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成功者と見られている経営者は本当に幸せなのか? 収穫逓減の法則が表す組織の性質 中東産油国と縁切りをするトランプ新政権 
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/776.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 11 月 18 日 11:46:14: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

成功者と見られている経営者は本当に幸せなのか?
第73回 収穫逓減の法則が表す組織の性質
2016.11.18(金) 藤田 耕司
People gather for the "Diner en Blanc" (Dinner in White) in Battery park New York on Septembre 15, 2016. (c)AFP/KENA BETANCUR
 私は公認会計士、心理カウンセラーとして経営コンサルティングを行っている。こういった肩書きで仕事をしていると様々な相談が寄せられる。

 そろそろ上場も見えてきた。会社の従業員は毎年倍増し、規模拡大中の会社の経営者。業界の人たちからは注目を集めるその経営者の方からこんな相談を受けた。

 「実は今すぐ会社を辞めたいんです。とはいえ自分が創った会社なんで辞めるわけにもいかず・・・」

 時代の流れもあって、展開しているサービスへの受注が殺到し、その仕事をこなせる人員が圧倒的に不足する状況に陥った。急遽、人員募集をかけ、次から次へと人を雇い、その仕事ができるようになるためにスキルを教え、どんどん現場へ送り込んだ。

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仕事が増え従業員も増えたものの・・・

 そうするうちに受注はさらに増え、ビジネスチャンスを逃してはならないと人員募集の枠を倍増させる。

 気がつけば数人だった会社は100人近くまで従業員が増えていった。仕事に必要なスキルを教えてきたので、みんな与えられた仕事はできる。現場に行って仕事をこなし、せっせと売上の獲得に貢献してくれる。

 しかし、それ以上でもそれ以下でもない。大半の人間が入社2、3年目の新人から構成される会社。現場を統率するだけの組織体制も仕組みもまだできていないため、現場の主導権は徐々に新人組によって握られ始める。

 そんな状況でも仕事は次々に舞い込んでくるため、さらに人員を募集し、現場の新人比率はさらに上がっていく。

 一見すると今をときめく急成長の会社のように見える。しかしその内情は、メンバーの統率はとれず、業務の質は下がり、一方でお客様は増えるため、質の低い業務をより多くのお客様に提供するという状況に陥っていた。

 こういった状況で社長の負うリスクと責任の大きさを考えると、ぞっとするものがある。そんなリスクと責任を負いながらも会社に行くと、社長といえども新人組からはよそ者扱いされる。

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 社長が喫煙室に入ると、そこにいた新人組はそそくさと部屋を出て行く。ランチの時に新人組の輪に入ろうと話しかけても、一言二言話すとよそよそしい空気が流れる。

 既存メンバーは会社を辞める者も出てきた。

 「数人で会社をやっていた頃はそんなに儲かってはいなかったけど、毎日楽しかった。今は儲かっているかもしれないが、毎日が憂鬱なんです」

 「今は受注が来てますけど、いつまで続くか分からない。こっちは必死になって先のことを考えているのに、現場の連中はのうのうと与えられた仕事をこなすだけ。まるで温度感が違う」

 「できることなら、もう一度、気心知れたメンバーだけで少人数の会社をやっていきたい。こんな会社にするつもりじゃなかった」

組織は肥大化させてはいけない

 そもそも何のためにリスクを負って独立したのか。必死の思いで会社を大きくしてきた先に待ち受けていた現実がこれだったのか。

 こういったケースは決して珍しい話ではなく、いくつも同様のケースを見てきた。私は組織の拡大の方法についてのご相談を受けた際には、組織を拡大させることはいいが、肥大化させてはならないとお答えしている。

 ここで言う拡大とは、長期的な組織の方向性を示し、それに沿った企業理念や行動指針を定義し、メンバーのスキルとマインドを成熟させ、メンバーが経営者と価値観を共にし、組織の一体感を醸成しながら徐々に人を増やしていくことをいう。

