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社会的に容認???定年後再雇用「年収3割減」 アラ定部下どう 君の名は」と景気拡大 トランプ減税策、景気にプラスとならず
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/423.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 11 月 08 日 00:25:34: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

社会的に容認???定年後再雇用「年収3割減」
河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
「引き下げ容認」判決に透ける私たちと司法の「見て見ぬふり」
2016年11月8日(火)
河合 薫

 今回は、「平成のトラック野郎」についてアレコレ考えてみます。
 先日「なんでやねん」と、思わずつぶやいてしまった判決が下された。
 定年退職後に再雇用され、同じ内容の仕事を続けた場合に賃金を引き下げることの是非が争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は11月2日、引き下げを容認する判断を示したのである。
 訴えていたのは、運送会社に再雇用された嘱託社員のトラック運転手3人。彼らは2014年に60歳の定年を迎えた後、1年契約の嘱託社員として再雇用された。仕事内容も責任も定年前と変わらず、セメントを運ぶ仕事だった。
 にもかかわらず、年収は3割ほど下げられてしまったのだ。
 5月に行われた東京地裁の一審判決では、「仕事や責任が同じなのに、会社がコスト圧縮のために定年後の賃金を下げるのは不当」と判断。また、この会社について「再雇用時の賃下げで賃金コスト圧縮を必要とするような財務・経営状況ではなかった」として、正社員と非正社員の不合理な待遇の違いを禁じた労働契約法に違反しているとし、正社員との賃金の差額計約400万円を支払うよう会社に命じた。
 ところが高裁では、「企業は賃金コストが無制限に増大することを避け、若年層を含めた安定的な雇用を実現する必要がある」と指摘。
 また、定年前と同じ仕事内容で賃金が一定程度減額されることについて、「一般的で、社会的にも容認されている」との判断を示し、一審判決を取り消し、原告の請求を棄却したのである。
 原告側代理人によると、運送業などでは定年退職者を再雇用した場合に同じ仕事のまま賃金を下げる例が多く、判決後に記者会見した原告男性(62)は「納得できない。最高裁でたたかう」としている。
 私は言うまでもなく法律は門外漢。なので、法律的な解釈について意見することは控える。
 だが、「一般的で社会的にも容認されている」からってナニ? 本当に、年収の3割減額が社会的に“容認”されているのか? こんなの今のトラック業界で認めちゃったら終わりだ。 一番星の“桃次郎”も泣いているぞ。
 なんせ、50代前半でも「若い!」と言われ、賃金も年々下がり、「キツイ、稼げない、危険」の究極の3Kになっているのだ。
「世間も見て見ぬふりですわ」
 個人的な話ではあるが、2年ほど前、たてつづけに全国各地のトラック協会に講演会で呼ばれたことがあった。なぜ、続いたのかは定かではない。ただ、どこに言っても耳にするのはトラック運転手の高齢化と、業界の理不尽な力関係ばかりだった。
「私たちの仕事は底辺なんですよ。ボロぞうきんのようにこき使われて、使いもんにならなくなったら捨てられる。世間も見て見ぬふりですわ。やっぱりみんな便利なほうがいいですからね」
 乾いた笑いを浮かべながらこう話してくれたのは、55歳(当時)の大型トラックの運転手さん。「トラック野郎」の菅原文太さんにあこがれてこの世界に入ったという。
