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平均給与は年63万円…地獄の食品製造業界、横流しや偽装多発の根底に「儲からなさ」(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/124.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 10 月 31 日 00:35:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

               ココイチの店舗(撮影=編集部) 


平均給与は年63万円…地獄の食品製造業界、横流しや偽装多発の根底に「儲からなさ」
http://biz-journal.jp/2016/10/post_17048.html
2016.10.31 文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト Business Journal


 廃棄カツ横流し事件から半年後の7月12日、愛知、岐阜両県警は事件に関連し、食品衛生法違反(食肉の販売許可を得ずに冷凍カツ販売)と詐欺の疑いで、産業廃棄物処理業ダイコー(愛知県稲沢市)会長の大西一幸容疑者(75)ら3人を逮捕した【編注1】。

 さらに両県警は8月1日、ダイコーの大西容疑者を産業廃棄物の処分委託料をだまし取ったなどとして、詐欺と廃棄物処理法違反の疑いで再逮捕。ほかの2人も詐欺容疑などで再逮捕している。

 さて、この3人の逮捕・再逮捕で、全容がどこまで解明されるのだろうか。

 これまで本連載でみてきたように、今回の事件ではココイチの廃棄カツなどのほか、今となっては調査不能な10年も前の食品の横流しがあったことがわかっている。

 約10年前の2007年に、“偽装肉の百貨店”といわれたミートホープ事件(偽装食肉)が発覚したが、同社は事件発覚時の10年ほど前から、廃棄肉なども使っていたという。この限られた例からみても、廃棄物偽装は30年の“前歴”がありそうだ。

 また、環境省の調査では、反社会的組織による“有価物への偽装”(無価値の廃棄食品などの流用)が珍しくないことが明らかにされた。廃棄食品の横流しは何も今に始まったことではなく、しかも広範囲に及んでいる恐れがある。

 その意味で、先の全容解明とは、単に今回のダイコー関連の状況の解明を指すのではない。いわば、せめて汚水を流す“地下水道”の歴史と、その空間的な広がりの全体像の一端を見せてくれることではないか。

 今回は、その歴史と広がりの解明に少しでも役立てるために、やや遠回りではあるが、偽装の温床となりかねない食料品製造業の構造に迫る。

■胃袋の国民経済学

 日本の人口約1億2700万人【編注2】の胃袋を賄っている食料の生産は、金額換算で、どの程度なのか。それは、「農業・食料関連産業の国内生産額」【編注3】で知ることができる。これは、農水省が(1)食料供給に関連する各種産業の経済活動を数量的につかむ、(2)国内の全経済活動での位置づけを明らかにする――目的のために、作成している。
 
 13年度のその国内生産額は約97 .6兆円で、前年度に比べて2.5%増えたとはいえ、1970年度以降のトップ、96年度の115.4兆円に対して15.4%も減った。

 97 .6兆円は国内の全経済活動の約1割(10.5%)に当たる。ただ、このうち農林漁業は11.4兆円にすぎず、食品製造業(食品工業)がその3倍の34.9兆円であり、同国内生産で最大のシェアを誇る。これに関連流通業(卸・小売、運輸)24.7兆円、飲食店21.4兆円などが続く。

■人手は多く、少ない給与を分かち合う?

 食品製造業は、どんな業種か。主に、5つの特徴があるのではないか。

 第1の特徴は、人手(従業員)の多さだ。今年1月発表の、従業員(従業者)4人以上の事業所が対象の経産省「工業統計調査」【編注4】によれば、従業員数は製造業全体の約740万3300人のうち、食品(食料品)製造業が15.0%(約111万2400人)を占め、全体のトップだ。人手の多さは、他の製造業に比べて、それだけ機械化や自動化、装置化が進んでいないことを示す。

 第2の特徴は事業所数の多さと、立地が地域分散・密着型の点だ。製造業全体の事業所数約20万2400のうち、食品製造業は全体のうちの13.3%(約2万7000)で、これまたトップである。
 
 また、総務省のデータ【編注5】によれば、全国の約2万7900の食品製造業事業所のうち、もっとも多く所在するのは北海道で約1900だが、これを含めた1000以上の上位5つの道県の合計シェアは25.0%にすぎない。残りは100台から900台まで幅はあるが、万遍なく全国に分散。まさに地域の食を守る、地域密着型産業だ。

