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米大統領が経済の重力に逆らうとき ソフトバンクとトランプ取引の裏 孫資産830億円増 金融政策が為替を決める 17年市場
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/497.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 12 月 08 日 14:58:53: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

米大統領が経済の重力に逆らうとき
トランプ氏は先人の教訓を学ぶか、強引に雇用を維持することは困難
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キヤリア社の工場を訪れたドナルド・トランプ次期大統領(右)とマイク・ペンス次期副大統領(1日、インディアナポリス) PHOTO: EVAN VUCCI/ASSOCIATED PRESS
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GREG IP
2016 年 12 月 8 日 12:18 JST
――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター
***
 1960年代半ばに米国のインフレ率が急上昇し始めた際、当時のリンドン・ジョンソン大統領はインフレ率を抑えるために全力を注いだ。靴の価格が上昇すれば皮革に輸出規制を設け、テレビの価格を上げないよう家電メーカーRCAの説得を試み、木材の値上がりを防ぐために連邦政府による木製家具の購入を中止した。さらに、卵の値段が上がった際には公衆衛生局長官にコレステロールに対する警告を出させたりもした。
 これらの指示の実行責任者だった側近のジョセフ・カリファノ・ジュニア氏は何年もたった後に当時を振り返り、「ジョンソンはあらゆる手を打った。インフレの洪水を防ぐため、経済の堤防にあいた大量の穴に親指を入れて止めようとするオランダの男のようだった」と話した。
 インフレはそれでも止まらなかった。ジョンソン大統領はその根源となっている問題に取り組まなかったからだ。その問題とは、膨れあがる連邦債務と緩い金融政策である。
 製造業の雇用維持を図ろうとしているドナルド・トランプ次期大統領はいずれどこかの時点で、ジョンソン氏と同じことを学ぶだろう。重力が経済をある方向に引っ張っているときには、大統領がどれだけ電話をかけたり、脅したり、ツイートに投稿したりしようが、別の方向に押すことはできない。

主要9カ国の雇用に占める製造業の割合の推移
https://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CM627A_CAPAC_16U_20161207111207.jpg