「昔は、仕事がキツくてもがんばって走れば稼げたけど、今は走っても走っても賃金は増えない。しかも、荷下ろしまでさせられたり、待たされたり、なんでこんなことまで自分たちがやらなきゃいけないんだって仕事をやらされるんです。何かあったら、すべて運転手の責任になるんだから。たまんないよね。
 この業界は荷物を依頼する側が、圧倒的に強いんですよ。赤字になろうがなんだろうが、ノーと言ったら仕事がなくなります。だから経営陣はどんな仕事でも受ける。最悪ですよ。
 あと免許制度が変わったのが、ダメだったね。あれで若い奴ら、いなくなっちゃいましたからね。
 昔は普通免許で乗れたトラック(車両重量8トン未満・最大積載量5トン未満)が、中型免許がないと乗れなくなった。中型免許は20歳にならないと取得できないので、高卒で入ってきても、2年間は事務仕事をやらされるんです。
 だから半年もたつと、飽きてやめちゃう。運転したくてウズウズしてるようなヤツが、事務仕事に耐えられるわけがないですよ。
 建設にいったほうが稼げるしね。あっちは結構、労働環境いいし、同じ人手不足でも、うちらの業界とは真逆です。
 自分でいうのも何ですけど、若い奴らは運転手なんかにならないほうがいいですよ。トラック運転手って底辺の仕事なんですよね。みんな体を酷使しながら世間様の荷物運んでるのに、勉強もしないで生きてきたんだからこき使われても仕方がないだろう、って目で見られますから。
 私もね、なんどか転職しようと思ったんだけどね。……まぁ、難しいっていうか、無理だね。この年になって運転するしか能がないんだもん。トラック野郎に憧れて走ってた時代が懐かしいね。アッハハ。情けないね」
毒餃子事件がもたらした運転手への「責任転嫁」
 少々補足しておく。本来、トラック運転手はクルマの運転だけが仕事だが、個人向けの小分けの物流が増え、その荷物を倉庫から出したり、重たい荷物を積み込んだりするのをドライバーに任せる荷主が増えた。
 積み下ろし場所には全国からトラックが集まるので、2〜3時間の順番待ちはざら。また、積み下ろしの拠点は複数あり、必然的に拘束時間が増える。夕方荷物を積んで、夜通し走って、朝荷物を下ろすという、完全なる深夜勤務。拘束時間が増えれば睡眠時間を削るしかない。
 どんなに国が「4時間走ったら休憩せよ」と規制をかけたところで、「ちょっとでも遅れると文句をつけられる」ため、休んでいられないのが実態なのだ。
 しかも、「万が一、荷物を破損させた場合には運転手の責任となり、給料から天引きされる」というのだから、たまったもんじゃない。
 きっかけは、2008年に発覚したの中国製の「毒餃子事件」だった。
 中国の食品メーカー天洋食品が製造した冷凍餃子に、同社の作業員が殺虫剤の成分を混入させ、日本人10人が中毒を起こしたこの事件以来、商品の段ボールが少し破損しているだけで「何か細工がされているのでは?」と拒否する荷受け先が急増したそうだ。
 荷受け先はメーカーにクレームを付け、メーカーは運送会社のせいにし、運送会社は運転手に責任を転嫁するという、「末端の弱者が叩かれる」という最悪の構図が出来上がってしまったのだ。
 私が話をさせていただいた方の中には、国の規制緩和が「悪夢の始まりだった」とする人もいた。
運転手の労働環境は、規制緩和で悪化した
 規制緩和が行われるまでは、国が運輸業への新規参入に強い規制をかけていたため、運転手の労働条件はかなり良かったそうだ。ところが規制が緩和され事業者が急増。バブル崩壊と重なり価格競争が激化し、運転手の賃金は激減した。
 低賃金、運転免許制度改定などで若者はいっこうに増えず、2006年には92万人だった運転手人口は、わずか2年で86万人まで減少。ひたすら運転手の高齢化だけが進んだ。
 この状況は以下のグラフを見れば、一目瞭然である。人手不足は今後さらに拡大していくと予想されている。

