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雑感。物価と通貨安と
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52870760.html
2016年10月22日 在野のアナリスト
日銀の黒田総裁が、昨日の衆院財務金融委員会で2%の物価目標の達成時期を「見直しもあり得る」と述べました。2013年には「15年の前半」とし、それから4度延期して「17年度中」としていましたが、いよいよ2018年度に目標時期も突入するようです。というより円安で上がった物価も、今ではゼロからマイナスで推移することが多く、今後も上昇する見込みはありません。
例えばガソリン、ふたたびレギュラーでリッター120円をつけ始めていますが、100円台で1バレル50$ぐらいだと、昔の感覚ならリッター100円台です。今は政府も日銀もインフレ志向、安心して上乗せできますが、逆にいうと原油価格が下がったときに卸価格を下げていないため、上昇余地に乏しい。価格を高止まりさせれば、継続的に2%を維持していくのが難しくなるのです。エネルギーはコアコアCPIからは除外されますが、今の価格形成において重要なのは、企業の価格維持圧力の高まり、です。例えば冷蔵庫や洗濯機など、一時期と比べて日本製の白物家電はかなり価格が上がっています。様々な機能を付加した、といっても目を見張るほど性能アップしたかは、消費者には分かりません。そして日本メーカーのそうした価格戦略のため、低価格の層には中国や台湾のメーカーが進出してきている。安倍ノミクスにおける物価上昇目標は、結果的に日本メーカーの衰退と、アジア系企業の進出をもたらした、とさえ言えるものとなっています。
Brexitでも興味深いのは、ポンド安により英国に工場をおく企業が有利になっているか、というとそんなこともない点です。英国内で活動する分には消費が横ばいで、堅調なようですが、英国産というネガティブなイメージが定着し、ユーロ圏での販売低下が見こまれる。また今後、ハードBrexitになった場合、英国からユーロ圏に輸出するときは課税されることになるため、ポンド安で吸収できるかどうかも不透明です。EU側からは「ソフトBrexitはあり得ない」と度々クギを刺されており、英国が辿る道筋によっては、英国からの工場移転も視野に入れなければいけない。企業としては負担が増すでしょう。
そして英国には油田があっても、資源国ではないため、多くは輸入に頼ります。ポンド安が今後、輸入物価の上昇を招くなら、国内消費を落ちこませるかもしれませんし、製造業にとっても資材高騰で痛手になりそうです。そう考えると、Brexitの影響と黒田バズーカによる影響、実はどちらも似てくることに気づきます。通貨安による経済の見方、日本も英国も、輸出企業にはほとんど恩恵がない。むしろ通貨安を招いた国に、本社機能のある企業にとって、海外に展開する工場の数が多い分、メリットがあるということであり、直接の輸出が増えたり、といった影響はなかった。むしろ企業がにげだす方向でバイアスが懸かりやすい、ということが日英の状況からも判明したのでしょう。
今週の日本株の上昇は、一部で原油高によるオイルマネーがもどってきた、という見方もあります。しかし世界的にマネーを動かした気配もないのに、どうして日本だけに? という点が不思議です。そこで見えるのは、日本は中東産原油の輸入が多い、消費者物価を上げようとガソリン価格を高止まりさせる、といった要因です。さらに、サウジとして重要なのは、国営石油会社サウジアラムコの上場を成功させることです。中東の原油を高く買ってくれるお得意様、その景気がよければサウジアラムコも堅調。そんな思惑から、日本の景気をよく見せかけたい、というのは穿ち過ぎかもしれませんが、考えられないことではないのかもしれません。
今日のNHKスペシャルで、ISD条項によって小国家が企業から訴えられ、多額の賠償金を支払う可能性について、報じていました。その結果、国が社会保障費をけずり、国民生活が疲弊している、と。その中で、日本も「TPPにはISD条項が含まれる。いずれ…」といった言及がされていました。珍しくメディアがこうした問題を取り上げましたが、今後は日本とて海外企業から多額の損害賠償請求をされる、そんな未来もくるのかもしれません。そしてそうなれば、国家が疲弊して社会保障をけずったり、税金を増やしたり、国家が弱体化して円安となり、物価が上昇して2%など軽く達成してしまうかもしれない。これからの経済は、様々な要因で、何が、どう動くかをしっかりと把握しておかないと、突然とんでもないことが起こってもおかしくありません。日本の10年物国債の取引が成立しない日もありましたが、黒田バズーカの反動、予期せぬところで出てきた弊害、物価目標の達成どころか、金利誘導目標の揺らぎなども含めて、何がおこるか分からない時代に突入した、といえるのでしょうね。
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