 トランプ氏は先週、米複合企業ユナイテッド・テクノロジーズ傘下の空調大手キヤリアがインディアナ州にある工場の800人分の雇用をメキシコに移す計画だったのを、公然と辱めて思いとどまらせた。だが、外国で生産すれば安上がりになる製品をすべての企業に米国で製造させることはできない。バラク・オバマ大統領が損失になるだけの医療保険を売り続けるよう保険業者を説得できないことや、高価すぎる電気自動車(EV)を購入するよう消費者を説得できないのと同じだ。
 トランプ氏による圧力戦術はメキシコの労働集約的な製造業の比較優位性を打ち消すことはできない。それどころか米大統領選後にペソが下落したおかげで、メキシコでの製造が10%安上がりになっている。だがトランプ氏の戦術は、特別な優遇策の要求を企業に促すことになるだろう――たとえそれが消費者や納税者の負担になるとしても。
 過去の保護主義は国内企業ではなく外国企業に狙いを定めるのが通例だった。とはいえ、トランプ氏を待ち受けるものを知る手引きとして役立つ。1977年に当時のジミー・カーター大統領は米国のテレビメーカーを守るため、日本製テレビの輸入を規制した。その結果、日本製テレビの売り上げは落ちたものの、韓国製や台湾製の販売は伸びた。韓国製や台湾製の輸入が規制されると、今後はメキシコやシンガポールからの輸入が増えた。日本や台湾の企業は輸入規制を受けないサブアセンブリー(部分組み立て品)を米国に持ち込み、米国内でテレビの完成品を製造し始めた。
 カーター大統領が台湾や韓国からの靴に輸入制限を設けた際、両国は製品の品質を向上させ、そのため靴の販売高は伸びた。どの産業も期待された雇用の回復は実現しなかった。一部の業種では雇用が減った。
 「保護措置に対する市場の反応は、時にその意図された目的を著しく損なうことがある」。全米経済研究所(NBER)が1988年に発表した研究の中で、ロバート・ボールドウィン氏とリチャード・グリーン氏はそう結論づけている。
 似たようなことは2009年にオバマ大統領が中国製のタイヤに関税を課した際にも起こった。中国製のタイヤは減ったものの、他の国からの輸入品が急増したのだ。ピーターソン国際経済研究所によると、この件で最大1200人分の雇用が守られた一方、タイヤの値上がりにより雇用1人分あたりの消費者の負担は90万ドル(約1億円)に達した。
 トランプ氏の戦術はこれとは異なるものの、同じ結果になる可能性が高い。どんな企業であれ、高いコストがかかる工場を稼働させ続けるよう圧力を受ければ、安い輸入品と対抗するために基準を下回る利益に甘んじるか、もしくは市場シェアを失うかの二者択一を迫られることになる。不要な資産を何らかの方法で捨てる企業も出てくるだろう。例えば事業の閉鎖や、雇用や賃金の削減に罪悪感をさほど持たない、LBO(レバレッジド・バイアウト)による買収を専門とする企業への売却などだ。
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米インディアナ州はユナイテッド・テクノロジーズ傘下の冷暖房機器メーカー、キヤリアが約1000人の雇用をインディアナ内に維持するのを奨励するため、10年間にわたり700万ドル(約8億円)相当の減税措置を講じることで合意した。WSJのジェイソン・ベリーニ記者が解説(英語音声、英語字幕あり) Photo: Getty
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ドナルド・トランプ次期大統領はキヤリアやボーイングをはじめとする企業の決断に影響を与えようと強引な言動をしている。WSJワシントン支局のジェラルド・F・サイブ支局長が解説(英語音声、英語字幕あり)Photo: AP
 キヤリアがインディアナポリスの工場で製造しているガス炉はローテク製品であり、米国で製造する比較優位性はない。これと対照的なのが、同社と同じくユナイテッド・テクノロジーズ傘下のエンジン大手プラット・アンド・ホイットニー(P&W)がコネティカット州で製造している航空機用の高度なエンジンだ。P&Wは向こう数年内に従業員を8000人増員する計画だ。
 インディアナ州はキヤリアの工場を維持するために700万ドルの減税措置を約束したが、一般国民への本当の負担は別のところに表れるだろう。企業が大統領の意向をくむ際には、見返りを期待するものだ。トランプ氏側がユナイテッド・テクノロジーズの利益率の高い防衛関連事業の話を出したとは報じられていないが、暗黙の了解があったのかもしれない。
 同社のグレッグ・ヘイズ最高経営責任者(CEO)はCNBCテレビで5日、「私は夜に生まれたが、昨夜生まれたわけではない(それほど世間知らずではない)」と話した。同社が国防総省から次の契約をとろうとする際に、先週の合意を加味してほしいと思わないだろうか。仮に競合相手が雇用をアウトソースしていた場合に、同社はそれも考慮にいれてほしいと思わないだろうか。
 企業と政府による不透明かつ、その場しのぎの取り決めは縁故資本主義を生み出す。ブラジルの国営石油ペトロブラスは長年、地元から調達するよう義務づけられてきた。そのため財務面の体力が損なわれ、生産能力が伸びなかった。この「えこひいき」文化が、同社と政治家を巻き込んだ贈収賄スキャンダルの一因だ。
 米自治領プエルトリコ政府の依頼を受けて、同地域の経済を研究したエコノミスト、アン・クルーガー氏によると、プエルトリコの企業はほとんど全て、個別に税の優遇策を受けている。その結果、法人税の実効税率はわずか5%にとどまることが分かった。だがそうした優遇策をもってしても、ブラジルやプエルトリコの経済を停滞させてきた高い税率や規則、不十分な教育やインフラといった向かい風を克服できない。
 トランプ氏が本当に製造業の雇用を支えたいのであれば、製造業で空いている33万4000人分の雇用を埋めるために労働者をいかに訓練するかを考え出すことが必要だ。そこまでの辛抱がなければ、ただ関税をあまねく引き上げることになろう。そうなれば消費者が打撃を受け、貿易戦争が始まりかねない。だが少なくとも透明性は高い。
トランプ次期政権特集
• ソフトバンクとトランプ氏、取引の裏にある本当の理由
• トランプ氏のラブコール、台湾市民は戦々恐々
• トランプ氏が大統領専用機に立腹:早わかりQ&A
• 「トランプ相場」の可能性と危険性

