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エセ科学で商品を宣伝する悪徳商法が蔓延!商売につながる「科学的情報」の欺瞞
http://biz-journal.jp/2016/12/post_17404.html
2016.12.08 文=大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座准教授 Business Journal
本連載の前回記事『蔓延する「エセ科学」商法の正体…水素水、コンビニ弁当危険説、マイナスイオン』(http://biz-journal.jp/2016/10/post_16896.html)で、「エセ科学」商法の実態について、マイナスイオン、水素水などを例に挙げながら紹介しました。
なお、冒頭で断っておきますが、具体的事例として挙げた商品そのものを非難することが本連載の目的ではありません。また、学術的にきちんと研究が進められている分野があることも知っておいていただけたらと思います。
今回は、消費者が「エセ科学」を見抜くことができるかどうか、そして悪徳商法に騙されないようになれるかどうかについて、焦点を絞って考えてみたいと思います。
たとえば、「水素水」についてです。
活性酸素が、さまざまな病気に関連していることは、多くの人が聞いたことがあると思います。そして、酸素と水素が結合すると水になるということは、小学校や中学校の理科の知識で皆さん知っていることでしょう。
ですから、水素が活性酸素を除去して、病気の予防や治療に役立つのではないかという話は、論理的に辻褄が合いそうな気がします。事実、水素を用いた臨床試験も行われており、酸化ストレスマーカーが減少することも確認されています。さらに、心肺停止後に心拍が再開した人を対象とした「水素ガス(※注意:水素水ではありません)」を用いた臨床試験も計画されています。
関連記事:「心停止への水素ガス吸入、臨床試験始まる」Medical Tribune2016.11.30
https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1130505769/
しかし、皆さんもご存じの通り、昨年末頃から水素水ブームが起こると、「嘘・大げさ・まぎらわしい」のCMでおなじみの日本広告審査機構(JARO)に登場してもらわなければならないような広告が目につくようになりました。つまり、科学的に正確な情報と不正確な情報が、世の中に入り乱れている状態が起きたわけです。
では、「科学的に正確な情報」と「科学的に不正確(=嘘・大げさ・まぎらわしい)な情報」との境界線を見極めるためには、どうしたらよいのでしょうか。
■重要なのは科学的思考力。でも、弱点がある
「科学的リテラシー」という言葉は聞いたことがありますか。文部科学省は、科学的リテラシーを「自然界及び人間の活動によって起こる自然界の変化について理解し、意思決定するために、科学的知識を使用し、課題を明確にし、証拠に基づく結論を導き出す能力」と定義して、さまざまな取り組みを行っています。そして、科学的リテラシーの向上のためには、科学的思考の習得が重要になってきます。
科学的思考では、新しい発見のみならず、通説や定説となっているものでも、まずは疑ってみる姿勢が求められます。つまり、情報を批判的に吟味することが科学的思考の基本になります。これが「科学的に正確な情報」と「科学的に不正確な情報(エセ科学)」を見極めることにつながります。
ですが、その科学的思考には弱点があります。科学的思考では、情報を批判的に吟味することを念頭に置きつつ、どんな奇妙な発想であっても、まず一旦は心を開いて受け止めることも求められます。そのため悪徳商法は、そこを逆手に取って、エセ科学を振りかざしてくる可能性があります。
さらに、人間の脳が情報を処理する仕組みには認知バイアスなどが存在し、生まれつき騙されやすくできていることも過去の連載で取り上げました(以下記事参照)。
・『「医者がひた隠す!薬の恐ろしい副作用!」的な記事は、結構デタラメなものが多い?』
http://biz-journal.jp/2016/08/post_16353.html
・『食品添加物や残留農薬は本当に危険なのか? 横行するリスク過大視&認知バイアスの罪』
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15072.html
身も蓋もない話になってしまいますが、いくら科学的思考を身につけたとしても、エセ科学の矛盾点を完全に見抜くことは難しく、悪徳商法に騙されてしまう可能性はいつまでも付いて回ってしまうことになります。
■悪徳商法に騙されない唯一の手段
そこで、「エセ科学」を見抜く方法についてはいったん脇に置き、とにかく悪徳商法に騙されないための解決策・対応策について考えてみたいと思います。
悪徳商法も商売ですから、何かを売って利益を得ることが最大の目的です。これは悪徳商法に限らず、まっとうな商売をしている企業や個人でも同じです。そして売上を伸ばし利益を増やすために、宣伝・広告を行うのが世の常であることは周知の事実です。その宣伝・広告手法のひとつに、実験結果などの科学的な説明を用いることは当然あります。それは、決して否定されるものではありません。
しかし、なかにはデタラメな実験結果を使ったり、むちゃくちゃな論理展開をしたりして、なんとなく科学的な説明をしてくるケースがあります。つまり、エセ科学です。しかし、前述の通りエセ科学を見抜くことは困難です。
そこで、ちょっと極端かもしれませんが、悪徳商法に騙されないための解決策・対応策を紹介します(あくまで個人的見解です)。
それは、「何かしらの商売につながっている科学的な情報は、その真偽のほどが定かではなくても、すべて宣伝・広告である」と認識し、警戒する態度をとることです。
たとえば、科学的なデータを示しながら「これが体に悪い!」「これが健康に良い!」といった情報があったとします。その情報が、学術論文の解説記事など科学的な情報だけならば問題ありません。
ですが、その情報をもとに商品が販売されていたら、それは宣伝・広告です。情報の発信者が利益を挙げるために、加工・脚色したものだと思って差し支えありません。なお、あからさまに商品を販売しているケースばかりではなく、自説を主張している書籍を紹介し印税で儲けたり、自身が開催するセミナーを案内して参加費で収入を得たりと、あの手この手で商売をしていることがあります。インターネットの場合、その情報へのアクセス数増加が発信者の利益につながっていることもあります。
ですから、商売の臭いが少しでもするような科学的データを目にしたり耳にしたりした場合、「ちょっと怪しい」「何か裏があるかも」と疑ってかかることが、「エセ科学」を駆使した悪徳商法に騙されない唯一の防衛策なのだと思います。
(文=大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座准教授)
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