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不動産屋は見た! 本当にあった事故物件レポート(1)
http://wjn.jp/article/detail/0005835/
週刊実話 2016年11月3日号
自殺・殺人・心中などの理由で人が亡くなった物件を「事故物件」と呼ぶ。新たな新生活を夢見て不動産探しを行う際は、なるべく避けて選びたいと思うのが当然だ。しかし、年間約1万5000戸以上で自殺が発生しているほか殺人などの事件も含めれば、事故物件数は年々増加傾向にある。
事故物件の定義については業界内でも明確に定められていないが、某大手不動産仲介業者によると「居住用の物件で殺人、自殺、心中など自然死ではない事象が発生した物件を事故物件としている」という。裁判事例にもよるが、ここ数年では「孤独死」が事故物件に該当するケースが見られる。その理由はこうだ。
近年は特に単身高齢者が一人暮らしを余儀なくされ、自室で病死する「孤独死」が増えている。冬場のトイレや浴室内で急激な温度差で血圧が上昇するヒートショックによる突然死も多い。彼ら単身者や身寄りのない人が亡くなると、遺体の発見が遅れて腐敗する。そのため、事故物件扱いになることがあるのだ。
「経験上、事故の原因は孤独死が最多で、次いで自殺、他殺が多い」(前出の不動産仲介業者)
会社勤めなど仕事をしていれば、同僚や家族が心配して自宅を訪れた際、亡くなっていることが早めに発覚するケースがある。しかし、身寄りがない高齢者やフリーターは亡くなっていることに気付かれず、死後数日から数週間経ってから部屋に充満する死臭で近隣住民が異変を感じ、通報で発覚することが多いという。
自殺に関しては、前述したように「自宅での自殺」は年間約1万5000戸以上発生している。
「背景にあるのは仕事関係の浮き沈みや夫婦間のトラブル。これらが大半を占めている。性別では男性が圧倒的に多い」(葬儀業者)
誰にも相談できないといった人間関係の希薄化や精神的な病で追い詰められ、衝動的に自殺する人は絶えない。従前からドアノブやクローゼットでの首吊り、練炭自殺が多く、インターネットで違法な薬や毒物を購入して服毒自殺を図るなども散見される。
「死後1カ月近く経つと、遺体から油が染み出て人型のシミになる。掃除では落ちません」(清掃業者)
「体から湧くウジ虫やシミは改修工事をすれば回復できますが、死臭は全然取れません。あまりの臭いのひどさに、近隣住民も退去することがあるほどです」(不動産販売業者)
当事者だけではなく、近隣への影響も甚大だ。こうした場合、不動産オーナーは連帯保証人に対して、部屋の修繕費(現状回復費用)などの損害賠償を求めて訴訟に発展することもある。
「死亡後1日以上経過すると重要事項説明の項目に記載される場合が多いですね。ただし、この重要事項説明の項目に記載があると不動産価値が毀損するため、故意に孤独死を隠蔽して売却する悪質な業者も存在します」(同・販売業者)
不動産屋は見た! 本当にあった事故物件レポート(2)
http://wjn.jp/article/detail/7377988/
週刊実話 2016年11月3日号
通常、事故物件は不動産広告に「心理的瑕疵物件」と記載され、過去に自殺・殺人・火災などがあった事故物件という意味で表記されている。中には「告知事項あり」「重要告知事項あり」と明記され、契約前の「重要事項説明書」で詳細が知らされることも。
「部屋の中だけでなく、建物の施設部分や共用部分での自殺や事件、または近隣に宗教施設がある、すぐそばに日常的に騒音を出す工場があるなどの精神的瑕疵が含まれることもあります」(同)
賃貸の場合、例えば事故があった物件の“直後”に入居する人への説明義務はあるが、以降に入居する人へは「不要」としている場合が多い。そのため悪質な業者は、あたかも複数の入居歴があったかのような名義貸しを行う“洗い屋”と呼ばれる人たちを利用するそうだ。
また、賃貸と売買では告知事項の目安が異なっており、不動産売買に詳しい弁護士は「売買の場合は事故から最低10年は告知事項を行う必要がある。過去の裁判事例では50年経っても契約解除された例もある」と指摘する。実際の事故物件の告知事項の期限が明確に定められておらず、さまざまな問題に発展しやすいという。
「事故物件は、物件次第ですが相場の6割〜7割程度の買い取りが一般的で、状況が悪いものだと半額以下になることもあります。きれいな状態であっても、ほぼ業者側の言い値で買い取り価格が決まるのです。ただ価格の安さから事故物件を気にしない人もいて、需要が少ないわけではありません」(都内の不動産業者)
ある会社員男性の話。別居していた父親がマンションで孤独死の状態で亡くなり、不動産の売却手続きを行った。その際に不動産業者から「事故物件になると言われ相場の半値で買い取りを提示されびっくりした。自殺したわけじゃないのに悔しかった」と語る。
一方、知らされていなかった入居者が近隣住民から部屋で何かがあったことを聞き、不動産会社やオーナーとトラブルになることもある。複数の不動産オーナーから「正直、高齢の方には貸したくないのが本音」との辛辣な意見や「もしも認知症を患われたら火事や水漏れのリスクが怖い」などと懸念する声も聞かれ、単身や身寄りがない高齢者は家を借りるのが厳しくなってきているのが実情だ。
ことほど左様に身近にある事故物件。先の都内不動産業者を通じて聞くことのできた“怖〜い実話”を二つ紹介しよう。
《これまでで印象に残っているのは、あるマンションの話です。私は幽霊の存在は全く信じていないのですが、駅近・築浅が売りだったマンションの一室で中年男性による首吊り自殺がありました。遺族の方がこの部屋を売りたいということでご相談を受けていたとき、下の階に住む住人の女性が増床を目的に購入したいと申し出てきました。その後手続きがスムーズに進行し、購入者の女性がリノベーションを行い、自殺があった階と自室の間に階段を取り付けてメゾネット住宅に改築し暮らし始めました。ところが、そのわずか1カ月後に女性が転居したのです。お金をかけて増床したばかりの部屋に「幽霊が出る」と大騒ぎして…。実は前の住人が首を吊っていた場所に階段を設置したのですが、そのあたりに出るというのです。話を聞いたときは体中から冷や汗が滴り落ちました。現在、この住宅は賃貸として貸し出されているのですが、やはり夜中に男性の声が聞こえるといった話や、深夜に誰もいないはずの風呂場でシャワーを浴びる音がするなど、さまざまな怪奇現象が出ているようです》
《あるマンションで50代男性の首吊り自殺がありました。その男性は離婚されて身寄りがなかったので、元妻がマンションを売却したいと私が経営する不動産会社を訪れました。そのマンションには団体生命保険が掛けられており、自殺ではありましたが保険による支払いでローンの残債がなくなりました。その後、当該マンションはご子息に相続されました。元夫といえどもご家族だった方が亡くなられたので、さぞかし落ち込んでいるのかと思いきや「元夫と縁を切りたかったのでこれで完全に縁が切れた!」「ローンの返済もなく、不動産を売ったお金を家族で分配したい」とご家族みんなが手を取り合って大喜びされていて、その姿にびっくりしました。不動産を通じて、いろいろな方の人生を垣間見ることが多いですね》
近年はインターネット上で事故物件情報の投稿サイトが広がりを見せており、これらを簡単に検索できる時代になった。そのため不動産オーナーによっては、マンション名や外壁の色を変えてリニューアルするケースもあるという。
「事故物件でも安いから」と気にしないならともかく、物件選びはやはり十分かつ慎重にすべきだろう。
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