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インド高額紙幣廃止、モバイル決裁に爆発的需要
1日当たり50万人の新規顧客を獲得する業者も
ムンバイの銀行で預金を引き出そうとする人たち(11月19日) PHOTO: DHIRAJ SINGH/BLOOMBERG NEWS
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NEWLEY PURNELL
2016 年 12 月 13 日 16:40 JST
インド政府が高額紙幣の廃止の踏み切ったことを受け、同国内でモバイル決裁サービスを提供する企業が棚ぼた的に利用者を増やしている。
大手のモビクイックでは、現在のペースが続けば2009年のサービス開始からの実績をわずか1〜2カ月で超えるという。同社の設立者ビピン・プリート・シン氏は「政府が幅広く認知度を高めてくれて、われわれのために広告を打ってくれているようなものだ」と語った。
各国の2015年の通貨流通額(対GDP比%)
https://si.wsj.net/public/resources/images/BF-AM577_LESSCA_16U_20161209161505.jpg
ナレンドラ・モディ首相が先月上旬に高額紙幣を廃止すると突然発表して以降、同国では現金不足による混乱が続いている。廃止方針が打ち出されて以降、モビクイックでは通常の18倍のモバイル取引が行われているという。
ボストンコンサルティンググループ(BCG)とグーグルの親会社アルファベットが7月に発表したリポートによれば、インドでは8000万人から8500万人がモバイル決裁サービスを利用している。この数字は人口全体のわずか7%だ。高額紙幣廃止を受けて、数年は必要とみられていたモバイル決裁サービスの普及が一気に進むと期待する声もある。
国内最大のモバイル決算サービスを提供するペイティーエムでは、政府の発表以降に約1400万人が新規に利用登録を完了。10月には1日当たり10万人程度だった新規加入者が、高額紙幣廃止の発表以降は1日当たり約50万人で推移しているという。
ムンバイ郊外で小さな売店を営むバグワット・シンさんも、新たにペイティーエムのサービスを利用するひとりだ。これまでは携帯電話でメールやテキストを送ったことすらなかったが、モディ首相の発表を受けて一変。店側も客側も現金が足りなくなる事態が生じ、モバイル決済の契約を済ませたと話す。
今では店の売り上げの3割程度がモバイル決裁だとシンさんは話している。
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インドの高額紙幣廃止、現金社会に広がる混乱
中国やスウェーデンは独自のデジタル通貨研究に着手
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高額紙幣の廃止は世界的な潮流だが、その規模やペースでインドのモディ首相ほど大胆な措置に出た人物はいない。現金取引が主流のインドでは混乱が広がっている(英語音声、英語字幕あり) Photo: Reuters
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GABRIELE PARUSSINI, RAYMOND ZHONG AND NEWLEY PURNELL
2016 年 12 月 13 日 15:47 JST
【ニューデリー】インドのナレンドラ・モディ首相は先月上旬、首都ニューデリーで閣僚会議を招集したが、部屋に入る前に携帯電話を置くよう命じたうえで、衝撃的な発言をした。自分はこれから生放送で国民向けにテレビ演説を行い、国内で流通している高額紙幣(金額ベースで全紙幣の約90%に相当)はもはや法定通貨ではないと宣言する、と言い放ったのだ。
高額紙幣の廃止は世界的な潮流でもあり、インドはその最前線に立つことになった。欧州中央銀行(ECB)は2018年に500ユーロ(約6万円)札の印刷を停止すると発表。カナダやシンガポールも段階的に高額紙幣の流通を減らしている。フィリピンやデンマークなど、規制を変更して電子決済への切り替えを促進している国もある。
だが、モディ首相ほど大胆な措置に出た人物はいない。脱税やテロリズム、政府の腐敗防止を狙ったこの措置により、首相はインドの最も高額かつ最も一般的に流通している紙幣(米国の100ドル札や20ドル札と同程度に機能している)を一夜にして使えないものにした。インド国民は年内であれば使用不可となった紙幣を銀行に預け入れることができる。高額紙幣に代わりに新額面の紙幣が登場しつつあるが、今のところその総額は使用不可になった高額紙幣の総額2300億ドル(約26兆5000億円)の4分の1程度に過ぎない。
