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外食既存店売上高はようやく底を打った(撮影:今井 康一)
ワタミ「脱ブラック宣言」の知られざる裏側 やっとできた労組、そのトップの意外な経歴
http://toyokeizai.net/articles/-/143524
2016年11月05日 常盤 有未 :東洋経済 記者 / 杉本 りうこ :東洋経済 記者
「一連のブラック企業批判に対してその理由と要因にしっかり向き合い、アイデンティティーを聖域なく見直しました」
これは外食大手ワタミが今年6月、朝日新聞朝刊に出した全面広告の文言だ。広告は5月に刷新したコーポレート・アイデンティティをアピールする目的で、冒頭の言葉は「ワタミは変わります」というメインコピーやハートをモチーフにした新しい企業ロゴなどとともに掲載されていた。
■新入社員の過労自殺事件でブランドイメージ失墜
ワタミへのブラック企業批判は、2008年に新入社員だった森美菜さんが過労自殺した事件がきっかけ。森さんの死は2012年に労災認定されたが、創業者である渡邉美樹氏の事件に対する言動が要因となって、企業イメージは大きく毀損した。「和民」「わたみん家」といった居酒屋の既存店で急激な客離れが起き、採用面でも2014年春入社の新卒社員が計画の半分にとどまるなどした。当然ながら業績は悪化し、2015年12月には収益源の介護事業を売却して急場をしのいでいる。
大量の店舗閉店(2014年度100店、2015年度72店)に加え、現在は「和民」などの店舗を、「ミライザカ」「三代目 鳥メロ」といったワタミを冠しない名称の店舗に改めるなどテコ入れを図り、2016年度上期(4〜9月)は既存店売上高が1.8%増と復調の兆しを見せている。だが、そもそもの問題だったブラック企業という社会的評価を返上するには、従業員の勤務体制や雇用条件の改善が不可欠だ。その中で、今年1月に初めて労働組合が発足した。
「ワタミはブラック企業として厳しい批判を受けてきた。根本から会社の体質を変え、二度と同じようなことを起こさないためには、従業員自身の意識改革が必要と感じ組合を立ち上げた」。
9月上旬に横浜市で開かれた、国内最大の産業別労働組合・UAゼンセンの定期大会。今年新たにUAゼンセンに加盟した企業別組合を代表し、ワタミ労組である「ワタミメンバーズアライアンス」の亀本伸彦委員長はこう抱負を語った。ワタミ労組は従業員に加入を義務づけるユニオンショップ制で、正社員だけでなくアルバイト・パートを含む1万3181人(発足時点)が組合員。この巨大労組を率いる亀本委員長は、意外な経歴であることが本誌の取材で明らかになった。
亀本氏はワタミ本体の正社員。入社年や年齢は不明だが、これまでに経営企画本部の課長や販促企画部の部長を務めている。経営中枢寄りで働き、役職も得た事実を踏まえれば、出世街道を歩んできたといえるだろう。亀本氏のもう一つの顔が、渡邉氏の熱心な支持者だ。
渡邉氏の参議院選挙出馬を目前にした2013年6月下旬、経営企画本部に配属されていた亀本氏は多くの社員にこんなメールを送っている。「事務所から連絡いただき、『住所』『電話』『メール』いずれかでOKになりました! サポーター募集の申し込み期限はあと5日間です!7月3日までに入会していただくことにより、大きな価値が生まれます」
■選挙事務所に出入りし、事務所で当選を祝った
選挙活動をボランティアで支える後援会サポーターを募る内容で、文中にある期日は選挙公示日前日に当たる。また、このメールには主要従業員ごとのサポーター獲得状況が添付されており、獲得数が少ない従業員を叱咤する狙いもあるとみられる。ワタミ関係者によると、亀本氏はこのメール以外にも支援活動の一環として渡邉氏の選挙事務所に出入りし、投開票日にも渡邉氏とともに事務所で当選を祝ったという。
関係者は亀本氏の活動はあくまで自発的なものであり、会社側の支援の強要はなかったとしている。公職選挙法などの法令違反も確認されていない。ただ参院選当時は、渡邉氏の経営者の資質が社会から厳しく問われる局面にあった。
