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大塚家具有明本社(「Wikipedia」より/Ryoma35988)
大塚家具、広大なフロアに誰もおらず…久美子社長、放逐した父会長時代より業績悪化
http://biz-journal.jp/2016/12/post_17350.html
2016.12.03 文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント Business Journal
大塚家具の大塚久美子社長が11月24日に、リユース事業の進捗について発表会見を行った。同社では9月に家具の買取りと下取りを行うリユース事業の開始を発表していた。大塚社長によれば「一時期はコールセンターがパンク状態になり、受付の電話を当初の倍以上増やした。あまりの反響に驚いた」という。
「これまでに約1万6500件の査定依頼があり、そのうち1万1000点以上を引き取った。また、家具の引き取りを希望した客のうち、4割が大塚家具での家具の買い替えを希望し、買い替え促進効果も出ている」(大塚社長)
しかし、どうもこの発表と計算が合わない情報があるのだ。
■誰もいなかったリユース・アウトレット店
この発表直前に私は、大塚家具が「リユース・アウトレット専門店」としている東西2つの店舗の検分に出かけていた。
「アウトレット&リユース大阪南港」店に入ったのは、11月18日(金)のことだった。ここは、リユース事業のために同社が10月に開店したばかりの専門店舗である。南港ポートタウン線というモノレールのようなニュートラムという電車に乗って行き、トレードセンター前駅に直結している商業施設、アジア太平洋トレードセンター内にある。新大阪駅からたどり着くのに小1時間かかった。
7階と8階に大塚家具がテナントとして入っていて、リユース大阪は、7階の半分を占めている。その他の1.5フロア分は同社の通常店舗だ。
私が到着したのは午後1時過ぎだった。リユース大阪部分の広さは5000平方メートルほどだと後になって知った。というのは、新装まもないこの店舗の入り口に立って店内を見ると、広大な店内には誰もいなかったのだ。そして店の奥まで進んだが、客も店員もひとりもいなかった。その間、10分ほどである。「大塚社長が打破しようとしている、父・大塚勝久前会長時代に取っていた入店時の会員登録制度などの過剰接客が、徹底的に否定されている店なのかな」などと思った。
顧客会員でもあった私は、探している家具があったため、書類を持った店員があわただしく通り過ぎようとしているのを引き止めて、質問させてもらった。
さらに冒頭の発表前日、11月23日(水)には、「アウトレット&リユース横浜」店を訪れた。ここは大塚家具の倉庫だったところで、6階建て建物の3階部分を店舗としている。広さは4000平方メートル強だという。横浜駅より鶴見駅のほうが近い。大阪も鶴見もアウトレット拠点なので、公共交通からのアクセスはあまりいいとは言えない。その代わり、展示面積は十分に取れている。
こちらを23日に訪れたのは、同社がアウトレット・リユースをプッシュする販売イベントを22〜24の3日間開いていたからだ。3日間の人出は好調で、私が訪れた23日はイベントの2日目にもかかわらず祭日でもあったせいか、午後4時過ぎに駐車場に入るのに難儀したほどだった。リユース大阪の閑散さとは対照的だった。大塚社長も鶴見でのイベントの好調に自信を深めて、冒頭の会見となったのではないか。
■リユース事業は線香花火で終わるのか
私は、上記2つの店舗で店員に「リユースの家具は、どれですか?」と尋ねた。「グリーンの品札のものがそうです」という。9月以降に大塚家具が顧客から買い取ってきたもので、大塚家具以外の家具も対象となっており、新たな購買が課せられることもないという。
東西の広大なショールームのどちらでも、グリーンの品札が付いた商品は大変少なく、見つけるのに苦労した。多くの商品はオレンジ色の品札、アウトレット品で、大塚家具の各店舗で展示していたものを減額販売しているとのことだ。店員に「『5点限り』などと書いてあるものもありますね」と尋ねると、「アウトレット品販売として新品のものもお売りしています」とのことであった。
冒頭の会見で大塚社長は、リユース買取りの呼びかけに対して多数の応募、そして買取りがあったと発表したが、そのすべてがこれら2拠点で販売されているわけではないようだ。
リユース・アウトレット事業を担うのは、リンテリアという子会社だ。もともとは佐野春生社長を含めて6人の会社だったが、事業拡大に伴い41人に増員したという。
「9月、10月の2カ月間で、メンテナンスを終えて供給したリユース品は453点。そのうち、429点に注文があり、短期間で売り切れている状態。今後はもっとメンテナンスのペースを上げて、12月初めまでには2000点を用意したい。いずれは月に平均3000点の供給を目指している」(佐野社長、11月24日付「ITmediaビジネスオンライン」記事より)
冒頭会見で大塚社長は1万1000点の中古家具を引き取ったと言ったが、店頭に出せたのは2カ月では500点足らずだ。どうも計算が合わない。この数字の差について、大塚家具広報室は次のように説明する。
「9月8日から『買取り・下取りキャンペーン』を実施しましたが、当初は約2週間で1万件を超えるほど申込みが殺到したため、通常3日間程度で査定額のお知らせをするのですが、人員が申込みへの対応で手一杯の状況がしばらく続き、かなりお待たせすることになってしまいました。結果として、お引取りした家具がリンテリアに入ってくるまでの期間が遅れたことで、9月のリユース品の商品化は限られた数量となりました。
10月も余波があり、9〜10月では453点の商品化にとどまりましたが、商品化のための人員も増強し、11月末までに約2000点の商品化を予定しています。10月にはメンテナンス完了していたものはかなりありましたが、商品としての登録が完了できていなかったため、登録済み数では453点ということです。現状、1日70品程度の商品化のペースで進めておりますので、安定的に商品化を進めてまいります。また、引き取ってきたお品の一部はメンテナンスせず中古家具を取り扱う提携企業に販売もしております」
