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コラム:
共和党完勝でドル高再起動、120円も視野
山田修輔バンクオブアメリカ・メリルリンチ チーフ日本FX株式ストラテジスト
[東京 14日] - 2017年は、2016年とは打って変わって「円安の年」になると筆者は予想している。共和党完勝は、ドル円上昇シナリオの阻害要因ではなく、上振れ要因となるだろう。
「トランプ米大統領=円高」という見方は確かにある。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策運営や外交安全保障への影響、ドル安誘導の可能性、そして何より不確実性の上昇を考慮すると、短期的には円高となりやすいことは当社も予想してきたことである。
しかし、筆者は米国選挙のインプリケーションは財政政策を通したものになると論じてきた。複数のシナリオの中で、大統領選と上下両院での共和党完勝がドル高、金利上昇の最大の要因になり得ると9月にも書いた。
共和党完勝は、米国政治のねじれ解消と財政拡大を意味するため、ドル高、金利上昇につながる。不確実性上昇に伴う短期的なリスクオフの動きがひとまず限定的だったことは、こうした見方が米国投資家に共有されている可能性を示唆している。
もちろん、短期的には上下動が繰り返される恐れはあるし、何よりトランプ次期政権については不確実性が大きい。まずは、トランプ氏の閣僚人事や1月の一般教書演説の中身を確認する必要があろう。
<トランプ版「本国投資法」もドル高を後押しか>
ただ、米国政治において一党が大統領選と議会選を完勝するのは稀なことだ。1965年以降の51年間で見ると、一党が大統領のポストと上下両院の過半数を押さえたのは18年間に限られている。
完勝は財政緩和となりやすい。その18年間では、米国の構造的財政収支は国内総生産(GDP)比で年平均0.4%ポイント悪化した。
財政緩和は金利上昇要因である。 GDP比1%の財政刺激策は、米国10年金利を推定48ベーシスポイント(bp)押し上げる。そして、金利上昇はドル高要因である。米国が最後に景気後退期以外で財政緩和に踏み切ったのは、1980年代のレーガン大統領時代までさかのぼる。レーガン大統領の財政緩和により、FRBは利上げサイクルに入り、60%ものドル上昇に寄与した。
実は今回は、この財政政策との絡みで強力なドル高材料が視野に入っている。海外から米国に還流した資金に10%の税金を1回限り課すというトランプ氏の提案、いわゆる本国投資法(Homeland Investment Act、以下HIA)第2弾だ。現在2兆円程度ある米企業(非金融法人)の海外保有現金の本国送金促進を狙ったもので、米国第一主義を掲げるトランプ次期政権にとって、これは最も遂行しやすい政策である。
当社の試算では、約4000億ドルの外貨がドルに変換される可能性がある。実際、HIA第1弾が発動された2005年には、3000億ドルの資金還流が発生し、同年のドル指数が13%近く上昇する一因になったとの調査報告もある。
また、財政赤字拡大(=米債発行増)に加えて、規制緩和(=銀行勘定による米債需要の低下)も金利上昇に作用する可能性がある。ドル円は金利感応度が強いため、来年のドル円上昇見通しを後押しするだろう。日本の国内フローも来年は円安要因となる見通しだ。かねて筆者はドル円が1ドル=115―120円の水準を来年回復すると予想してきたが、共和党完勝により、その確率は高まってきた。
<リスクシナリオは中国の人民元安誘導>
もちろん、リスク要因は存在する。日米安全保障条約を批判し、政策の不確実性が大きいトランプ大統領が誕生することで、日米関係を軸とする安倍政権の外交戦略と、短期的には解散戦略に影響を及ぼす可能性が出てきた。
安倍政権の今後数カ月の日程を見ると、内政より外交課題に重点が置かれている。トランプ大統領誕生は、1)環太平洋連携協定(TPP)成立の可能性のさらなる低下、2)日ロ交渉への影響、3)地政学リスクの上昇、を示唆する。安倍政権は外交成果を上げにくくなる可能性が高い。
また、不確実性が高まった中で、政治基盤を強化するために安倍政権が衆議院を解散するという、より受身の政治戦略を取るシナリオも排除できない。安倍政権の政治外交戦略における柔軟性と、日本の政治が市場に与えるポジティブリスクが低下し、日本の安全保障に関するネガティブリスクは上昇した。
もっとも、こうしたリスクはグローバルリスクというよりも、日米関係におけるリスクだ。そのため、必ずしも円高要因とは言えないだろう。また、トランプ次期大統領が意外と現実主義であり、対日関係を重視する可能性もある。となると、「リスクオフの円高」が発生するとすれば、中国当局がトランプ大統領誕生を前にして、駆け込み的に人民元安を推し進めるような場合の方が可能性としては高いだろう。
また、トランプ次期大統領と議会共和党が財政拡大措置について合意できるかどうかについても不確実性は大きい。トランプ次期大統領の政策への不確実性上昇で、米国景気に悪影響が出るとの声も少なくない。これも、ドル高シナリオへのリスクだろう。
