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金融政策をいじくり回す日銀が、密かに狙っているもの 不安定な日本経済の行き着く先
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50139
2016.11.07 真壁 昭夫 信州大学経済学部教授 現代ビジネス
日銀が密やかに、そして、着実に異次元の金融緩和からの正常化を進めている。9月の金融政策決定会合で、金融政策が量的緩和から金利操作に変更された。それについては、賛否両論、様々な意見がある。日銀内部でも、この点に関して議論が分かれるだろう。
現実の問題として、2013年4月の量的・質的金融緩和、2016年1月のマイナス金利付き量的・質的金融緩和を持ってしても、わが国の物価上昇期待は高まらなかった。それは、お金の供給量を増やせば物価が上昇するという“リフレ理論”を重視した政策が、期待されたほどの効果を上げることができなかったことに他ならない。
金融政策の正常化が進むに従って、これまで低位に抑えられてきた金利には上昇圧力がかかりやすい。ひとまず、10月末からの決定会合後の市場は落ち着いているが、短期から超長期までの金利が不安定に推移する可能性があることは冷静に考えるべきだ。
■黒田流の金融政策から修正を
9月、日銀はマイナス金利の悪影響と量的緩和の限界を認め、金融緩和強化のための新しい枠組みとして、“長短金利操作付き量的・質的金融緩和”を導入した。これをもって、日銀の金融政策は量の拡大から金利の誘導に移行した。国債の買い入れは長期金利の水準に左右される。状況によっては買い入れ額が年間80兆円を下回ることもある。
この決定を、市場参加者は異次元緩和からの決別と考えている。徐々に、量的緩和の段階的な縮小=テーパリングへの思惑も高まりやすい。すでに10月21日、衆院財務金融委員会で、黒田日銀総裁は金利の水準をすぐに変更することは考えづらいと述べ、当面の追加緩和を排除した。27日の参院財政金融委員会で総裁は、将来的には国債の買い入れ減額もありうると述べた。
10月31日から11月1日の金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が決定された。同時に公表された“経済・物価情勢の展望”では、経済成長見通しに変更はなかったものの、物価目標の達成時期がこれまでの17年度中から18年度頃に先送りされた。そして、日銀は経済・物価ともに下振れリスクが大きいと指摘している。
このように9月の決定会合以降、日銀の金融政策のスタンスは大きく変化した。それまでの積極的かつ強気な追加緩和に限界はないとの主張は鳴りを潜めている。1日の決定会合後の黒田総裁の記者会見を見ても、消費者マインドが上向きづらいことを指摘し、今後も物価が低迷基調であることを指摘した。
■新しい金融政策で揺れる日本経済
当面、わが国の金融政策は現状維持が続くだろう。すなわち、短期金利はマイナス0.1%、長期金利はゼロ%程度に据え置かれるとみる。そして、物価、国債買い入れ額(現状年80兆円程度)に関するコミットメントは徐々に、そして慎重に弱められるだろう。
近い将来、物価、国債買い入れに関する目標が示されなくなる可能性もある。過度に金融政策への神経が高まり、市場が右往左往する状況でなくなりつつあることは重要だ。
難しいのは、国債の取引量が減少していることだ。10月19日の国債流通市場では、新発10年344回債の取引が成立しなかった。これまで既発債の取引が成立しないことは散見されてきたが、相当に国債の流動性は低下している。これは、金融政策の足かせとなり、再度、金融市場に混乱をもたらす可能性がある。
これまで、わが国の国債市場は日銀の買い入れに支えられてきた。それが徐々に縮小される可能性があるということは、金利に上昇圧力がかかりやすいということだ。
実際に日銀が国債買い入れ額を修正し始めたら、それなりの混乱が広がる可能性がある。急速な円高など状況次第で追加緩和期待が高まることもあるだろう。その場合には、日銀がどの程度の長期金利水準を目指すのかという思惑が、ボラティリティの上昇につながるだろう。
また、政治からの影響にも留意しておくべきだ。2018年4月8日が黒田総裁の任期だ。任期中のデフレ脱却があきらめられた中、政府がさらに積極的な金融緩和を求める、あるいはそれにふさわしいと思われる人物を次の日銀総裁に据える可能性は排除できない。
国債市場の流動性が低下する中、再度、緩和機運が高まればわが国の金融市場は大きく動揺することになるだろう。
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