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(回答先: HDDの復旧、どうしてこんなに高いの? 地方百貨店、大量閉店時代の救世主は? 投稿者 軽毛 日時 2016 年 10 月 21 日 09:18:11)
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地方百貨店、大量閉店時代の救世主は?
記者の眼
経営者らが口々に挙げるとある商業施設
2016年10月21日(金)
日野 なおみ
あるアパレル大手の元首脳はこう予言した。
「地方の百貨店はこの先、いよいよ大量閉店時代を迎える」
今年9月、百貨店業界最大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)が、2つの地方店舗を閉鎖すると発表した。三越千葉店と三越多摩センター店だ。ともに2017年3月に営業を終了する。三越千葉店では、営業終了後も現店舗の近くに新しく小型サロンを開設し、需要の高い外商やギフト、学生服などの営業は続けるという。
同9月末にはさらに、セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう西武も、千葉のそごう柏店を閉店。営業最終日には、閉店を惜しむ地元客らの様子が報じられた。
この秋、2つのニュースが続いたことで、百貨店業界が置かれている厳しい状況が改めて注目を集めた。冒頭の予言は、その頃、あるアパレル大手の元首脳が語ったものだった。
このアパレル大手元首脳によると、最大手の三越伊勢丹HDが店舗の閉鎖を発表したことで、「あの三越伊勢丹でさえ店を閉めざるを得ない状況なのだ」という“空気”が業界内に醸成されたという。「ほかの百貨店も地方店の閉鎖を発表しやすい環境になった。これまでは各社とも、誰が最初に口火を切るかという我慢比べをしてきたのだから」。そんな感想とともに、アパレル大手の元首脳は、現在、各社で閉店を検討している地方店の名前をつらつらと挙げていった。驚くほど、たくさんの店舗が挙がった。
彼の言葉を裏付けるように、10月にはセブン&アイが中期経営計画を発表するなかで、そごう西武の持つ関西の百貨店3店舗(そごう神戸店とそごう西神店、西武高槻店)を、阪急百貨店などを展開するエイチ・ツー・オーリテイリングに譲渡することが発表された。決断の背景について、セブン&アイの井阪隆一社長は「首都圏に経営資源を集中するため」と説明したが、同時に「百貨店市場の縮小は不可避」と分析。ここでも百貨店業界が置かれている窮状が語られることになった。
ピーク時には9兆円の売上高があった百貨店業界の市場規模は、今ではその3分の2である6兆円まで縮小している。ある大手百貨店首脳は、「数年後には5兆円まで縮小するはずだ」と、さらに厳しい環境が百貨店業界を待ち受けていることを示唆する。今後も地方店を中心に、店舗閉鎖が相次ぐことは避けられないだろう。
ここで気になるのは、百貨店が退店した跡地に何ができるのかということだ。百貨店業界やアパレル業界などを取材する中で、この春以降、私はさまざまなキーマンからある施設の名前を異口同音に聞くようになっていた。それが今年5月、大阪府枚方市の枚方市駅前に開業した「枚方T-SITE」だ。
夜の枚方T-SITE。駅を降りると、スタイリッシュな外観が目に入る(撮影:竹井 俊晴)
「これは、未来の百貨店」
「先日、ようやく行ったのだけれど、平日なのに地元の人々でごった返している。地方百貨店の売り場なんて平日は大体閑散としているのに、ここにはたくさんの人が集まっているんだ。正直、驚いた」。ある大手アパレル関係者は、興奮気味に枚方T-SITEの様子をこう語った。同じような声を、実は様々な関係者から聞いていた。
運営するのは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)。同社はこれまで、東京の代官山や神奈川の湘南に「T-SITE」ブランドの複合商業施設を展開してきた。T-SITEの3店舗目となる枚方は、1983年に蔦谷書店の1号店がオープンした創業の地であり、CCCの増田宗昭社長兼CEO(最高経営責任者)の故郷でもある。
枚方T-SITEには、CCCの展開する蔦谷書店とレンタルショップのTSUTAYAを核に、カフェなどの飲食店や、雑貨や衣類、化粧品などを扱うショップ、英会話教室や子供が無料で遊べる室内遊具スペースがそろう。加えて、来店客の資産管理相談などにのれるような金融機関(りそな銀行と三菱東京UFJ銀行)のインストア・ブランチ(店舗)が入っている。売り場構成は既存の地方百貨店とは明らかに違って、書店やカフェなどを回ったり、子供を遊ばせたりして長時間過ごせるように工夫がされている。
「これは、未来の百貨店なんだ」。増田社長は枚方T-SITEについてこう語る。
小売業のオーバーストア状態やネット通販の台頭といった競争環境の変化によって、従来型の百貨店は苦戦を強いられるようになった。一方で進行勢力として台頭したT-SITEは、代官山と湘南で成功を収める。
枚方T-SITEをCCCは「生活提案型商業施設」としている。増田社長は枚方にT-SITEの郊外モデルを作ることで、郊外ショッピングセンター(SC)との競争激化などによって苦戦する百貨店の地方店舗の、新しい形を提案した。
「コトではなくモノを扱う」「ライフスタイル提案型の売り場を作る」。そう言い続けてきた百貨店から、こうした施設が生まれてこなかったのは残念だ。
百貨店はそもそも安い商品を扱う店でもなければ、特別な分野に特化したカテゴリーキラーでもない。百貨店という業態が提供する価値は、そもそも「モノ」にはなく、「買い物体験」それ自体にあったはずだ。家族連れで、屋上の遊園地で遊び、食堂でご飯を食べる。かつての百貨店は、まさに今のT-SITEのような「コト消費」の場でもあった。だが、営業効率を求める中で、いつしか百貨店は高級品、ブランド品を売る業態になり、その売り場を取引先に任せるようになってしまった。
一方のCCCは、そもそも、DVDやビデオテープなどの媒体のかたちを借りながら、その実、「映画を観る時間」「音楽を聴く生活」などのライフスタイルを売り物にしてきた会社だ。T-SITEのような「コト消費」施設を生み出し得るDNAを抱えていたのだろう。
枚方T-SITEの建つ場所は、2012年まで近鉄百貨店が枚方店を営業していた。これが閉鎖して以降、枚方市駅前は商業施設の空洞化が進んでいた。それが、枚方T-SITEの開業で、再び人の流れが戻ってきているという。新旧「コト消費」業態の栄枯盛衰を象徴するようだ。
枚方と同じように駅前百貨店の閉店によって街の地盤沈下が起こる都市は多い。「コト消費」の権化が挑む新たな郊外型施設が示した未来は、同様の都市にとっての解のひとつになりそうだ。
このコラムについて
記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/102000330
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