また、大塚家具関係者は「査定額のほとんどは1000〜2000円で、引き取り出張料として5000円かかるため、実際には成約しないことがほとんどだ」と語るが、これについても、同社広報室は次のように説明する。
「10月16日までのキャンペーン期間は、買取り・下取りとも家具引き取り時の『訪問作業料5400円』はかかりませんでしたが、それ以降の、通常の買取り・下取りに際しては、『買取り』の場合のみ訪問作業料がかかります。査定額については、アイテムやブランドの有無、商品の状態等によりかなり差がでますので、明確にいくらくらいとは申し上げられませんが、1品や2品の買取りの場合で、査定額が5400円を大幅に下回る場合は、成約になりづらいということはあるかもしれません。
一方、仮にいくらか下回ったとしても、当社は家具配送専門のプロが作業を行ううえ、ご自身での手間がかかりませんので、自治体で処分した場合の費用と手間との兼ね合いで判断されることもままあります。また、ある程度の点数を申込むお客様も多いため、『成約しないことが多い』ということはない、という所感です。
当社関係者のコメントということですが、当社の社員だとすれば、その方が査定担当したお客様の場合か、店舗によっても格差があると思われます。また、衣類収納家具のお申込みも多いのですが、衣類収納家具は中古市場ではニーズがとても低いので、仮に品質の良いものでも、そもそも査定金額水準が低いということはあるかもしれません。
また、今後も『買取りや下取りのキャンペーン』を期間を区切って実施していきますので、商品供給は安定して継続していけるようにしてまいります」
中古家具の再販専業店舗ということで、トレジャー・ファクトリーやハードオフのような雑然とした店頭を想像していたが、豪華な少数一点ものが多いという印象である。2拠点で散見したリユース品の店頭価格は、書斎机で5万9800円、2人がけソファで6万9800円など、5〜10万円近いものが多かった。それらは新品といわれてもわからないし、新品価格より数十パーセントは安い、とのことだ。ところが「まったくの新品のアウトレット品も値引きしているので、同様の価格でお求めになれます」(店員の説明)という。つまり、客がセコンド・ハンドであるリユース家具に食指を動かすのは、よほど個人の嗜好にフィットする場合に限られるのではないか。
■長すぎる「生みの苦しみ」
冒頭の発表で大塚社長は、「この好調を受けて、リユース・アウトレット業態を拡大する。リユースの受付と販売を行う店舗を現在の8店舗から16店舗に拡大する」とした。ちなみに現在の店舗数は19店舗なので、ほぼ全面的な展開ということになる。
それは確かに、高級路線から脱却しようとしている大塚社長の戦略に沿った流れにはなるのだろう。問題は、同一店舗内で正価品と混在させることになるので、正価品のブランド価値の毀損リスクが生じることだろう。
そもそもリユース事業は、ビジネスとして同社にどれだけのマグニチュードをもたらすのだろうか。リンテリアの佐野社長が言うように、月商3000点を達成したとして、平均価格5万円とすると、年商18億円ということになる。大塚家具の年商580億円(15年12月期)に対して、社長がそこまで意気込める事業規模となればいいのだが。
09年に社長に就任して以来苦闘を続けてきている大塚社長は、今秋にもいくつもの施策を打ち出してきている。10月にはイギリス家具の名門ブランド「DURESTA for MATTHEW WILLIAMSON」の販売開始を発表し、11月に入ると「STAR WARS/PREMIUM HOME COLLECTION 2016」や「世界の絨毯フェア」などのイベントも実施している。今回のアウトレット・リユース事業もビジネス拡大戦略の一環と見ることができる。
いろいろ施策を打ってはいるが、同社の財務指標を見ると、足元では苦戦が続いている。同社が11月4日に発表した今年1−9月の業績は、売上高は前年同期比18%減の343億円、営業損益は37億円の赤字(前年同期は1億9000万円の赤字)、最終損失が40億円の赤字(同7100万円の赤字)となった。
大塚社長は、昨年春の株主総会で実父・大塚勝久会長(当時)を放逐して経営権を完全に握った。それ以来、業績をさらに低迷させてしまっている。経営戦略の転換ということで「生みの苦しみ」が続いているとみることもできるし、続き過ぎているとみることもできる。
■孤高のトップ
大塚社長の発表を見ていて、私はなぜか韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領を想起してしまった。2人とも著名な女性リーダーである。公務に専念していて、信念がとても強く、社会や家族から非難され孤立しても職務を投げ出すことはない。強い意志を持つ、いわば孤高のトップである。
しかし2人の大きな違いというと、朴大統領はいまや支持率4%以下という国民から絶対拒否の状態に陥っているのに対し、大塚社長には支持してくれる層が明らかにあるということだ。それは、大塚家具の株主たちだ。現在1250円前後の同社株を年末まで保持していれば、株主配当が一株に対して80円付く。それは昨年の株主総会で、経営権を保持しようとして社長が公約したことのひとつだ。
16年12月期は売上高483億2,700円(前期比100億円減)、最終赤字43億5,800万円の大幅減益が予想されている。しかし同社の場合、どんなに赤字が見込まれていても、実施されるその株式配当は率として現株価に対して6%以上となる。いまどきこんな金融商品は、ほかにはあまり見当たらない。
株主としては、大塚社長に拍手を送り続ければいいということだろうか。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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