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タワーマンションカーストという言葉がある通り、タワーマンションに住むなら上層階、というのが世間の一般的な認識だろう。しかし、これから買うなら本当にお得なのは下層階になるかもしれない
新築タワーマンション「実は下層階こそお買い得」のなぜ
http://diamond.jp/articles/-/108990
2016年11月24日 沖有人 [スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント] ダイヤモンド・オンライン
タワーマンションの高層階の固定資産税額が増税されることになりそうだ。これに伴って、相続税額も高層階の方が高くなる。これまでは床面積で一律按分評価されていたので、階層や分譲価格には無関係であった。税の公平性からすれば、この改正は望ましい。不動産を購入する際に、価格やローン金利は真剣に考えなければいけない検討対象だが、税金に注目する人は少ない。今回は、税金も含めたタワーマンションの賢い買い方を整理しておこう。
■階数による価格差が意外に大きい
タワーマンションカーストの実態
タワーマンションの棟内の価格差はどの程度あるのか、調べてみた。調査対象は、首都圏、関西圏の階高20階以上で、2014年以降に販売したマンションだ。その結果、分譲価格での価格差はだいたい4倍相当になる。下は5000万円から上は2億円まで、といったイメージだ。最大は10倍を超える。これが最近「タワーマンションカースト」と呼ばれる身分差別用語が生まれる背景と考えられる。
◆図表1:同一物件内の分譲価格差
上記は単純な価格差であるが、是正という観点からは「単価差」で見ないとならない。単価差は概して2倍程度で、関西の方が大きい傾向にある。あるマンションの単価差が40階で1.8倍あるとしよう。1階層当たりの価格差は2%に相当することになる。一般的に、同一間取りの階層だけの価格差は、0.5〜1%なので、2%の価格差は眺望や仕様の違いなどを含むことになる。今回の改正は2018年の新築からの適用なので、固定資産税評価額は分譲価格表に従って割り振るようにした方が最も実態に近いかもしれない。
◆図表2:同一物件内の分譲坪単価差
■従来は1億円の物件購入で
最大200万円程度の税額不公平感
今回の改正の相続税額への影響を計算してみよう。以前実態を調べた結果からすると、タワーマンションの相続税評価額の平均は購入金額の17%だった。その当時と比較して物件価格が上がっているので、現時点では評価は14%ほどだろう。つまり、86%評価が下がってしまうわけだ。10億円の現金の相続税評価は10億円だが、10億円のタワーマンションのそれは1.4億円となるということだ。
平均14%の物件の高層階と低層階の単価差が1.8倍とすると、これまでは棟内で10%と18%が混在していたようなものだ。この8%の差に相続税率をかけたものが実際のキャッシュベースの違いでの最大値になる。
相続税の最高税率は55%なので、8%×55%=4.4%となる。不動産の相続税評価は土地と建物の合計額なので、今回の建物の評価替えの効果が全体の半分とすると、実際は購入額の2%程度の違いということになるだろう。つまり、これまでは1億円の物件を購入して、最大200万円程度の税額の不公平感が出ていたことになる。
この価格差は意外に小さい。それに新築であれば、建物の固定資産税評価は分譲時には建物ができていないので、評価もされておらず、販売側もわからない。購入側は購入の判断基準に入れることすらできない。税額がいくらになるかわからない新築は買いづらい。
もしかしたら、現存する中古物件に対してはすごく高い税額かもしれないが、相対的に調べる手立てはない。そうなると、税額を判断材料に新築物件を選ぶのは難しい。それに、最近のタワーマンションは投資用として購入されるケースが多い。新築竣工時に、総戸数の1〜2割の賃貸が募集に出されることもある。数十の高額賃貸住戸が一時期に募集に出されると、空室はなかなか埋まらない現実もある。加えて、新築は契約から竣工まで少なくとも1〜2年を要するので、この間に亡くなると相続税対策にもならない。
節税をも目的の1つとして購入しようとする人は、新築では不確定なことが多いので、中古物件に集中する。すぐに取得できるし、賃貸市場でも貸し手優位になりやすく、税評価も確定している。そんな中古物件は今回の是正対象外となっている。
■どの階が最も含み益を生むか?
