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GDP統計の推計見直し
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52886648.html
2016年12月08日 在野のアナリスト
7-9月期GDP改定値が公表され、実質で前期比0.3%増(速報値2.2%増)と、大幅な下方改定となりました。名目で前期比0.1%増(速報値0.2%増)ですが、今回は基準の見直しにより、名目で2015年のGDP確報値が532.2兆円と、31.2兆円も嵩増しされていることが話題です。まずこの推計の見直しについて、簡単にふれます。
国民経済計算(SNA)は国際基準であり、2008年に国連で採用された基準が最新となっていて、今回はそれに適応する目的です。概念としてこの国際基準の最新版を2008SNAと呼び、日本で適用されるものはJSNAと呼んでいます。2008SNAは研究・開発の計上から、非合法的な活動までを包括して国の経済として採用することを求めていますが、日本のJSNAでは非合法的な経済活動、例えば覚せい剤の取り締まりや、違法賭博などの収益は採用されません。余談ですが、カジノ法案が通れば、将来的にはカジノもJSNAには採用されるでしょうし、マネーロンダリングでカジノを通過すると、非合法的な活動でさえ日本では経済活動としてGDPに組み込まれるかもしれません。そのとき、安倍政権のめざすGDP600兆円に達するのではないか? と皮肉を籠めて言われています。
SNAでは産業連関表、国際収支表、資金循環表等が含まれますが、その中で産連は2008SNAに対応していない基準年でもある平成23年表を用いているため、個別に対応します。ちなみに平成31年に公表される平成27年表で、正式に2008SNAに対応します。国収はIMFの基準に準拠していますが、IMFの基準が2008SNAに基づいており、問題ありません。資循は今年の3月に2008SNAに対応済みです。つまり産連のみ未だ対応がついておらず、総務省や経産省など、統計をとる省庁が独自に調整していることになります。
それを踏まえて今回の改定値をみると、一次速報から比べて設備投資は大幅な悪化。逆に消費支出は改善、と二極化されています。日銀はこれまで、需要サイドの統計のウェートが大きいと下方乖離している、と主張して一次速報のブレを指摘し、独自の推計をだしていますが、日銀の独自推計に今回は近い形になった。ただし、これは日銀の主張が必ずしも正しいとは限りません。今回の統計でもはっきりしたのは、供給サイドのデータを重視すると、途中で廃棄、消費されなかったものも計上され、一見すると消費したかに見えてしまう。つまり供給のデータが重視sれる二次速報、また確報値で上ぶれし易い。一方で設備投資のように、計画段階で盛りこんでも需要サイドが先送り、計画の見直しなどをしてしまうと、供給サイドのデータが乗ると、実行されていない分がマイナスとなってくる。これで景気がよく、設備投資も計画通りいっていれば、需要と供給が合致するのですが、より設備投資は景気を反映しやすくなった、ということが言えるのでしょう。
つまり、消費支出はつくった分だけ計上されるようになり、実際に消費せずとも経済活動として認められるようになった。在庫のままだと在庫投資に計上されますが、廃棄された分も経済活動として計上できるようになった。一方で、設備投資には研究・開発も加わったことで、企業の景況感をより反映することになった。どの企業でも、景気が悪くても設備の更新は必要だったので、その分は安定的に推移していましたが、研究・開発は景気を色濃く移すのです。しかも一次速報と、二次速報の差をみると、企業が計画から実行段階にどう動いたか、より映しだすようになったといえるのでしょう。
しかも産連は統計を独自に調整する中で、この二次速報の急落を生んだことは、よほど企業の景況感は悪い、ということが言えるのでしょう。トランプ相場が勃発、11月の街角景気も改善しているように、10-12月期はまた違った結果になるのかもしれませんが、7-9月期にその兆候は無い、ということにもなるのでしょう。結果として、今回の推計の見直しにおいて、安倍政権が画策したようなGDPの金額ベースの上乗せを、安倍ノミクスの実績としてアピールする、との目的には合致しなかったのでしょう。むしろより景況感を反映しやすくなったことで、安倍ノミクスの成否が常に映しだされることにもなったのでしょうね。
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