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjy6dTd9OPQAhXIm5QKHXkyAEAQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10133893654180563918204582483571000054392&usg=AFQjCNFJlyCoi1r73QzfYSQq8qGjpuQlRA


 

ソフトバンクとトランプ氏、取引の裏にある本当の理由

By JACKY WONG
2016 年 12 月 7 日 22:51 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 ドナルド・トランプ次期政権下の米国の雇用創出とはこのようなものだ。ロボットの人間支配という展望に活気づけられた日本企業がサウジアラビア政府から多額の資金を調達し、米国への積極的な投資を決める。トランプ氏はそれを自分の手柄にする。だが次期大統領の関与がなくとも結果は同じだった可能性が高い。

 ソフトバンクグループの孫正義社長との会談後、トランプ氏は同社が500億ドル(約5兆7000億円)を米国へ投じ、5万人の雇用を生み出すとツイートした。

 「われわれが選挙で勝利しなければ決してこうすることはなかったと『マサ』が言った」とも付け加えた。

 しかし、実際は大統領選で誰が勝とうとも米国への投資が決まった公算が大きい。1000億ドル規模のソフトバンク・ビジョン・ファンド設立が発表されたのは大統領選の1カ月近く前で、その時点ではトランプ氏の敗北を予想する声が大きかった。これだけの金額になると、世界で最も有望なハイテク企業が依然集中する米国に大半を投じることになりそうなものだ。会計事務所KPMGと調査会社CBインサイツによると、7-9月期にベンチャーキャピタルが集めた資金の投資先のうち6割が北米だった。

 米国への投資額とされる500億ドルには、借り入れで調達する資金も含まれる可能性がある。

 最も重要な問題は、いかにしてソフトバンクが元手を集めるかだ。サウジの政府系ファンド「公共投資ファンド(PIF)」は5年間で450億ドルを拠出する意向を示した。米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を組み立てる台湾の鴻海科技集団(フォックスコン・テクノロジー・グループ)も参加するかもしれない。ソフトバンク自身は少なくとも250億ドルの投資を約束しているが、83%出資する米携帯電話サービス大手スプリントを含めて1110億ドルもの純負債を抱える企業にとっては厳しい金額だ。

 中国の電子商取引大手、阿里巴巴集団(アリババグループ)の持ち株など、これまで投資してきた資産の一部売却で現金を手にする選択肢は当然ある。より好ましいのは、債務の重いスプリントを手放すことかもしれない。

 スプリントは2年前に国内同業のTモバイルUS買収を目指したが、規制当局の強い反対で断念した。

 この状況はトランプ政権の誕生で変わるかもしれない。トランプ氏は選挙活動中、通信大手AT&Tによるメディア大手タイム・ワーナー買収計画に異議を唱えたが、孫氏は少なくともTモバイルUSとスプリントの合併を再び模索するかもしれない。

 TモバイルUSとスプリントは全米展開する携帯電話サービス会社の中で最も規模が小さいため、合併は戦略的な理にかなう。だがTモバイルUSの時価総額は、スプリントが最初に買収を目指した2014年6月時点ほど割安ではない。TモバイルUSの株価はその後63%上昇し、逆にスプリントの株価は13%下落した。現時点ではスプリントが身売り側に回る方が合理的といえる。

 一つ警告しなければならない。スプリントとTモバイルUSの従業員数は合わせて8万人だ。合併に伴う人員削減は、ソフトバンクが創出するはずの雇用の一部を相殺するだろう。ここに、ソフトバンクとトランプ氏との取引における本当の技が見て取れる。

関連記事

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トランプ次期政権特集

 

 


トランプ氏との会談後、ソフバンク孫氏の資産評価額膨らむ−チャート
Tom Metcalf
 
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iprRDEFcL0oQ/v2/-1x-1.png

  ソフトバンクグループの孫正義社長とトランプ次期米大統領との6日の会談はタイミングが良く、価値のあるものだった。両者の会談で、孫社長が米国で創業間もない企業や新興企業に500億ドル(約5兆7000億円)を投資する意向を伝えたと報じられたことを受け、ソフトバンクグループの株価は7日、1年3カ月ぶりの高値に上昇。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、孫社長の資産評価額は7億5500万ドル増えた。同社長の資産評価額は約120億ドルで日本で2位。首位はファーストリテイリングの柳井正会長兼社長で、孫氏を62億ドル上回る。
原題:Trump Meeting Adds $755 Million to Masayoshi Son’s Wealth: Chart(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-08/OHUEAM6TTDSL01

