http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/510.html
Tweet |
雑感。日銀のさくらリポート
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52870513.html
2016年10月18日 在野のアナリスト
日銀の地域経済報告、『さくらリポート』が昨日、発表されました。最近の日銀は自身の金融緩和策を正当化するため、評価を甘めにつける傾向があり、その例の一つはインバウンド消費に関して『1人当たりの消費額は…前年を下回っている…旅行者数は…前年を上回って推移…訪日外国人旅行者の全体の消費額は、伸びは鈍化しつつも堅調に推移』とします。しかし昨年までの異常な『爆買い』が終焉した今、消費額の減少を訪問者数の上昇で補えたとは、到底思えません。『堅調に推移』とは、昨年を上回っていなければいけませんが、そうした分析は一切ありません。あくまで『憶測』の段階に過ぎないのです。
しかもさくらリポートではインバウンド消費関連に、15頁も費やしている。全60頁ですから、実に4分の1以上です。残りが通り一遍の地域経済報告だけに、要するに日本の景気を支えているのは内需、外需ともに外国人だ、ということを暗に示しているのでしょう。
さらに地域別の経済報告で、奇妙な点は「住宅投資が持ち直している」と、ほぼ横並びで表現していることです。大都市部のマンション販売は一巡し、2桁減が伝えられますし、住宅ローンの動向をみても決して増えている報告はありません。低金利で住宅投資が、設備投資が増える、が金融緩和をするときの日銀の説明でしたが、実態はその説明通りになっていないのです。しかしさくらリポートの内容はそれと異なる。でている経済指標が間違っているのか、さくらリポートが間違っているのか、どちらかなのでしょう。
これは個人消費も同じで「底堅く推移」「持ち直し」という言葉を、判で押したように並べます。しかし小売の状況を示す指標は前年比で数%減をつづける。これもどちらかが間違えているのでしょう。恐らく、小売に関しては小売業協会の発表ではなく、商業動態統計を用いていることから、この差は起きています。つまり国の統計と、民間の統計とも差がでており、肌感覚は国と国民との間で、大きな乖離がある原因なのでしょう。
最近ではGDPをはじめとして、国の統計自体に政治家が不満をもち、見直しを声高に叫ぶ向きもあります。GDPなどは実際、国際基準に合わせるとして見直されますが、問題は経済統計に現れにくい貧困層の動向など、政府が積極的に把握していかなければ統計がとれないような問題が、今も見直し後も洩れていることです。NHKスペでもとり上げていましたが、今世界が懸念するのは『資本主義の限界』です。安倍首相は国会答弁でも「経済成長をして、それを増える社会保障費に…」と語りますが、日本など低成長の見本のような国で、成長しないから給付を減らす、という悪循環に陥っています。そもそも「成長しないと社会保障費が賄えない」という時点で、この国の発想はゆがんでいるともいえます。
つまり「持ち直し」や「底堅く推移」では、実はこの国は回っていかないような施策を、安倍政権は打っている。よい経済指標だけをみて、自己満足に陥っていても、決してこの国の状況は改善されないことを示すのです。資本主義の限界とは、低インフレ、低成長、そしてヤングワーキングプア。日本に最後の項目は当てはまりませんが、人口減少社会という原因がそうさせるだけです。世界も同じように人口減少により、縮小均衡を目指すとするなら、世界はもっと低成長、マイナス成長に陥ることになるのでしょう。つまり日本が世界のトップを切って低成長に陥っており、その対策も誤っていることになります。
日銀のさくらリポート、今では『暗さリポート』と銘打ってもよいのかもしれません。日本は「底堅い」や「持ち直し」では、到底回っていかないのに、それで景気判断を上昇修正し、対策がゆるんでしまう。9月に日銀が量からイールドカーブに目標を修正して以来、長期国債とETF購入額をじわっと引き下げていますが、市場にインパクトを与えないこの程度の見直しでは、日銀が破綻しかねないほどの保有資産を抱えるまで、それほど時間もかからないでしょう。めくらリポート、ぼんくらリポート、などとも揶揄されますが、最近では『厭きられポート』とも呼ばれる。厭きられているうちが華で、見向きもされなくなりつつある日銀。『堕落リポート』と呼ばれ出したら、もう終わりなのでしょうね。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民114掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。