とはいえ、重要な点は、金融市場はここ数年、財政緩和よりも金融緩和が大きいとの前提で、低インフレ・低金利継続を見越したポートフォリオを構築してきたため、その逆、つまり金融緩和よりも財政緩和が大きくなり、インフレ上昇・金利上昇となるシナリオに対しては脆弱になっていることだ。
リスクリワードの観点からは「インフレ資産」であるドル円は上方向に利があると見ている。リスクはあるが、筆者の見立ては「共和党完勝=ドル円上昇」である。
*山田修輔氏はバンクオブアメリカ・メリルリンチのチーフ日本FX株式ストラテジスト。PIMCOをはじめとして米国の金融機関でマクロ経済、市場分析に従事し、2013年より現職。2005年マサチューセッツ工科大学(MIT)学士課程卒、2008年スタンフォード大学修士課程卒。CFA協会認定証券アナリスト。石川県小松市出身。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
(編集:麻生祐司)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-shusuke-yamada-idJPKBN13706I?sp=true
学校制度に見る先進国エリート養成法
大卒に特別な価値はない。世界教育動向と進む学歴インフレ
大前研一
2016.11.14(月) biblion
知的好奇心をくすぐる読み物サイト「biblion」から選りすぐりの記事をお届けします。
【第5回】
今、日本の「教育」が行き詰まっている。日本の高度成長を支えた、「正解」をいかに早く覚え、再現するかという従来の教育は、「答えのない時代」を迎えた今、うまくいかなくなった。日本の国際競争力を高める人材を育成する上で、障害となっているものは何か。21世紀の教育が目指すべき方向は何か。
本連載では、世界からトップクラスの人材が集まる米国、職業訓練を重視したドイツ、フィンランドの「考える教育」など、特色ある教育制度を取り入れている先進国の最新動向から、日本の教育改革の方向性を導き出す。
(前回の記事「大卒に特別な価値はない。世界教育動向と進む学歴インフレ」はこちら)
歴史あるイギリスのボーディング・スクール
世界の先進国では、どのようにしてエリートを育てているのか。
イギリスでは、ボーディング・スクールがその役割を担っています(図-7)。400〜500年以上の歴史を持つ、全寮制の寄宿学校です。学費が高く、主に裕福な家庭の子供たちが入学し、集団生活を送っています。
イギリスの歴代首相19人を輩出したイートン・カレッジ、ウィンストン・チャーチルら7人の首相を生んだハーロー校、ラグビー校が有名です。
日本にも、戦前は旧制高等学校があり、特に一高(第一高等学校)は、政財界に数多くのリーダーを送り出しました。一高もやはり全寮制でした。学校だけでなく、寮の人間関係の中で揉まれることが、人格形成にとってきわめて重要なのです。
加えて、イギリスを初めとする欧米のボーディング・スクールは多国籍です。昔の一高のように、均質性の高い文化の中で育った似た者同士ではなく、さまざまな言語、文化的背景を持った学生同士が切磋琢磨し、グローバルマインドが育っていく環境があるのです。
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米国のボーディング・スクールとリベラル・アーツ・カレッジ
米国にも、バリエーション豊富なボーディング・スクールがあります。
ジョージ・W・ブッシュ元大統領 の母校フィリップス・アカデミーや、ジョン・F・ケネディ元大統領の母校チョート・ローズマリーホール、エマ・ウィラードという女子校もあります。
その後、米国のエリートは、いきなり専門を学ぶ大学に行くのではなく、歴史や文化など、教養的な学問を学ぶ「リベラル・アーツ・カレッジ」で4年間を過ごします。
マサチューセッツ州のウィリアムズ・カレッジなどが有名です。このほか、デポー大学(インディアナ州)、オーバリン大学(オハイオ州)などがあり、それらは中西部に集中しています。
そのような大学でみっちりと幅を広げた後、ロースクールやビジネススクール、メディカルスクールなどの大学院で専門の学問を修めるのが通常のパターンです。
エンジニアだけは、学部時代からエンジニアリングの勉強をしますけれども、基本的にはリベラル・アーツ・カレッジから専門の大学院へというパターンです。
スイスのボーディング・スクール
次に、スイスのボーディング・スクールです。
国際バカロレア(IB) を導入していることで有名なル・ロゼは、世界で一番授業料の高い、全寮制のボーディング・スクールです。世界数十カ国からセレブの子女が集まっています。
それからエイグロン・カレッジは、イギリス系の名門校です。スイスは多国籍企業が多いので、親は子供をボーディング・スクールに預け、自分たちは世界中を転々と赴任して回るという伝統があります。
グローバル・カンパニーにとっては非常に理想的なシステムが出来上がっているのです。
カナダのボーディング・スクール
カナダは治安がよく、教育水準の高い国です。
カナダのボーディング・スクールは、米国ほど「お金持ちの匂い」がしません。
英語とフランス語、2言語を公用語に持つ環境の中で高校時代を過ごすことができるというメリットもあります。アルバート・カレッジなどは、留学生の受け入れにも積極的です。