 


ソフトバンクとトランプ氏、取引の裏にある本当の理由
トランプ米次期大統領とソフトバンクの孫社長は6日に会談した
By JACKY WONG
2016 年 12 月 7 日 22:51 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 ドナルド・トランプ次期政権下の米国の雇用創出とはこのようなものだ。ロボットの人間支配という展望に活気づけられた日本企業がサウジアラビア政府から多額の資金を調達し、米国への積極的な投資を決める。トランプ氏はそれを自分の手柄にする。だが次期大統領の関与がなくとも結果は同じだった可能性が高い。

 ソフトバンクグループの孫正義社長との会談後、トランプ氏は同社が500億ドル(約5兆7000億円)を米国へ投じ、5万人の雇用を生み出すとツイートした。

 「われわれが選挙で勝利しなければ決してこうすることはなかったと『マサ』が言った」とも付け加えた。

 しかし、実際は大統領選で誰が勝とうとも米国への投資が決まった公算が大きい。1000億ドル規模のソフトバンク・ビジョン・ファンド設立が発表されたのは大統領選の1カ月近く前で、その時点ではトランプ氏の敗北を予想する声が大きかった。これだけの金額になると、世界で最も有望なハイテク企業が依然集中する米国に大半を投じることになりそうなものだ。会計事務所KPMGと調査会社CBインサイツによると、7-9月期にベンチャーキャピタルが集めた資金の投資先のうち6割が北米だった。

 米国への投資額とされる500億ドルには、借り入れで調達する資金も含まれる可能性がある。

 最も重要な問題は、いかにしてソフトバンクが元手を集めるかだ。サウジの政府系ファンド「公共投資ファンド(PIF)」は5年間で450億ドルを拠出する意向を示した。米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を組み立てる台湾の鴻海科技集団(フォックスコン・テクノロジー・グループ)も参加するかもしれない。ソフトバンク自身は少なくとも250億ドルの投資を約束しているが、83%出資する米携帯電話サービス大手スプリントを含めて1110億ドルもの純負債を抱える企業にとっては厳しい金額だ。

 中国の電子商取引大手、阿里巴巴集団(アリババグループ)の持ち株など、これまで投資してきた資産の一部売却で現金を手にする選択肢は当然ある。より好ましいのは、債務の重いスプリントを手放すことかもしれない。

 スプリントは2年前に国内同業のTモバイルUS買収を目指したが、規制当局の強い反対で断念した。

 この状況はトランプ政権の誕生で変わるかもしれない。トランプ氏は選挙活動中、通信大手AT&Tによるメディア大手タイム・ワーナー買収計画に異議を唱えたが、孫氏は少なくともTモバイルUSとスプリントの合併を再び模索するかもしれない。

 TモバイルUSとスプリントは全米展開する携帯電話サービス会社の中で最も規模が小さいため、合併は戦略的な理にかなう。だがTモバイルUSの時価総額は、スプリントが最初に買収を目指した2014年6月時点ほど割安ではない。TモバイルUSの株価はその後63%上昇し、逆にスプリントの株価は13%下落した。現時点ではスプリントが身売り側に回る方が合理的といえる。

 一つ警告しなければならない。スプリントとTモバイルUSの従業員数は合わせて8万人だ。合併に伴う人員削減は、ソフトバンクが創出するはずの雇用の一部を相殺するだろう。ここに、ソフトバンクとトランプ氏との取引における本当の技が見て取れる。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiCtbv08-PQAhWIFJQKHfGTCe0QFgghMAE&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12576561340667814139804582482592194214240&usg=AFQjCNE6Q0WvqWuVRIsXrBmEenyiXJ6L6g


 


 