(出所:「自動車運送事業等における 労働力確保対策について」国土交通省)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/110400078/g1.PNG



(出所:「自動車運送事業等における 労働力確保対策について」国土交通省)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/110400078/g2.PNG

 上記のデータは、いずれも国交省の「自動車運送事業等における労働力確保対策について」から抜粋したもので、「運送業の労働力不足は、我が国の成長戦略が進化していくに当たりボトルネックとなり得る大きな問題」という認識のもとで作られた。
 「うん、うん」とうなずける内容になっているのだが、「ベテラン運転手」たちの救済策は見受けられない。「女性活用」と「若者雇用」のことばかりで、今、この時間も聞こえてくる“悲鳴”は放置されている。
「ココに書いてある未来図が実現される頃には、オレらは過労死してるよ」
 こう嘆く運転手の方もいた。
 今の状況になぜ、手をつけない? 荷主への指導や処罰でもいいし、待機時間にコストを発生させて、運転手の賃金アップに反映させるように荷受け先や運送業者に義務づけるとか、やり方はいくつでもあるはずだ。それが労働力確保につながるんじゃないのか。
未来を語り、現在をないがしろにするのはなぜ?
 だから、納得できないのですよ。こういった状況での今回の判決は。やっぱりおかしいよね、と。
 だって、「再雇用時の賃下げで賃金コスト圧縮を必要とするような財務・経営状況ではなかった」わけで(一審判決)。
 「一般的で、社会的にも容認されている」という理由で、同じ責任・同じ仕事なのに賃金を3割も下げるだなんて、申し訳ないけど私には理解できない。「一審の判決を認めたら若手の労働環境をさらに悪化させる」という人もいるけど、ベテラン運転手たちは? 彼らは“ボロぞうきん”のように使われても仕方がないわけ? 
 なんでいつもこう、声なき悲鳴を救い上げることなく、未来図ばかりを描くのか。 なぜ、「今」をないがしろにする? 
 平成27年度の過労死の労災請求は、「輸送・機械運転従事者」がトップだ(161 件 20.3%)。
 過労死とは、いわば突然死。長時間労働や、深夜勤務などの過重な負荷が積み重なったことで、脳血管疾患または虚血性心疾患などが引き起こされる。
 「ならば自動運転を!」と、自動車業界に詳しいジャーナリストの井上久男さんにお話をうかがってみたところ、次のような事情を教えてくれた。
「現状の自動運転技術は運転手がいることが前提なんですね。クルマを運転するのはあくまで人で、自動運転技術はサポート役。ただ、ディープラーニング(AIの深層学習)や3Dマップなどを活用し、完全自動運転を目指す開発が急速に進んでいます。いずれにしても、想像する以上に早いスピードで人と車の関係は変わるでしょうね」
 井上さんが指摘するとおり、独BMWと米フォード・モーターはレベル4(加速・操舵・制動すべてにドライバーが全く関与しない完全自動走行システム)に相当する自動運転車の量産を2021年までに始めるとそれぞれ表明している。
 つまり、未来の運送業界の働き手は「若者」でも「女性」ではない、「クルマ」になるかもしれないのだ。
「世間も見て見ぬふりですわーーー」
 55歳の運転手さんの言葉は、私をとてつもなく後ろめたい気にさせる。 
 昨日も、そして今日も、我が家には宅急便が届く。本、冬用スリッパ、有機玄米、加湿器のフィルター……。どれもネットで注文してからあっという間に届く。毎朝、商店街には商品を搬入するトラックが列をなし、高速を走れば大きなトラックがゆらゆら揺れながら、前にも後ろにも、そして隣の車線にも走っている。
 私たちの便利を支える業界はブラック化し、そこで働く人たちは命を削りながら働いている。便利さが環境を壊す時代から、便利さが人を壊す時代になった。世の中で起きている大きな問題に、私たちは必ずといっていいほど加担している。
 この現実に、私たちはどう向き合えばいいのだろう。
 高いお金を出して有機栽培の野菜を買うように、高いお金を出して輸送される商品を買うのだろうか。
 コレと言った答えをここで出せない自分がいる。ただ、だからこそ、今回の高裁の判決には異を唱えたい。定年前と同じ仕事内容で賃金が一定程度減額されることについて、「一般的で、社会的にも容認されている」……って。3割の減額が「一般的」とか「社会的に容認」と言うなら、業界の労働環境をきちんと勉強してほしい。
 これでは、世間だけではなく、司法までもが「見て見ぬふり」をしていることになってしまう……。
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■日時:11月29日(火)10:00〜17:30(9:30受付開始)
■会場:エッサム神田ホール1号館 東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2
■受講料:42,000円(税込)
講座の詳しい内容やお申込みはこちら から。


このコラムについて
河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/110400078/

  
「アラウンド定年」の部下をどう指導するか?

横山信弘の絶対達成2分間バトル

2016年11月8日(火)
横山 信弘

 組織内には様々なコンフリクト(衝突)が起きます。経営者対中間管理職、工場対営業、ベテラン対若者、正社員対パートスタッフ等々。言うまでもなく、上司対部下もあります。

