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電通「屈辱の強制捜査」の大打撃!最悪のシナリオはコレだ 積み上げたプライドがズタズタに
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50245
2016.11.22 週刊現代 :現代ビジネス
本社と支社に一斉強制捜査—ここまでの大事になると、電通幹部の誰も思っていなかった。ひとりの社員の死が、天下の電通の足下をグラつかせている。社員の逮捕、それが最悪のシナリオである。
■官邸を怒らせた
「今回の強制捜査は、スピード・規模ともに『異例中の異例』といえます。昨年末に過労自殺した新入社員の高橋まつりさんの母親が記者会見を開いて電通の過重労働問題が取り沙汰されるようになってから、わずか1ヵ月で東京本社と中部、関西、京都支社と大規模な強制捜査が展開されました。ここからは、官庁や官邸が電通を本気で叩くという姿勢がうかがえます」(経済ジャーナリスト・磯山友幸氏)
11月7日午前、厚生労働省は計88人の大所帯で電通本社および3支社の「強制捜査」に入った。
「捜査官が入ってくると知らされたときには愕然としました。我々はなす術なく、表口から列をなして入り、オフィスの資料を片っ端からピックアップしていく彼らの捜査に応じるしかありませんでした。強制捜査に入られることは、本来企業としてはあってはならないことです。クライアントにどう説明するべきか、今はわかりません」(電通幹部)
厚労省が「異例」のスピードと規模で捜査に踏み切った背景と内実について、専門家たちは次のように分析している。
「電通はもともと何度も労働基準監督署から是正勧告を受けていたにもかかわらず、改善は図られず過労死が起きた。そこで10月に一度、労基署はその上部組織の東京労働局と共に電通本社へ『臨検監督』に入ったのですが、ここでは是正を求めるというより、強制捜査に乗り込むために是正されていないことを確認しに行った、というほうが正しいでしょう」(元労働基準監督官・篠原宏治氏)
また、日本労働弁護団常任幹事の渡辺輝人氏は次のように語る。
「『異例』なのは、支社も含め強制捜査を一斉に実施したこと。労働局は都道府県単位で設置されていて、これを一斉に動かすためには、結局本省の労働基準局が動き、各局の連携を取る必要がある。本来であれば労基署の監督官が単独で取り締まりや捜査ができるのに、本省まで関わってきているのです。
厚労省が総出で動いているのには、やはり先の臨検監督で、電通が労働基準法に違反している『証拠』を掴んだからだと思われます。本腰を入れた厚労省は差し押さえ令状が必要な強制捜査に踏み切った。これは彼らが電通を『容疑者』とみなしたということです」
差し押さえ令状は裁判所が発するもの。つまりある程度の容疑があることが前提で、強制捜査を実施したにもかかわらず立件しない、ということはほぼありえない。
電通に対する追及が今後どこまで及んでいくかについては後で詳述するが、その前に厚労省がなぜこれほどまでに総力を挙げて捜査に臨んでいるかを明らかにしよう。
前出・磯山氏は「塩崎恭久大臣は是正勧告に応じなかった電通に激怒している」と明かす。
「電通は'14年には関西支社が、'15年には東京本社が労基署から是正勧告を受けているのにもかかわらずこのような事態を招き、塩崎大臣は厚生労働大臣としてメンツを潰された格好になった。
それに、いま官邸は『働き方改革』を進めていますが、この現場を司る責任官庁は厚労省。このまま企業の過重労働問題を野放しにすれば、安倍総理の不興を買うことにもなりかねない。そこで、塩崎大臣は官庁としての『本気度』を示そうとしているのです」
■乗り込んだのは「特殊部隊」
これに加えて、今回の捜査が異例のスピードで進んだのは「過重労働撲滅特別対策班」、通称「かとく」の存在が大きい。彼らについて、当の東京労働局監督課「かとく」主査は次のように説明する。
