また、組み立てには数時間しかかからないので、「明日、このスペースに店を構えたいなあ」と思ってもすぐに対応することができるんです。
土肥: 丸いブースの中に、イスはひとつ。その中でスタイリストがお客さんの髪を切るわけですが、待っているお客さんはブースの外で座ることができるんですよね。なかなかユニーク。
松本: 賃料が高いシンガポール(現在は閉鎖)と香港で出店しています。「この商業施設の中で出店したいなあ」と思っても、他のテナントの関係で出せないことがあります。タイミングが悪く、場所がない。ただ、シェル型はいわゆる“デッドスペース”にも出店することができるので、施設側の人と交渉しやすいんです。例えば、エレベーター周辺にデッドスペースがあって、商業施設側の人が「このスペースはもったいなあ」と思っていたら、当社が「ぜひ、そのスペースにシェル型を」といった感じで。
日本で既存店舗(3〜5席)を出店しようとすると、2000万円ほどかかりますが、シェル型は200万円ほど。省スペースで設置できて、設備投資も抑えることができます。実際に出店してみて、「来店客数がちょっと少ないなあ」ということであれば簡単に移動することができる。逆に好調であれば、タイミングがあえば既存型の店舗を構えることができる。
土肥: まずは小規模で展開して、好調であれば規模を拡大させていくわけですね。日本でもスモールスタートができるシェル型の店舗を設置してみてはいかがでしょうか?
松本: 残念ながら、日本ではできません。
土肥: なぜですか?
松本: 日本の場合、法律の関係で許可が下りないんですよね。店舗には間仕切りが必要だったり、待合スペースの設置が義務付けられていたり。これらがなければ美容師法上などの規制に抵触してしまうんです。
●ここに出店して、失敗しちゃった
土肥: QBハウスの店舗が、海外でどんどん増えていますよね。この10年で10倍に。来店客数も増えているので、こうした数字をみると「うまくいってるなあ」と感じるわけですが、失敗したケースもあるのではないでしょうか? 「あっ、ここに出店して、失敗しちゃった」といった感じで。
松本: 実は、失敗したケースはたくさんあるんです。「人がたくさんいるのでこの店は絶対にうまくいくぞ」と思っていたのに、実際にオープンしたところ、お客さんが少なくて閉鎖に追い込まれることがありまして。
例えば、シンガポールのターミナル駅前に出店したときにはこんなことがありました。その駅の1日の乗降客数は10万人ほど。駅を出ると、すぐにバスターミナルがある。駅とバスターミナルの間に出店することになったので、「絶対に大丈夫。たくさんのお客さんが来られる」と夢を描いていたのですが、ダメでした。なぜか。人が止まってくれないんですよね。
土肥: 止まってくれない? どういうことですか?
松本: シンガポールって暑いですよね。外に出ると暑いので、現地の人はできるだけ涼しいところに行こうとするんです。つまり、駅を出ると、すぐに目的地へ行こうとする。もちろん、QBハウスの店内もクーラーを設置していて涼しいのですが、「ちょっと髪を切るか」といった気持ちにはならず、「早く会社に行きたい」「早く買い物をしたい」「早く家に帰りたい」といった気持ちのほうが強いようですね。店の前を歩く人を観察していると、ほとんどの人が早歩きで通り過ぎていました。こうした状況が続いたので、あきらめて撤退しました。
土肥: 「人が多ければ、お客さんの数も多くなる」と思っていましたが、そんな単純な話ではないわけですね。
松本: はい。失敗した事例は、まだまだあります。ある人から「シンガポールの駅中に大きな商業施設ができる」という話を聞きました。詳しく聞いてみると「駅の改札を出て、徒歩20秒くらい」のところに店を構えることができることが分かってきました。好立地なので、絶対に大丈夫。ワクワクしながら店をオープンしたのですが、ダメでした。
土肥: また暑さの問題ですか? 改札を出てから店の間がものすごく暑いので、ほとんどの人が素通りした。
松本: いえ、建物の中なので涼しい。快適な環境だったのですが、閉鎖に追い込まれました。
土肥: 何があったのですか?