 「ベテラン上司対若者部下」というお馴染みの構図に、今は「ミドル上司対アラ定部下」という構図が重なりつつあります。「アラ定」とは、「アラウンド定年」の略です。

 今回のバトルをお読みください。

●竹虎常務:「社長、お話があります」

○鷲沢社長:「どうした」

●竹虎常務:「総務部の部長が悩んでいます。主任の2人についてです」

○鷲沢社長:「あの2人か。来週、私が2人と面談する予定だ」

●竹虎常務:「存じ上げています。ですから話があると申しました」

○鷲沢社長:「なんだ」

●竹虎常務:「とにかくお手柔らかに、総務部長はそう言っています」

○鷲沢社長:「お手柔らかに?」

●竹虎常務:「はい、58歳と59歳ですので」

○鷲沢社長:「アラ定か」

●竹虎常務:「はい。アラウンド定年の方となると色々問題が……」

○鷲沢社長:「わからないでもない。私よりも年上で、人生の先輩だ。ところで問題とは何だ」

●竹虎常務:「先日、弊社のイベントに参加されたお客様に電話フォローをしていただこうと思ったのですが、なかなか」

○鷲沢社長:「やらないのか」

●竹虎常務:「『こんなことをやる必要があるのかね。私が若いころは仕事のほうから飛び込んできたものだが』とか言うのです」

「定年間近の私に、そんなプレッシャーをかけないでくれ」

○鷲沢社長:「昔と今は違う」

●竹虎常務:「『そこを何とかお願いします』と頼むと、『定年間近の私に、そんなプレッシャーをかけないでくれよ』と」

○鷲沢社長:「開き直っているのか」

●竹虎常務:「というより、あっけらかんとしています。アラ定の方は普通なら言わないだろうということを平気で口にします」

○鷲沢社長:「その無邪気さは見習いたい」

●竹虎常務:「『もう少しで定年だ、勘弁してくれよ。わかるだろう』なんて言われたら、私もどう言っていいかわかりません。先代の社長が生きていたら、ガツンと言えたのでしょうが。今では誰が話しても言うことを聞きません」

○鷲沢社長:「だから私が来週面談をする。普通なら部課長に任せるところだが、彼らに敬意を払ってそうするつもりだ」

●竹虎常務:「はい、ありがとうございます。それで、先ほどお伝えしたとおり、お手柔らかにお願いしたいのです」

○鷲沢社長:「お手柔らかにというのはどういう意味だ」

●竹虎常務:「来週、社長が2人と面談することは社内で噂になっています」

「私は相手の話をきちんと聞き、言い分を受け止めている」

○鷲沢社長:「どんな噂だ」

●竹虎常務:「いつものテンションで社長はあの2人とバトルするのか。それともさすがに今回はソフトな感じで接するのか、とか」

○鷲沢社長:「待て。君たちは私を勘違いしている」

●竹虎常務:「ど、どういうことですか」

○鷲沢社長:「誰かと話をするとき、私は相手の話をきちんと聞き、言い分を受け止めてから自分の意見を言っている。バトルを目的としているわけではない」

●竹虎常務:「そ、その……ご自身の意見を言うときに、相当激しく仰るじゃないですか」

○鷲沢社長:「たまにそういうことがあるかもしれんが、実際は滅多にないはずだ。社員とバトルしたいだなんて、思ったこともない」

●竹虎常務:「それではあの2人にはどのように言うつもりですか」

○鷲沢社長:「私が新しくやってきた社長だと改めて自己紹介する。相手はわが社の功労者だ。まず仕事に対する私なりの考えを伝え、相手のこれまでの仕事ぶりなどを聞く」

●竹虎常務:「え、それだけですか」

○鷲沢社長:「打ち解けてきたと思えば、本題を切りだすだろう」

●竹虎常務:「本題と言いますと」

○鷲沢社長:「上司が言っていることはきちんと聞き、やりたまえ、ということだ。他にない」

●竹虎常務:「社長の前では『わかりました』と言うに決まっています」

○鷲沢社長:「そうなのかな。その気配が感じられたら『口だけだと後でわかったら容赦しない』と付け加えよう」

「『もしも社長がバトルしたら』なんて考えるな」

●竹虎常務:「ですから……。そういう喧嘩腰の言い方はよくありません」

○鷲沢社長:「おいおい。決め付ける言い方を私にするから、こちらもついむきになってしまう。そもそも君は先入観が強すぎる。敬意を払うことと、腫物に触るように接することは違う。先入観を忘れ、きちんと相手に向き合って話せばわかってくれる」

●竹虎常務:「わかってもらえなかったら、どうするのですか」

○鷲沢社長:「その言い方がもう駄目だ。わかってもらえないという先入観がある。相手を信じていないから、そういう言い方になる。明日、会社に君は何時に出社する」

●竹虎常務:「え、どうしたのですか、突然」

○鷲沢社長:「明日、何時に出社する。当社は9時出勤だぞ」

●竹虎常務:「いつも8時半に出勤しています、私は」

○鷲沢社長:「本当に9時までに出勤できるのか」

●竹虎常務:「できますって、さっきも言ったとおり、毎日8時半に出勤していますから」

○鷲沢社長:「それは今までの話だ。明日のことはわからん。もし明日9時までに出勤できなかったらどうする」

●竹虎常務:「もし、なんてありません!絶対に明日も8時半までに出勤します」

○鷲沢社長:「そうだ、そういうものだ」

●竹虎常務:「どういうことですか」

○鷲沢社長:「君は君自身を信じている。だから『もしもできなかったらどうしようか』なんて考えない。それが人を信じる態度だ」

●竹虎常務:「……アラ定の2人を信じるということですか」

○鷲沢社長:「そうだ。だから『もしも相手がこう言ったらどうするか』などと妙な先入観を持たず接する。君も『もしも社長がバトルしたらどうなるか』などと考えないでくれ」

