http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/194.html
Tweet |
トランプに翻弄される黒田日銀総裁 円安地獄の恐ろしさ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/194636
2016年11月26日 日刊ゲンダイ 文字お越し
急激すぎる円安に打つ手なし(C)日刊ゲンダイ
沸騰中のトランプ相場で、ついに25日日経平均が終値での年初来最高値(1万8450円98銭=1月4日)を一時突破した。結局、終値こそ1万8381円22銭だったものの、昨年11月以来という1年ぶりの7営業日続伸である。2週間で一気に113円前後まで、10円以上も動くという円安を好感した株価上昇に、「年末2万円」なんて威勢のいい掛け声が飛びかっている。
このトランプ・ショックでハッキリしたのは、黒田日銀の無力非力だ。「異次元の大規模緩和」は日本の金融市場初の「マイナス金利」にまで踏み込んだのに、お約束の「2%の物価上昇」はズルズル先延ばし。ETFを年間6兆円という異常な規模でジャンジャン買い込み、必死に株価を上げようとしたものの、ここ数カ月、マーケットはまったく反応しなくなっていた。
ところが、トリックスターが予想外の大勝利を収めた途端、ここまで相場がハネるのである。“黒田バズーカ”は形無し。口先だけのペテン師の限界があらわになってしまった。
東短リサーチ・チーフエコノミストの加藤出氏はこう言う。
「日銀はトランプ氏なら円高・株安になると想定していたので、勝利の瞬間は青くなっていました。しかし、円高・株安はわずか半日で反転。今はとりあえず円安・株高ですから、ホッとしていることでしょう。そういう意味では、日銀がトランプ氏に助けられている状況です。もちろん日銀はトランプ氏の経済政策に信頼を置いているわけではないでしょうから、先行きをハラハラしながら警戒しているとは思いますが、とにかく現状は、トランプ相場が少しでも長く続いて欲しいと祈っていますよ」
■デフレ脱却もトランプ次第
日銀は9月の決定会合で、金融政策をマネーの量から金利の操作重視へと変更。黒田総裁は「長期金利をコントロールする」と豪語していた。しかし、トランプが次期大統領に選ばれると金利が急上昇してしまい、あらかじめ決めた価格(利回り)で国債を買う「指し値オペ」という“伝家の宝刀”を抜くはめになった。
そのうえ9月に金利誘導と合わせて導入された「デフレ脱却策」は全く効果が出ていない。物価上昇率が安定的に前年比2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するという政策なのだが、25日に発表された10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年同月比で8カ月連続の下落だった。
「インフレ率についても、日銀はトランプ氏に助けられることになりそうです。トランプ相場の円安で輸入物価が上昇、原油価格が上がり、インフレ率のマイナス幅が縮まる。日銀が約束する安定的な2%上昇とは本質的に異なりますが、少なくともインフレ率は下げ止まる可能性があるわけです」(加藤出氏=前出)
国会出席日数が50日を超え、史上2番目の多さとなった黒田総裁。22日の参院財政金融委員会でも、「長期金利は円滑にコントロールできている」「賃金上昇を伴いながら物価上昇率が次第に高まっていくという好循環をつくり出すことを目指している」と相変わらずの強気だった。だが、その実態はどうしようもないまでの“他力本願”。哀れとしか言いようがない。
この“怪物”が世界の中心(C)AP
円安倒産が2年前の高水準へ逆戻りの恐れ
トランプさまさまの円安・株高に日銀が胸をなで下ろし、為替差益が得られる輸出企業はニンマリ、株式市場も歓迎しているが、一般の消費者や中小企業にとってこの急激な円安は何もいいことはない。むしろ大打撃だ。
東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏はこう話す。
「円安による悪影響は円高に比べてとにかく幅広いのです。原油価格が上昇すれば、例えばスーパーのビニール袋やラップ、パッケージが値上がりします。輸入食品の価格に円安分が転嫁され、外食や小売り、サービスの価格も上昇する。川下から影響を受けるので、消費者の財布のひもはますます固くなってしまいます」
内需関連がほとんどの中小企業は総崩れだ。これから年末にかけ、ただでさえ資金繰りが厳しくなるのに、為替市場では「次の節目は1ドル=115円」と言われ、さらなる円安進行が予想されている。トランプの大統領就任は来年1月だ。この勢いなら、早晩、1ドル=120円も現実味を帯びてくる。
東京商工リサーチによると、日銀の追加緩和により1ドル=123円まで進んだ2014年後半は、円安倒産が月間20件超ペースだった。1ドル=105円前後となった今年後半は毎月1ケタ台に落ち着いてきているが、急激すぎる“トランプ円安”で再び逆戻りとなりかねない。
「中小企業の16年3月期決算は、増収減益となったところが多かった。収益を落としてでも売り上げを確保したいがために安売りを進めたり、人件費が高騰していることが原因で、収益力が落ちているのです。そんな中での今回の急速な円安です。2014年当時より体力が落ちているうえ、人件費や税負担が増えているので、中小企業にとってはよりキツイでしょう。このまま円安が進めば、円安関連倒産が2014年のレベルを超えてしまいかねません」(友田信男氏=前出)
■リスク山積みのトランプ政権に翻弄
さらに恐ろしいのは、トランプ相場の先行きが見通せないことだ。マーケットは、トランプが唱えてきたインフラ投資の拡大や減税で米国景気がよくなるという期待感から、ドルを買って円を売る動きが加速している。しかし、こうした財政出動政策は中長期的に見ればリスク要因で、いつドル安・円高のトレンドに転じるかわからない。
そもそもトランプ政権は財務長官も決まっていないし、経済政策の全貌も見えないのだから、為替は今後、円高、円安のどっちに転んでもおかしくない。
「FRB(米連邦準備制度理事会)は12月に利上げする可能性が高まっていますが、来年以降はドル高が進み過ぎないよう、さらなる利上げには慎重になると思います。当面はトランプ相場の大きな流れが崩れることはないでしょうが、今後は例えば、トランプ氏のファミリービジネスと大統領職との間で起きる『利益相反』などが米メディアの攻撃材料になるリスクもある。トランプ政権は船出から火種を抱えているだけに、警戒感を持って見ていく必要があります」(加藤出氏=前出)
円高から円安、そして再び円高と、極端な乱高下になれば、大企業も対応に追われることになり、下請けの中小企業は大手に振り回されて、ますます業績が悪化するだろう。
いずれにしても、安倍政権も黒田日銀も、当面、トランプ相場の行く先を指をくわえて見ていることしかできない。怪物に引っ掻き回され、首をすくめるしかないのである。アベノミクスが世界を牽引だとか、これまで自画自賛してきたが、トランプの前にアベクロはなす術なし。木の葉のように風にもてあそばれ、どこへ連れていかれるのかも分からない。これがいまのこの国の真の実力なのである。
関連記事
トランプ“怪相場”の危うい今後…円安株高どこまで続く(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/171.html
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民116掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。