お買い得は意外にも下階層
建物の相続税評価は最大で2%だったが、これ以上に投資判断に影響を与える項目がある。新築から中古になった際の物件価格の変化率を見たものが、以下の表である。2010年1月以降に売りに出た事例を基に、最上階が31階以上のマンションのみで集計し、高層(31F以上)、中層(11〜30F)、低層(10F以下)のフロアに分類して集計した。
◆図表3:タワーマンション階層別中古騰落率
まずエリアで見ると、都心では新築時から価格上昇しているのが顕著である。都心から離れるほど価格が下がりやすいのは、マンション価格の法則性の1つである。次に、サンプル棟数が10以上あるエリアでは、高層階よりも低層階の方が値上がり幅が大きい。都心では10%ほどの差が出る。1億円で1000万円の差になるというわけだ。
これは先ほどの税額の差の2%よりもはるかに大きいので、投資リターンで見たら高層階よりも低層階を買った方がお得ということになる。こうなる理由は、新築の価格設定に起因している。売主は全体の売上を最大化させるために、高層階の価格をなるべく上げ、来客の賑やかしと販売リスクを下げるために低層階の価格をリーズナブルに設定することが多い。特に総戸数が多い場合にはこの傾向が強い。マンション販売側はそれだけ売れ残りに対するリスクを強く抱いているものだ。この「癖」を利用しない手はない。その値上がり幅が10%もあるからだ。
これに加えて、下層階の建物評価は今回減税されている。固定資産税も軽減されているので、お買い得は大規模タワーの下層階と覚えておこう。
前述以外にも、タワーマンションの買い方にはコツがいくつかある。1つは北向きの方が値上がりしやすいことである。タワー以外の物件を含んでいる売出価格ベースの調査結果であるが、北向き住戸をつくるのはたいていタワーと思ってもらって間違いない。
下の表で見るように、北と南の価格変動率は約17%も違う。6000万円の新築物件なら、1000万円の価格差がついたことになる。こうなるのは、タワーは開口部が広く、北向きでも日中明るく、中古市場では実物を内覧するので眺望が良ければ価値が認識されやすいからだ。実際、北向きが値上がりしている行政区は、中央区・港区・江東区に集中しており、その値上がり幅は20%程になっている。
◆図表4:向き別中古騰落率(首都圏)
◆図表5:行政区別北向きの中古騰落率
■税効果がどれくらいあるか?
不動産購入はバランスで考える
タワーマンションが値下がりしにくいのは、マンションの物件属性の5つの中の1つであり、これまでも紹介してきた。これは保有期間10年で通常マンションより10%以上の価格差を生むほどの大きな差である。タワーには節税ニーズの購入者も加わり、アベノミクス以降の値上がり幅でも通常のマンションを1割程度上回っている。下層階、北向き、都心眺望、大規模、駅近などの条件を加えていけば、購入額の50%以上の含み益を出した例は数千に及ぶだろう。こうした売買益は自宅に限り3000万円まで無税となる。共有であれば、6000万円まで使える。加えて、この制度は2年おきに使うことができる。
これに対して、今回の建物評価の是正は最大2%程度の違いに過ぎなかった。それも価格の上がりやすい下層階が減税されるというメリットまである。マンションは1戸1戸の個別性が少なく、データ収集がしやすい。この結果、どんな物件を買えばいいか、この価格は高くないか、税効果はどのくらいあるかを、購入前からかなり調べることができる。
今回見てきたように、サンプル数も多く取れるので、調査はそれほど難しくない。マンションで資産形成に成功した人は世の中に数多く、誰でもチャレンジすることができる。ただし、成功するのはその法則性を知っている場合に限られることは言うまでもない。
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