アラ定部下を持つ時代に

 今後、日本のミドルマネジャーにとって、入社2〜3年目の若者部下と、定年まで2〜3年のアラ定部下を同時にマネジメントしていかなくてはならない時代がやって来ます。育休をとる男性の部下、親の介護をする部下など、様々な問題に直面していきます。

 今の日本企業は30〜40代のミドルマネジャーによって支えられています。彼らが定年間近なベテランの方を部下に持つと、なかなか苦労します。

 しかし、あれこれ考えたら、いい手が出てくるわけではありません。先輩であり、会社に貢献してきた方ですから、敬意を払いつつ、先入観を持たず、仕事は仕事として淡々と命じることです。

 一方、「アラ定」の方々は後輩のミドルマネジャーの心の支えになるとともに、定年まで頭と体を動かし続けなければなりません。そういう時代になってきたことへの自覚が求められます。


このコラムについて

横山信弘の絶対達成2分間バトル
営業目標を絶対達成する。当たり前の事です。私は「最低でも目標を達成する」と言っています。無論、そのためには営業目標に対する姿勢を変え、新たな行動をし、さらに上司がきちんとマネジメントしていかないといけません。本コラムで営業目標を絶対達成する勘所をお伝えしていきます。私は「顧客訪問を2分で終える“2ミニッツ営業”」を提唱しており、そこから題名を付けました。忙しい読者に向けて、2分間で読めるコラムを毎週公開していきます。毎回一つのテーマだけを取り上げ、営業担当者と上司と部下の対話を示し、その対話から読みとれる重要事を指摘します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/258310/103100067/


 


 

「君の名は。」の大ヒット、景気と関係ある?
上野泰也のエコノミック・ソナー
好調な映画興行収入は、景気「拡張」局面の条件満たす
2016年11月8日(火)
上野 泰也
今年は映画界が活況を呈している
 邦画・洋画ともに、今年は映画の世界が活況を呈している。日本映画製作者連盟などの発表によると、興行収入が100億円を突破した作品は10月末時点で2つ。興行収入が50億円以上になった作品まで広げると、8つを数える。
 100億円を突破したのは、SNSを起点にして若い世代から爆発的な支持を得て、上映中の映画館が連日ほぼ満席になった新海誠監督の「君の名は。」と、ジョージ・ルーカスが考案した不朽のSFシリーズのファン待望の新作「スター・ウォーズ フォースの覚醒」である(後者の日本公開は2015年12月18日だが興行収入の大半は2016年に計上されている)。
 母親の影響で子どもの頃から映画の大ファンである筆者は、両方とも映画館に出向いて鑑賞した。特に「君の名は。」は、映像の斬新な美しさとストーリーの両面で実に素晴らしく、興行収入がすでに176億円を突破(2016年11月4日時点)したのもうなずける(邦画歴代4位)。8月26日に公開された後、SNS上であまりにも評判が良いのでとにかく気になり、9月8日に会社を早退し、ネット上で空席がまだある映画館を探し、錦糸町でなんとか鑑賞できた。その時の観客の年齢層は10〜20代がほとんどだったが、高い評判を聞きつけて観客の年齢層が今ではかなり広がったようである。
「君の名は。」の「聖地巡礼」に行ってみた
 ちなみに、「君の名は。」に出てくる場所を訪れて写真を撮る「聖地巡礼」を、筆者も敢行した。映画の最後の場面のモデルとなった都内の神社近くの階段や、JR四ツ谷駅前(上智大学を卒業した筆者にとってはなじみ深い場所である)、新宿警察署裏の信号、信濃町の歩道橋などを回った(以下の画像の右側は著者が撮影した写真。左側は「君の名は。」から)。

ポスターにも使われている、最後の場面となる階段。都内のある神社近くの階段がモデルとされている。(C) 2016「君の名は。」製作委員会。
右の写真は著者が“聖地巡礼”して撮影したもの。多くの巡礼者が訪れていた。

信濃町駅近くの歩道橋から代々木駅近くの「NTTドコモ代々木ビル(ドコモタワー)」方面を臨んだ場面。(C) 2016「君の名は。」製作委員会。
右は筆者が撮影。実際の景色が忠実に再現されていることが分かる。

