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銀行決算で当局が問題視するマイナス金利の損失穴埋め策
http://diamond.jp/articles/-/109485
2016年11月29日 週刊ダイヤモンド編集部
銀行業界がマイナス金利政策にどっぷり漬かってから初めての中間決算が出そろった。今年2月に導入され、銀行の業績に大打撃を与えるといわれたこの政策の影響度に注目が集まったが、金融庁は銀行がどのようにそれを穴埋めし、決算数字をつくったかに注目。その視線には、かつての銀行業界の常識を覆す問題意識もうかがえる。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)
11月18日、銀行の融資姿勢改革などを議論する「金融仲介の改善に向けた検討会議」が開催された、金融庁の庁舎 Photo by Takahisa Suzuki
11月18日、金融庁と外部の有識者たちによる非公開の会議が開催された。銀行の融資姿勢改革などを議論するその会議での議題の一つとして挙がったのが、11月下旬に出そろった銀行業界の中間決算だ。
今年2月に日本銀行が導入し、銀行の業績に大打撃を与えるといわれてきたマイナス金利政策。その影響をもろに受けた初の中間決算の結果は厳しいもので、当期純利益を見ると、3メガバンクグループはいずれも減益。地方銀行も多くが減益に陥った。ただ、会議での論点は決算結果そのものよりも、マイナス金利政策の悪影響をいかに銀行が穴埋めしたかという点に比重が置かれた。
現在、監督官庁の金融庁が銀行に求めていることは大きく二つ。顧客目線での経営の徹底と、今後も生き残ることができる持続可能なビジネスモデルの構築だ。すぐには結果が出ない難問だが、今回の中間決算において答えの萌芽が見えるかどうかを、会議の参加者たちは見極めようとしたのだ。
しかし、結論から言えば、ほとんどの銀行は会議参加者のお眼鏡にかなわなかったようだ。
今回の中間決算でも、近年の銀行の好決算を演出してきた手法が多用されていた。国債や株式などの有価証券を売って、抱える含み益を利益として計上する手法だ。
その最たる例が、筑邦銀行(福岡県)と豊和銀行(大分県)の2行だ。筑邦銀行は当期純利益5.05億円の116%に当たる5.86億円を国債等債券損益で稼ぎ出した。そして、豊和銀行は当期純利益1.44億円の2倍超となる3.05億円を株式等関係損益で、含み益を吐き出している。
また、これら小規模地銀だけでなく、各地域のトップ地銀も同様の手法を用いている。静岡銀行は当期純利益127億円の97%に当たる123億円を国債売買損益で、鹿児島銀行は当期純利益56億円の77%に当たる43億円を株式等関係損益で計上しているのだ。
有価証券の含み益で決算の数字をつくることには何の問題もない。ただし、「打ち出の小づちは何回も振れない」(会議の参加者)。“お宝”有価証券が手元になくなれば、同じ手は使えないからだ。
また、リターンとリスクは裏腹なのが投資運用の世界。「高度なリスク管理能力を持つ体制を構築できれば、有価証券運用も持続可能なビジネスモデルになり得るが、その水準に達している銀行はほぼない」(金融庁幹部)。
■「日本型金融排除」を行う銀行を探すフィルター候補浮上
冒頭の会議では、もう一つの決算穴埋め役、与信コストの戻り入れ益にも話が及んだ。銀行は貸し倒れに備えて貸倒引当金を積むが、融資先の倒産や業績悪化が想定よりも少なければ、利益として戻る。それが戻り入れ益だ。
バブル崩壊後、大量の不良債権を抱えた銀行業界はその“膿”を吐き出し、不良債権比率や与信コストが低いほど健全性が高く、いい銀行とされる時代が続いた。
しかし、今度は反動で過度にリスクを取らない銀行の姿勢が問題化。金融庁は銀行が担保に依存し、将来性のある企業に融資しないことを「日本型金融排除」と呼び、その撲滅を掲げている。そして、ある金融庁関係者は与信コストの戻り入れ益の水準が「日本型金融排除を行っている銀行を探すフィルターになる」とみているのだ。
戻り入れ益の発生原因は主に3パターン。ベストは、銀行が経営難の融資先を支援して再建を果たし、貸し倒れリスクが低くなることによる発生だ。企業の自助努力による業績回復での発生もある。
問題は、銀行による貸し渋りと貸し剥がしが原因の場合だ。銀行が目利きを放棄し、リスクの高い企業に貸さず、既存の融資を引き揚げれば、戻り入れ益で収益は潤う。だが、銀行のあるべき姿とは正反対だ。フィルターでこの問題ケースを拾いやすくなるという。
この問題意識は不良債権をめぐるパラダイムシフトを意味する。金融庁が不良債権や与信コストを「量」ではなく、「質」で見極める時代に突入しているのだ。
表は、今期中間決算での当期純利益に対する与信コストの戻り入れ益の割合による上位20行ランキングだ。名前が並ぶ銀行は玉石混交で、融資先支援に励む理想的な銀行か、日本型金融排除の片棒を担ぐダメ銀行か、数字だけでは区別できない。ただ、金融庁幹部らは「経営者の顔を思い浮かべれば、どちらの銀行かすぐ分かる」といった会話を交わしている。
くしくもドナルド・トランプ次期米大統領も経営者としての経験から、過度な金融規制が銀行の貸し渋りを招いているという問題意識を持つと取り沙汰されている。
銀行に対する規制や監督の方針は、日本だけでなく世界でも揺れ動く大きな転換点にある。
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