http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/127.html
Tweet |
[エコノフォーカス]電子部品 日本勢、「質勝負」に影
iPhone7でも勢い鈍く スマホ頼み限界
スマートフォン(スマホ)を支える最強の黒子。性能や品質の高さからこう呼ばれてきた日本製のスマホ部品の地位が揺らいでいる。スマホ市場は徐々に広がっているが、国内の電子部品生産は伸び悩みが鮮明だ。中国や台湾メーカーが技術力に磨きをかける中で「低価格競争には品質で勝つ」日本型モデルは盤石とはいえなくなってきた。(大島有美子)
「受注がかんばしくない……」。経済産業省の統計担当部署でため息が漏れる。自動車や鉄鋼など国内で生産されるモノの動向を表す鉱工業生産指数(2010年=100)の中の電子部品・デバイス工業の動向に変調の兆しがあるからだ。
15年1月、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)6」の効果もあって同工業を示す指数は110.9とリーマン・ショック前の水準にまで回復し、復活を遂げたかに見えた。だが直近の8月は上向いたとはいえ97.8という低水準だ。前月よりは約6ポイント上昇したものの7カ月連続で100割れとなり、過去の発売時よりも勢いが鈍い。
液晶などが苦戦
電子部品の中でも中小型の液晶素子とメモリーはスマホ向けが大半だ。過去に液晶の生産指数が急伸していた局面は、ほぼアイフォーンの新機種発売のタイミングと重なっている。
だが、「7」の発売前の7月の液晶の指数は155.5と、直近の新型の「6S」の時と比べ6割程度の水準にとどまる。アイフォーンの販売台数自体が低迷していることもあるが、日本向け仕様が話題の「7」発売を目前にしても生産が伸びず、政府内で不安の声が広がる。
米アップルが公表する取引先上位200社の一覧を見ると、15年は入っていた日本の大手電子部品2社の名前がリストから消えた。
電子情報技術産業協会によると、電子部品の世界生産に占める日系メーカーのシェアは15年に38%と、05年の44%から10年で6ポイントも低下した。
日本の“お家芸”を脅かす要因の一つが中国や台湾勢の台頭だ。中国の国家統計局によると半導体など電子部品の動向を敏感に映す集積回路の生産量は年明け以降、前年同月比1〜2割増のペースだ。みずほ証券の末広徹氏は「中国のスマホメーカーが台頭し部品から完成品まで国産化している」と指摘。日本経済新聞社が集計する台湾のIT(情報技術)企業19社の売上高は、16年に入り前年比1割減だったが8月は5%増に回復した。
スマホ出荷最大手の韓国サムスン電子は発火事故で新型スマホの生産・販売を打ち切った。市場では中国スマホメーカーへの追い風になるとの観測が強く日本の受注余地は乏しいかもしれない。
クルマ向け活路
活路はないのか。スマホ向け部品の中でもカメラの画像センサーに使われるCCD(電荷結合素子)の生産指数は7、8月ともに160を超え、比較可能な08年1月以降で最高水準を記録した。車の自動ブレーキなど「スマホ以外の用途に広げている」(SMBC日興証券の宮前耕也氏)。
「性能が向上したのに『7』向けの納入価格は上がらなかった。スマホにうまみはない」。iPhone向けに液晶関連部品を供給する西日本の部品メーカー幹部は「20年までにスマホからクルマ向けに販路を切り替えたい」と明かす。
自動車や機械と並んで日本の基幹産業である電子部品。15年度の貿易統計によると、電子部品は輸出額全体の5.2%を占め、自動車(16.3%)に次ぐ。電子部品の新たな市場を自動車に見いだすとなると、産業全体で自動車依存度がより高まるリスクもある。
[日経新聞10月24日朝刊P.3]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民115掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。