新宿警察署裏の信号が点滅する場面。(C) 2016「君の名は。」製作委員会。
右の写真は筆者撮影。
 どの「聖地」にも若い世代を中心に人がたくさんいて、熱心に写真を撮っていた。ゲーム「ポケモンGO」の影響で外を出歩く人が増えたことが話題になっているが、「君の名は。」からも、人々の行動に似たような影響が出ているようだ。
個別の世代ごとに「刺さる」作品が公開された
 話を戻すと、興行収入が50億円以上になったのは、上記2作品の他に、邦画では「シン・ゴジラ」「名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)」「映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!」「ONE PIECE FILM GOLD」の4つ、洋画では「ズートピア」「ファインディング・ドリー」の2つで、全部で8つである。
 これらのタイトルを眺めると、シニア層の男性を中心に大ヒットした「シン・ゴジラ」がある一方で(筆者が小さい頃は親に連れられてゴジラやガメラの映画をよく観に行ったものである)、今の子どもが大好きな「妖怪ウォッチ」があり、高校生から大学生くらいの年齢層で大人気の「ONE PIECE」や「名探偵コナン」の映画があるなど、幅広い年齢層に働きかけるラインアップになっており、これがヒット作連発の背景にあることがうかがえる。個別の世代ごとに「刺さる」作品が提供されている上に、一部の作品は世代を超えてヒットしているという、おそらく理想的なパターンである。しかも、邦画と洋画のどちらかに偏ることなく、良質で人気の出やすい作品が提供されている。
2000年以降は、「景気回復時」に映画がヒットするようになった
 だが、ここでは個別の作品の評価にはこれ以上立ち入らず、映画のヒット作が多いことと景気動向(拡張・後退)の関係について見ておきたい。
 「映画館に出向いての映画鑑賞」という娯楽の位置付けが人々のライフスタイルの中で変化した結果、2000年以降は景気の拡張局面において興行収入50億円以上あるいは100億円以上の作品が多くなる傾向があるということを、筆者は当コラムで以前に指摘した(2014年5月9日配信「『不況期に映画大ヒット』の法則が逆転した?『アナ雪』」。拙著「トップエコノミストの経済サキ読み術」(日本経済新聞出版社)にも加筆して所収)。
 あらためて概略を説明すると、「不景気だから遠出をしたりせず映画を観にいく」か、それとも「景気の回復で懐具合が前よりは良くなったのでビデオが出るまで待たずに映画館に出向く」か。20世紀には前者の行動パターンが主流だった。だが、レンタルビデオやオンライン配信の普及を背景に、映画鑑賞という娯楽のコスト面での位置付けが変わり、21世紀に入ると後者の傾向が強まったというのが、筆者の考察である。
1999年頃までは景気後退局面で映画がヒットした
 日本映画製作者連盟のホームページで興行収入(1999年までは興行収入から映画館の取り分を差し引いた配給収入)が50億円あるいは100億円を超えるヒット作品がいつ、何本出たのかを調べて景気の局面(拡張・後退)と照らし合わせると、1980〜1999年は配給収入が50億円以上の作品があった年は必ず、景気後退局面またはその前後の年である。配給収入100億円以上に限ると、1997年に1本(「もののけ姫」)、1998年に1本(「タイタニック」)で、1997年6月〜1999年1月の景気後退と見事に重なっている。
 ところが2000年以降は、興行収入50億円以上・100億円以上いずれも、景気拡張局面で本数が多くなっている<■図1>。
■図1:興行収入が50億円以上および100億円以上になった映画の数(邦画・洋画計) 2000年〜

注1:網掛け部分は景気後退局面(その年の過半数の月が景気拡張・景気後退いずれの局面かによって年ごとに判断)
注2: 2016年は10月末時点
(出所)日本映画製作者連盟、内閣府資料よりみずほ証券金融市場調査部作成
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/110300067/zu01.jpg

