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コラム:「中国危機」は本当に起きるか
Rachel Morarjee
[北京 31日 ロイター] - 中国は金融危機を避けることができるのか──。これはレバレッジが急速に拡大する世界第2位の経済大国について、規制当局者と投資家が直面している疑問だ。
また、銀行システムと「影の銀行」のつながりが一段と強まっており、規制当局がそれを突き止めるのもますます難しくなっている。中国はメルトダウンを回避できるかもしれないが、信用危機をかわすことは困難かもしれない。
<中国金融危機のリスクはどれくらい大きいか>
中国における債務の規模は爆発的に拡大している。国際決済銀行(BIS)によると、非金融セクターの債務残高は、2016年第1・四半期までに、国内総生産(GDP)の約2.5倍にまで膨れ上がった。いまだ発展途上にある同国の債務残高は現在、米国の経済規模にほぼ匹敵する。
債務が経済成長を上回ると、アクシデントが起こりやすくなるということは歴史が証明している。だが中国の場合、心配なのはレバレッジが絶対的に拡大していることだけではない。債務拡大の速さはまた、中国の大手行と、中小銀行や当局によるセーフティーネットの外で活動する影の銀行とをつなぐ取引と金融商品の構造が、さらに複雑化することを意味している。
<問題が起きやすいのはどこか>
中国の銀行資産は2014年末以降、7.1兆ドル(約736兆2700億円)増えている。これはGDPの約3分の2に相当する。公式統計によると、同時期に預金は約3兆ドル増加しただけだ。増えた融資の大半は、中国国有の4大銀行以外に集中している。それはつまり、中小銀行が他の資金源を求めて激しい競争を繰り広げているということだ。
特にいくつかの中小銀が目立っている。浙商銀行(2016.HK)と錦州銀行(0416.HK)は、預金よりも他の金融機関に資金のほぼ半分を頼っている。このような銀行は、急に信用危機が起きた場合、影響を受けやすくなる。そのような事態となれば、日常的にしばしば借り換えられていた融資枠を他の銀行が抑える可能性がある。
中規模の商業銀行は、地方政府と不動産会社の主な資金源となっていることが多い。このような銀行は預金に頼るよりも、自ら得た融資を個人投資家あるいは他の金融機関向けの理財商品にしばしば変える。
こうした資金は時に何度も再パッケージ化され、銀行と資産運用会社のような他の金融機関との間で取引される。この小包回しゲームによって、小規模な銀行は、融資焦げ付きに備えて巨額の引当金計上を求めるルールを回避する一方、バランスシートを上回る融資支援が可能となっている。
<何が問題になり得るか>
インターバンク市場は、強い銀行を、弱い銀行や影の銀行に結び付ける。アナリストの推定では、銀行間借入れの8割以上が翌日物ベースで行われている。中国人民銀行は、翌日返済の資金調達の金利を高くする一方、7日物あるいは14日物の短期取引を銀行に強制しようとしている。だが銀行間の貸し出しや借り入れについて銀行はデータを公表していないため、中央銀行のそのような政策が功を奏しているか判断するのは困難だ。
不動産セクターで大きな修正が起きたと仮定しよう。あるいは、経営状態の悪い資産運用会社が破綻したとしよう。そのような衝撃は小規模銀行が発売する理財商品の価値を直撃し、顧客が預金を引き出したり、補償を求めたりする事態を招きかねない。
さらには、大手銀行が最もリスクを被りやすいとみているより子規模な銀行へのエクスポージャーを減らすことにもつながりかねない。翌日物の借り入れコストは跳ね上がり、小規模銀行は融資の回収、もしくは満期を迎える融資の支払いをするため資産の安売りを余儀なくされるだろう。
<人民銀は救済しないのか>
中国の中央銀行である人民銀は市場に流動性を大量に供給し、国有銀行間で取引するよう指示することが可能だ。しかし銀行とノンバンクはあまりに複雑に絡み合っているため、規制当局は問題の所在についてすぐには分からないかもしれない。
人民銀によると、銀行のノンバンクに対する債権は2014年末の11.2兆元から、今年8月末には25.2兆元にまで急増している。中央銀行は市場全体に流動性を供給できても、問題が発生している特定の個所に資金を注入することはできない。