「『かとく』は去年の4月から東京労働局と大阪労働局に配置され、今年の4月からは厚労省本省にも置いています。今回のケースは、東京労働局内では我々が扱っていて、本省の『かとく』とも連携を取って動いています。
我々が扱うのは、一般の労基署の案件よりもより悪質なものや、大企業が組織ぐるみで行っているものです。それらは巧妙にその体質が隠蔽されている場合が多い。これらに対応できる高度な捜査技術を持ったメンバーが集められています」
「かとく」の実績は華々しく、過去には靴チェーン店「ABCマート」で取締役ら3人、ディスカウント店を展開する「ドン・キホーテ」で執行役員ら8人を書類送検するという「大物案件」を次々とこなしてきた。まさにブラック企業取り締まりのプロ集団と言っても過言ではない。
弁護士の郷原信郎氏は次のように語る。
「ある部署の労基法上の問題が恒常化していたのであれば、その部門の担当役員が事情を知らなかったとは考えにくい。厚労省や『かとく』も、できるだけ上位の会社幹部を送検することを目指して捜査をすることになる」
これまでの企業も大手ではあるが、電通は日本のメディアを牛耳るフィクサー的存在。「格」が違うぶん、やるからには徹底的にやる準備を「かとく」は進めている。
さらに過去のケースは小売店が従業員に過重労働を強要していたが、電通は会社ぐるみでの強要が体質化していたわけで、経営陣が責任を問われることは必至だ。
■実態はもっとひどい
全国紙の厚労担当は次のように語る。
「『かとく』は今回の捜査で、社員たちの本社への実際の出入り時間のデータと、入力された出退勤の記録を入手したようです。双方を突き合わせるとわかるのは、会社にいた時間と記録された労働時間のギャップ。
たとえば会社にいたのは12時間のはずなのに、なぜか勤務時間は8時間として記録されていた場合、労働時間を何らかの方法で『ごまかし』ているのではないかと、『かとく』は想定しているのです。
また月々の労働時間を見て、たとえば繁忙期なのに他の月と残業時間がほとんど同じ、ということになれば、逆に繁忙期にもかかわらず残業していないのか、と疑いが生じることになる。こうした捜査で労働基準法違反に該当するのかどうかを裏付けていくはずです」
つまり「かとく」が目をつけているのは、長時間労働の実態に加え残業時間の「ごまかし」が行われているかどうか。その上で残業代が未払いだとしたら、電通は労働基準法違反で立件されることになる。
元電通社員でLamir代表の藤沢涼氏は、そのような「ごまかし」は「『暗黙の了解』としてまかり通っている」と明かす。
「自ら命を絶った新入社員の高橋まつりさんに対して、労働基準監督局は月間100時間超の残業があったとして労災認定しましたが、私は彼女がより多くの残業を強いられていたのではないかと思います。
電通の社員、特に新入社員をはじめ若手社員の残業時間は月に200時間はザラ。労働基準法の『36(サブロク)協定』で認められている所定外労働時間は70時間なので、130時間もオーバーしていることになります。ですが70時間を超えた残業時間を申請すると、上司からは『お前の仕事の効率が悪いんじゃないのか』と指導を受けてしまう。
ではどうするかというと、やはりあの手この手で残業時間を『ごまかし』ていくしかありません。こうした行為は、出退勤を管理している上司に『そうしろ』と教えられてやり始め、やがて社内全体の『暗黙の了解』として体質化していくのです」
藤沢氏は、電通社員が実際にどのような方法で「ごまかし」を強いられているかも語る。
「本社の1階のエントランスにはゲートがあり、社員がここを通るときにICチップ内蔵の社員証をかざすと入退館が記録されます。でもこれを普通に通過していると、200時間の残業がそのまま記録されてしまう。
そこで電通の社員は実際よりも早い時間に打刻し、残業を終えた深夜は、このゲートを飛び越えたり、匍匐前進で通過したりとなんとか退勤記録をつけないようにしていました。