金融政策こそが為替への「ゲーム・イン・タウン」−通貨外交重鎮
野沢茂樹、Brian Fowler
2016年12月8日 09:10 JST 更新日時 2016年12月8日 14:11 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iAJ.Vbq3BKBg/v3/-1x-1.png

「金融政策で為替ヘの配慮を欠くことはあり得ない」−内海元財務官
ドル相場は先月下旬に過去最高を付けた後、頭打ちに

トランプ財政に対する市場の期待は行き過ぎており、為替相場の鍵を握るのはなお金融政策だー。かつて通貨外交で手腕を発揮した内海孚元財務官は、金融緩和からの脱却で出遅れる円は最弱通貨となるが、米連邦準備制度理事会(FRB)がドルの独歩高を警戒して行動するため、大幅な円安・ドル高進行の可能性は低いとみている。  
内海元財務官 

  内海氏(82)の読みはこうだ。ドナルド・トランプ次期米大統領と与党・共和党は「FRBの人工的な金融緩和策に批判的なので、FRBは従来よりは躊躇(ちゅうちょ)せずに利上げしていく」ため、金利上昇で先行する米国のドルが強くなる流れが続く。欧州中央銀行(ECB)も少しずつ出口を模索していく可能性が高い一方、日本銀行だけは何もできないと見込まれ、来年も「ドル、ユーロ、円の順に金融政策を反映した相場の流れが続き、円は最弱通貨になっていかざるを得ない」。
  ただ、ドルの独歩高には「トランプ政権がどうこうより、FRB自身が用心深いだろう。金融政策で為替ヘの配慮を欠くことはあり得ない」。内海氏によれば、各国・地域とも市場介入ではなく金融政策こそが為替に対する「オンリー・ゲーム・イン・タウン」(唯一の選択肢)で、「この傾向は今年に入って和らいだが、財政出動が主役になるには至らない」と言う。
  トランプ氏が次期米大統領に決まって以降、外国為替市場では世界的な株高と米金利の上昇を背景にドル高が進んだ。主要10通貨に対するブルームバーグのドル指数は11月下旬にデータでさかのぼれる2004年末以降で最高を記録。円相場の下落率は11月に1995年以来の大きさとなった。その後の相場はもみ合い状態が続いている。

