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日銀本店=CC BY /OiMax
やり尽くされた金融政策の果ての、奇策
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161129-00010003-socra-bus_all
ニュースソクラ 11/29(火) 14:20配信
■予想外の、日銀による長短金利操作
日銀が9月に打ち出した「長短金利調整付き質的量的」の方針転換は、日銀の決定会合よりほぼ1か月前に金融政策を予測した小生の寄稿(8月19日付「日銀、次の一手はマイナス金利拡大か」)では、(1)インフレ目標の2%の旗は降ろさないが、達成期限を定めない、(2)マイナス金利を主軸に据えて量から金利に操作目標を変更する、といった点はおおむね9月21日の決定会合の発表に即していた。
ただ、上記の(2)ではマイナス金利を続けながら量的目標も残すこととなった。筆者がマイナス金利一本に絞るべきとしたのは、民間銀行の持つ日銀当座預金にー0.1%のマイナス金利を付しておく一方で当座預金残高を増やしてマネタリーベースを増加させたいというのは整合性に欠けるのではないかと思ったからだ。
ECB、スウェーデン、スイスなど他のマイナス金利導入国でもそうした目標は立てていない。これに対して日銀では「マネタリーベースの残高は拡大方針を維持する。この方針により、あと1年強でマネタリーベースの対名目GDP比率は100%(500兆円)を超える見通しである」と声明文に明記して、その有効性を強調している。この政策で実質金利の低下を招いたとしても、だからと言って資金需要が増えてマネーストックが増えたわけではない。
もっと大きく予想を外したのは「イールドカーブ・コントロール」である。短期金利をマイナス金利にする一方で、長期金利の代表指標である10年物国債金利をゼロ%程度で推移するようにする、という長短金利操作を打ち出したことである。短期金利は中央銀行がコントロールする一方で長期金利は市場の予想に基づき決定されるので中央銀行はコントロールできないというのが金融政策の教科書が教えるところである。
これらの措置に対する感想を述べると、マネタリーベースの残高拡大方針は、日銀審議委員の一部にある「マネーを増やせばインフレになる」という貨幣数量説的な声を無視出来なかったのではないか、と推量しうる。
イールドカーブ・コントロールの方は、マーケットの情報発信機能をつぶすものといった批判は絶えないが、日銀の国債買い入れが市場の1/3に達するという中ではおそらく実行可能であろう。これにより既に多く指摘されているように、生保、地銀などの長期投資に依存する金融機関の悲鳴に手を打ったということであろう。
問題はこれにより実質金利が一段と低下して資金需要が拡大する、さらには為替の円安化が実現できるか、ということにある。前者については最近の貸出の増加は不動産、M&Aなどに限られており、設備投資などの資金需要が拡大する気配は見られない。
後者については米国の金融政策が9月に利上げをまたもや見送り、年内一回の利上げが12月にできるかどうか、という市場見通しもあってこのところむしろ円高気味に推移している。対ドルでは100円の大台割れ寸前に来ている。日銀では、必要とあればマイナス金利の深掘り、国債買い入れオペ等を通じて長期金利の引き下げに断固として動くと明言している。
しかし、マイナス金利でいってもー0.5%程度と引き下げはあと2,3回が限度であろう。すでに金融政策はやれることをほとんどやり尽して限界に来ているといえる。
最新のエコノミスト誌でも巻頭言で「我々は低金利の世界に生きているが、金融政策はもはや限界である。インフラ投資など財政政策が主役に出るべき」とアングロサクソンらしい提言をしている。しかし、国債残高のGDP比が240%に達しており、消費税の10%への引き上げも視野に入っているわが国では大型財政出動もかなわない。構造改革、規制緩和といったサプライサイド改革しか明るい展望を拓く手段はない。
俵 一郎 (国際金融専門家)
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