世界トップレベルの大学がそろう米国
大学は米国の圧勝
初等・中等教育の後の高等教育になると、これは先進国の中でも米国の圧勝です。
世界の大学ランキング、トップ20校のうち15校は米国の大学です(図-8)。このランキングは英紙「タイムズ」が毎年秋に発行している雑誌からの引用ですが、ほかに、米誌「ビジネスウィーク」が毎年発表する大学ランキングも有名です。
ビジネスウィークのランキングは、MBA(経営学修士)、ビジネススクールなどの学部別になっていて、毎年変わります。どうやって順位を決めるかというと、卒業生の給料です。
米国には「新卒一括採用」というシステムがありません。1人ずつインタビューして年俸を決めます。
その給料を全部足して、卒業生の頭数で割った数字が高い順にランキングされています。ある意味、もっともフェアな審査方法です。米国の大学は、これほどシビアな競争にさらされているということです。
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日本から米国への留学生が減っている理由
世界的にトップクラスの水準にある米国の大学・大学院には、世界中から留学生が集まってきます。留学生に人気があるのは、ビジネスマネジメント、エンジニアリング、リベラル・アーツ、コンピューターサイエンス分野の学部です(図-9の左側)。
NGO、NPO的なソーシャルサイエンスという学問も、最近では注目されています。
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図-10、左側のグラフは、米国への国・地域別留学生の推移を表しています。
かつては日本がトップだったのですが、2000年になる直前に中国に抜かれ、続いてインド、韓国、今では台湾にも抜かれてしまいました。
理由は2つあります。まず1つは、かつての日本から米国への留学は、企業派遣が多かったこと。しかし、多くの会社が企業派遣をやめてしまいました。なぜなら、派遣された社員が戻ってきても、勉強してきた人間を優遇する制度が整っておらず、留学しても昇進、昇級のパターンが変わらないので、嫌になって2年以内に退職してしまう場合が多くあったためです。お金をかけて米国に派遣しても意味がなくなってしまったのです。
もう1つは、今話題になっているTOEFLの試験です。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)に入学するには、TOEFLで一定のスコアを獲得することが求められます。
TOEICが英会話力やリスニング力をテストするのに対し、TOEFLでは英語力と論理思考をテストします。
日本人は、論理思考と英語の組み合わせが苦手で、TOEICでは高得点が取れても、TOEFLで高いスコアを取ることが非常に難しい。そのため、留学するのに必要な水準をクリアできる人が激減しています。
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留学生比率、MIT27.2% vs 東大1.7%
図-10の右側に示したように、米国の主要大学は、留学生比率が非常に高いです。
MITの27.2%に対し、東京大学はわずか1.7%です。外国人教員比率も、米国では3割を超えている大学が珍しくありません。世界中から教授を招聘し、また世界中から優秀な学生が集まってくる土壌があるのです。
一方、東京大学の外国人教員比率6%というのは、ほとんどが教養学部の語学の先生です。こういう状況ですから、国際競争力が高まるはずがありませんね。
多額の寄付金により大学の競争力を高める
米国の大学には、功成り名を遂げた卒業生が母校に多額の寄付をする伝統があります。この寄付金を基に、大学基金を設立します。
ハーバード大学は、一時4兆円ほどの基金を持っていました。リーマンショックの後にガクッと減って、今はおよそ2兆1000億円です(図-11)。以下、基金の額が大きい順に、エール大学、プリンストン大学、テキサス大学、スタンフォード大学、MITが続きます。
実は、この基金だけで、大学を経営できるのです。基金の年間運用利益が、ハーバードの場合はだいたい年間10%くらいです。リーマンショック前の水準で言えば4000億円。全員の授業料をゼロにしても経営が成り立ちます。
しかし、ハーバードはあえてそうしません。貧乏だけれど傑出した能力を持つ人間は、授業料をただにする 。一方、お金持ちの子女には高額の授業料を払ってもらう。両方を組み合わせて、学生のクオリティを維持しています。さらに、集めたお金の大半を使って世界中から優秀な先生を集めることで、ますます競争力を高めるというやり方をとっています。
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(次回へ続く)
※本連載は大前研一さんの著作『日本の未来を考える6つの特別講義』より、国際競争力を高める人材を育成するための日本の教育改革について解説したものです。
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48358
大前研一の特別講義「大卒に特別な価値はない。世界教育動向と進む学歴インフレ」