  ブルームバーグがフェデラルファンド(FF)金利先物を基に算出したFRBの利上げ予想確率は、来週の会合で100%。来年の追加利上げについても市場関係者の見方は強気だ。一方、一段のドル高や円安については、要人から懸念の声が出ている。シカゴ連銀のエバンス総裁は先週、ドル高が米製造業への向かい風になっていると指摘。安倍晋三首相の側近である自民党の下村博文幹事長代行は今週、輸入物価上昇の副作用に触れ、これ以上の円安を望まないと言明した。
  内海氏は6日のインタビューで、「日米欧3極の通貨はお互いの金融政策を見合って動く。ドル高が米国の貿易に与える悪影響も考えないといけない」と指摘。「このまま円安がどんどん進むかは慎重にみるべきだ」と述べ、一部の円弱気派が見込む130円程度までの円安・ドル高は実現しないとの見方を示した。   
「一番大きな懸念」
  内海氏は1983年から86年までワシントンの日本大使館で大蔵省(現財務省)出身の公使を務めた経験がある。日米円・ドル委員会やドル高是正で米英独仏と合意した85年9月のプラザ合意などをめぐっては、米財務省との実務交渉を担当。過度なドル安に歯止めをかける87年2月のルーブル合意時には国際金融局長、89年から91年まで財務官として手腕を発揮した。現在は東海東京フィナンシャル・ホールディングスのグローバル・アドバイザリー・ボードの議長などを務める。
  円高・ドル安要因とされるトランプ氏の反・自由貿易主義は「一番大きな懸念」と、内海氏は指摘。環太平洋経済連携協定(TPP)からの撤退表明や北米自由貿易協定(NAFTA)をめぐる米企業への干渉など「貿易面の自国第一主義、アメリカ・ファーストは選挙中と当選後で一貫して変わっていない。米大統領の権限でできることがある分野なので、皆覚悟しておいた方が良い」と言う。
  次期政権の減税・インフラ投資構想については「米国では大統領より議会の権限が強い。トランプ氏がやりたいことの何分の1が実現するかだ」と言い、「米共和党は減税は受け入れやすいだろうが、公共投資の拡大にはかなり明確な拒否反応がある」と話した。米経済成長とインフレ、金融引き締めの加速に関する市場の期待先行には行き過ぎの面があるとみている。
  米財務長官人事については「80年代のジェームズ・ベーカー氏のように非常に存在感を示す場合と、そうでない場合がある」と指摘。為替政策に関する方針は「日本にも世界にも影響が大きいが、米国はドル相場についてリーダーシップを取るというよりは受け身で対応する傾向がある。プラザ合意当時もそうだった」と話した。
  「ドル高に対する口先介入がどの程度出てくるかは注目点だ」。内海氏は、トランプ次期政権からドル高けん制発言があっても「それが響くのは自虐的な日本の市場だけだ。具体的な政策手段に表れるかはクエスチョンマークだ。したがって、相場への持続的な影響力もクエスチョンマークだ」と述べた。実弾介入が想定しにくい中では、金融政策のような持続的な影響力は及びにくいとの見方を示した。
  日銀が9月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和策とトランプ相場が相まって日米金利差は拡大し、当局が目指す物価押し上げに寄与する円安につながっている。内海氏は、日銀にとって「外部環境は政策目標の達成をめぐって感じている重圧を和らげる方向に動いている」ものの、黒田東彦総裁が金融緩和の縮小に向けて早急に動く可能性は低いとの見方だ。
*T
日本経済の意外な強さ:
**日本経済は完全雇用状態にあり、生産性も上がっている。人口減少社会では経済状況をGDPの規模で評価するのは間違いだ。労働者や国民「1人当たり」を重視し、人口減を割り引いて考えないといけない
**労働力人口が01年から13年まで0.7%ずつ減ったにもかかわらず、実質GDPは年平均0.5%成長した。労働力人口1人当たりだと同期間の累積で20%も成長し、米国の11%を上回った
財政再建には消費増税:
**財政再建には消費増税しかない。社会保障給付は受益者数が増加の一途をたどる一方、負担者は減るばかりだ。経済力のある受益者にも負担してもらう必要がある
**安倍政権が掲げる名目3%・実質2%成長の持続可能性には懐疑的な見方が多い。家計消費が伸びないのも、皆が将来への不安を抱えているからだ
**このままでは成り立つわけがない。消費税率は早く10%にするのは当然だが、10%にしても全然足りない。日銀の金融緩和も財政がきちんと締まってこないと本当の出口はない
T*
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-08/OHT3LF6TTDSW01


〔東京株式〕米株価の高値更新で一時230円超高(8日前場、続き)☆差替【12/8 12:00】
前日の米国市場でダウ工業株30種平均が前日比297.84ドル高と大きく上昇し、3日連続で史上最高値を更新したことが好感された。日経平均株価は一時230円以上上昇し、1万8700円台で推移する場面もあった。

一方、朝方発表された7〜9月期の実質GDP(国内総生産)改定値で成長率が下方修正されたほか、円相場が1ドル=113円台後半で推移したため、上値は重く、上げ幅が縮まったが、終始プラス圏だった。

取引終了後に欧州中央銀行(ECB)定例理事会を控え、午後は様子見姿勢が強まりそうだ。ただ、市場からは「終日プラス圏で推移し、日経平均は終値で12月1日に付けた年初来高値(1万8513円12銭)を更新するだろう」(銀行系証券)との声が聞かれた。


 

〔東京外為〕ドル、113円台半ば=米金利低下や株価伸び悩みで下落(8日正午)【12/8 12:03】
8日午前の東京外国為替市場のドルの対円相場(気配値)は、米長期金利の低下や日経平均株価の伸び悩みを受けて、1ドル=113円台半ばに下落している。正午現在は113円51〜51銭と前日(午後5時、114円33〜33銭)比82銭のドル安・円高。

東京時間の早朝は、113円60〜70銭台で推移。仲値に向けては国内輸入企業のドル買いや米金利の持ち直しに支えられ、113円80銭台へ上昇。その後は株価が値を削ったほか米長期金利が再び下げたため、ドル円は113円50銭近辺に押し戻された。