悪い方に転じかねない例を見てみよう。米投資顧問ロジウム・グループの分析によれば、遼寧省瀋陽市に本拠を置く盛京銀行(2066.HK)が販売していた理財商品の価値は、2014年末から754%も上昇。これら商品の発行体は、同行ではなく、資産運用会社や証券会社である。しかも元本は保証されていない。
しかしその基礎となる資産は、リセッション(景気後退)にある地方経済と結びついている。理財商品は短期間での換金が可能だが、融資の期間は長い。何かしら混乱が起きれば、資金不足が発生しかねない。
<金融危機を回避できるのか>
それは「危機」が何を意味するかによる。人民銀はリーマン型の大手金融機関の破綻を阻止することはできる。現金を積んだトラックを送り込み、預金者を安心させて取り付け騒ぎをすぐさま収拾することも可能だろう。
2015年夏に株式市場を救済したように、政府には、銀行や証券会社や保険会社に、問題ある企業のてこ入れに協力させる力がある。中国の対外債務は比較的少なく、外国の債権者が突然に融資を引き揚げるリスクもかなり小さい。
だが債務が拡大し続けるなら、修正が起きる可能性も高くなるだろう。融資の減少、あるいは減速ですら、デフォルト(債務不履行)の連鎖を引き起こしかねない。それはノンバンクから始まり、小規模銀行へと波及し、実体経済に影響を及ぼすことになる。それを危機と呼ぶかどうかはともかくとして、痛みを伴うことは確かだ。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/column-china-crisis-idJPKBN12X0W5
米国株式は続落、米大統領選めぐる不透明感や利上げ観測で
[ニューヨーク 2日 ロイター] - 米国株式市場は続落して取引を終えた。S&P500種株価指数が5年ぶりとなる7営業日続落。来週に迫った米大統領選の不透明感は依然として市場の見通しに影を落とした。今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合では追加利上げは見送られ、12月の会合で実施されるとの市場予想とほぼ一致した決定となった。
オハイオ州トレドの投資顧問会社アラン・ランツ&アソシエーツのアラン・ランツ社長は「FOMC会合は12月の利上げに向けた準備を整えただけで、特に変わったことはなかった。市場の関心は大統領選や他のテクニカルなデータに集まっている」と述べた。
市場における別のマイナス要因は、ニューヨーク証券取引所とナスダック合わせた52週安値の銘柄数が6月以来最多となり、高値を更新した銘柄数を上回ったことだ。
連邦準備委員会(FRB)はFOMC会合後の声明で、物価が上昇傾向にあるとの確信を強めている。
ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・ファイナンシャルの市場ストラデジスト、クインシー・クロスビー氏は「イエレンFRB議長は景気悪化の際に金融政策の選択肢を広げておきたいとの立場だが、市場は、利上げを正当化するほど経済が力強いことを裏付ける十分な証拠があるか様子を見ているかもしれない」と述べた。
最も下落率が高かったのは公益事業.SPLRCU、不動産.SPLRCRと電気通信サービス.SPLRCL部門の銘柄だった。高配当で、利上げ環境には影響を受けやすいと考えられている部門だ。エネルギー.SPNYは原油価格の値下がりに伴い、1%安だった。
決算関連のニュースでは、製薬会社アラガン(AGN.N)が業績発表が不振で5.2%安。
S&P構成企業のうち、52週高値の更新は2銘柄、安値更新が11銘柄、ナスダックは高値更新が19銘柄、安値更新が154銘柄だった。
騰落銘柄数は、ニューヨーク証券取引所では下げ銘柄が上げ銘柄を上回り、比率は3.23対1だった。ナスダックも2.82対1で下げが上げを上回った。
米取引所の合算出来高は約80億株で、直近20営業日の平均である65億株を上回った。
*見出しを修正しました。
http://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPKBN12X2PM?sp=true
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