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2017年、欧州が世界経済の火薬庫になる?(東洋経済)
http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/876.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 10 月 29 日 00:54:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

フランスだけでなく反移民デモは欧州で頻発。2017年は欧州全体が火薬庫になる危険性も(写真:ロイター・アフロ)


2017年、欧州が世界経済の火薬庫になる? 
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161028-00142314-toyo-bus_all
東洋経済オンライン 10/28(金) 10:00配信


「もっとも予測が当たる経済アナリスト」と言われ、米国住宅バブル崩壊や欧州債務危機の到来、さらには2014年の消費増税先送りや原油価格の急落を予見するなど、これまでに数々の予測でその実績を示してきた中原圭介氏。今回、新刊『中原圭介の経済はこう動く〔2017年版〕』(東洋経済新報社)の刊行に際して、経済を予測するポイントや今後の国内外の経済動向、マーケットの見方や注意点などについて、金融アナリストとして活躍中の三井智映子氏が3回にわたってインタビュー。第2回目は、欧州と中国について展望する。第1回 2017年、世界を揺るがす「リスク」はあるか

■依然解消されない欧州の南北問題

 三井:前回のインタビューでは、経済を見るのに大事な視点と米国経済の現状とこれからについてお伺いしましたが、今回は引き続き、欧州経済および中国経済の現状とこれからについて質問させていただきます。

 まず、欧州経済の現状についてどのように見ていらっしゃいますか? 

 中原:ユーロ圏のGDPは2016年1-3月期が2.2%、4-6月期が1.1%と順調に拡大を続けているように見えますが、経済規模がいちばん大きいドイツのGDP成長率が他の国々に比べて高い数字となっていて、ユーロ圏全体の成長率を底上げしています。ドイツの2015年の実質GDPは2008年と比べて6%増加したのに対して、南欧諸国のイタリアは7.8%、スペインは4.6%、ギリシャは35%も減少しているのです。

 三井:その経済格差の広がりが、EUやユーロ圏の分断の原因になっているわけですね。

 中原:そのとおりです。ユーロ圏の経済格差の最大の要因は、生産性の格差にあります。通常であれば、生産性の格差は各々の国の為替レートの調整で解消することができますが、統一通貨を使うユーロ圏ではそういう調整機能が存在していません。ゆえに、生産性の格差を解消する唯一の方法は、各国間の賃金の調整で行うという方法しか残されていないのです。

 ところが、生産性の低い国では政治的にも社会的にも賃金の調整ができるはずがないので、その大きな代償として、失業率が高止まりする事態となって跳ね返ってきているわけです。2016年のドイツの失業率は6%程度とユーロ圏19カ国で最低水準となっていますが、生産性が低いイタリアは11%超、スペインは20%超、ギリシャは27%超と、依然として高止まりが続いているのです。フランスでさえも9%超とドイツの1.5倍の数字であるのですから、いかにドイツと他の国々の経済格差が大きいかということがはっきりとわかります。

 三井:欧州に何か明るい材料はないのでしょうか? 

 中原:欧州は高い失業率に苦しんでいる状況下で、唯一の明るい材料であると思えるのは、原油安が自動車の販売を中心に消費拡大を促していることです。米国や日本と同じように、欧州でも自動車産業が経済全体に占めるウエートは大きく、雇用への波及効果も決して馬鹿にはできないのです。過去2年半でまがりなりにもユーロ圏の失業率が12%程度から10%程度まで下がったのは、自動車産業の回復が大きいわけです。

■欧州が抱える巨大リスクとは?

 三井:米国の失業率が半分になったのと比べると、欧州の失業率はあまり下がっていないように感じられます。やはり、住宅市場はあまりよくないのですか? 

