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米FOMCと雇用統計と株価
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52871501.html
2016年11月04日 在野のアナリスト
TPP特別委で、自公に維が賛成する形で、TPP法案が可決されました。これで9日の米大統領選前に衆院を通過させたかった与党の意向が通った形ですが、最後まですったもんだしたのは山本農水相の存在です。それに、最近のメディアは法案の内容をまったく報じないケースも目立ちますが、安保法案や今回のTPP法案など、国民にとって不都合な内容ではよりその傾向を強めるようです。今回の採決も、維新が加わっているので強行採決の印象は薄まりますが、結局のところ数で押し切った印象はより強まりました。山本農水相の追及でさえ及び腰のメディアに、与党批判をはできるはずもありませんが…。
しかも衆院で採決が予定されていたパリ協定の承認について、「遺憾の意を表して」採決を中止しました。すでにパリ協定の細目を決定する会議にはオブザーバー参加しかできないとはいえ、いくら何でもやる気がなさ過ぎです。しかもその国益を最大化する機会を喪失したことさえ、今のメディアは批判すらできないようです。パリ協定、TPP、どちらを優先して審議すべきだったか…。それが衆院の特別委と本会議とはいえ、同じ日に採決を迎えようとしたのは皮肉だったのでしょう。ダブルで国益を失うはずだった日、本当に「遺憾」とすべきだったのは、今の政府に対してなのでしょう。
米10月雇用統計が発表され、非農業部門の雇用者数が16.1万人増と予想を下回りました。ただし8、9月は上方修正され、時間当たり賃金は前年比で2.8%増など、総じて良好な結果です。しかし米国の直近の問題は、雇用が増えても時間当たり賃金が増えても解消されない、ワーキングプアの存在です。働きたいのに、月50〜100時間しか働けない。こうした雇用で企業にメリットがあるのは、スケジュールを組むのが容易、少人数が辞めてもリカバリーが可能、などで、日本のように企業に社会保障の負担がないのであれば、企業は従業員を抱えるだけ抱え、働いた分だけ給料を渡す方がメリットもあるのです。
その結果、米国でも消費に翳りが見える。資産効果も上値余地が限られ、手取りも低い中では、どうしても消費は停滞気味となります。製造業の雇用が減少しているのも気になる。米経済の真の実力は、張子の虎ほど脆いのかもしれません。FOMCでは「FF金利を引き上げる根拠はひきつづき強まった」とするものの、「さらに幾つかの証拠」を欲しています。しかしその証拠がそろう頃には、米景気も斜陽に入っているかもしれない。大統領選後の動きとともに、米国に残された時間は短い、ともいえるのでしょう。
日本株は2日続きで大幅な下落ですが、はかったようにドルベースの日経平均株価では、ほとんど変化がない。つまり株が下がったのではなく、円が上がり、それに株が追随しただけなのでしょう。ここのところ、日本時間に入ると円安に動く、といったことをくり返してきましたが、経常収支が黒字であるだけに、元々円高への圧力があります。それがヘッジをかけない海外投資や、日銀の引き締めが物足りず、米FRBは利上げに前向きとあって円安に動いていましたが、あくまでその動きは短期です。長期では未だに円高への圧力が強い状況であって、リスクオン、リスクオフとも語られますが、その言葉を正しく使うなら「気の緩み」、それがすすむと危機に鈍感になる、というだけなのです。
TPPが混乱したのも、政治家の「気の緩み」。米FRBの利上げが遅れるのも、市場にばかり気を使い過ぎ、まだ大丈夫だろうとするFRB理事らの「気の緩み」。そして市場が上がっているのも「気の緩み」です。なので上げるときは恐る恐る、ゆっくりと。下げるときは急激に下げる、といったことになります。その緩みに手を貸している日銀もまた、どれだけ資産を抱えても大丈夫、という「気の緩み」があるのでしょう。しかし人々の気は立っていて、米大統領選のトランプ氏支持をみても、既存政治への怒りが感じられます。緩まないと上げられない、しかし沸々と人々の間には、そんな緩みを許せない機運も高まっている。「遺憾」とは「憾みを遺す」と書きます。のこしている内は、まだ穏当にことも進みますが、恨みを晴らす、晴らそうとなったとき、不測の事態もおきてくる。「遺憾」と言っていられるうちに対処できないことも「気の緩み」なら、世界は大きなトラブルに見舞われないと現実をみつめられない、となることがほぼ確実なのでしょうね。
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