●儲かっているのに撤退って
松本: オープン初日に、店に足を運んだんですよ。「さあ、どのくらいのお客さんが来られるのかなあ」と楽しみにしていました。でも、その光景を見て、びっくりしました。商業施設の中にはテナントが入るスペースがたくさんあったのですが、QBハウスの周囲はどこも埋まっていなかったんです。つまり、ズラリと並んでいる中で、オープンしているのは当社だけ。
日本ではちょっと考えられませんよね。大型の商業施設がオープンするとなれば、中に入っている店は一斉にオープンする。でも、現地では違っていたんです。しかも、問題はそれだけではありません。施設が完成していなかったんです。店の前の道路も工事中で、入店するのにぐるっと遠回りしなければいけない状況でした。施設の関係者に、完成するのはいつですか? と聞いたところ「1カ月後くらいかな」という返事が戻ってきました。
そんな状況でしたが、店をオープンしました。ただ、やはりというか、お客さんは少なかったですね。1日に十数人ということも。「この物件は、いい条件だなあ」と感じても、どこに落とし穴があるのか分からないんですよね。海外では日本の常識が通じないことを痛感しました。常識が通じないといえば、香港で儲(もう)かっているのに撤退に追い込まれた店がありました。
土肥: 儲かっているのに撤退って。まさか、大家さんに「出ていけー!」と言われたとか。
松本: その「まさか」なんですよね。
土肥: なんと。
松本: その店はものすごくお客さんが多かったんです。店の前も人がたくさん歩いていて。そうした状況を見た他の業界の人が「QBハウスの場所で、ウチの店を出したい。いまの賃料の倍払うから、貸してくれないか?」といった交渉をしたようです。結果、当社が出ていかなければいけない事態に。日本ではこうしたケースは珍しいと思うのですが、海外では日本の常識が通じないケースが多々あります。
土肥: 儲かっていればいるほど、撤退のリスクが高まるわけですね。む、難しい。
●「日本のやり方」をそっくりそのまま
土肥: 2017年にニューヨークのマンハッタンに進出するそうですね。現地にはどのようなヘアカット店があるのでしょうか?
松本: マンハッタンには約440店あって、カット料金は15〜100ドルほど。中心の価格帯は25〜50ドルほどですね。昔からある床屋は25〜50ドル、富裕層が利用する美容院は100ドルほど。一方で、QBハウスのようなチェーン店はほとんどないので、ニーズを掘り起こすことができるのではと考えています。まだ具体的なことは決まっていませんが、まずは3店舗ほど出店して、価格は15〜20ドルを予定しています。
土肥: シンガポール、香港、台湾に進出したときには「日本のやり方」をそっくりそのまま現地に持ち込みました。ニューヨークでもそのように考えているのですか?
松本: はい。海外でビジネスを展開されているところで、立ち上げ当初は順調だったのに、しばらくすると売り上げが減少するところがあります。例えば、飲食店だと、しばらくして「ん? 味が落ちたかな」と感じることがあるんですよ。なぜ味が落ちたのか。関係者に話を聞いたところ「日本から来た立ち上げメンバーが帰国した。いまは現地の人に任せている」と言っていました。
誤解してほしくないのですが、現地の人に任せるのがダメという話ではありません。現地の人材が育っていない段階で帰国したので、サービスが低下してしまったのではないでしょうか。逆に、現地の人をきちんと育成して、「これでいける!」と判断してから帰国する。そうしたことをちゃんとやっている会社は、サービスレベルが落ちにくいのかもしれません。
当社も、ニューヨークに進出する際、日本のやり方を導入する予定です。点ではなく面で勝負する――。店舗数をどんどん増やしていくつもりなので、現地のスタイリストを育成していかなければいけません。そのためには、シンガポール、香港、台湾でやってきたノウハウを生かして、人を育てていければ。
土肥: その後は?
松本: まだ具体的なことは何も決まっていませんが、ロンドンやパリといった都市にも進出したいですね。武者修行のような形になるかもしれませんが、私たちがこれまで培ってきた技術力や組織力などがどこまで通じるのか。現在、年間来店客数の海外比率は15%ほどですが、3年後には30%に伸ばしたいですね。
(終わり)
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