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「Amazon HP」より
アマゾンが実現してしまったSFみたいな無人コンビニ、もはやメーカーを凌駕
http://biz-journal.jp/2016/12/post_17469.html
2016.12.15 文=宮永博史/東京理科大学大学院MOT<技術経営>専攻教授 Business Journal
12月6日、アマゾンがコンビニエンスストア事業に参入すると発表した。このニュースを表面的に見ると、ネット通販からリアル店舗への拡大かと思うが、その内容は実に驚きだ。単なるコンビニではない。まさに未来を切り開くイノベーションなのだ。
■最新技術を駆使して無人店舗を実現
アマゾンが提供しようとしているコンビニは無人の店舗だ。店内にはレジもスタッフも存在しない。レジがないのだから顧客はレジで待たされることもない。サクサクと買い物ができる。商品棚から購入したい商品を取ったら、そのままレジで精算することなく持ち帰ることができる。では支払いはどうするのか。そもそも誰が何をどのくらい購入したか、アマゾンはどのように把握するのか。
店舗にはセンサやカメラが設置されていて、客がどの商品を手に取ったり、棚に戻したりしたかを自動認識するという。顧客が買い物を終えて店から出ると自動精算が行われる。支払いは顧客が普段アマゾンの通販サイトで使用しているカードから自動で引き落とされる。顧客にはメールでレシートが届くという仕組みだ。
アマゾンのサイトに行くと、「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」と呼ぶこれまでにない新店舗で買い物体験する様子が、具体的に動画で紹介されている。それはまるでSF映画を見ているようだ。
動画を見てほしいが、顧客はあらかじめアマゾン・ゴーのアプリをスマートフォン(スマホ)に入れておく。店の入り口は駅の改札口に似ている。顧客はSuicaをかざすようにスマホを“改札機”にかざして入店する。あとは自由に商品を棚からとって、そのまま店を出ていくだけだ。レジで待たされてイライラすることもないし、店側もレジのスタッフを雇う必要もないから気が楽だ。
■実現は遠いと思っていたが
筆者は実はある知人から、アマゾン・ゴーとまったく同じコンセプトを、アマゾンが発表する5日前に聞いていた。彼が独自に考えたものだ。正直に告白すると、そのコンセプトの説明を聞きながら、まだ技術を磨く必要があるため、実現までにはかなり時間がかかりそうだと思っていた。おそらく、コンセプトを考案した本人も同じ思いであったろう。
ところが、それからわずか5日後に、そこで語られたコンセプトをアマゾンが発表したのだから驚きだ。コンセプトを創造した本人は「12月6日という日を一生忘れません」と語ってくれた。さぞかしがっくりきたことだろう。しかし、コンセプトが実現されたのだから、コンセプトそのものは決して間違っていなかったと思う。むしろ筋がよかったといえる。
さてアマゾン・ゴーだ。現在はまだアマゾンの社員だけが実験的に使用している。その実験店舗は米国ワシントン州シアトルに存在する(住所は、2131 7th Ave, Seattle, WA)。そして、2017年には一般向けにサービスを開始するという。
アマゾンは、キンドル、アマゾンダッシュボタン、アマゾンエコー(日本では未発売)などまるでメーカーのように新製品を次々と発売している。それも、アマゾンのサービスと実にうまく連動している。この一連のアマゾンの動きは一体何を示唆するのであろうか。
■製造業とサービス業の垣根がなくなりつつある
アマゾンはサービス業であるからメーカーのように自ら製品を開発することはないと思われてきた。しかし、最近はキバ・システムズというロボットメーカーを買収して物流拠点で使用するロボットを自ら開発するなど、メーカーの側面も持ち始めている。
物流ロボットは自社の物流センターで使っており、今のところ外部に販売してはいないようだが、自社で培ったノウハウをもとに外部へロボットを売ることも可能だ。実際、AWSと呼ぶデータセンター事業は、自社で蓄積したノウハウを強みに外部へ販売し、シェアトップを獲得している。
アマゾン・ゴーの店舗にも先端技術がふんだんに詰め込まれている。もはやメーカーも顔負けするほど技術開発をアマゾンは先導しているといってよい。アマゾンの経営から見えてくることは、今や製造業とかサービス業とか企業を色分けすることが時代後れになりつつあるということだ。
アマゾンだけではない。米国を代表する製造業であるゼネラル・エレクトリック(GE)は、今やサービス業に力を入れている。IBMはすでにそうした変化を遂げている。EV(電気自動車)や自動運転など大きな転換点にある自動車業界でも、欧州の自動車部品メーカーなど製造業が多くのITエンジニアを採用しサービス業へと変化しつつある。
ただし、製造業をやめてサービス業になるのではない。あるいはサービス業をやめて製造業になるのではない。製造業とサービス業を両方持つことによって価値を向上させようとしているのだ。
製造業とサービス業の垣根は限りなく低くなっている。国内でも先進企業はそうした動きをすでにとっている。コマツやダイキンなどはその典型例だ。先進的な企業はもはや製造業とサービス業の垣根を取っ払ってしまっている。その一方で、経営に苦しむ製造業は、こうした変化に適応できていない。東京五輪が開催される2020年以降、製造業が生き残っていけるかどうかは、今の企業のあり方をみていると想像できるように思う。
(文=宮永博史/東京理科大学大学院MOT<技術経営>専攻教授)
参考文献
配送網・AIで生鮮開拓 アマゾンがコンビニ、日経産業新聞、2016年12月7日
宮永博史
東京理科大学大学院イノベーション研究科技術経営(MOT)専攻教授。東京大学工学部・MIT大学院修了。NTT、AT&T、SRI、デロイトトーマツコンサルティング(現アビームコンサルティング)を経て2004年より現職。主な著書に『顧客創造実践講座』、『世界一わかりやすいマーケティングの教科書』、『幸運と不運には法則がある』、『理系の企画力!』、『技術を武器にする経営』(共著)、『全員が一流をめざす経営』(共著)、『成功者の絶対法則 セレンディピティ』『下手なビッグデータよりも賢いスモールデータ』などがある。
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