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米長期金利上昇が示唆する将来のインフレと高成長期待
http://diamond.jp/articles/-/109363
2016年11月28日 野地 慎[SMBC日興証券為替・外債ストラテジスト] ダイヤモンド・オンライン
米大統領選挙においてトランプ候補が勝利したが、その後の市場の反応は、それまでの市場参加者の予想とはやや異なった。米国市場では株高と債券安が進み、他方、米国長期金利上昇に反応する格好でドルが上昇。ドル円も1ドル=110円を上回るに至った。
「政策のいいとこ取り」「トランプ氏は現実的な政策に回帰するためトランプリスクは杞憂」など、米国市場の動きを評する声はさまざまであるが、インフレ期待が高まっていることに相違はなさそうだ。
トランプ氏が唱える財政拡張が景気拡大に伴う「良いインフレ」を想起させるほか、移民抑制による労働力減少や報復関税などの政策が「悪いインフレ」をイメージさせることで、ひとまず「トランプ政権ならインフレ」との思惑が強まったといえる。
FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ抑制のために利上げペースを速めるとの思惑から長期金利が上昇したともいえよう。
ただし、大統領選以降のFF(フェデラルファンド)先物金利の上昇幅は限定的で、2017年に2度の利上げが織り込まれている程度。むしろ、今回の長期金利上昇に大きく寄与したのは、それより先のフォワード金利(将来の予想金利)上昇だ。
5年先、6年先、7年先に予想される2年物金利の平均を取ると、トランプ氏勝利後に一気に3%を上回ったことがうかがえるが、トランプ次期大統領誕生によって、将来の「強いアメリカ=高い成長率」が漠然と期待されたとも換言できそうだ。
ただ、このフォワード金利はこれまで、緩やかに低下傾向をたどるFRBの「FF金利長期見通し」に抑え込まれてきた。
FRBは高齢化する人口動態や労働生産性の伸びの鈍化などを背景に、米国の期待潜在成長率が低下傾向にあることを認めた格好となっており、それが顕現化したのが「FF金利長期見通し」の引き下げだ。
資産買い入れ政策の終了宣言をきっかけに生じた13年の「テーパーかんしゃく」と呼ばれる長期金利上昇局面でも、フォワード金利は一時的に「FF金利長期見通し」を上回ったが、その後結局これに抑え込まれる形となっている。
トランプ氏の政策のうち、規制緩和等が奏功し、米国の潜在成長率を高める格好で、文字通り「強いアメリカ」を実現できるのであれば長期金利の上昇も正当化されるが、現時点では未知数である。
当面はトランプ期待や債券買いポジションの解消などから米国長期金利は高止まりすると予想されるが、トランプ新大統領の下、規制緩和等の「変革」が進まなければ、緩やかに低下していく可能性が高いといえる。
(SMBC日興証券為替・外債ストラテジスト 野地 慎)
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