また本社ビルの46階にはレストランが入っているのですが、そこを経由して一般向けの出入り口を利用すると、ゲートを通過せずに済みました。残業が多くなった日は多くの社員がここを通って帰っていきました。
さらにこの入退館記録とは別に、勤務管理表を毎日つけなければならなかったのですが、ここで毎日、2〜3時間ずつ勤務時間を削って上司に申告するわけです。
たとえば、備考の欄に『食事に出ていた』『自己啓発のために英語を勉強していた』などなど、適当な理由をつけるのです。これがいま巷で言われている『私事在館』なのですが、このような操作を繰り返すことで、月の残業時間を70時間以内に抑えているのです」
強制捜査があった7日午後、石井直社長は本社で1時間にわたる訓示を発表。この模様は同じく捜査を受けた関西支社・中部支社にも中継された。
この訓示では、労働時間が長くなってきた背景や変革すべき点、変革するためにはどのような投資が必要なのかが列挙され、「チーム力を結集し、社が直面する課題を共に克服し、新しい電通を作り上げていこう」という前向きなコメントで締めくくられたという。
「この訓示には、電通上層部の強い『屈辱』がにじんでいます。『電通は働きに働いて、日本を動かしてきたんだ』という矜持が、この期に及んでもどうしても捨てきれない。今回の強制捜査も、心のどこかで『なぜ俺たちが』と思っている節があります」(全国紙デスク)
一方社員からはこの訓示に対し「理想と現実があまりにもかけ離れている」と冷ややかな声が上がっている。
電通本社は10月に臨検監督を受けて以降、36協定で設定している月間労働時間に関し、所定外70時間の上限を65時間に引き下げ、「不夜城」とも呼ばれたオフィスの電気も22時で全館「強制消灯」している。
だがそれで労働環境が劇的に改善したわけでは到底なく、「早朝、5時から出社している」と嘆く社員も少なくない。
起訴されれば石井社長の退任は必至〔PHOTO〕gettyimages
■社長逮捕は「ありうる」
前出の藤沢氏は次のように語る。
「電通には『鬼十則』という労働規範が今でも残っている。『取り組んだら放すな、殺されても放すな』といった過酷な価値観が今でも企業カルチャーの根幹になっています。
たとえば電通には深夜0時から会議を始めるのが『かっこいい』という風潮さえある。そんな上司のために、新人は資料づくりや後片付けまでやらされ、残業が際限なく増えるのです。
石井社長の訓示も、この『鬼十則』から進歩しているとは思えない。まずはこれを捨てるところから始めなければ、労働環境は改善できないと思います」
旧態依然とした伝統を今日に至るまで引きずり、社員に大きな負担をかける電通幹部たち。彼らへの追及は、これまでと同じと考えないほうがいい。場合によっては、トップが「逮捕」される可能性も出てくる。
前出・厚労担当は「官邸や『かとく』の本気度を見誤らないほうがいい」と語る。
「石井社長は『捜査に協力する』と言っていますが、万が一捜査に面従腹背するようなことがあれば、証拠隠滅罪など刑法罪に問われていく可能性もある。その隠蔽が石井社長の指示によるものとわかれば、当然逮捕だってありえます」
また、前出・渡辺氏は「労基法でも石井社長が罪に問われる可能性がある」と語る。
「労基法121条2項では、現場の違法行為を知りながら是正措置をしなかった場合、事業主、つまり社長まで処罰されます。電通は'91年にも過労自殺事件を起こしており、残業時間を過少申告させる企業文化があることは当然知っていたはず。これに対策を取らなかったことは社長自身が罪に問われる可能性が十分にありえる」
今回のような強制捜査が入った場合、事情聴取から書類送検までは確実に行われる。企業が起訴されることも必至だが、彼らが恐れる「最悪のケース」は、石井社長自身が罪に問われることだ。
まさに落日。日本のマスコミ・広告業界の王者として君臨してきた電通が、そのプライドをズタズタに切り刻まれようとしている。
「週刊現代」2016年11月26日号より
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