ドル円は、米金利低下や株価の上げ幅縮小で戻りの鈍い展開となっている。また、年末のため米大統領選以降に進んだドル高に「調整が入りやすい」(外為仲介業者)との指摘も出ている。ただ、今夜のECB理事会を見極めたいとのムードも強いため、「前日海外時間の安値である113円40銭前後では下値がサポートされる」(同)との声が聞かれ、ドル円は下げ余地も限られそうだ。

ユーロ円は軟調、ユーロドルは強含み。正午現在は1ユーロ=122円25〜27銭(前日午後5時、122円49〜50銭)、対ドルで1.0771〜0771ドル(同1.0713〜0713ドル)。

情報提供:株式会社時事通信


 

アングル:2017年市場コンセンサスと注目すべき「9つの論点」

[ロンドン 2日 ロイター] - 2016年は政策、経済状態、ファイナンスのすべてで潮目が一変した。こうした中で投資家は既に期待と不安を交えながら17年に目を向けつつある。

幅広く形成されたコンセンサスは、35年続いた債券の強気相場は幕を閉じ、インフレが再燃、金融政策は限界に達しており、次に景気刺激策が打ち出されるとすれば、財政になる、というものだ。

これが市場に及ぼす影響を考えると、債券利回りと先進国株、ドルはさらに上昇する一方、新興国の通貨・株・債券は苦戦することになる。株式を詳しく見れば、先進国が新興国を、景気循環銘柄がディフェンシブ銘柄をそれぞれアウトパフォームし、銀行株はイールドカーブのスティープ化から、住宅・建設株はインフラ支出から恩恵を受けるだろう。

ではこういったコンセンサスに反するような材料や論理上の欠点は見当たらないと言えるか、逆に広範なコンセンサスにおいて特に注目すべき予想や推奨トレードはないのかを探ってみた。

(1)債券利回り低下の可能性

直近で米国債利回りが歴史的低水準に下がった事態を正確に予想したHSBCは、利回りが来年上昇する公算は十分にあり、米10年債は2.5%に達するとみている。

ただしその時期は第1・四半期だ。HSBCの債券ストラテジスト、スティーブン・メージャー氏によると、それ以降は利回りが低下し、再び今年つけた数十年ぶりの低水準の1.35%に戻る見込み。2.5%までの金利上昇は、金融環境の引き締まりによって景気の足を引っ張り、米連邦準備理事会(FRB)の利上げを抑える結果、持続不能になるからだという。

(2)2016年「ピーク説」

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは、2016年が流動性、格差、グローバル化、デフレのいずれにおいてもピークに達し、過去最大の債券強気相場は終わりを迎え、来年はすべての流れが逆転すると予想。2006年以降で初めて、G7諸国では大幅な金融緩和は実施されず、金利とインフレは想定よりも上振れするとみている。

同社は債券の強気相場終了時期について、米30年債利回りが2.088%に下がった16年7月11日だった可能性が大きいとの見方も示した。

(3)ブラックスワン

ソシエテ・ジェネラルのエコノミストチームは、ほとんど誰も予想できずに大きな衝撃をもたらす「ブラックスワン」の要素として4つを挙げる。もし現実化すれば来年の見通しを覆す可能性が大きい要素は政治的な不確実性=発生確率30%、債券イールドカーブの急速なスティープ化=25%、中国のハードランディング=25%、貿易戦争=15%──だと説明した。

(4)ユーロ高

UBSは「ドルは他のG10通貨に対して過大評価されている」というあまり耳にしない見解を打ち出している。ユーロ/ドルはパリティ(等価)ないしそれ以下に下落するとの予想が強まっている流れに逆らい、UBSは来年末に1.20ドルまでユーロ高が進むと予想。欧州中央銀行(ECB)のテーパリング(緩和縮小)もユーロを支えると見込んだ。ポンドも過小評価されているため、対ドルで上昇するという。

(5)新興国資産にも推奨取引

来年はドル高と米債利回り上昇が新興国市場に打撃を与えるとの見方に異論を差し挟む向きはほとんどいない。ゴールドマン・サックスはずっとドル高と利回り上昇を唱えてきた。ただし同社の来年の推奨トレードには、新興国資産買いが絡むものが2種類ある。