 中原:はい。自動車販売が欧州全域で好調を持続している一方で、住宅販売はその国がバブルを経験したか否かによって好不調が大きく分かれています。今のところ、自動車市場の回復では南欧諸国の勢いが目立ってはいるものの、住宅市場ではバブルの後遺症と域内の経済格差を象徴するように、ドイツと南欧諸国のあいだでは大きな差がついてしまっています。

■いよいよECBの政策が行き詰ってきた

 三井:昨年の御本でもECBの金融政策は間違っているとおっしゃっていましたが、いよいよECB(欧州中央銀行)の政策が行き詰まりを迎えつつあるということでしょうか。

 中原:そのとおりです。日銀の金融政策について述べるところとかなり重複する内容になるので、次回に詳しく述べたいと思いますが、マイナス金利は経済全体で見れば副作用のほうがはるかに多く、愚策というほか言いようがありません。現代の経済システムや社会システムは、金利が必ずプラスになるという前提で構築されているからです。そのような前提のもとで、100年以上にわたって改善を重ねながら、連綿と築かれてきたのです。だから、マイナス金利が上手くいくはずがないし、金融政策の限界が露呈するのはそう遠くはないでしょう。

 三井:2016年の欧州では何と言ってもBrexit(英国のEU離脱)が大きな事件となりましたが、現在のところさほど大きなショックにはならなかったという印象です。しかし中原さんは、欧州が2017年の世界経済の最大のリスク要因になると見ているということですが……。

 中原:私の経験から言って、多くの読者の方々は欧州にはあまり関心がないかもしれないですね。この連載コラムでも欧州のことを書いても、日本や米国のことと比べると閲覧数が実に少ないからです。しかし、2017年の世界経済や金融市場の鍵を握っているのは、欧州の政治リスクの行方にあると断言してもいいでしょう。

 三井:それは具体的にどういったことでしょうか。

中原:10月6日のコラム「2017年、ヨーロッパは本当の正念場を迎える」でも述べたように、2017年は欧州にとって決定的に重要な1年になると考えています。4月〜5月のフランス大統領選挙、6月のフランス国民議会選挙、9月のドイツ連邦議会選挙と、欧州統合を推進する二大国の選挙結果が、政治的なリスクとして非常に懸念されているからです。選挙前に大規模なテロが起こるようなことがあれば、フランスやドイツでは極右政党や極右政党候補者に投票する人々が増えるでしょう。EUやユーロ圏の崩壊というシナリオが現実的になってくる可能性が捨てきれないわけです。 三井:来年は欧州を注視していかなければいけない年なんですね。

 中原:フランスやドイツの国民には良識を失わないでほしいと切に願っています。歴史的に見て、極右が台頭した後は、世界が動乱に陥る可能性が高まってしまいます。そういった意味では、欧州が2017年の世界経済の火薬庫になるのは間違いありません。

■では、2017年の中国経済は?

 三井:続いて中国経済の行方についてお伺いしたいと思います。中原さんが昨年の2016年予測で唯一読み違えたのは、中国政府が落ち込んだ自動車市場の回復を狙って、小型車減税を行ったということではないでしょうか。

 中原:唯一ということはないでしょうが……。たしかに、中国の小型車減税は私の予測から抜け落ちていましたね。それだけ中国政府の危機感も大きかったということでしょう。今や中国の自動車産業は工業生産の1割超を占め、4000万人超の雇用を生み出しているからです。

 産業としての裾野が他業種と比べて広いだけに、自動車市場の悪化が続くようなことになれば、経済全体に悪影響を与えるのは避けられなかったでしょう。自動車メーカーが工場の統廃合や大幅な生産調整を始めるようになれば、雇用情勢の悪化が大幅に悪化し、その怒りの矛先は中国共産党や中国政府に向かったかもしれないのではないでしょうか。

■中国は需要の先食いでしのいでいる

 三井:中国共産党および政府がかなりの危機感を持って、自動車減税といった切り札で対処したということですね。

 中原:そのとおりです。小型車減税の効果が大きかったせいか、中間層が拡大している内陸部を中心に、新車を購入する人々が増えています。その結果、2016年上半期の新車販売台数は前年同期比で8.3%増の1283万台となり、この勢いを年の後半も保つことができれば、国内需要と言われる2500万台を超えてくることになるでしょう。