 一方、肥大化とは、長期的な組織の方向性を示すこともなく、目の前の売り上げを取りにいくためにただただ人を増やし、スキルもマインドも価値観もバラバラのメンバーから構成される組織の状況をいう。

 収穫逓減の法則という経済学の言葉がある。

 これはある要素を投入するとその分だけ生産量が増えるという状況において、ある一定量を超えると、投入量を増やしても生産量の伸びが鈍化していく状況のことをいう。

 これは経営にもあてはまる部分がある。

 会社を創業した頃は社長自らが現場の仕事をこなし、それを周りの部下に教えていく。そのため、最も優秀なのは社長であり、その社長から教わった部下は、さらに新たに入ってきた部下に教えていく。

 このように社長からの距離が遠ざかれば遠ざかるほど、従業員の優秀さは低下していく傾向にある。つまり、人が増えれば増えるほど、1人あたりの能力の平均値は低下していくことになる。

仕事が増えた半面、利益率が低下

 もちろん例外はあるが、優秀な人材を獲得することが難しい中小企業においては、特にこの傾向が強い。従業員の能力の平均値が低下すれば、そういった従業員でもできる仕事を取ってこなければならない。

 しかし、概してそういった仕事は差別化が難しいため価格競争に陥りやすく、安価でしか受注できず、受注すればするほど会社全体の利益率は下がっていく。

 ただ、従業員を食べさせていかなければならないため、そういった仕事でも取っていかざるを得ない。加えて、お客様満足度も下がる可能性が高い。その結果、経営者のリスクと責任は大きくなる一方である。

 「会社とおできは大きくするな。大きくすると膿が出る」

 ある方からこんな言葉を教わったが、組織の人数が多くなればなるほど、組織は肥大化しやすい。そういった組織というものが持つ傾向を頭に入れたうえで、既存の従業員のスキルとマインド、価値観をしっかりと成熟させ、組織の一体感を醸成しながら、人を増やしていかなければならない。

 お客様から仕事を頼まれればついつい飛びついてしまい、既存のメンバーで手が回らなくなれば人を採用する。こういった状況にある場合、会社を大きくするかどうかの判断は経営者の意思でなく、お客様の都合に合わせて行ってしまっていると言える。

 しかし、組織が肥大化した時に重いリスクと責任を負うのは経営者である。

 では、お客様から頼まれた仕事を断れと言うのか。そんな疑問が浮かぶかもしれない。

 組織の体制が整うまでは無理な採用は控え、それまでは受け切れない仕事は断るのも1つの選択肢だろう。

 しかし、一度、断ると手が回っていないと思われて、次から仕事を回してもらえなくなるのではないかという不安が頭をよぎる。その場合は、無理に人を雇ってでも仕事を受けるしかないと決断することもあるだろう。

大きいことは良いことばかりではない

 ただ、そういった場合でも、目の前の売り上げを追いかけながら、同時並行でメンバーのスキルとマインド、価値観を成熟させ、組織の一体感も醸成していくという両輪を回すことを意識するだけでも、肥大化するリスクはずいぶん減らせる。

 そして、そのためには強いリーダーシップを発揮して組織を牽引することが求められる。

 組織を大きくすることが必ずしも経営者にとっての成功であるとは限らない。むしろ自らの価値観に沿った経営者としての人生を歩むことが、経営者にとっての本当の成功なのだと感じる。

 経営者というのはリスクも責任も重く、大変な仕事である。だからこそ、その仕事の先に待っているものは、是非とも幸せな未来であってほしい。

 そのためにも、ただただ売り上げを追いかけるのではなく、組織の性質につて理解を深め、経営者、従業員ともに幸せに働けるような組織づくりをすることの大切さを肝に銘じてもらいたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48395

 
中東産油国と縁切りをするトランプ新政権
規制緩和でシェール増産、日本への影響は?
2016.11.18(金) 藤 和彦

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/f/6/600/img_f67e755d9a85af849b454a06d014a6f2229897.jpg

