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中国安徽省の銀行で行員が数える100元紙幣の束(2010年10月20日撮影、資料写真)。(c)AFP〔AFPBB News〕
中国、金の輸入と人民元の流出を制限 外貨準備高がピークから約25%減少、資本流出に警戒感強める当局
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48578
2016.12.6 Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年12月2日付)
中国が人民元流出の抑制と金(ゴールド)の輸入制限を同時に実施し、世界第2位の経済大国からの資本逃避を阻止する措置を強化した。
外国への人民元の支払いと金の輸入の抑制は、人民元の下落圧力の緩和と、減少している外貨準備高の保護を目的とした最新の資本規制策である。
この数日前、中国の内閣に当たる国務院は高額な外国資産の購入を制限するルールの草案を示しており、外国為替管理当局も外国送金の届け出が必要な金額をこれまでの5000万ドル以上から500万ドル以上に引き下げ始めていた。
本紙(フィナンシャル・タイムズ)が入手した資料によれば、中国人民銀行(中央銀行)はこれから、中国を本拠地とする企業による人民元の外国送金を、純額ベースで株主資本の30%以下に制限する。これまでは、このような送金の額に上限はなかった。むしろ中国政府は、広い意味での人民元国際化の一環として送金を奨励していた。
中国人民銀行のデータによれば、国外への人民元の支払額は、第3四半期に1兆7000億元という過去最高の水準に到達した。一方、国外からの流入額は9700億元にとどまった。当局は、以前は人民元の流出に寛大なアプローチを取っていた。外国で人民元が蓄積されれば、中国国外での貿易や投資に人民元を使うことが可能になるためだ。
これと並行して銀行や貿易会社からは、人民元安を受けて金への関心が中国人投資家の間で高まるにつれ、金の輸入業者の一部が輸入許可を得るのに苦労するようになったとの指摘が出ている。
人民元は今年に入って対ドルで5.8%下落しており、過去最高の下落率を記録しそうな勢いだ。
「こうした措置はすべて、資本流出に対する規制の強化と、元安期待の増大に歯止めをかけることを目指したものだ」。中国国際経済交流センター(CCIEE)の王軍氏はこう指摘する。「現状では、こうするよりほかに手がない。中国は多額の外貨準備を失いつつある」
中国の外貨準備高は2014年の初めにほぼ4兆ドルという水準に達したものの、現在はそれより約25%少なくなっている。北京在勤のあるファンドマネジャーに言わせれば、当局は「(水漏れを止めようと)堤防のひび割れにすべての指を突っ込んでいる」ような状況だという。香港在勤の通貨ストラテジストも、「流出を減らそうと、細かいところまでチェックしている気がする」と語っている。
香港、スイス、オーストラリアおよび英国から得たデータによれば、中国は今年の1月から9月にかけて約905トンの金を輸入した。大半は宝飾品として再輸出される。
2013年にはHSBC、スタンダード・チャータード銀行、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の外国銀行3行に金の輸入免許が交付された。中国政府は、四半期ごとに輸入量を割り当てて金の輸入をコントロールしている。その1年後には、中国人民銀行が上海黄金交易所(商品取引所)に「国際板」の設置を認め、外国人投資家に市場を開いた。
上海黄金交易所は今年に入り、金価格を決定するオークションを毎日行うようになった。ロンドンの銀行間で行われているものに似た仕組みだ。「1歩進んで3歩下がるというところだ」。今回の輸入規制について、ある国際的な銀行の幹部はそう語った。
中国の資本規制策は以前から、中国国内のオンショア市場で人民元を米ドルに替えてその米ドルを外国に送る取引の認可を厳格化することに焦点を当ててきた。
国家外為管理局(SAFE)はここ数日、外国銀行に口頭で指導を行っているという。この件に詳しい情報筋によれば、配当金の支払いや株主からの借り入れの返済を行う必要のある法人顧客のために外貨を購入する際は、当局の許可を得るようにと指示している。
しかし、中国人民銀行による今回の行動は、国境を越える人民元送金に関するものだ。人民元のオフショア市場は2010年以降、中国が人民元の国際化を推し進める中で立ち上がってきたが、中国本土を出てこのオフショア市場に入った人民元については、外貨への転換が規制されていない。
人民元流出に対する新たな抑制策は、流動性がすでに引き締められているオフショア人民元市場にも強烈な一撃をもたらすことになるだろう。HSBCによれば、香港、シンガポール、韓国および台湾における人民元預金は2015年8月から今年9月末にかけて30%減ったという。
投資家や法人が人民元を売って米ドルに替えようとオフショア市場に出向いても、中国本土からの外貨流出の引き金を即座に引くことにはならない。しかし、流出を促す間接的な圧力は間違いなく生じる。
オフショア人民元が大量に売られれば、オンショア市場とオフショア市場の間で為替レートに乖離が生じる可能性も出てくる。ただ、両方の市場にアクセスできる銀行や法人が裁定取引を行うため、そのギャップは最終的には縮小する。この取引では、米ドルがオンショア市場から持ち出されることになる。
香港在勤の別の通貨ストラテジストは「(SAFEによる口頭での指導は)取引チャネルの継続的監視と、文書化についての要求強化の一環だ」と述べている。
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