 日本の景気は、2012年11月に谷をつけた後は定義上、拡張局面が続いている(2014年4月の消費税率引き上げ後の景気の落ち込みに関しては、2015年7月24日に開催された景気動向指数研究会で、後退局面かどうかの判断が保留された)。
 過去2回の景気拡張局面では、興行収入50億円以上の作品が7つ以上となる年が必ずあった。また、興行収入100億円以上の作品が2つ以上の年があったというのも共通項である。
 これら2つの条件が、今年はすでに満たされている。映画興行収入にのみ着目して言えば、今年はようやく景気拡張局面の条件が満たされた年だと言えそうである。
景気のベクトルは、一応は上を向いている
 もっとも、そのことは足元の景気の拡張が力強さを伴っていることを意味しているわけではない点は、しっかり留意する必要がある。輸出は生産拠点の海外シフトや製品の競争力低下などから伸び悩み、個人消費は実質賃金の切り下がりなどから停滞し、設備投資は維持更新や合理化・省力化目的中心にとどまっている。野球で言えば「エースピッチャー」に例えられる、力強くて持続性が伴っている景気のけん引役が見当たらない低成長の中で、日本の景気はベクトルが一応は上を向いており、そのことを今年の映画の興行収入に関する統計がコンファームしたという話である。
 日常の生活者としての感覚を重視する異色の(?)エコノミストとして、映画の興行収入といった身近な統計を、筆者は今後もウォッチしていくつもりである。


このコラムについて
上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/110300067/

 

トランプ氏の減税策、景気にプラスとならない

もしトランプが大統領になったら…

みずほ総研・欧米調査部長の安井明彦氏に「もしトラ」を聞く
2016年11月8日(火)
白壁 達久

 10年で6兆1503億ドル(約640兆円)――共和党のドナルド・トランプ候補は大規模な減税策を掲げる。一方、米民主党のヒラリー・クリントン候補は10年で約140兆円規模の増税を主張する。米大統領選挙を8日(現地時間)に控え、トランプ候補が支持率を回復させヒラリー候補を猛追する。「もしトランプ氏が大統領になったら(もしトラ)」、米国の税制はどうなるのか。みずほ総合研究所調査本部の安井明彦欧米調査部長に聞いた(聞き手は白壁 達久)。
トランプ氏が米大統領になった場合、米国の税制にどのような変化が起こるのでしょうか。

安井明彦氏(以下、安井):共和党の伝統的な方針は財政規模を小さくする「小さな政府」。民主党はその逆で「大きな政府」志向です。

 ところが、今回はトランプ氏もヒラリー氏も「大きな政府」志向となっています。ヒラリー氏ほどではないですが、トランプ氏も歳出を増やす主張をしている。ここが、共和党とトランプ氏がかみ合っていないところの1つです。

 一方で、歳入に関しては立場が異なります。ヒラリー氏は所得税や法人税などを、一部の国民や企業を対象に増税するよう主張している。対照的に、トランプ氏は富裕層を中心とした所得税の減税や法人税率の引き下げを唱えている。


安井明彦(やすい・あきひこ)氏
みずほ総合研究所 調査本部欧米調査部長 1991年東京大学法学部卒業、同年富士総合研究所(当時)に入社、97年在米国日本大使館専門調査員。みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長などを経て、2014年から現職(写真:北山 宏一
この点は共和党の考えと近い。

安井:はい、確かに近いです。共和党も独自の税制改革案を今年作りました。法人税の税率を現行の35%から20%に引き下げる案などを盛り込んでいます。

 ただ、トランプ氏の税制改革案は共和党案に比べて規模が大きい。法人税を15%まで引き下げる案を出しています。富裕層向けの所得税減税も含めて、減税額の規模は10年で6兆ドル(約624兆円)を超えます。

財政赤字は必至

「歳出を増やして歳入を減らす」。耳障りは良いですが、収支バランスを崩すリスクがあります。

安井:歳出を増やす一方で、この規模の減税をすれば、財政赤字は免れないでしょう。これをどう埋めるかが課題です。

 減税は悪いことではありません。やりようによっては経済を好転させるきっかけになります。税負担が減るので、企業はその分を投資や配当、あるいは従業員への給与などに回すことができる。これによって市場にお金が回り、経済が良くなる。そうすると企業の業績が良くなり、結果的に、減収分をカバーするだけの税収拡大につながる――。これがベストシナリオです。

 トランプ氏は減税に伴う財政赤字の拡大を、規制緩和などの成長促進策によって穴埋めすると公約に掲げています。ですが、そこまでカバーできるほど成長して税収増が期待できるとは思えません。

 さらに議会との関係も読めない。あまりにも不透明度が高く、トランプ氏が大統領になると景気悪化につながるとの見方が強い。減税すれば経済は必ず好転するかと言えばそうではないのです。


歳出の中で大きな割合を占めている項目を圧縮するしかないのでしょうか。

安井:トランプ氏は「年金」や「医療保険」には手を付けないと言っています。軍事費も減らさないでしょう。

 歳出の中で大きな割合を占めるこれらの「聖域」に手を付けない限り、財政赤字の拡大は避けられません。歳出削減の対象は極めて限られた項目だけになってしまう。割合の小さい歳出項目を地道に削っても、大規模な減税をまかなうことはできないでしょう。