米国は年間約200万バレルの原油を中東諸国から輸入している。トランプ新大統領の政策によって中東依存の割合は大きく減少するかもしれない(写真はイメージ)
 11月14日の米WTI原油価格は、一時、8月11日以来となる1バレル=42.2ドルにまで値を下げた(一部のOPEC担当閣僚がガス関連会議にあわせて11月18日にもカタール・ドーハで非公式協議を行う見通しなどから、16日の原油価格は1バレル=45ドル台に回復している)。

 トランプ氏が大統領選勝利以降続いている米ドル高や、前週末に10月のOPEC加盟国の原油生産量が日量平均3364万バレルと前月に比べて24万バレル増加したことが、原油価格の押し下げ要因となった。

 サウジアラビアの「OPECは減産計画履行に向け合意する必要がある」という呼びかけにもかかわらず、10月のイランの原油生産量は前月比21万バレル増の日量平均392万バレルとなっている。市場関係者の間で「OPECが減産の詳細な合意をまとめられない」との失望感が広がり、原油価格は10月の上昇分をすべて失ってしまった。

 OPEC原油に関する需給ギャップは現在日量100万バレル程度だが、これから冬場に向けて需要が約100万バレル減少することから、このままの生産水準が続けば来年初めには需給ギャップが200万バレル以上に拡大するおそれがある。

 現在の原油価格急落を予測したことで知られるPIRAエナジーのゲーリー・ロス氏は、「11月末のOPEC総会で合意が成立しなければ、原油価格は1バレル=35ドルまで落ち込む可能性がある」とし、「OPECは自らの利益のために協調すべきである。さもなければOPECは世界の原油市場における存在感を失う恐れがある」との警告を発している(11月14日付ブルームバーグ)。

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規制緩和でシェールオイルは生産量拡大か

 世界の市場でトランプ旋風が吹き荒れている中、ひとり取り残された感が強い原油市場だが、トランプ大統領の誕生は、今後、原油市場にどのような影響を与えるだろうか。

 11月9日の当選以来、トランプ氏は次期政権の閣僚人事に取りかかっているが、エネルギー長官には、石油・ガス開発会社コンチネンタル・リソーシズのハロルド・ハムCEOが有力視されている(11月14日付ロイター)。

 70歳のハム氏は、ノースダコダ州のシェール鉱区で水圧破砕法(フラッキング)技術を駆使した生産を進め、過去10年にわたるシェールブームで財をなしたと言われている。トランプ氏は選挙期間中にエネルギー政策の柱として「シェール掘削規制の緩和」を掲げていたので、大手シェール企業の経営者がエネルギー長官になるのは順当だろう。

 米エネルギー業界最大の業界団体である「米石油協会(API)」のジャック・ジェラードCEOは、11月10日に発表したトランプ大統領誕生を歓迎する声明の中で、「原油・天然ガス業界は145の規則に直面し、生産が損なわれている」と指摘している。

 環境重視を掲げたオバマ政権下で、大量の水や化学物資を使用するシェールの掘削基準などが厳格化された。トランプ政権が規制緩和に踏み切ることで、開発コストが下がったシェールオイルの生産量が増え、OPECとのシェア争いが再び激化する可能性がある。

 しかし、シェールオイルの増産で原油市場の供給過剰に拍車がかかれば、原油価格がさらに下落し、多くのシェール企業が窮地に追い込まれるという懸念は拭えない。

米国の安全保障に寄与するパイプライン建設

 トランプ政権が実施するであろうエネルギーに関する規制緩和の中で、筆者が最も注目するのは、「キーストーンパイプラインなどのインフラ建設の認可」である。

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 キ−ストーンパイプライン(正式名は「キーストーンXLパイプライン」)は、カナダ・アルバータ州から産出される重質油(オイルサンド)や、バッケン鉱区(ノースダコダ州が中心)のシェールオイルなどを、米国を南北に縦断してテキサス州の製油所に供給するという計画である。