2016.11.7(月) biblion
知的好奇心をくすぐる読み物サイト「biblion」から選りすぐりの記事をお届けします。
【第4回】
今、日本の「教育」が行き詰まっている。日本の高度成長を支えた、「正解」をいかに早く覚え、再現するかという従来の教育は、「答えのない時代」を迎えた今、うまくいかなくなった。日本の国際競争力を高める人材を育成する上で、障害となっているものは何か。21世紀の教育が目指すべき方向は何か。
本連載では、世界からトップクラスの人材が集まる米国、職業訓練を重視したドイツ、フィンランドの「考える教育」など、特色ある教育制度を取り入れている先進国の最新動向から、日本の教育改革の方向性を導き出す。
(前回の記事「『落ちこぼれ』を救いすぎる日本の教育の問題とは何か」はこちら)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48255
北欧の答えのない教育・英国のエリート養成・インフレ化する高等教育・・・世界の教育事情
北欧の教育動向
世界の先進国は、優秀な人材を育てるために、それぞれ特徴ある教育方法を導入しています(図-4)。
各国の教育動向を見ていきましょう。まず、北欧です。
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本コラムは「biblion」の提供記事です。
1990年代前半、北欧諸国は金融危機を経験しました。そこで、このまま小さい国土に閉じこもっていたら自分たちの将来はないということで、リーダーシップのある、世界で活躍できる人間を育てるための「答えのない教育」にシフトしたのです。
この新しい教育は、まずデンマークで始まり、フィンランドもすぐに取り入れました。今では教育に関する国際的なランキングでも、フィンランドが常に上位にランクインしています。北欧の教育については、連載のなかで詳しくご紹介します。
イギリスの教育動向
それからイギリスには、最初からエリート養成を目的にしたボーディング・スクール(寄宿制中等教育学校)と大学があります。
イギリスの歴代首相は、ほとんどすべてこのシステムの出身です。ですからデービッド・キャメロン首相は、どこかの国の首相とは格が違うわけです。基礎力が違う。
名門校イートン・カレッジを出て、オックスフォード大学、あるいはケンブリッジ大学へと進学する、こういう過程で優秀な同級生と切磋琢磨しながら育つのです。
スイス・ドイツの教育動向
スイスとドイツの教育システムはよく似ています。
実務教育を重視し、大学に行かなくても食べていけるような教育を半数以上の人が受けているので、国が非常に安定しています。コストはかかりますが、失業率は低い。また、国際競争力も高いです。
シンガポール・台湾・韓国の教育動向
シンガポールでは小学生のうちに、上位10%を将来のエリートとして選んでしまいます。ふさわしい人間が足りなければ、海外から受け入れます。職能スペックを書き出して、世界中から人材を輸入するというやり方です。
台湾では、明日国がなくなるかもしれないという危機感の下、親が子供に日本語と英語を勉強させます。さらに母国語が中国語で、合計3カ国語を操れますから、台湾の子供たちは世界最強の言語能力を持っています。
韓国は1990年代後半の経済危機の際、国際通貨基金(IMF)から融資を受ける条件として緊縮財政を強いられました。この「IMF進駐軍」にやられている間に、「二度とこの屈辱を味わいたくない」という思いから、当時の金大中大統領が教育改革を行っています。
米国の教育動向
米国の教育は、後述するように全体として見ると問題点が多いのですが、非常に優れた大学と、ボーディング・スクールがあります。世界トップクラスの、限られた人たちがそういうところに行く。平均値を上げようという考え方はもともとありませんし、国はまったくと言っていいほど教育に関与していません。州以下の単位でカリキュラムを組むので、州ごとの差が大きいです。
世界の高等教育では、学歴インフレが起こっています。
今や、先進国には大卒者が掃いて捨てるほどいます。米国でも日本でも同じです。新興国から先進国に留学する学生も増えており、プログラミングなどの技術をどんどん身につけています。これまでとは違う高等教育へのニーズが、世界的に高まっているのです(図-5)。
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中国の学歴インフレ
中国では、大学を卒業すれば給料が上がるので、大学卒業者数が増加し続けています(図-6)。2013年にはおよそ700万人になりました。
日本では、毎年60万人ほどの若者が大学に入学します。全員が卒業できたとしても、中国と10倍以上の開きがあります。中国の「大卒生産能力」は、これだけ高い水準に達している。このような学歴インフレの状況下では、大学を卒業したというだけでは何の価値もない。日本人は、そのことに早く気づく必要があります。
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(次回へ続く)
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