過労自殺した森さんへの労災認定は立候補前年に下されたが、遺族は渡邉氏が事件について十分な説明と謝罪をしないまま国政を志すことに強い不快感を示し、自民党に対して渡邉氏への公認を撤回するよう文書で要請した。一般有権者からの批判も寄せられ、党内では公認をめぐって議論があったという。「若者を死ぬまで働かせ利益を上げた経営者に、国会議員になる資格があるのか」という遺族の疑問はもっともだと、世論が共感したのだ。
一連の経緯を知るワタミ関係者によると、そんな世論が巻き起こった中でも、「亀本氏は『多くの社員が渡邉氏のファンであり、彼を応援したいと思っている』と信じ、みずから選挙活動を支援した」。その人物が労組委員長に就任したのだ。労働者側の代表となった今、これまで心酔してきた渡邉氏の「365日24時間、死ぬまで働け」といった考え方を根本から否定できるのか。本誌は亀本氏に考えを聞こうと取材を申し込んだが、ワタミ労組の上部団体であるUAゼンセンから「取材は受けられない。そっとしておいてほしい」(UAゼンセン広報担当者)と拒否された。
森さんの裁判で遺族代理人を務めた玉木一成弁護士は、労組はあるほうがよいとしながらも「過重労働をさせる企業だという批判を封じ込めるために設立を容認したのだろうが、(委員長の人選からは)経営側の言うことを聞かない組合では困るという本音もうかがえる」とみている。
一方、渡邉氏は本誌の取材に対し、労組に対する考えの過去の発言はベンチャー企業当時のものであるとして、「現在のワタミが労働組合という形を通じて労使で対話をしていくことに関して、創業者として全面的に賛同し、再生の一つの象徴として期待を寄せている」と書面回答を寄せた。
渡邉氏は参議院議員となった2013年7月以降、委員会で複数回質問に立っている。このうち今年5月の行政監視委員会では政府の過労死防止策について質問している。やや長くなるが、一部を抜粋する。
しかし、社員も数千人となり、パート、アルバイトさんも数万人となり、会社の規模が大きくなる中、この価値観が独り歩きをしてしまい、一部の社員がこのような理念や働くこと自体を負担に感じるようになってしまったのも事実でございます。また、そのような中、所定労働時間を超える長時間労働、所定の休憩時間が取得できない、有給休暇を希望どおり取得できないといった労務管理の不備も重なってしまいました。そして、そのような社員に対して会社としてしっかり寄り添ってあげることもできませんでした。
その結果、新入社員の一人が自ら尊い命を絶つという現実を迎えてしまいました。これは、企業トップとしての私の過ちでございました。私は、企業トップとして犯した過ちに向き合って、一生を掛けてこれを償っていく所存でございます」
この言葉からは渡邉氏が、労務管理の不備と社員への寄り添いの不足が問題の原因と理解していることが読み取れる。だが、問題の根源とは「管理不行き届き」のような表層的なものだっただろうか。
■「社員は家族であり同志」の言葉が示す経営思想
渡邉氏は参院選出馬を機に取締役を辞任したが、自身の資産管理会社アレーテーを通じて間接的にワタミ株の25.09 %を保有する筆頭株主であり、経営に対して強い影響力を持ち続けている。前社長の桑原豊氏は2014年のインタビューで、週刊東洋経済記者の「ブラック企業批判をはね返すには、労組を認めるくらいは必要では」という問いに「ワタミには企業理念の中に、『社員は家族であり同志』という言葉がある。労使の関係は基本的に存在しない」と答えているが、この「社員は家族」という考え方こそ渡邉経営の根幹をなす思想のひとつだ。こういった経営理念そのものへの自己批判があるのかどうかは、前述の質問からはうかがえない。
ワタミと労組は10月、パート・アルバイト約1万人の賃金を引き上げることで合意したと発表した。引き上げ額は最大25円(時給)にとどまるが、団体交渉を経て労働条件を改善するという当然の手順が動き始めたといえる。同じ10月、渡邉氏は東日本と西日本の全社員を対象にした集会で、創業者として講演している。渡邉氏が現在もなお社員教育の一端を担う人物であることがうかがえる。果たしてワタミと労組は、経営を聖域なく変えることができるのだろうか。
ワタミの会社概要 は「四季報オンライン」で
http://shikiho.jp/tk/stock/info/7522?_ga=1.161983676.1604811560.1475080080
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