1つはブラジルレアル、ロシアルーブル、インドネシアルピア、南アフリカランドの均等な通貨バスケットを買い持ち、韓国ウォンとシンガポールドルの均等な通貨バスケットベースを売り持ちにする取引。もう1つはブラジル、インド、ポーランドの株の買い持ち継続だ。

(6)ECBはテーパリング不可能

インフレが底を打ち、FRBが利上げに動きつつあることに伴い、ECBも毎月800億ユーロの資産買い入れ(量的緩和=QE)のテーパリングに乗り出す、という観測は正しいか。

恐らくは間違いだろう。RBCキャピタル・マーケッツは、ECBが12月にQEの期限を延長するだけでなく、来年終盤に物価上昇と経済成長が不十分になって再延長に追い込まれるとみている。「来年末になろうという時点でもなお、金融政策を巡る議論の焦点は今と非常に似通った内容になる。つまりECBがどうやれば景気刺激を続けていけるかということだ」という。

FRBとECBの金融政策の違いにより、欧米の国債利回りのスプレッドはさらに拡大する可能性がある。

(7)トランプ減税は株価に追い風

トランプ次期米大統領が公約通りに法人税率引き下げを実施した場合、米企業が海外にとどめている利益をどれぐらい還流させることができるだろうか。ドイツ銀行の試算では、それは約1兆ドルに達する。既に最高値圏にある米国株にとってさらに相場を押し上げる要因となってもおかしくない。

シティは、世界の株価は来年、先進国が主導する形で10%上昇するとみている。10%のドル高と米国の法人税率の20%への引き下げが、世界全体で企業の1株利益を6%増加させる可能性があるという。

(8)中国株が再び強気相場へ

中国株が回復して大きな強気相場になると、モルガン・スタンレーは予測している。上海総合指数は来年、2日の終値3243から36%の上昇となる4400で終えるとみている。

同社はまた、1株利益(EPS)の伸び率を前回の4%増から6%増に上方修正した。ただしこれは、米中間において「著しい」保護貿易摩擦が起きないことを前提としているが、そのような摩擦懸念と、中国の景気回復が比較的早期の段階にあることで、2017年前半における中国国内の金融政策は緩和的に維持されるだろう。

不動産業界への規制強化も、富裕層の資金を株式に向かわせることになると、モルガン・スタンレーは指摘。「全体として、前回よりも大きいが、落ち着いた強気相場になると予想する」としている。同社が正しければ、36%高は誰にとってもみじめ過ぎるということにはならないはずだ。

(9)人民元は下落

多くの為替アナリストが人民元は下落し続けると予想するが、1ドル8.00元を下回るとみる人はほとんどいない。下回るとみるドイツ銀行のアナリストらが正しければ、人民元はさらに15%以上下落する可能性がある。

公平を期すために言えば、彼らは「2018年までに」心理的節目の8.00元を下回ると予想している。しかしそれでも政府によって厳しくコントロールされている人民元にとっては、来年は確実に、そしてかなり下落することになるだろう。

ドル上昇も人民元下落要因の1つだ。もう1つの要因は、ドイツ銀行によると、中国政府が外貨準備3兆ドルを下回ることは避けたいと考えることにあるという。過去数年、外貨準備は自国通貨下落を和らげるクッションとして使われていたが、資本が流出すれば、さらにひどい直撃を被る可能性があるからだ。

(Jamie McGeever記者)

*11月28日配信の記事に内容を追加して再送します。
http://jp.reuters.com/article/markets-2017-outlook-idJPKBN13K17A?sp=true

 

中国の外貨準備、3兆ドルの節目に迫る
By NATHANIEL TAPLIN
2016 年 12 月 8 日 14:50 JST
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 中国では11月に外貨準備高が5カ月連続で減少し、さらに減少幅が700億ドル近くに上ったことから、外為当局が再び窮地に立たされている。

 中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した11月末の外貨準備高は前月末から690億6000万ドル減少し、3兆0520億ドル(約348兆7000億円)となった。減少幅は、人民元安が世界市場を震撼(しんかん)させた1月以来の大きさだ。外貨準備高は3兆ドル目前まで減り、2011年以来の...

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http://jp.wsj.com/articles/SB10133893654180563918204582483931232483256
 

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