歩み寄りは可能か

そもそもトランプ氏は税制改革案を議会で可決させることができるのでしょうか。

安井:法案を通すためには議会の承認が必要です。ただ、議会がトランプ氏に協力的に動くかというと、疑問です。トランプ氏は移民排斥や保護主義を主張している。これらの問題を脇に置いて、減税案にだけ賛成する方向に議会が動いてくれるでしょうか。

 たとえ共和党が上院と下院の両院で過半数を獲得したとしても、現行のトランプ案を可決させるのは難しいと思います。前述の通り、共和党は独自に税制改革案をまとめており、その中心人物は下院の議長であるポール・ライアン氏です。大統領選挙戦の過程でも、トランプ氏とライアン氏が対立する場面が見られました。こうした背景がある限り、同じ共和党とはいえ、議会がトランプ案をそのまま支持するとは思えません。

どちらかが歩み寄るしかない。

安井:選挙期間中にトランプ氏は減税の提案を改定しています。旧トランプ案では10年間での減税規模が9兆5170億ドル(約990兆円)になっていました。これを6兆1503億ドル(約640兆円)へと下方修正したのです。共和党案の減税規模は3兆1009億ドル(約322兆円)。共和党案に比べて新トランプ案はまだ大きな数字ですが、トランプ氏が一方的に歩み寄ってきている。

 実現可能性を考えても、トランプ氏が歩み寄るのが妥当ですね。彼の性格上、当選後に妥協するかどうかは分かりませんが。

 トランプ氏の税制改革案の是非だけでなく、彼自身の「大統領としての器量」がどの程度なのかにも疑問符が付きます。つまり、数字をきちんとつくって、リーズナブルな規模に落とす運営ができるのかどうか。そこがすごく疑わしいのです。

どちらが大統領になっても「険しい道のり」

 実際、どういうスタッフがトランプ陣営に付いて、誰が議会と交渉して減税案をまとめていくのか。もしくは議会共和党が交渉に応じ、トランプ氏を盛り立てるべく党として譲歩することができるのか。大統領としての能力、議会との関係。ここのハードルがまず高い。

やはり、議会との関係が肝になる。

安井:そうですね。今回の大統領選挙では、トランプ氏とヒラリー氏のどちらが大統領になったとしても非常に異例な大統領になる。「国民の半分が『この人にはなってほしくない』と強く思っている大統領」だからです。


 もちろんこれまでだって共和党候補と民主党候補が票を二分してきました。それでも、「この人がなったら嫌だ」とほとんどの有権者が感じている選挙は珍しい。なので、どちらが大統領になったとしても、議会や国民をリードしていくのはものすごく難しいでしょう。

 議会もそれを分かっています。なので今回は、大統領就任から100日間の“ハネムーン期間”がないかもしれません。新大統領は選挙で国民によって選ばれているので、野党は、ある程度大目に見て仲良くします。ですが、今回は最初から対立する可能性がある。

 「私たちの役目はこの大統領の施策を止めることだ」と最初から決めている野党議員をリードするには、かなりの力業が必要でしょう。特にトランプ氏は移民排斥など派手で極端な政策をぶち上げており、議会からの反発が強そうです。そう考えると、減税もどこまでできるのか。道のりはかなり険しいと思います。


このコラムについて

もしトランプが大統領になったら…
米大統領選の投票日、11月8日まで、レースは秒読みの段階に入った。
共和党の候補、ドナルド・トランプ氏には女性蔑視発言という新たな“逆風”が加わった。
共和党の重鎮たちの間で、同氏を見切る発言が相次いでいる。
だが、トランプ氏はこれまで、いくつもの“試練”を乗り切ってきた。
米兵遺族を中傷する発言をした時にも、「タブーを破った」として評価を下げたが、いつの間にか、民主党のヒラリー・クリントン候補の背中が見える位置に戻ってきた。
クリントン氏が再び体調を崩すことがあれば、支持率が逆転する可能性も否定できない。
「もしトランプが大統領になったら…」。
この仮定は開票が済む、その瞬間まで生き続けそうだ。
日経ビジネスの編集部では、「もしトランプが大統領になったら…」いったい何が起こるのか。
企業の経営者や専門家の方に意見を聞いた。
楽観論あり。悲観論あり。
「トランプ氏の就任が米国の『今』を変える」との意見も。
百家争鳴の議論をお楽しみください。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/101200023/110700019/  

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