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次期FRB議長は誰か? 米利上げは織り込み済み、ウォール街では「ポスト・イエレン」への関心も(写真=Getty Images)
次期FRB議長は誰か? 米利上げは織り込み済み、ウォール街では「ポスト・イエレン」への関心も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161213-00000018-zuuonline-bus_all
ZUU online 12/13(火) 12:10配信
FOMC(米連邦公開市場委員会)が13、14日の日程で開催される。マーケットでは利上げは既に織り込み済みと見る向きが多く、市場参加者の関心は「来年以降の利上げペース」に集まっているようだ。
もっとも、ウォール街の市場関係者からは「イエレン議長の後任が誰になるのか気になる」との声も聞かれる。2017年以降の利上げペースもさることながら、次期FRB議長をめぐって様々な憶測が交錯する可能性がある点にも留意すべきであろう。
■ウォール街で懸念される「年初の悪夢の再来」
フェドウォッチによると、12月のFOMCでの利上げ確率は95%(9日現在)となっており、利上げはほぼ確実視されている。
ちなみに、来年6月の利上げ確率は57%にとどまっているが、ウォール街では「来年2回程度の利上げを織り込み中」との意見が多く聞かれる。今回のFOMCでは2017年中の利上げ見通しがこれまでの2回から「3回」もしくは「4回」へと引き上げられる可能性も否定できない。
それでなくとも、2016年は米利上げとドル高で年初から下値波乱のスタートとなった経緯がある。2017年も「年初の悪夢の再来」が当然ながら懸念されている。ウォール街のあるファンドマネージャーからも「米経済はいま以上の金利上昇とドル高には耐えられないのではないか」と心配する声があがっている。
こうした経緯を踏まえ、利上げ見通しを上方修正する一方で、声明文をハト派にすることで利上げ観測の行き過ぎに対処するとの見方も少なくない。昨年12月のFOMCでは、金融政策の「正常化」への動きがやや前のめりとなっていた観は否めず、それが「年初の悪夢」を呼んだ側面もあるからだ。
■声明文は「ハト派」的な内容となる可能性
今回のFOMCでは「年初の悪夢の再来」を回避するために、ドル高に対する懸念を表明するなどハト派的な内容を声明文に盛り込むことが考えられる。イエレン議長の「高圧経済」発言にみられるインフレ容認の姿勢がより鮮明になる公算もありそうだ。長期金利はすでに昨年12月の水準を上回っている。それだけに、金利上昇の影響を受けやすい住宅市場や自動車販売などへの警戒が示される可能性もある。
また、来年1月のFOMCからは投票権を持つ4名の地区連銀総裁が入れ替わる点にも注目したい。タカ派の急先鋒であるカンザスシティ連銀のジョージ総裁とクリーブランド連銀のメスター総裁が退き、ハト派中のハト派であるシカゴ連銀のエバンス総裁が新たに投票権を得る。全体として「ややハト派寄り」にシフトすることから、「利上げを急がない」との姿勢を打ち出しやすいメンバーとなりそうだ。
■イエレン議長は2018年2月で退任の公算
ところで、トランプ大統領誕生で辞任の噂もあったイエレン議長であるが、11月17日の議会証言で「任期を全うする」と表明したことから、目下のところ辞任観測は後退しているようにも見える。
トランプ氏は「FRBは政治的に金利を低くし、株価を押し上げて民主党政権を支援してきた」と述べており「金利は低すぎる」とFRBを批判してきた。ただし、これは民主党を叩くための方便であり、本心は利上げに反対との見方もある。実際、トランプ氏は「利上げでドル高になれば大問題」とも発言しており、利上げに関しては快く思わないだろう。
FRBは7名の理事のうち現在2名が空席となっており、トランプ次期政権の移行チームは来年1月の政権発足後、3カ月以内に2名の理事を指名するとしている。
一方、2018年2月の任期切れでイエレン議長が退任するのであれば、来年春先から夏にかけて候補者を絞り込み、秋口には後任が決まることになる。
したがって、ウォール街の関係者からも「イエレン体制のレームダック化は意外と早く訪れるかも知れない」との見方が示されており、後任が誰になるのかにも関心が集まり始めている。
■後任はハバード氏とマンキュー氏が軸か
歴代のFRB議長を振り返るとイエレン氏、バーナンキ氏、そしてグリーンスパン氏のいずれもがCEA(米大統領経済諮問委員会)委員長を歴任している。
FRBは政治からの独立性を保障されてはいるものの、財政政策と金融政策は経済運営の両輪であり、ホワイトハウスとFRBは連携を取る必要がある。したがって、政権の運営に携わった経験がFRB議長のポストに有利に働くと考えるのは自然な流れであろう。
CEAに着目すると、前回の共和党政権下で委員長を務めた、コロンビア大学のグレン・ハバード教授と、ハーバード大学のグレゴリー・マンキュー教授が有力な候補となりそうだ。もちろん、両名とも「共和党系」の経済学者として知られている。
ハバード教授は「サプライサイドの経済学」の重鎮であり、所得減税や企業減税、規制緩和の推進が成長を高めると考えているため、次期政権の経済政策とは「最も相性が良い」と言えそうだ。
マンキュー教授は前回の大統領選で共和党のロムニー候補の経済アドバイザーを務めている。ロムニー候補がQE(量的緩和)を強く批判していたことから、マンキュー教授もQE反対派と見られがちだが、実際のところは効果が期待できないとしながらも強く反対しているわけではなさそうだ。ただし、量的緩和の悪影響としてインフレを懸念していることから、スタンスは「タカ派」と言えるだろう。
また、マンキュー教授は政策目標となる物価について、一般的な物価指数ではなく、名目賃金を重視しているもようで、名目GDPターゲットにも理解があると考えられている。したがって、マンキュー教授が指名された場合、政策目標の具体的なターゲットがこれまでとは大きく変更される可能性がある。
■ルール重視ならテイラー教授の登用も
共和党は昨年11月、一定のルールに基づいた政策運営をFRBに義務付ることを主目的とした「FRB監督法案」を提出している。これはFRBは議会が監視すべきとの立場を示すものである。
その背後にいるのが、スタンフォード大学のテイラー教授である。同教授が考案した「テイラー・ルール」は適正な政策金利を推計するルールとして有名だ。一定のルールとは、物価をある一定の数値もしくはレンジ内とするインフレターゲティングのことであり、テイラー教授はFRBの責務を物価目標のみに絞るべきとしている。
テイラー教授が指名された場合にも、FRBの金融政策が大きな転換期を迎える可能性がありそうだ。(NY在住ジャーナリスト スーザン・グリーン)
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