 第3の特徴は、低資本かつ従業員規模の小さな零細・中小企業が多いという点だ。経産省のデータ【編注6】によれば、事業所約2万4300のうち、従業員4〜29人の個人経営と、同4〜29人で、しかも資本金3000万円未満の零細・中小企業が全体の69.1%を占めている。

 第4の特徴が、従業員の低収入だ。食品製造業の常用労働者への現金給与総額【編注7】は、製造業全体の32兆6862億円のうちの9.4%(3兆654億5200万円)にすぎない。つまり、従業員数は全体の15.0%なのに対して現金給与総額は9.4%、差し引き5.6%分も少ない。

 これは付加価値額(生産額から原材料・燃料費、減価償却費などを差し引いた、人件費・利子・利潤の合計)の少なさと関係がありそうだ。食品製造業の付加価値額は、製造業全体の92兆2888億7100万円のうちの9.5%(8兆7633億3100万円)だ。

 さらに、「工業統計調査」の調査対象外とされる従業員3人以下の事業所について、推計による参考統計表として、「工業統計調査」に掲載されている。それで比較してみれば、格差の実態がさらにはっきりとする。

 まず、前提として、14年の製造業全体の従業員3人以下の事業所数19万5300のうち、食品製造業の同事業所数は7.7%(1万5119)。その従業員数は製造業全体の38万7100人のうち、食品製造業は8.5%(3万2800人)だ。

 そこで年間現金給与総額だが、製造業全体の3694億4600万円のうち食品製造業のそれは5.6%(205億7700万円)。これを従業員数3万2800人で割ると、ひとり当たりの年間現金給与総額は62万7300円にすぎない。製造業全体の同平均95万4400円の約7割(65.7%)足らずだ。

 ちなみに、従業員4人以上の事業所の製造業全体の同平均は441万5100円に対し、同食品製造業ではその6割強(62・4%)の275万5600円。つまり、食品製造業の従業員は、業種間格差と規模格差のダブルパンチに見舞われている。

 ひと口に食品製造業といっても、扱う品目は実に幅広い。製粉業、製糖業、製油業などの一次加工品から、即席めんや調味料などの二次加工品、それも畜産、水産から野菜、果物、パン、菓子、ビスケット、寿司、弁当、総菜など多種多様だ。その、いわば栄養摂取を含めた重要な食の安心・安全の一角を担っている現場の人々が、厳しい収入格差の状況に置かれているのが現実か。

■儲かっていないのが、最大の特徴か

 そして食品製造業の第5の特徴は、儲かっていないことではないか。

 前述した付加価値は利益+人件費+利子の合計だが、企業の儲けぶり(収益性)を把握するため、「売上高営業利益率」をみてみよう。売上高営業利益率は、売上高に対する本業(製造・販売のみ)の儲け=営業利益の割合を示す【編注8】。

「一般的に製造業の営業利益率は5%が適正水準」【編注9】ともいわれる。ところが、05〜14年の10年間では4.5が最高で、リーマンショックの影響が大きい08〜09年にはいずれも1.5まで下がっている。この間、食品製造は1.9〜3.2だ。

 長期的に見ればどうか。入手することができた財務省の「業種別財務営業比率表」【編注10】によれば、1968〜2014年度までの56年間で、食品製造業の営業利益率が5.0以上になったのは、わずか4回だけだ。それどころか、4.0以上でさえも10回にすぎない。

 しかも5.0以上の4回は69年度(5.1)、70年度(5・0)と、73年度(5.1)、74年度(5.2)、4.0以上も68〜77年度(3.8の75年度を除く)と、68〜77年度までのほぼ10年間に限られる。

 つまり、戦後の高度経済成長後期に属す、いわゆる「いざなぎ景気」(65年11月〜70年7月)に半分かかり、かつ73年のオイルショックをはさみ、その余波が続いた時期だ。なお、特に68〜74年度までの7年間、製造業全体の平均で営業利益率は8.0〜5.9と極めて高かった。