主要国の通貨流通量の対GDP比
https://si.wsj.net/public/resources/images/BF-AM577_LESSCA_16U_20161209161505.jpg
地下で流通する資金を銀行システムに取り込もうと試みている国はインドだけではない。だが、その規模やペース、モディ首相の断固たる決断は驚くべきものであり、これまでは主に机上の理論だった政策が痛みを伴う試練となった格好だ。
モディ首相は最近、ラジオを通じて「いまのインドが成し遂げたいと考えている大いなる課題はキャッシュレス社会という夢の実現だ」と述べた。
所得税を納めている世帯がほとんどなく、高額の取引が現金で行われることが多いインドにとって、今回の措置による混乱は相当に大きく、急成長を遂げている同国経済やモディ首相の支持率を脅かしかねない状況になっている。
モディ首相が高額紙幣の廃止を発表した11月8日以降、住宅販売は滞り、野党によるほぼ毎日の抗議で議会審議は止まっている。観光客は旅程の途中で足止めされ、チップの支払いや、土産物の購入ができなくなっている。銀行の現金自動預け払い機(ATM)前には(ときに緊迫した)長蛇の列ができている。
高額紙幣廃止は、貧困層が特に影響を受けている。賃金が現金で支払われる不定期かつ非正規の仕事に頼る人が多いためだ。現金の代わりにコメや小麦、食用油など食品で工場作業員に賃金を支払うところも出てきた。
ロヒト・タルワール氏は、インド北部のモラダバードでロウソク飾りや、家具・インテリア用品のピア・ワン・インポーツなど米企業向けに雑貨を作っている会社を経営している。当初、モディ首相の決断を歓迎したが、従業員や仕入れ先への支払いで問題が発生した。彼らは生活必需品の購入に現金を必要とするのだ。
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インドのモディ首相(中央) PHOTO: MANISH SWARUP/ASSOCIATED PRESS
タルワール氏は「残念ながらインドでは、あらゆるものがどこかの段階で現金を必要とする」とし、「国全体がキャッシュレスになればいいが、一晩では無理だ」と話す。
モディ首相は最終的に大きな恩恵があると主張する。徴税、犯罪ネットワークの監視向上、また商業活動それ自体のより正確な把握などのことだ。
だが、現金の使用を支持する人々はまさにそうした領域にリスクを見ている。プライバシー問題や政府権力の大幅な拡大もそこに含まれる。
紙幣は脆弱(ぜいじゃく)性があるとみられ始めている。中国やスウェーデンは独自にデジタル通貨の発行について研究し始めている。ECBは、犯罪者やテロリストの間で人気があるために「ビン・ラディン」と呼ばれるようになった500ユーロ紙幣に照準を合わせている。
ローレンス・サマーズ元米財務長官はワシントン・ポストへの寄稿で「100ドル紙幣をなくす時はいまだ」と記している。
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銀行から預金を引き出そうと並ぶ人々(2日、ニューデリー) PHOTO: ALTAF QADRI/ASSOCIATED PRESS
またテクノロジーもキャッシュレス社会への後押しに一役買っている。クレジットカードやデビットカードは世界経済の奥深くまで浸透できなかったが、スマートフォンを利用した決済手段は現金を介さない少額取引を容易に手の届くものにしている。
調査会社IDCによると、インドのスマホ普及率は約30%に過ぎず、電波の接続状況にむらがあるため、デジタル決済が面倒なものになりかねない。
それでもインドでは数百万人がモバイル決済サービスに登録している。個人経営店や、お茶の屋台、三輪タクシーの運転手など、これまでクレジットカードを使ったことさえなかったような事業主が自身の安価なスマホを通して支払いを受け取る方法に慣れつつある。
ハーバード大学のエコノミスト、ケネス・ロゴフ氏は「こうしたことが起こっている背景にあるのは主にテクノロジーの開発だ」とし、「それが政府の大きな協力者だ」と話した。
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中国の市場開放を遠慮する外国人投資家
外資を引き込みたい中国政府の狙いは期待外れに
深セン・香港相互取引の開始日にドラをたたく香港交易所の周松崗会長(左)と香港政府の梁振英行政長官(5日) PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RD772_sinoch_IM_20161209041201.jpg
