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英エディンバラに立つアダム・スミス像。著書『国富論』の中で市場原理を「神の見えざる手」と呼んだ彼も、今の日本銀行の政策を知れば驚くだろう Photo:123RF
“神”に代わらんとす日銀の傲慢 中国まで心配する市場のゆがみ
http://diamond.jp/articles/-/104735
2016年10月20日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長] ダイヤモンド・オンライン
共産主義国の人々から、市場原理を大事にするように諭されるという奇妙な「ねじれ現象」を経験した。
数カ月前、中国の著名経済学者らと議論した際に、先方から「日本銀行のマイナス金利政策などの政策は、市場メカニズムをゆがめているのではないか」との指摘を受けたのだ。
2013年の中国共産党中央委員会第3回全体会議(三中全会)で習近平体制の中国政府は、市場メカニズムを適宜導入しながら経済改革を進めていく方針を決定した。計画経済だけでは適切な資源配分ができない、という反省が背景にある。
昨年の株式市場の暴落時、中国政府は強引な価格安定化策を実施したため、「本当に市場原理を重視しているのか」と疑念を抱く方も多いだろう。確かに、全面的な市場経済への移行にはまだまだかなりの距離がある。しかし、全般的に見れば、地方政府や硬直的な国営大企業に改革を迫る際の“道具”として、市場メカニズムが導入されるケースが増えている。
対照的に、日銀は市場機能を壊す、あるいは、まひさせる方向にまい進している。中央銀行が大胆な金融政策を行えば行うほど、経済を社会主義に向かわせてしまうことが、黒田東彦総裁が率いる日銀の現体制で明らかになったといえるだろう。
その典型が株価指数連動型上場投資信託(ETF)の大規模な購入だ。英国の欧州連合(EU)離脱、Brexitが日本の家計や企業のマインドを悪化させることを防ぐために、購入額を年間6兆円へとほぼ倍増した。とはいえ、これは露骨な株価操作だ。一度増額すると、先行きBrexit問題が世界経済の懸念事項ではなくなっても、株価への打撃が懸念されて減額しづらい点も厄介である。
問題の震源地である英国や他の資本主義の先進国では、そのような株価操作を採用していない。資本市場の資源配分機能をゆがめることによる長期的弊害を考慮すると、安易には選択できない政策だからだ。
しかし、日銀の現体制にそういった抵抗感は存在しない。このペースで日銀がETFを購入していくと、いずれ日銀が筆頭株主となる企業が続出する。日銀は「物言わぬ株主」なので、疑問符が付く経営が行われていても、上場企業であればその株式をしっかり買い支えていくことになる。
9月に日銀が採用した長期金利(10年物国債利回り)コントロールも資源配分をゆがめるだろう。先行きインフレ期待が上がってきたら、徐々に日銀は誘導金利水準を持ち上げていくつもりだ。しかし、経済にとって適切な長期金利がどの水準にあるのかに関して、実は今の中央銀行に知見はない。
本来は市場における「神の見えざる手」に長期金利を委ねる方が、市場からさまざまなシグナルが発信され、長い目で見れば効率的だと考えられる。それをこれから日銀の政策委員が“神”に代わって行おうとしている。今の日銀の政策には、市場や経済に対して「管理してみせる」との「傲慢」なスタンスが目立つように思われる。
長期金利の超低水準が長く続くと、政府の財政規律が一段と緩む恐れがあるし、民間では、不採算のプロジェクトでも存続できてしまうという弊害も懸念される。日銀はインフレ率が2%になれば経済が活性化すると主張するが、そのための政策が資源配分をゆがめれば、民間経済はかえって長期停滞する恐れがある。
(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
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