 この間の食品製造の高い営業利益率を支えたのは、高度経済成長による食品需要の増大だ。特に食肉加工や乳製品など食の西洋化を軸に、日本は食の大変革を遂げた。60年に米の収穫量史上最高を記録したが、前後して58年にはインスタントラーメンが登場。60年代初めに日本でもインスタントコーヒーが国産化。60年代半ばに冷凍食品が広がり、同末にはレトルトカレーが販売された。

 そして、70年代からはファミリーレストランやファストフードが展開されるなど、食の簡便化、外部化も進んだ。この食の大変革を支えたのが食品製造のイノベーション(技術革新)であり、その見返りとして、食品製造は高い営業利益率を確保した。

 しかし、79 年度以降、営業利益率は1.9〜3.6と低位安定化し、食品製造業は縁の下の力持ち的役割から脱却できていない。

 では、なぜ食品製造業は儲からないのか。その原因について次回みていきたい。
(文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト)

※後編に続く

【編注1】3人逮捕のうち、残りの2人は製麺業「みのりフーズ」(岐阜県羽島市)の元実質的経営者・岡田正男容疑者(78)と、卸業者「ジャパン総研」(名古屋市)の元従業員・木村正敏容疑者(76)。3人再逮捕では、「みのりフーズ」の岡田容疑者と「ジャパン総研」の木村容疑者は詐欺ほう助罪容疑。
【編注2】人口約1億2700万人=総務省統計局。2016年10月1日現在、総人口の概算値。
【編注3】「農業・食料関連産業の国内生産額」=『平成25(2013)年度農業・食料関連産業の経済計算』農林水産省大臣官房統計部「農林水産統計」平成28(2016)年3月25日。なお、国内生産額とは、生産された財及びサービスを生産者が出荷した時点の〈生産者価格〉で評価したもの。
【編注4】「工業統計調査」=『1.産業別統計表(産業細分類別)(1)、従業者4人以上の事業所に関する統計表』「2014年工業統計表(概要版)データ」経済産業省、2016年1月29日掲載。
【編注5】『食料品製造業の事業所数(2013年)(都道府県別)』総務省「第65回日本統計年鑑」2016年。
【編注6】『(1)産業小分類別、経営組織別、資本金階層別、従業者規模別の企業数』[1企業に関する統計表]2014年工業統計表「企業統計編」経済産業省、2016年8月5 日公表。
【編注7】現金給与総額=1年間(1〜12月)に、常用労働者のうち雇用者(「正社員、正職員など」及び「パート・アルバイトなど」)に対して支給された基本給、諸手当及び期末賞与、退職金や解雇予告手当、出向・派遣受入者への支払額、臨時雇用者への給与などの合計。
【編注8】会計のプロたちが「収益力の指標として売上高営業利益率を採用するのは、これが様々な会計操作の影響をもっとも受けにくく、他の候補に比べて事業収益を忠実に表現するからである」(「日本の製造業―長期データに基づく収益力の再検証―」日本政策投資銀行 設備投資研究所 Time Based Management研究会 三品和広ら、p1)と指摘している。
【編注9】「営業利益率は5%が適正水準」 =「売上、利益とも厳しく-食品メーカー3月期中間決算」食品産業新聞、2014年11 月25日付
【編注10】『5.業種別財務営業比率表』財務省「法人企業統計」

 

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コメント
 
1. 2016年10月31日 00:43:23 : eYLuBVOh12 : yIpPu6ScJf4[18]
月63万の間違いだろ? あんなに客からボッタクっといてw

行ったことある人なら分かるだろうが、このカレーチェーン店は、月に何度か、客を騙して店に連れて来る会社です。


2. 2016年10月31日 11:13:24 : MvqAgSKMu5 : 7wHev8JfIc8[7]
>製造業全体の3694億4600万円のうち食品製造業のそれは5.6%(205億7700万円)。これを従業員数3万2800人で割ると、ひとり当たりの年間現金給与総額は62万7300円にすぎない。製造業全体の同平均95万4400円の約7割(65.7%)足らずだ。

これって単に短時間のパートさんが他の業種に比べて多いということでは?
変なところに平均給与など持ち出すが目を引こうという魂胆か?いかん、乗せられてしまった。


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