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GREGOR STUART HUNTER, ANJIE ZHENG AND RACHEL ROSENTHAL
2016 年 12 月 13 日 13:17 JST
外国資本の流入が人民元の問題を解決すると中国政府が期待しているのなら、それはまだ待たなくてはならない。
今月5日に全ての外国人投資家に門戸が開かれてからも、深セン証券取引所には外国資本が少しずつしか流入していない。また、中国政府は世界のファンドマネジャーによる債券購入についての主な規制を撤廃したものの、中国債券市場における外国人の保有比率は市場全体のほんの一部にとどまっている。
絶え間ない資金流出に対抗するため外国からの投資を急増させるという期待はくじかれた格好だ。
中国では市民が資金を海外移転させる一方で、中国人民銀行(中央銀行)は通貨の防衛に回ってきた。2014年半ば以降、人民銀行は外貨準備を9400億ドル(約108兆円)減少させてきた。
上海と深セン市場における外国人の純投資額の推移
上海と深セン市場では外国人の投資上限が1日当たり130億元に定められている(単位は10億元)
Sources: Hong Kong Exchanges and Clearing, Thomson Reuters
北京大学HSBCビジネススクールのクリス・ボールディング准教授(経済学)は、「彼ら(中国政府)は外資を国内に呼び込もうと躍起になっているが、残念ながら、その需要があるとは思えない」と述べた。
また、中国政府は海外機関投資家からの投資が増えれば人民元への圧力が緩和されるだけでなく、2015年夏に乱高下した株式市場の安定にもつながると期待している。
中国市場を開放させれば、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)やJPモルガンなどの指数算出大手が同国を世界の株式・債券指数に組み入れる可能性が高まり、潜在的に数十億ドル規模の資本を呼び込むことにつながる。
深セン市場開放も外国人の反応は鈍い
12月5日を起点とした株価騰落率の推移;青は深セン総合指数、赤は上海総合指数を示す
ただ、BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの新興国債券部門副責任者、J・C・サンボル氏は、2017年後半か、それ以降になるまで、そうしたことは中国の債券市場では起こらないだろうと指摘する。
中国当局は1週間前、外国人投資家に深セン市場の門戸を開き、それまでは一部のファンドマネジャーにしか与えられていなかった市場へのアクセスを拡大した。
しかし外国人投資家は期待通りに流れ込まなかった。先週の深セン市場への純流入額を見ると、一日当たりの株式購入上限である130億元(約2200億円)の21%を上回った日はなかった。また、外国人投資家の資金フローが一日当たりの売買高の1%に届いた日も一度もなかった。
中国債券市場における外国人の保有残高の推移
中国の債券市場における外国人の保有比率はわずかでしかない(単位は10億元)
Source: Wind Information
外国人投資家は深セン市場の株価が割高と見ているほか、同市場の調査リポートが不足していることに閉口している。
現在、外国(主に香港と米国)に上場する中国株のみが、MSCIエマージング・マーケット・インデックスを含むMSCIの主要指数に組み入れられている。
MSCIは2014年以降、中国A株の組み入れを3回見送ったが、いずれの場合においても外国人投資家による市場アクセスが過度に制限されている点が指摘された。中国で市場が開放されるたびに、MSCIが主要指数に中国株を組み入れるのではないかとの期待が高まっていたが、深セン・香港相互取引の開始時も例外ではなかった。
中国の10年物国債利回りの推移
10年債利回りは今月、約1年ぶりの高水準まで上昇(債券価格は下落)した
中国政府は債券取引の大半が行われる銀行間市場も開放し、海外勢が投じることのできる資金の上限を撤廃することで外国人投資家を引きつけようと試みてきた。しかし、現時点では、こうした試みもうまく行っていない。
調査会社の上海万得信息技術(Wind資訊)によると、11月末時点における外国人投資家の債券保有残高は7471億3000万元となり、年初の5542億元から増加。ただし、債券市場全体の発行残高63兆6000億元に占める割合はほんのわずかでしかない。
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