 ただし、今のような自動車市場の回復は、決して素直に喜べるものではありません。実際に自動車販売の現場では、今の状況を喜んでいるというよりも、その先のことを心配している業界関係者のほうが多いからです。自動車メーカーの多くが小型車減税に大きく依存してしまっているのです。とりわけ海外メーカーと比べて競争力が弱い国有メーカーは、これらの政策により経営を維持しているという現実があるわけです。

 三井:そこで心配なのは、需要の先食いということでしょうか? 

 中原:よくおわかりですね。小型車減税が2016年末に終了する予定のため、駆け込み消費により需要の先食いが起こっているのは、紛れもない事実です。減税対象の小型車販売の伸び率は2016年上半期で18.8%と突出していて、乗用車全体の7割強を占めるまでになっているのですから……。小型車減税が2016年末に予定どおりに終了したら、新車販売の現場では相応の反動減を覚悟しなければなりません。供給の過剰感が強まることで安売り競争にいっそう拍車がかかり、疲弊したメーカーのなかには破綻するところが出てくるかもしれないのです。

 小型車減税を2017末まで1年間延長して、目先の反動減を回避できたとしても、延長によって需要の先食いは従来よりも大きくなっているはずなので、その後の反動も従来よりも深刻になるということを覚悟しなければならないでしょう。いずれにせよ、自動車市場の先行きは厳しいものとなるはずです。

■中国の将来の反動は不可避になる

 三井:中国は目先の景気をよくするために、将来の反動にまで気を配っていられないという理解でよろしいですか? 

 中原:おっしゃるとおりです。局所的に起こっている不動産バブルへの規制が遅れがちなのも、そういった理由があると思われます。中国共産党や中国政府は、中国経済が減速するなかで不動産投資には下支え役として期待はしているものの、それゆえに大都市の住宅市場にはバブルに近い過熱感があるという認識をはっきりと持っています。

 その一方で、大部分の地方都市では今なお、住宅市場の低迷に苦しんでいます。過去2年間で不動産在庫が「平方メートル換算」で4割も増え、実にその7割を地方都市が抱えているのです。いずれにしても中国は、一部の大都市の住宅バブルを抑えながら、同時に住宅市場全体の悪化を食い止めるという、非常に難しい舵取りを迫られているわけなのです。

■中国経済の最大リスクとは? 

 三井:いよいよ中国の「世界の工場」としての限界が見えてきたということですが……。

 中原:おおむねの地域では過去5年間で最低賃金が2倍になりましたが、そういった大幅な賃上げの流れは2016年〜2017年に止まる兆候が見え始めてきています。

 中国最大の経済規模で「世界の工場」として知られる広東省(深圳市を除く)が、最低賃金の引き上げを2年間凍結するという方針を2016年になってから決断したからです。企業がこれ以上の賃金上昇に耐えられなくなっているので、賃金の引き上げはさらなる企業の撤退や倒産を招き、社会不安を誘発しかねないと判断したのです。

 三井:最後に、今後の中国で一番懸念すべきリスクは何でしょうか? 

 中原:最大のリスクは、民間債務の膨張だと思います。2016年版でも指摘していますように、リーマン・ショック後の世界経済を下支えした新興国の多くは、高成長の過程で借金依存症に陥ってしまい、民間債務が身の丈以上に膨らんでしまっています。歴史的な見地からも中国の民間債務の分析をしていますので、ぜひ新刊を手に取っていただければと思います。

三井 智映子
 

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コメント
 
1. 2016年11月01日 02:34:24 : IsGoj6QKbs : bSuIg8o8pCs[10]
2017年、欧州が世界経済の火薬庫になる?

火薬庫は日米のマイナスの反則金利.

アベノミクス廃棄で火薬庫が廃棄処分となる。   


  


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