 パイプラインの全長は約2700キロメートル、原油の輸送量は日量83万バレルを見込んでいる。この計画は国境をまたぐため、米国務省に申請して大統領の承認を得る必要がある。

 本計画を推進するトランスカナダ社は2008年に申請を行っている。だが、2012年1月にオバマ政権下の国務省は「パイプラインの是非を判断する十分な情報等が得られない」との理由で申請を却下した。

 捲土重来を期してトランスカナダ社は再び申請を行う。しかし、オバマ大統領は2015年11月にキーストーンパイプラインの建設計画の承認を正式に却下した。

 大統領は会見で、「本パイプラインを建設しても、ガソリン価格やエネルギー安全保障の向上に貢献しない。したがって、米経済に意義ある貢献を長期的にもたらすことはない」と述べた。

 だが、オバマ大統領の判断が、7年以上も建設に反対していた環境団体に配慮したものだったことは間違いない。反対派は、「パイプラインが米国最大級の湿地の生態系を破壊する」「オイルサンドは砂粒を含むため、パイプライン内部が毀損し、原油漏出事故の可能性が高い」などと主張していた。

 一方、トランプ氏は、「パリ協定」(化石燃料の使用に伴うCO2排出を今世紀中にゼロにすることを目指す協定)を脱退すると宣言している。そんなトランプ氏にとって、キーストーンパイプラインを承認することは「朝飯前」だろう。

 オバマ大統領は、キーストーンパイプラインは米国のエネルギー安全保障の向上に貢献しないと述べた。しかし、筆者の見解は異なっている。

 米国ではシェール革命により軽質油が増産され、周辺国への輸出も拡大している(日量平均40万バレル)。だが、重質油については相変わらず輸入に頼っている。米国は日量平均750〜800万バレルの原油を輸入しており、そのうち約200万バレルは中東諸国(サウジアラビア、イラク、クウェート)からの輸入である。

 キーストーンパイプラインが運ぶカナダのオイルサンドの現在の生産量は約200万バレルであり、今後10年間で生産量を倍増する計画がある。キーストーンパイプラインの油槽容量を拡大すれば、重質油を大量にテキサス州まで供給することは可能となる。つまり、中東諸国から重質油を輸入する必要がなくなる。中東産油国と縁切りできるのである。サウジアラビア政府は11月15日に改めてトランプ氏が「原油輸入をゼロにする」という選挙期間中の公約を実施しないように求めている(11月15日付ZeroHedge)。

 キーストーンパイプライン計画の実現により原油の中東依存から脱却できれば、米国の安全保障政策は様変わりするだろう。

トランプ氏の中東政策は日本にマイナス

 トランプ氏の中東政策にも注目したい。トランプ氏は選挙期間中、イラン核合意の破棄を繰り返し訴えていた。大統領就任後にその公約を実現すれば、「イランの増産分(日量100万バレル)が原油市場からなくなる」との観測がある。

 だが、国内のテロ対策上、IS(イスラム国、スンニ派)打倒を最優先しているトランプ氏が、ISの敵であるイラン(シーア派)への圧力を強め、米国を敵視するイラン国内の強硬派を台頭させるようなことをするだろうか。国内のイスラエルロビーが強い状況に変わりはないが、その実現は微妙である。

 加えてサウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、カタールなどがクリントン財団に多額の支援を行ってきたことから、トランプ氏はオバマ大統領以上に中東地域に対する不介入の姿勢を強める可能性が高い。

 このように、トランプ氏の中東政策によって、米国と中東湾岸諸国との同盟関係は不安定化していくだろう。

 このことは原油輸入の中東依存度が8割を超える日本のエネルギー安全保障にとって「対岸の火事」ではない。むしろ大きなマイナスである。しかし、日本国内でこのことに注視する論調は皆無に等しいようである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48409  

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