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検証! 米大統領選後にやってくる大相場の中身
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161027-00142094-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 10/27(木) 19:36配信
11月8日の米大統領選挙まで残り2週間を切った。民主党のヒラリー候補か共和党のトランプ候補か。どちらが当選するかに注目が集まる一方、投資家にとって肝心の株式市場のテーマについてはあまり語られていない。そこで今回は過去を振り返り、歴代大統領の政策と株式市場がどのような関係にあったのかを確認しつつ今後を展望してみたいと思う。
まずは以下のチャートをご覧いただきたい。
このチャートは、1991年1月以降の米国S&P500の月足(終値)チャートの上に、第42代大統領ビル・クリントン氏(1993年1月〜2001年1月)、第43代ジョージ・W・ブッシュ氏(2001年1月〜09年1月)、第44代バラク・オバマ氏(2009年1月〜17年1月)の任期と、それぞれの政権内でのS&P500の安値から高値の株価上昇率を加えている。
チャートを見れば一目瞭然、三つの大きな山があり、それぞれの大統領の任期中に、それぞれ一つの大きな相場が存在したことがわかる。株価上昇率はクリントン政権が3.5倍、ブッシュ政権が1.9倍、オバマ政権が3倍だった。
民主党と共和党という政党の切り口で見ると、民主党政権時は大統領就任と同時に相場がスタートし、任期中はほぼ一貫して上昇しているのに対し、共和党政権時は大統領が就任すると株価はいったん下落し、しばらくしてから底を打って上昇に転じ、任期満了の少し前から下落するというパターンになっている。
これはたまたまかもしれないが、共和党で任期8年を満了した第40代大統領のロナルド・レーガン氏(1981年1月〜89年1月)の時も似たような形になっていることから、もし共和党のトランプ氏が当選した場合は今までと同様、株価はいったん下落し、いずれかのタイミングで底を打って反転上昇という流れになる可能性がある。
■ 次に政策を振り返ると
クリントン政権の最大のポイントは、重化学工業を中心としたそれまでの重厚長大型経済から、「情報スーパーハイウェイ構想」に象徴されるITや金融など、ソフト産業中心の経済に大胆に転換させたことだ。具体的にはIT産業の育成や、IT化による生産性向上が奨励され、教育現場でも学校へのPC導入などIT教育が推進された。
情報スーパーハイウェイ構想とは、米国内のすべてのコンピュータを光ケーブルなどの高速通信回線で結ぶ構想で、かつて全米に張り巡らされた高速道路網が「物流革命」につながったことから、同じように「情報革命」を期待してのものだった。しかし実際には多額の費用がかかることから構想は遅々として進まず、結果として民間におけるインターネットが爆発的に普及し、その流れが世界に広がった。
ブッシュ政権の場合は政策というよりもひたすら戦争に明け暮れていた印象が強い。というのも大統領就任の2001年9月に、9.11同時多発テロが発生し、世界的な「テロとの戦い」を発表するとともに米国愛国者法を成立させたところから始まっているからだ。その後、アフガン侵攻、イラク戦争と続き、「世界の警察」として軍事支出を拡大させる一方、大規模な減税も実施したことから財政収支は赤字に転落したことも特徴の一つだ。
またブッシュ氏はかつてテキサスの石油会社に勤めていたことから石油産業寄りとされ、そのためかは不明だが、石油会社にとって逆風となる温暖化ガス削減を目指す京都議定書を離脱するなど、地球温暖化問題への取り組みには消極的だった。確かに任期中の2008年7月にWTI原油は1バレル=147.3ドルの史上最高値をつけたことから、石油産業寄りの話も否定できない。
加えて経済政策は「供給力を強化することで経済成長を達成できる」というサプライサイド経済学に基づいたため、そのことが原油のみならずあらゆる資源価格の上昇にもつながる一因となった。
オバマ政権は当初、電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる送電網の「スマートグリッド」を構築し、自然エネルギーや地球温暖化対策に公共投資する「グリーンニューディール」政策を掲げていた。わかりやすく言えば「環境」がテーマだったはずだが、実際は国民皆保険を目指した医療保険改革法案の成立とイランやキューバ、ミャンマーなどとの関係改善が目立つところである。
今度は、各政権でどのような銘柄が上昇したのかを確認し、株式市場のテーマは何だったかを探っていきたい。
上の表を見ると、クリントン政権時は光ファイバー通信機器のJDSユニフェーズが株価500倍以上になったのを筆頭に、上昇率上位の銘柄のほぼすべてがIT関連か金融関連である。ブッシュ政権時は、航空機など軍需で必要とされるチタン製品のチタニウムメタルズが株価100倍以上に急騰したほか、特殊金属や合金などの軍需向けの素材や、石油やエネルギーなどの資源関連が多いことがわかる。
米国株だけでなく日本の株式市場でも同じことが起きた。クリントン政権時の1994年にはソフトバンク <9984> 、1997年にはヤフー <4689> が上場し、2000年の高値に向けて大暴騰を演じているし、東証33業種の騰落では「情報・通信」が安値から高値まで約5倍の上昇を見せ、業種別上昇率では圧倒的首位となった。
ブッシュ政権時では、大阪チタニウム <5726> が約50倍の株価上昇になったほか、東証33業種の騰落でも「鉄鋼」「海運」「卸売(商社)」など、いわゆる「資源関連」が上昇率上位を占めた。
つまりクリントン政権時に2000年に向かって上昇した大相場、いわゆる「ITバブル」はなんのことはない「クリントンバブル」であり、ブッシュ政権時に2007年に向けて上昇した大相場は「資源バブル」ではなく、「ブッシュバブル」だったわけである。
ただオバマ政権だけは、上昇率上位の銘柄を見るかぎりは、実際のテーマが何だったかを読み取るのは難しい。環境関連がないことから「環境」がメインでなかったのは確かだが、ホテルや貴金属など富裕層向けのサービスがある反面、下着のような一般消費者向け消耗品がある「二極化」や、スマホの普及、それに伴うネット配信、不動産関連など複数のテーマがあったことは見てとれる。
では「オバマバブル」はなかったのかというとそうではなく、個人的にはマイナス金利など世界的な低金利によって引き起こされた「債券バブル」こそが、結果として「オバマバブル」になってしまったのではと考えている。低金利だからこそ、ゼネラル・グロース・プロパティーズのような不動産関連が大相場になり、「低金利」つまり「デフレ」だからこそ消費の二極化が加速した可能性がある。
最後に今後の展望についてだが、新大統領が誕生し、どのような政策を打ってくるのかを見極めることは重要だが、大統領が交代すれば、株式市場のテーマが大きく変わることだけは確かなので、どちらに転んでもこのタイミングで「発想の転換」が必要ということだけは間違いないと感じている。
渡部 清二(わたなべ・せいじ):大手証券会社に23年間在籍。中堅企業、個人投資家向けの資産コンサルティング、世界の運用会社向けの日本株セールスに携わる。2014年四季リサーチ設立、2016年「複眼経済観測所」設立、所長。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
渡部 清二
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