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元国税調査官が暴露。法の抜け穴を突いた保険商品の「危ない逃税」
http://www.mag2.com/p/news/224552
2016.10.21 まぐまぐニュース
世界が震撼した「パナマ文書」問題で、多くの人が知ることとなったタックスヘイブンの存在。ところが日本国内にも、資産を海外に移さずとも堂々と「限りなく黒に近い」節税ができる「タックスシェルター」という手口があることはあまり知られていません。元国税調査官が配信するメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では、富裕層が利用するそのタックスシェルターについて詳しく紹介しています。
■税金が安くなる「租税回避商品」とは?
富裕層がやっている節税策の紹介です。タックス「シェルター」という言葉をご存じでしょうか? タックスヘイブンという言葉は最近有名になりつつありますが、タックスシェルターというのは、聞いたことが無い方も多いでしょう。直訳すれば税の避難場所とでもなりましょうか。
このタックスシェルターというのは、金融商品のことです。その金融商品を買えば、税金が安くなるという「租税回避商品」なのです。もちろん、税務当局にとっては、「租税回避商品」を目の敵にしています。そう簡単に税金を回避されては、税の徴収ができなくなるからです。が、租税回避商品というのは、巧みに税法の抜け穴をついてきます。税務当局も、歯噛みしつつも容認せざるを得ないのが、租税回避商品なのです。
なぜ金融商品を買えば、税金が安くなるのか? 普通の人にとっては、わけがわからない話でしょう。世の中には、いろんな悪知恵を持つ人がいて、こういうものも考えだされているわけです。
「租税回避商品」というのは、だいたい「保険商品」が多いです。保険会社が、富裕層を相手に税金が安くなる商品を開発するのです。保険会社というのは、昔から、「租税回避商品」の開発を行ってきているのです。つまりは、法の抜け穴をついた「危ない節税」の手助けをして、金儲けをしてきたのです。保険会社には、そういう裏の顔があるのです。
たとえば、過去にこういう租税回避商品がありました。それは「生命保険」の体裁をとっています。その生命保険には、普通とはちょっと違った特徴があるのです。
会社が社長に生命保険を掛けた場合、原則として会社の経費に計上することができます。生命保険には、死亡したり入院したりしたときに受け取る「保険部分」と、満期になったり解約したりしたときに受け取る「貯蓄部分」があります。会社が生命保険をかけた場合、「保険部分」は会社の経費とできますが、「貯蓄部分」は経費とできなくなっています。
この「租税回避商品」は、契約の中で「保険部分」と「貯蓄部分」をあいまいにしてあったのです。そうすれば、どれだけ経費になるかもあいまいになります。その生命保険に入れば、保険料を会社の経費で落としながら貯蓄ができる、つまり税金を払わないで資産を増やす、ことができるのです。たとえば、1,000万円会社の利益が出ていた場合、この1,000万円で生命保険に入ります。そうすれば、会社の利益はまったくなくなりますから、税金はかからないですむのです。そして5年後には、その1,000万円を保険会社から、解約返戻金などの名目で返してもらえるようになっているのです。
もちろんこんなことを許していれば、税務当局とすればたまったものではありません。会社が利益を出すたびに、生命保険の名目で蓄財され税金が取れなくなってしまうわけですから。だから税務当局は、この租税回避商品を使えなくなるような法律をつくりました。しかし、また新しい租税回避商品が作り出されています。そういういたちごっこが続いているのです。
■相続税をほとんどゼロにする生命保険とは?
現在も、普通に使われている租税回避商品もあります。もっとも代表的なものは、相続税を安くするための生命保険です。つまりは、その生命保険に加入すれば、相続税が安くなるということなのです。これだけ言われても、一般の方には「?」「?」という感じですよね。そのカラクリを順に説明しますね。
相続税というのは、一定の資産を持つ人が死亡したときに、遺族にかかってくる税金です。で、その相続税の額というのは、その資産家が死亡した時点での財産評価額が基準になります。生命保険の場合、資産家本人が保険の対象となっていれば、保険金の額が相続税の対象になります。が、資産家が他の誰かを対象にして保険に加入し、受取人が資産家となっていた場合は、資産家が死亡した時点での「解約返戻金」が相続税の対象となるのです。
たとえば、資産家が子供を対象にして生命保険に入っていたとします。受取人は資産家となっています。この場合は、資産家が死亡した時点での「解約返戻金」が、相続税の対象となるのです。そして、生命保険の中には、満期になれば多額の返戻金が出るのに、満期になるまでの一定期間には、ほとんど解約返戻金がない商品などがあります。たとえば、15年満期で5,000万円の返戻金がもらえるのに、1年目から14年目までに解約すれば、返戻金はほとんどゼロに近い、というような。
資産家が、こういう生命保険に入っていて、掛け金は最初に前納していたとします。となると、1年目から14年目までにこの資産家が死亡すれば、解約返戻金はゼロに近いので、生命保険の掛け金は相続税の対象とはほとんどならないのです。
ただし、生命保険を最初に前納した場合、加入期間が来ていない分の掛け金は、前払い財産としてカウントされます。だから、相続税の対象とはならないのは、加入期間が来た分の保険料だけです。ちょっとややこしいですね。具体的に説明しましょう。
ある資産家が子供を対象に15年満期で5,000万円の生命保険に入ったとします。6年目にこの資産家が死亡してしまいました。保険の加入期間は6年だけであり、全体4割です。だから、5,000万円のうちの4割、2,000万円は、保険の掛け金としてカウントされるのです。
解約返戻金はほとんどありませんので、この掛け金の2,000万円は相続財産としてカウントされません。が、前納した残りの3,000万円は、保険の掛け金ではなく、前払いの財産ということになり、相続税の対象となってしまうのです。つまり、保険に入って早い時期に死んでしまうと、あまり相続税の節税にはならない、ということです。
が、この例の場合、15年目の満期が来る直前に死亡すれば、5,000万円がまるまる生命保険の掛け金として扱われ、解約返戻金がほとんどないので、相続財産としてはゼロに近い評価がされます。つまり、5,000万円分の相続税対象財産を消すことができるのです。
この租税回避商品の欠点は、節税になる期間が非常に短い事です。加入してすぐのときには、保険の未経過期間が長く、前納した掛け金は、「保険の掛け金」ではなく単なる「前払い金」とみなされるので、資産を小さくすることはあまりできません。満期が来る直前には、90%以上の資産が目減りできる高パフォーマンスを持っていますが、満期が来れば返戻金は満額になってしまいますので、フリダシに戻ることになります。
つまりは、満期がくる前の5年間くらいで死亡すれば、かなりの効率的な相続税対策になりますが、それ以外の10年間で死亡したり、もしくは15年の間に死亡しなかったりすれば、相続税対策としての効果はあまりありません。また前納した後、急にお金に困っても、満期が来るまでは解約返戻金はゼロに近いので、途中で引き出すというようなことはできません。そういうデメリットもあります。法の抜け穴を衝いているわけなので、いろいろと不都合もあるわけです。
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『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋
著者/大村大次郎
元国税調査官で著書60冊以上の大村大次郎が、ギリギリまで節税する方法を伝授する有料メルマガ。自営業、経営者にオススメ。
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