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ジ―ユーの店舗(「Wikipedia」より/わたらせみずほ)
「客の反発」深刻なユニクロの半値のジーユー、突然の快進撃で「脱・普通の会社」宣言
http://biz-journal.jp/2016/11/post_17182.html
2016.11.15 文=編集部 Business Journal
10月14日の東京株式市場。カジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの株価が一時、前日終値比1940円(6%)高の3万5090円と反発した。売買代金は568億円と前日の3倍に膨らみ、終値も3万4800円と5%高かった。今年の高値は1月4日の4万2200円である。
前日に2016年8月期連結決算を発表。前年より営業利益は2割減、純利益は半減した。他の企業であれば売り浴びせられるところだが、逆に買いが集まった。投資家たちの柳井正会長兼社長への信頼は厚いものがある。減益決算でも「柳井神話」は消えなかった。なぜなのか。
■売上高目標を5兆円から3兆円に引き下げ
「世界ナンバーワンになるには、5兆円の売上高は必要だ。ひとつの目安として2020年度(に達成)を掲げていたが、今の現実的な売り上げから考えると3兆円が妥当だ」
柳井氏は5兆円の売り上げ目標をあっさりと撤回した。柳井氏が5兆円の売上目標を設定したのは09年9月。当時の売上高は6850億円。それを7倍強に引き上げて、「アパレル業界で世界ナンバーワン(になる)」と高らかに宣言した。ところが、今回、現実的でないとして3兆円に減額した。
「コミットメント未達」と批難されても不思議ではないところだが、そうはならなかった。柳井氏は、公言していた「65歳で引退」を反古にして社長を続けている。売上目標を引き下げたところでさほど驚きはない。柳井氏が中期の目標を軌道修正したのは、16年8月期決算(通期)が大幅な減益に沈んだからだ。売上高は前期比6.2%増の1兆7864億円、営業利益は22.6%減の1272億円、純利益は56.3%減の480億円だった。
大幅減益になったのは、売上高の4割を占める国内のユニクロ事業が振るわなかったからだ。既存店の客数が前年同月を上回ったのは2カ月だけ。原料高や円高を理由に14年に続けて15年も秋冬物を値上げしたが、これに顧客が反発。客離れが進んだ。
上半期(15年9月〜16年2月)の国内ユニクロの営業利益は前年同期比28.3%の大幅減益。業績の失速を受け2月から夏冬物の一部商品を値下げした。これで4月以降は収益が持ち直し下半期(16年3〜8月)の営業利益は前年同期比38.0%の増益。上半期の減益が響き、通期の営業利益は1024億円で12.6%減となったが、後半は持ち直した。
海外ユニクロ事業の通期の営業利益は13.7%減の374億円。グローバルブランド事業はJ Brandの減損損失138億円を計上したことから、営業利益は34.0%減の95億円にとどまった。
■次の成長カードを探し当てた?
しかし、株式市場の反応は違った。今期は一転して業績が回復するとの会社側の見通しを好感して、買いが入ったと解説された。
17年8月期の業績予想の売上高は3.6%増の1兆8500億円、営業利益は37.5%増の1750億円、純利益は2.1倍の1000億円とV字回復を見込む。
だが、それだけではない。投資家は「柳井氏なら再び成長軌道に戻す力わざができる」と期待しているのだ。
フリース、ヒートテックに続く、大型のヒット商品を打ち出せるのか。ここが柳井氏の評価のポイントになる。
決算発表にジーユー(GU)の柚木治社長が同席した。国内ユニクロ事業の限界説がささやかれるなか、柳井氏はジーユーをユニクロと並ぶ2本柱に育てることを態度で示したのだ。ジーユーに対する期待感からファストリ株が買われたとの見方も一部にはある。
■ジーユーは売上高1兆円の高い目標を掲げる
ジーユーは06年、ファストリとダイエーが業務提携し、ユニクロより低価格なカジュアル衣料を販売する新ブランドとして立ち上げた。千葉県・ダイエー南行徳店に初出店した。しかし、ユニクロと商品群が重なり鳴かず飛ばずの状態が続く。
転機になったのが09年。990円ジーンズが大ヒットした。ユニクロの半額以下の低価格で100万本を売り切った。11年に若者向けのファッションに軸足を移し、10代や20代の女性を中心に人気が出た。14年8月期に売上高は1000億円を突破した。
15年春、ガウチョパンツを発売。南アメリカのカウボーイが着用していた裾が広がった七分丈のパンツだ。若い女性だけでなく40〜50代にも人気となり、発売2カ月で300万本が売れた。
今年春にはスカンツを投入した。一見、ロングスカートのように見えるパンツだ。これも大ヒットした。
女性向けトレンド商品がヒットしたことからジーユーの決算は絶好調。16年8月期の売上高は前年同期比32.7%増の1878億円、営業利益は34.8%増の222億円。営業利益率は11.8%。消費不況など、どこ吹く風の勢いを見せている。柚木社長はこう言い切った。
「これからの10年でブランドと会社をすべてつくり変える。我々は普通の会社では終わらない」
ジーユーの店舗数は352店(国内341店、海外11店)。国内で年間40〜50店を出店するほか、海外も拡大し、今後10年で売上高1兆円という高い目標を明らかにした。
ユニクロが伸び悩むなか、ジーユーがファストリの成長戦略の大きな柱として浮上してきた。ジーユーは大化けするのか。それとも、絵に描いた餅で終わるのか。
(文=編集部)
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